
小林昭二さんがキャスティングされていた。
小林さんは、『ウルトラマン』では科特隊のムラマツキャップを演じ、
『仮面ライダー』では“おやっさん”立花藤兵衛役で活躍した。
僕ら世代では、極めて重要なバイプレイヤーだった。
僕は知らなかったが、
ジョン・ウェインの吹き替え声優としても活躍したらしい。
バイプレイヤーといえば、お気に入りの役者さんが2人いる。
クリフ・カーティスとデヴィッド・モースだ。
両人ともFBIやCIAのエージェントを演っても絵になるし、
テロリストなどの敵役としても雰囲気がある。

僕はずっとアラブ系の人だと思ってた。
実際にそういう役が多かったし、
エージェント役にしろテロリスト役にしろ、
アラブ人故の世間からの不条理や信仰と任務の狭間に揺れる心情を
見事に演じてきた。
アラブ人と勘違いしていたのは、僕だけじゃないだろう。
彼の出演作で僕がとくに印象に残っているのは、
『トレーニング デイ』『コラテラル・ダメージ』『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』の3作。
彼なしでは、これらの作品は成立しなかったと思う。
こういう微妙な役どころを演じられる役者さんはホントに少ない。
名バイプレイヤーの面目躍如だ。

デヴィッド・モースはアメリカそのもののような演技をする。
たたき上げの優秀な捜査官も
汚職に塗れた腐敗警官もそつなくこなすし、
アート系のヨーロッパ映画でも存在感を発揮している。
『ディスタービア』での殺人鬼役はマジで恐かったし、
『16ブロック』での汚職警官もはまり役だったし、
『ハート・ロッカー』では脇役過ぎる脇役軍人を好演していた。
このエントリーを書くに当たって、
「バイプレイヤー」という単語について調べてみた。
僕らが脇役に対して使っている「バイプレーヤー(byplayer)」は実は和製英語で、
英語では「supporting player」が正しいらしい。
何にせよ、こういう名バイプレイヤーがいるからこそ、
僕らのシネマライフはより豊かになるのである。