
僕は、天邪鬼だから、
イベント事に浮かれるのが面映ゆく、
記念日とか誕生日、クリスマス等を
疎ましく思っていた節がある。
それでも今年は25年目の節目の年ということもあって、
彼女になにか特別なことをしようともくろんでいた。
「瓦礫の中のシルバーリング」と名づけて、
ひとり悦に入って、戦略を練っていた。
けれど、実行は叶わなかった。
銀婚式の朝は曇り空。
いつものこの街の空。
僕は「平気さ」と独りごちて、
秋の空を見上げながら、
日課である朝の散歩に出かけた。
やがてこの街に冬が訪れる。
彼女がいなくても・・・