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「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方 |
カンポン・トーンブンヌム,上田 紀行 | |
佼成出版社 |
「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方(カンポン・トーンブンヌム著)の中から、ご紹介します。
体育教師から一転、事故により重い障害を追ったカンポンさん。
苦しみを減らそうと、さまざまな取り組みをされました。そうした中、ルアンポー・カムキエン師に、”障害を負った私にできる修行の方法を教えて下さい”とお手紙を送ります。ほとんど横になっている姿勢しか取れないカンポンさんに対して、カムキエン師は次のようなお返事をされました。
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私はあなたの善き仲間になれることをとても嬉しく思います。
修行に関して誤った方向におちいらないように導くお手伝いをいたしましょう。自分自身を見つめ、感じていく瞑想のやり方をお勧めします。たとえ体が不自由で横になっていたとしても修行は可能です。
手のひらを動かしてひっくり返すときの感覚を感じてごらんなさい。知らず知らずに考えごとが起こってきますが、その考えに惑わされず、体に戻るように。体がここにあることを意識して、よく注意して観るようにしましょう。これを「パワーナー(心の成長、修養、智慧の開発)」と呼びます。
パワーナーとは、気づくことに努めることで、静けさを求めるものではありません。それによって自分自身に気づくことがよくできるようになれば、迷いが少なくなり、真理が明らかになっていくでしょう。
私たちは、体と心の真実を観ることができるようになるでしょう。そのものとなるのではなく、観るものとなる。体や心に何が起ころうとも明確にそれを知るものになりましょう。
時に幸せが起こってもそれを追う人とならず、幸せをただ感じる人となる。苦しみが起こってきても、苦しんでしまう人とならずに苦しみを観る人になるようにしましょう。
もし、飽きがきたり、息が詰まったり、腹が立ってくるような事態が起こったときでも、それに気づくことが大切です。それは心の状態なのですから。あなたがその状態そのものになる必要はありません。そうやって修行に励んでごらんなさい。
(P80)
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「気づきの瞑想」のエッセンスが、ギュッと詰まっています…
「気づきの瞑想」修行方法はこちらをご参照ください。→「気づきの瞑想」実践方法・ポイント
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「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方 |
カンポン・トーンブンヌム,上田 紀行 | |
佼成出版社 |
著者紹介<Amazon より引用>
カンポン・トーンブンヌム
1955年、タイ・ナコンサワン県生まれ。1977年、アーントーン体育高等専門学校に体育教師として入職したが、2年後、水泳の模範演技中に事故に遭い全身不随に。その後、ルアンポー・カムキエン・スワンノー僧に師事し「気づきの瞑想」を修める。現在、寺院や病院、学校を中心に講演活動を行なっている。
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読書メモ
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体育教師から一転、全身不随となったカンポンさん。「苦しむ人」から「苦しみを観る人」になっていくプロセスは何度読み返しても心にぐっときます