目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「これでよろしくて?」 川上弘美

2010年07月18日 | 読書
川上弘美さんの小説は、はじめの頃
よく読んでいたんだけど、なんだか
非現実的な不思議感が大きくなってきたので
しばらく読んでなかったんですが・・・

「これでよろしくて?」(川上弘美 中央公論新社)

主人公は38歳、子供のいない専業主婦 菜月。
夫との生活には特に不満もないけれど
変わりばえのしない平凡な毎日。
ある日、街で偶然出会った元彼の母親に、
”これでよろしくて?同好会”なるものに
勧誘される。

会合場所の洋食屋さんに行ってみると、
その元彼母をはじめとする
年齢もタイプも違う4人の女性が集っていて
とりとめもない”議題”について
意見を交わしているのだった・・・

そんなある日、菜月の家に、家出してきた
旦那の妹が居候するようになったり、
その次にはお姑さんが家出してきたり・・・
という、かつてない局面が訪れる。


読みやすく、あっという間に読めました。
最近はやりの”ガールズ・トーク”って言葉は
好きじゃないんだけど、
(元祖ガールズトーク「Sex And The City」は大好き)
この小説は”ガールズ・トーク”を盗み聞きしてる
感覚なんだろうなぁ。

とはいっても、この「これでよろしくて?同好会」は
毎月1度集まって、いろいろな話はするものの
各人の詳しいことはわからないし、詮索もしない。
会合以外に会うほど個人的に親しいわけでもなく、
(旧知の、元彼母は例外だけど)
だからこそ、客観的で忌憚ない意見が聞けて
すごく面白そう。

それに、”お悩み相談”やグチや自慢大会をしてる
わけじゃなく、”議題”について
話し合ってるのが良いな。

人付き合いにおいて、どこまで踏み込んで良いのか
どこまで自分をさらけ出すのか、とか
いろいろ考えてしまって、井戸端会議も
苦手な私であります。

赤の他人に対してさえそんな状態なのに
いわんや、義実家との付き合いをや!

だから、この小説の中で
つらつらと書き連ねられる、
会社の同僚に対して感じていたこと、
旦那との関係について、
旦那と年の離れた妹とのようす、
お姑さんや他のヨメへの微妙な感情・・・などなど
なかなか誰かに話すことのないことが、
(話すほどのことでもなかったり、
自分の思うことをさらけ出すのが憚られる)
リアルに描かれていて、何度も頷いてしまいましたよ。

つくづく、結婚って大変なことだよなぁ と思います。
当人同士だけの話じゃないしね。

でも、そんな面倒くさいモロモロのこと、
人とのかかわりあいを避けて通ることはできない。
やっぱり、人は人と接することで 
変わっていくものなんだよね。
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2 コメント

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わっスゴイ (ichiko)
2010-07-23 20:11:54
面白そうですねーコレ。
というか、本も読んでないけどkinoさんの感想になんとなく同感です。
思っていても言えないというか
言うほどでもないかと思ったり、言うの憚られる・・・って気持ちがすごくよくわかる気がします。
うちの会社のランチタイムトークも
あまりにもそれぞれの立場
(年齢・既婚・未婚・彼あり・彼なし・子あり・子なし)が違いすぎて、私から見ると
地雷踏みまくりなんですよね。
みんな悪気がないのはわかるから
踏まれた方はぐぐっと我慢
踏んだ方は気付いていない。みたいな。お互い様ですが。
読んでみたいな~っ
返信する
さらっと (kino)
2010-07-26 00:04:39
>ichikoさん
この、”これでよろしくて?同好会”ってのが
さらっとしてていい感じなんですよね。
毎日顔をあわせる仲ではない、なんのしがらみもない
メンバーだからこそホンネで話せるのが良いなぁと思います。
周りの人の気持ちを読み取りつつ人付き合いって
ホントに疲れますよねぇ・・・。
大人って大変だ、と思う瞬間です。
お時間があればさらっと読んでみてください!
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