SIDEWALK TALK

I'm in blue

Letter木曜の夜、突然の訃報に酔いが覚めた。
愚弟からの電話で、
陶芸家の青木清高先生が急逝されたことを知った。
亡くなられたのは火曜日の夕方ということらしいが、
その日の午前中、僕は清高先生の面晤を得ていた。


火曜日の10時すぎ、先生のご自宅兼展示場にお伺いした。
奥様とお話ししていると、めずらしく先生がお見えになった。
いつもはすぐにお暇するのだけど、その日は特殊なオーダーがあって、
展示場に上がって採寸し、
短い時間ながら少しお話をする機会があった。
それが僕にとって先生との最期の会話だったし、
先生も奥様以外で最期に会話したのは僕だったということらしい。


陶芸の門外漢の僕が先生の作風について語ることは憚れるので、
ここでは多くは触れない。
生前、先生は中国の南宋官窯を研究し、
特に青磁に格別の思いをお持ちになっておられたように思う。
人間国宝の中島宏先生が、弔辞で「青木のブルー」という単語を用いて、
その功績をたたえていた。


僕の先生に対するイメージは、
ひと言でいうと「Grace」という単語に尽きる。
いつも柔和な態度で他者に接し、奢りなど微塵もない。
なのに何か凜然としたオーラを解き放っておられた。


享年57歳。
これからが作家としてのピークをお迎えになられることを思うと本当に残念だし、
ご遺族の、とりわけ奥様のご心情は察するに余りある。


祭壇にはグレイスブルーの青磁花瓶を手に微笑む清高先生の写真が飾られ、
先生のお気に入りだったのだろうか?ビートルズが静かに流れていた。
僕はご遺影にお礼とお別れを述べ、斎場を後にした。
葬儀当日は、先生のお人柄同様、穏やかな春うららかな陽気で、
青々とした有田の緑がいつも以上に美しかった。
久しぶりに僕は泣いた。

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