今日は本当に久々に建造物見物おばさんぽ。
目指すは多摩川の川崎河港水門。
京急川崎駅から京急大師線に乗る。
次の港町駅で下車。
ホームの壁には故美空ひばり氏のヒット曲「港町十三番地」の楽譜。
この駅は今は港町駅という名前だけど、昭和7年に「コロンビア前駅」という名前で開業したのだった。
ここにはコロンビアレコードの川崎工場があったのだった。
今は工場跡地は大型マンション群となっている。
多摩川へ。
多摩川の土手を海に向かって少し歩く。
わお!
素敵な水門だ!
国登録有形文化財・川崎河港水門。
所在地:川崎市川崎区港町66地先
建築年代:昭和3年(1928年)
設計:金森誠之
施工:浦賀船渠
規模:高さ20.3m 水門幅10.0m
構造形式:鉄筋コンクリート造(鉄筋レンガ併用)
昭和61年(1986年)に改修工事が行われ、門扉は取りかえられたが水門は塗り直しのみ。
水門という実用の極みのような建造物なのに、まるで宮殿への門のような装飾。
レンガを鉄で補強してるから水門としての機能はきちんとしている。
設計の金森氏は多趣味な御仁だったらしいけど、なんでまたこんなに飾り立てたんだか。
説明を読んで、にわか検索して、納得。
江戸時代からずっと多摩川対岸よりなにかにつけて冷遇されてきた川崎。時代が流れても周囲に比べてなかなか躍進といかなかった川崎市は大正末期に多摩川の堤防から内陸部へ運河を掘り、出た土砂で両岸を埋め立てて工場やそれに付随する住宅地を造成しようという一大プロジェクトを計画。第一次世界大戦の好景気に後押しされてうまく運ぶと思われたけど、水門を造った後は時代の情勢の急激な変化に対応できぬままに220m進んだだけで運河計画は頓挫した。
この水門は水の都・川崎の玄関口を彩るはずだった水門だったんだ。
何気に川崎市の紋章があしらわれる。
柱の上の謎めいたオブジェはなんと川崎名産のナシとブドウとモモ。
220mで頓挫した行き止まり。
現な夢の跡。
お大師さまも秋。