◆◇第45回「Assertive(堂々と主張する)とSubmissive(従順な)のあいだで」◇◆
Global Japanese(グローバルに通用する日本人)の条件を、2つの英単語の間で考えてみた。
西欧での面接試験の資格要件に、Assertiveという評価項目があった。
日本の辞書には、
Assertive:
1.断言的な、断定的な 2.積極的な、強引な、有無を言わせない;独断的な (ランダムハウス英和大辞典)
断定的な、独断的な;自己主張の強い;自分に自信を持った;我の強い (ジーニアス英和大辞典)
と、
意味的には、マイナス・イメージの多い日本語訳になっている。
オックスフォード現代英英辞典(2005年第7版)を調べると、
Assertive: expressing opinions or desires strongly and with confidence, so that people take notice.
(「自信を持って、意見や望むことを強く主張する。そのことで人々の関心が集まる」)
となっている。
個性を大事にする西欧文化では、マイナスどころか、プラスのイメージである。
一方、Assertiveの反対語は、
Submissiveである。
Submissiveの日本語訳は、
1.(人が)(・・・に)服従する、従順な、おとなしい
2.(行為などが)服従的な、素直な(ランダムハウス英和大辞典)
-服従的な、従順な(ジーニアス英和大辞典)
同上のオックスフォード現代英英辞典では、
too willing to accept sb else's authority and willing to obey them without questioning anything they want you to do.
(「他人の権威をたやすく受け入れ、彼らがあなたにしてほしいことについて、疑問をもたず、たやすく従う」)
また、オックスフォード米語辞典(2005年第2版)では、
ready to conform to the authority or will of others; meekly obedient or passive.
(権威や他人の意思にたやすく従う;黙って、自己主張せずに、言われたことに従う)
となっている。
これは、西欧文化では、マイナス・イメージが強い。
海外で働くとき、
日本では価値の高い、
「謙虚さ」(Modesty, Humility)が
ややもすると(多くの場合)、
Submissiveとして理解されることが多い。
時には、この謙虚らしい態度が、
卑屈な(obsequious, servile)態度につながり、若い日本人でさえも、
『えへへ』と言った言葉や態度、笑いで、その場をとりつくろうことがある。
この態度は、Assertiveの対極に立つもので、西欧人からの評判はよくない。
また、卑屈さの正反対の「傲慢な、横柄な」(haughty, arrogant)態度になることも日本人にはよくあることだ。
グローバル日本人としては、
卑屈にならず、傲慢にもならない、
「堂々と主張する態度」の学習を進めることが必須になるでしょう。
さて、
大学院のクラスで、中国からのクラスメート(上海出身の政府機関の女性)に、日頃感心していることをぶつけてみた。
「中国人の報道官って、みなさん、堂々と意見を主張してますよね。なんだか、中国人って、アメリカ人と性格が似ている印象をもっていますよ」(わたし)
「ええ?あれは、外向きの訓練を受けているんですよ。海外へ報道するときは、はっきりと主張するのが彼らの役割なんです。ああいう態度を、国内で取ったら、みんなから嫌われますよ」(彼女)
「ええっ、ほんとですか~?てっきり、アメリカ人と同じ性格かと思っていました」(わたし)
日本の外務省は、内向きも外向きも同じようです。
クリティカル・シンキングや海外との交渉の訓練さえも、
受けていないようです。
というのは、NHK Worldで「ミャンマーの民主化」(Asian Voices 10月24日放送)を見た時に、日本人ゲストのプレゼンス(存在感)の希薄さに失望したものです。
NHKの伝統的な演出(国内、海外向け共に)は、司会者の隣に、(日本人)ゲストを据え、討論のまとめをするという構成になっています。
英語の討論能力以前に、海外ゲストの情報収集能力や多角的な分析とのギャップの大きさ、分析能力の貧弱さやプレゼンテーションのスキルのなさなど、
ああこれが日本で最高と言われている優秀な官僚の限界なんだなと、感心したのでした。
写真は、Asian Voicesと中国報道官の写真を使用した。
【参考】
Asian Voices (Oct. 24, Sat."MYANMAR: DEMOCRATIZATION")