「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方 | |
カンポン・トーンブンヌム,上田 紀行 | |
佼成出版社 |
不慮の事故で体育教師から一転、全身麻痺となったカンポンさん。
「気づきの瞑想」により、「苦しむ人」から「苦しみを観る人」となりました。
苦しみを観ることができるようになると、もっとたくさんのものも観られるようになるようです。
カンポンさんのご著書、 「「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方」のエピソードからご紹介します。
カンポンさんと、ナラテボー師を頼って日本からスカトー寺に来た人とのやりとりです。
-----------------------
あるとき、夫からの愛情を感じられずに悩んでいた女性が、そのことをカンポンさんに打ち明けたことがありました。そのときカンポンさんからはこんな言葉が返ってきたのです。
「私たちは誰でも、みんなに愛されたいって気持ちをもっているよね。でも、五人の人がいれば、そのうちの二人には愛されないってことはよくあること。そのときは、三つしか愛を得られない。
でも、自分から愛してごらん。五人の人を愛したら、心のなかに五つの愛が生まれてくるよ。今、ここに日本から来てくれた五人の友人がいる。僕は、今ここにいる五人の人を愛してるよ。そして五つの愛で満たされているよ」(P205)
-----------------------
みずから(内側から)愛情を発動すれば、ただちに愛は生まれ、心は愛で満たされる … →
…なのに、男女、血縁、社会…あらゆる関係において、「相思相愛であることが本当の愛」と思い込んで、外側からの愛を得なきゃとジタバタし、あげく思い通りにならずに疲れちゃう、、ということに気づかさせてくれるエピソードです。
ふと、身近で起こったこんなできごとが思い出されました。
-------------
小学生の女の子に、小さな妹ができました。家族みんなが、かわいい、かわいい、と夢中です。
女の子のお母さんは、もしかしたら女の子が寂しい思いをしているかもしれないと心配になったので、それとなく気持ちを聞いてみました。
すると女の子は、「みんなが〇〇ちゃんをかわいがるからって、寂しく思うんじゃなくて、自分が〇〇ちゃんを一番かわいがればいいんだよ!」と、お母さんに言いました。
-------------
こどものころは、きっとだれしも、こっちがわに愛する気持ちがありさえすれば、ただちに愛で満たされるんだ、それってすごく嬉しいことだって、わかっていたんでしょうね
ナラテボー師は、ご著書「苦しまなくて、いいんだよ。」で、このようにおはなしされています。
-----------------------
子供の頃、特に何か大きな出来事があったわけでもないのに、日常のごく素朴なひとコマにも心を踊らせていた記憶はありませんか。そのようなイキイキとした感覚は、大人になっても十分取り戻せます。これまで身につけてきた豊富な知識、明晰(めいせき)に考える知性を携(たずさ)えながらも、子どものようなみずみずしい感性を持って、やすらぎと喜びに満たされながら生きられるようになります。
それは、モノや地位などの外部要因に依存せず、自らで生み出し、自らが主(あるじ)となり、自らをよりどころとして培(つちか)っていける「内発的な幸せ」です。(P01)
-----------------------
「自分が一番かわいがればいいんだよ!」と言った女の子は、そのとき、小さな妹と接することによって自分の内側からどんどんわきあがってくる「かわいい~」に満たされて、幸せいっぱいだったんだろうな~
苦しまなくて、いいんだよ。 | |
プラユキ・ナラテボー | |
PHP研究所 |
内容紹介<Amazonより引用>
タイで出家した日本人僧の著者に会うために、バンコクから350km離れた森の奥深くのお寺まで、はるばる海を越えてやってくる日本人たちがいます。 職場の“空気”に耐えられないOL、上司に追い詰められてうつになった会社員、絶望の果てに自殺未遂を繰り返す20代女性、心を深く見つめるほど苦しくなる瞑想者…… 人がこの世を生きていくとき、さまざまな苦しみに出遭うことは避けられません。 その「苦」に真正面から取り組み、それを克服し、「苦からの解放」を実現したのがブッダです。その知恵と手法は、今もタイの仏教に受け継がれています。 この本は、訪問者一人ひとりの気持ちに寄り添いながら対話を重ねることで、彼・彼女らが自らの気づきで苦しみから解放されてゆくプロセスを綴ったものです。 自分を拠り所として培った幸せに出会うと、モノやお金や地位など外部の要因に左右されない人生を歩むことができます。ブッダの叡智と慈悲心を実感できる一冊です。
----------
読書メモ
----------
本の中に登場する瞑想地獄にはまっちゃった人同様、私自身も瞑想してるとむしろ苦しくなってしまったりして、取り組み方への疑問をもっているころ、この本を手に取りました。
この本を読み、瞑想の方法にもいろいろあって、個人個人の傾向やプロセスをしっかり理解したうえで適切に選択していくことが大切なんだとわかりました。指導してくれる先生の存在も重要なんだな、とも