2023年8月29、時事通信「スリランカに財宝返還 植民地時代に持ち去る―オランダ」という記事が配信された。
『……
【コロンボAFP時事】オランダ政府は、植民地だったスリランカから18世紀に獲得した、金銀などで装飾された大砲を含む財宝6点の返還を決めた。オランダ高官が28日、スリランカ最大都市コロンボの文化省で返還式に出席した。実際の返還は12月の予定で、スリランカの国立博物館はそれまでアムステルダムの博物館が管理することを認めた。
……』
そうである。スリランカは、1658年から1796年まではオランダの植民地であった。その後、1802年に、今度はイギリスに割譲されている。そして、1948年、前年に独立したインド及びパキスタンに続き、イギリス連邦自治領セイロンとなった。
今回の文化遺産返却問題は、本年8月24日に閉会したBRICSヨハナスブルグ首脳会議で採択された最終宣言が大きく後押ししたものと思われる。
ところで先般の首脳会議で、新たに6か国が加盟国となることが確認されている。それはアルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦である。
これらBRICS加盟国で気が付くことは、インドをはじめとして中国、アルゼンチン、エジプト、イラン、アラブ首長国連邦は旧宗主国イギリスであるか、イギリスの非公式帝国(自由貿易帝国主義論を核となる概念で、政治的、且つ。経済的な従属下にあるものの公的な支配を伴わない地域を指す。その対象国はアルゼンチン、南アフリカ、清国、日本等)なのである。これらBRICS加盟国が、中国と同様に旧宗主国であるイギリスに文化遺産返却の返却を求めたら、やはり、大英博物館はガランとした歴史的建造物となるであろうことは想像に難くない。
そして、今回の文化遺産返却という動きからイギリスの本音を伺い知ることができる。現在のイギリスは、イギリス連邦の中核国であるアンザック(ANZAC;Australia and New Zealand Army Corps)と本国イギリスを繋ぐ海廊は、旧宗主国に離反した国々が各所にちりばめられていることから、非常に危険である。その対処として、イギリスとしては、日本の安全保障とは何ら関係のないにも拘らず日本国民には日本の国益であると騙してでもインド洋に優秀な自衛隊を配置したくなるのは、ある意味、当然のことなのかもしれない。
安倍総理大臣のころから積極的に押し進め現在は岸田内閣が継続している「自由で開かれたインド太平洋(FOIP、Free and Open Indo-Pacific)」という政策は、傾きかけた「ぼろ船イギリス」が沈没しないよう懸命に忠節を尽くす日本という「間抜け」を絵にかいたような愚政策なのである。
もしもジョルジュ・ビゴー( Georges Ferdinand Bigot)が存命ならば、さぞかし、吹き出したくなるようなポンチ絵を描いたに違いない。その時に登場人物、安○、岸○、馬○、玉○、伊豆○そして芳○という人物は、どのように描かれるのであろうか。もしかしたら、全員がドストエフスキーの小説「白△」を小脇に抱えているのかもしれない。
絵の構図として興味は尽きないが、一日本人としては情けない話である
以上(寄稿 :近藤雄三)
[i] https://tass.ru/ekonomika/18575467
[ii] https://jp.reuters.com/article/russia-africa-forum-compensation-idJPKBN2Z81SR
[iii] https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/18598443?s=03
[iv] https://www.bbc.com/japanese/62460902
- はじめに
馬場氏は「自民党1強と多弱の野党という状況の中で、政治がなかなか前に進まない現状がある」と指摘。自民との違いについて「保守という原点は同じだが、大きく改革をするかどうかだ」と強調し、自民を「現状を維持する保守政党」、維新を「改革をする保守政党」として対比した。
現在、維新の衆院議員は41人で、野党第1党の立憲民主党は95人。
岸田政権の姿勢について、馬場氏は「防衛費(増額)であれば増税、子どもに対する投資には社会保険料増額と言っている」と批判。「今すべきは『異次元の少子化対策』ではなく『異次元の歳出削減』だ」と述べ、「身を切る改革」の重要性を訴えた。
維新の創業者で大阪府知事や大阪市長を務めた橋下徹、松井一郎両氏の政界復帰については、「怒ればあの2人は想像できない行動力を発揮するが、今のところそういう怒りを秘めているようには見えない」と説明。現時点で否定的な見方を示した。
一、自民、維新の二大政党制に意欲
一、次期衆院選の目標は野党第1党
一、自・維の違いは改革姿勢
一、異次元の少子化対策より異次元の歳出削減
一、橋下、松井両氏の政界復帰に否定的
その上で、「こうした状況において、日米韓3か国の戦略的連携の潜在性を開花させることは必然で、時代の要請でもある。われわれ3人は『日米韓パートナーシップの新時代』をひらいていく決意を示す。日米同盟と米韓同盟の連携を強化し、日米韓3か国の安全保障協力を新たな高みへ引き上げる。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため、今後とも日米韓3か国の戦略的連携の一層の強化に取り組んでいく」と述べました。
[i] https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230819/k10014167511000.html
[ii]日本経済新聞「BRICS首脳会議、テーマは「アフリカ」」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB081EO0Y3A800C2000000/
- 初めに
- アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は、平和と繁栄を求める両国国民の希望に基づき、新たな米朝関係の構築に取り組む。
- アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築に向け、協力する。
- 2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む。
- アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮戦争の捕虜・行方不明兵の遺骨回収、既に身元が判明している遺体の帰還に取り組む。
第二十四条
すべての国際連合の軍隊は、すべての国際連合の軍隊か朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。
[1] 「040 松浦利尚」『第71回国会 衆議院 決算委員会 第27号 昭和48年10月9日』。
2023年8月8日付け毎日新聞で「麻生太郎副総裁、台湾で講演 中国念頭に「戦う覚悟」を強調」とする記事が配信された。
『……
台湾を訪問中の自民党の麻生太郎副総裁は8日、台北で開かれた「ケタガラン・フォーラム」で講演し、台湾海峡の平和と安定を維持するためには強い抑止力を機能させる必要があり、そのためには「戦う覚悟」が必要だとの認識を示した。
麻生氏は軍事的圧力を強める中国を念頭に、台湾情勢について「平時から非常時に変わりつつある」と言及。「我々にとって今、最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ」「今ほど日本、台湾、米国をはじめとした有志国に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はないのではないか」とし、「戦う覚悟です」と語った。
……』
自由民主党副総裁が、台湾有事に日本は「米国をはじめとした有志国」と戦う覚悟だと言っているのだ。日本国憲法前文には「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民と協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」とあるにも拘らず政権与党の副総裁が堂々と台湾有事に日本は中国と戦争をすると云い放っているのだ。
麻生副総理が訪台した理由であるが、アメリカが米中間には「one china policy」が存在し、この方針にバイデン政権も従うことを認めたことから、台湾有事にアメリカは介入しないことになったからである。つまり、ロシアによるウクライナ侵攻を口実に「台湾有事と尖閣列島防衛」を組み合わせて日本と台湾を対中国戦に投入しようとしたアメリカの戦略が頓挫したからである。
これに付いては「王毅外相訪米で防衛三文書を根拠とした日本の外交と安全保障は窮地に陥る」(クリックで遷移)で報告済みである。
そして、その目的であるが、麻生は「金をかけて防衛力を持っているだけではだめ。いざとなったら使う。台湾海峡の安定のために使う明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる」と述べていることが物語っている。この強気な発言のなかに「抑止」とのべていることが重要だ。つまり、日本と台湾が「台湾有事と尖閣列島防衛」という虚言で莫大な防衛予算を確保した根拠がなくなったことで、今後、湧き起る国民の批判をかわしながら、手に入れた防衛予算を手放さないため継続して軍拡を進めることが抑止になるということなのである。それで麻生は、蔡英文が任期満了後の次期大統領も民進党候補が就任して軍事費拡大の政策を継続させてくれることを望んだのだ。
麻生は、アメリカが「one china policy」に回帰したことで台湾有事はないとしているからこそ「戦う覚悟です」と大口をたたいたのだ。それと、次の国会では自由民主党が虚偽の世界情勢で国民を騙して莫大な予算を獲得したことに対する追及が始まるが、日本の政局に付いては公明、維新の会、国民民主を第二与党とすることに成功していることから楽観視しているためなのである。
流石、日本の主権をアメリカに売渡した政党の副総理である。台湾が「尖閣列島を自国領土だと現在も主張している」ことには口を拭い「自衛隊は尖閣列島防衛を口実に台湾有事に介入する」と断言しているのだ。ひどい政治家である。
ここで一つ注意が必要なのは、台湾による尖閣列島領有については台湾内部でも意見が割れているという点である。その代表が李登輝なのである。このことは2015年8月3日、日経産業新聞『馬総統「尖閣は台湾領」 投書で李登輝氏を強く批判』で確認できる。
『……
【台北=共同】台湾の馬英九総統は、3日付の台湾紙、中国時報に掲載された投書で、沖縄県・尖閣諸島(台湾名・釣魚台)の領有権をあらためて主張した。李登輝元総統が先月、訪日中に都内で行った記者会見で尖閣を日本領だと述べたとして、台湾の憲法に違反していると強く批判した。
馬総統は、尖閣は歴史的にも台湾固有の領土だと強調し、李氏の発言は史実に反しており台湾の人々の感情を大きく傷つけたと指摘。李氏に対して発言の撤回と謝罪を要求した。
……』
馬英九総統の出身母体は国民党である、その馬英九がこれもまた国民党を基盤に総統となった李登輝の発言を批判しているという複雑な話である。この記事を読み解くには、岸信介が「尖閣列島を領有するように蒋介石に勧めた」という事実から考えると理解ができる。つまり、岸信介は尖閣列島の領有権を国民党の蒋介石に進呈した。そのため蒋介石が領有を宣言し、石油開発契約をメジャーと締結してしたが、日本で批判が広まり、慌てた蔣介石は石油開発を断念したものの領有は取り下げなかった。それで李登輝が「尖閣列島は日本のものである」と発言したのだ。国民党は、日本が台湾統治を終了すると同時に日本の資産を引き継いでいだ。その資産リストに尖閣列島も含まれているということなのである。馬英九が李登輝を非難したのは、国民党の資産リストから「尖閣列島」を放棄することはないというのが真意なのである。
台湾の二重規範はあきらかである。このような口車に乗せられて自衛隊を死地に向かわせるのは愚かなことである。日本は中国と国交正常化をおこなって「one china policy」を認めたのであるから、国民党と中国共産党の国内問題は勝手にやってもらえば良いことである。日本国民は、国民党と自由民主党の悪巧みに乗せられることはない。
可哀そうなのは国際政治に翻弄される台湾国民であり、ウクライナ国民である。
2.台湾有事の有志国
麻生太郎という人物は、日本を切り売りすることに生涯を捧げた政治家と考えられる。ところで、ここは、いきり立つのをしばらく我慢して、麻生副総裁の喋ったことをもう少し詳細に吟味してみると実に奥深い意味が隠されていることに気が付く。
麻生が、台湾有事にアメリカと日本、そして「有志国」が戦うと言っていっていることである。しかし、日本が軍事同盟を締結した国はアメリカ以外に同盟を約した国はない。であるにも拘らず有志国と戦うと断言している。その有志国とはどの国を指すのかといえば、その詳細を明らかにする協定がある。それは昭和29(1954)年2月19日に朝鮮国連軍が我が国に滞在する間の権利と義務その他の地位及び待遇を規定する「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)を締結している。その一部を抜粋すると次のようになる。
『……
日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定
昭和二九年二月一九日東京で署名
昭和二九年五月二一日受諾について内閣決定
昭和二九年六月一日受諾書寄託
昭和二九年六月一日公布(条約第一二号)
昭和二九年六月一一日効力発生
……
千九百五十一年九月八日に日本国内閣総理大臣吉田茂とアメリカ合衆国国務長官ディーン・アチソンとの間に交換された公文において,同日サン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約の効力発生と同時に,日本国は,国際連合が国際連合憲章に従つてとるいかなる行動についてもあらゆる援助を国際連合に与えることを要求する同憲章第二条に掲げる義務を引き受けることになると述べられているので,
前記の公文において,日本国政府は,平和条約の効力発生の後に一又は二以上の国際連合加盟国の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には,当該一又は二以上の加盟国がこのような国際連合の行動に従事する軍隊を日本国内及びその附近において支持することを日本国が許し且つ容赦することを確認したので,
国際連合の軍隊は,すべての国及び当局に対して国際連合の行動にあらゆる援助を与えるよう要請した,千九百五十年六月二十五日,六月二十七日及び七月七日の安全保障理事会決議並びに千九百五十一年二月一日の総会決議に従う行動に今なお引き続き従事しているので,また,
日本国は,朝鮮における国際連合の行動に参加している軍隊に対し施設及び役務の形で重要な援助を従来与えてきており,且つ,現に与えているので,
よつて,これらの軍隊が日本国の領域から撤退するまでの間日本国におけるこれらの軍隊の地位及び日本国においてこれらの軍隊に与えられるべき待遇を定めるため,この協定の当事者は,次のとおり協定した。
第一条
この協定に別段の定がある場合を除く外、この協定の適用上次の定義を採択する。
(a)「国際連合の諸決議」とは、で九百五十年六月二十五日、六月二十七日及び七月七日の国際連合安全保障理事会決礒並びに千九百五十一年二月一日の国際連合総会決議をいう。
(b)「この協定の当事者」とは、日本国政府.統一司令部として行動するアメリカ合衆国政府及び、「国際連合の諸決議に従って朝鮮に軍隊を派遣している国の政府」として、この協定に受諾を条件としないで署名し、「受諾を条件として」署名の上これを受諾し、又はこれに加入するすべての政府をいう。
(c)「派遺国」とは、国際連合の諧決議に従って朝鮮に軍隊を派遣しており又は将来派遣する国で、その政府が、「国際連合の路決議に従って朝鮮に軍隊を派遣している国の政府」としてこの協定の当事者であるものをいう。
(d)「国際連合の軍隊」とは。派遣国の陸軍、海軍又は空軍で国際連合の渚決議に従う行動に従事するために派遣されているものをいう。
……
第二十四条
すべての国際連合の軍隊は、すべての国際連合の軍隊か朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。この協定の当事者は、すべての国際連合の軍隊の日本国からの撤退期限として前記の期日前のいずれかの日を合意することができる。
……
統一司令部として行動するアメリカ合衆国政府のために
J・グレイアム・パースンズ(署名)
国際連合の諸決議に従つて朝鮮に軍隊を派遣している国の諸政府
カナダ政府のために
R・W・メイヒュー(署名)
受諾を条件として
ニュー・ジーランド政府のために
R・M・ミラー(署名)
受諾を条件として
グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府のために
エスラー・デニング(署名)
南アフリカ連邦政府のために
エスラー・デニング(署名)
受諾を条件として
オーストラリア連邦政府のために
E・ロナルド・ウォーカー(署名)
フィリピン共和国政府のために
ホセ・F・イムペリアル(署名)
フランス共和国政府のために
ダニエル・レヴィ(署名)
千九百五十四年四月十二日
イタリア政府のために
B・L・ダイェータ(署名)
千九百五十四年五月十九日
……』
同協定を締結国したのはアメリカ合衆国(米国)、カナダ、ニュー・ジーランド、イギリス、南アフリカ連邦、オーストラリア、フィリピン、フランス、イタリアの9カ国であった。この締結国の中心は、イギリスとイギリス連邦(Commonwealth of Nations)に加盟するカナダ、ニュー・ジーランド、南アフリカ連邦、オーストラリアである。ちなみにイギリス連邦には、イギリスの旧植民地であった56国が加盟していて国際連合(United Nations)内で最大の派閥を形成している。尚、同連邦の中には「北極の氷が解けると、国が沈没する」と騒いでいたツバル(Tuvalu)があることは象徴的である。
また、イギリス連邦と日本の関係を考えるならば注目すべき事案が最近おきている。
令和4(2022)年10月25日に、防衛省は、警察予備隊創設70年を記念し、同年11月6日に相模湾で国際観艦式を開催することを決めた。参加国はアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、インドネシア(オーストラリアと安全保障に関する協定を締結)、マレーシア、ニュー・ジーランド、シンガポール、タイ(朝鮮戦争参戦国)、インド、パキスタン、ブルネイ、韓国(当事国)の13か国であった。この参加国をみて直ちに思いつくことは、太字の参加国がイギリス連邦諸国であることと、そして朝鮮戦争参戦国なのである。
これが麻生のいう有志国なのである。
日本はアメリカ以外に安全保障条約を締結した国はない。しかし、朝鮮戦争に参戦した国、若しくは将来参戦する国の地位を定めた「国連軍地位協定」では、朝鮮国連軍統一司令部、つまりアメリカ軍の下で、『……平和条約の効力発生の後に一又は二以上の国際連合加盟国の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には,当該一又は二以上の加盟国がこのような国際連合の行動に従事する軍隊を日本国内及びその附近において支持することを日本国が許し且つ容赦する……』という定めがあることからイギリス連邦諸国が観艦式に参加することができるのだ。そればかりかイギリス連邦諸国はアメリカ軍の指揮のものと自衛隊と日常的に戦闘訓練を行うことも可能となっている。
国際観艦式の参加国、いわゆる「麻生の言う有志国」から「国連軍地位協定」が現在も効力を有する協定であることが確認できた。
ところで「国連軍地位協定」と「日米安保条約」の関係については、昭和35(1960)年1月19日にワシントンで「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」から確認することができる。
『……
アメリカ合衆国国務長官
クリスチャン・A・ハーター
日本国総理大臣 岸信介閣下
書簡をもつて啓上いたします。本長官は、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の安全保障条約、同日日本国内閣総理大臣吉田茂とアメリカ合衆国国務長官ディーン・アチソンとの間に行なわれた交換公文、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定及び本日署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の相互協力及び安全保障条約に言及する光栄を有します。次のことが、本国政府の了解であります。
1 前記の交換公文は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定が効力を有する間、引き続き効力を有する。
……
本長官は、閣下が、前各号に述べられた本国政府の了解が貴国政府の了解でもあること及びこの了解が千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された相互協力及び安全保障条約の効力の発生の日から実施されるものであることを貴国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十年一月十九日
アメリカ合衆国国務長官
クリスチャン・A・ハーター
……』
これは日米安全保障条約がサン・フランシスコ講和会議に締結の安全保障条約、吉田茂アチソン交換公文及び「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)が引続き効力を有することの確認を求めたものである。
此の確認文書からもわかる通り、「国連軍地位協定」は「日米安保条約」の基礎となっている重要な協定なのである。
ならば同協定の終了期限は何時であろうか。
それは朝鮮戦争の終戦までなのである。
同協定24条に「……すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。……」と朝鮮戦争が終戦となって朝鮮国連軍が朝鮮から撤退完了したのち90日以内にアメリカ軍は日本から撤退を完了させなければならないのだ。朝鮮戦争が終結すると在日アメリカ軍が日本国内に駐留する根拠がなくなるのだ。在米アメリカ軍が日本国内から撤退すれば「行政協定(日米地位協定)」も不要になるのだ。
昭和27年に時の総理大臣吉田茂は、アメリカに自衛隊(当時は保安隊)の指揮権を秘密裏に売渡してしまった。それから70有余年、自由民主党が政権の座にあったのは自衛隊指揮権をアメリカ軍に売渡しと事の代償であった。当時から、アメリカの戦略は朝鮮有事、台湾有事で自衛隊をアメリカ軍の一部として自由に利用することであったが、その際に障害となるのが昭和22年に施行した「日本国憲法」であった。そのため自由民主党は憲法を改正することを究極の課題としてきた。つまり自由民主党が行っていることは、日本の国体である憲法を改正して、国防と云う美名のものとで自衛隊の装備を充実させ使い勝手の良い自衛隊に仕上げてアメリカ軍に提供しようとしていることであり、まさにこのことを目的とする政党なのだ。
そして日本の国防権をアメリカに移譲したことを国民に隠蔽したうえに、法律を捻じ曲げ自ら進んで治外法権となった見返りの褒美として防衛利権を貪って延命を続けてきたのが自由民主党なのである。そのような自由民主党のレゾンデートル(raison d'etre)が消滅するとき、それが「朝鮮戦争終戦」ということになる。
自由民主党が進めてきた日本の安全保障に関する法体系は、朝鮮戦争が終戦となると法の根拠がすべて消滅するという大きな弱点を抱えている。この点を留意したうえで自由民主党を政権の座から引きずり下ろす選挙という国民運動を進めることが大切だと考える。
尚、「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)に付いては「令和4年日本国国防方針」批判(第五回) -国防権のない日本の危険な外交と国防-」(クリックで遷移)で詳しく述べておいた。また、参考までに「アジアのためにアメリカに直言・・・富士ジャーナル7.'71の22Pから」「再録・・・富士ジャーナル1971年7月号から小日向白朗関連記事~ユダヤ資本・台湾解決・アメリカへの提言」も合わせ読んでいただければ幸いである。
以上(寄稿:近藤雄三)
中国の外相のアメリカ訪問については、ことし6月、ブリンケン国務長官が北京を訪れた際、前の外相の秦剛氏がワシントンを訪問することで一致していました。しかし先月、秦氏が外相を解任され、王毅氏が外相に任命されたことからアメリカ側は、後任の王外相を改めて正式に招待した形です。
- 2022年8月2日、アメリカのナンシー・ペロシ(Nancy Patricia Pelosi)下院議長がロシアによるウクライナ侵攻を口実に台湾を訪問し台湾有事を演出して極東問題に介入した。
[i] 2023年6月21日、ロイター「米大統領、習主席を「独裁者」と表現 中国反発
」https://jp.reuters.com/article/biden-xi-idJPKBN2Y701S
[ii] 2023年7月18日、ロイター「再送中国国防相、キッシンジャー氏と会談 「米は正当な戦略判断を」
https://jp.reuters.com/article/china-usa-defence-idJPKBN2YY0OA(2023年7月26日閲覧)。
[iii] 2023年7月29日、ロイター「ロシアとアフリカ、植民地主義による損害補償追求で合意 首脳宣言」https://jp.reuters.com/article/russia-africa-forum-compensation-idJPKBN2Z81SR
[iv] 2023年7月31日、産経新聞「ニジェール EU最大の原発ウラン供給元 フランス採掘にクーデターが暗雲」(2023年8月06日閲覧)
[v] 2022/05/28 、読売新聞『キッシンジャー氏の発言、ロシアへの領土割譲「容認」と受け止められ波紋…ウクライナは猛反発』。
[vi] 2023年8月5日、ロイター『バイデン氏、対中投資制限へ大統領令 来週初めにも=関係筋』
[vii] 「幸福実現党NEWS」https://info.hr-party.jp/2022/12942/(2023.07.25閲覧)。