SIDEWALK TALK

オランダとニシン

かなりひさしぶりのオランダ・コラム
今回は食文化について。ちょっと長いけど、ガマンして読んであげてください。


オランダの食べものといえば、チーズやバターなどの酪農製品が思いだされるが、
オランダ人は意外にも、日本人なみに魚を好んで食するらしい。
遠く紀元前から主食のように魚を食べてた形跡が、
ローマのカエサル(シーザー)の「ガリア戦記」に記されている。


vlaggetjesdag魚といっても、タイやマグロなどの高級魚?じゃなくて、
ニシン(haring)がポピュラーだ。
しかも、むかしの(今でも)オランダ人は生で食べていた。
伝統的な食べ方(マナー?)は、
シッポをつまみ、口を大きくあけて空を見上げ、頭から丸ごと1匹食べる
といったものだそうだ。


日本のアユ漁のように「 Vlaggetjesdag 」(旗の日)とよばれる解禁日があり、
シーズン当初(5月くらい?)のニシンは、江戸っ子の初鰹のように縁起物として珍重されている。
なかでも1番最初のニシンは「 Hollandse nieuwe 」("初もの"ってほどの意味か?)とよばれ、
女王陛下に献上される。


14世紀中ごろまでは、せっかく大量にニシンが捕れても保存方法がなく、
需要のある北海諸国へ売りにいくことが困難だった。
14世紀末、オランダ人(名前も判明しているが失念した)が保存方法を発明してからは、
イッキに国力が飛躍した。
その発明とは、要するに缶詰で、
内臓やエラを取り除き、塩を加え、缶に詰めて空気から遮断するというだけのものだった。
これによって商圏が大いに広がり、遠くバルト海あたりまでニシンを売りにいくようになった。
この経済的成功が、17世紀のオランダ黄金時代の礎になったんだろう。


16世紀末から、オランダ人は他国民から「 Zee Geusen 」(海の乞食)と蔑称でよばれるのだけど、
ニシン船が粗末だったってこともあっただろうが、
成長しつづけるオランダ経済(貿易)へのやっかみもあったんじゃないだろうか。
八十年戦争終結の際、長い籠城戦のすえ、
スペイン軍に勝利したライデン市民が解放後最初に手にした食料もニシンだった。
今でもライデンの人びとは、10月3日の解放記念日をニシンでお祝いしている。

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コメント一覧

mf >> K.Moriyama さん
K.Moriyama さん、コメントありがとうございました。
http://www.kiribako.net/
K.Moriyama さん、コメントありがとうございました。
  
ご指摘のとおりかもしれませんね。
かなり前に書いたエントリーなので、詳細は失念しました。
調べてみます。
  
ただ、缶詰の定義ですが、
スウェーデン発の機密性の高いものじゃなく、
ブリキ製の缶というほどのものだったかもしれません。
  
自信ないです…。
K.Moriyama
缶詰はwikiに依ると18世紀の発明となっていますの...
缶詰はwikiに依ると18世紀の発明となっていますので、スウェーデンのシュールストレミングと混同していませんか?14~16世紀にオランダが発展したのは事実で、その時の重要交易品がニシンなのも事実ですが、多分、単なる塩漬けか酢漬けだったと思うのですが。
元セクレタリー
うわ~、にしんを丸ごといっちゃうんですね、しか...
うわ~、にしんを丸ごといっちゃうんですね、しかも生で。豪快だ。そうやって食べないと、無粋なんでしょうか。大きな口をあける訓練をしておかないといけなそうですね!おもしろい記事をありがとうございました。またきます。
planet91
TBありがとうございました。
http://blog.kansai.com/planet_1991
TBありがとうございました。
旅先からの投稿だったため、すっかりお返事が遅くなってしまいましたが.....

私は写真のように尻尾を掴んで食べることが出来なかったのですが、街中にある屋台のポスターが妙に可愛くて今となったらあれを沢山写真に収めたらよかったな~と悔やんでます。

私が食べたのはオープンマーケットに出ていた2ユーロの半身になったニシン。
もっと食べたかったです。
その後、イギリスで滞在したホテルでニシンを焼いたものが朝食に出ていましたが、やはりこの食べ方が一番美味しいかったです。
まっきー
こんにちは。遊びに来ました。
http://www.geocities.jp/hanapgp/
こんにちは。遊びに来ました。
えーっとですね、ニシンの解禁日は今年は6月1日だったと思います。
オランダのお魚屋さんとか、デパートの入り口付近で、一斉にハーリング(ニシン)の売出しが始まりました。
「ハーリングを食べよう!」みたいな看板が出たりもします。画像のように頭からあんぐりと口をあけて食べるオランダ人も見ました。
実際は、ハーリングのうえにたまねぎを刻んだものをまぶして食べています。
あと、パンに挟んで食べるのもポピュラーな食べ方です。
味は、サーモンのように脂がねっとりとのっています。個人的には、脂が乗りすぎていて、ちょっと苦手な味ですが、主人は、「パンに挟むと脂が吸収されて食べやすいよ」といいます。
スーパーでもパックで売られています。2匹で3ユーロ前後。我が家では、たまねぎを多めにのせて、食べてみました。オリーブオイルで魚の臭みを少し消すのも良い方法かと思います。
それから、オランダの魚事情は、本当に乏しいです。売ってはいますが、新鮮さを感じません。普通にスーパーで売られている魚はキングサーモン・タラの2種類です。あとはウナギの燻製、ボイルえび、小さな貝やイカが入ったシーフードミックス、こんなところです。
魚屋さんとか、市場へ行けばもうちょっと新鮮なものも手に入りますが、値段はかなり高めです。
日本でとっても新鮮なお魚を食べていた私は、こちらへ来て魚を食べられなくなってしまいました。
唯一、おいしいと思える海産物はムール貝です。これはおいしい!ムール貝についてはまた私のブログでも書き込むことがあると思うので、今日はこれまで。
長くてごめんなさい!!
jaguar
ひじょーに興味深い話ですね!
ひじょーに興味深い話ですね!
ニシンを生で食べれるなんて、はじめて知りました
調べたら、ニシンのお刺身もあるんですねー
イズミ
こんにちは☆早速遊びにきましたっ!
http://izumi726.seesaa.net/
こんにちは☆早速遊びにきましたっ!
って、ニシンを大口あけてそのまま食べちゃうのですか!?うわぁぁ…。写真の女性、すっごい苦い顔してるのですが(笑)食文化も地域によって激変するんだなぁと感じました。
オランダにとっては、ニシンが国を築かせたといっても過言ではないのですね。侮れません、ニシン。
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