2023年9月25日、CNNから『武器供与の保留でウクライナ人が「殉教者」に ローマ教皇』とする衝撃の記事が配信された。
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(CNN)ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、ウクライナへの武器供与を保留することでウクライナの人々が「殉教者」となると述べた。
フランシスコ教皇は23日、記者団に対し、2日間の仏マルセイユ訪問を終えてローマに戻る機内で語った。
フランシスコ教皇は、「今、一部の国が前言を取り消し、武器を供与しないことを目の当たりにしている。殉教者がウクライナ国民となる過程が始まっており、これはひどいことだ」と述べた。
フランシスコ教皇はまた、各国がウクライナに対して武器を供与しながら、それを奪うという「矛盾」について言及し、そのことでウクライナの人々が「殉教者」のままとなっていると述べた。フランシスコ教皇によれば、武器を売買する人々は自分の選択の結果について報いを受けることは決してないが、ウクライナの人々のような殉教者がその報いを受けるという。
ウクライナ産穀物の一時的な禁輸措置をめぐりポーランドとウクライナの対立が深まったことで、ポーランドがウクライナに対する武器の供与を停止する決断を下したが、フランシスコ教皇はこのことに言及した可能性がある。
バチカンの報道官は教皇の発言について説明を求められた際、フランシスコ教皇は各国がウクライナに武器を供与し続けるべきか、あるいはやめるべきかについて、一定の立場を示しているものではないと指摘。報道官は、フランシスコ教皇の発言はむしろ、軍需産業がもたらした結果についての考えだと説明した。
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世界は、そして、世界の歴史はキリスト教を抜きには一言も語ることができないのは常識であろう。ルターやカルヴァンなどの血みどろな宗教改革までに戻らずとも、ある時はマフィアや国際金融勢力、CIA等々との絡みから殺人・暗殺などを含むスキャンダルが、ある時は聖職者の性的醜聞等々が縷々語られてきた経緯があるのにもかかわらず、小国バチカン市国の威厳は保たれつづけている。そしてそのトップ、それがカトリック教会の最高位であり、国の元首でもある教皇フランシスコである。その発言は一言一句がリリースされて、世界に少なからず影響を与え続けているのも事実である。
その方が、なぜにウクライナとロシアの間で繰り広げられている殺し合いを止めようとはしないで、むしろ逆に、「もっともっと殺し合い続けなさい!」とでもいうようなことをおっしゃるのでしょうか。なぜ、ウクライナとロシアの両方に対して、テーブルにつきなさい、とは言われないのでしょうか。武器供与を止めるというポーランドを諫めるようなことを言われるのでしょうか。「殉教者になる」とは、要は「人が殺されること」にほかなりません。ポーランドに対して、いや、その他の周辺国に対してもウクライナにできるだけ武器を供与し続けなさい、と言いたいのでしょうか。そして、殺し合いを持続しなさいとでも言いたいのでしょうか。やはり、十字架に架けられて惨殺されたキリストは嫉妬深い神ヤハウェのDNAを引き継ぎ復讐に燃え、正義の鉄剣を振るい続けているのでしょうか。それとも、人知の築き上げたバベルの塔への恨みを晴らし続けたいのでしょうか。神の子キリストは自然死した人の子釈迦とは異なり、絶対精神であり続けるために慈悲寛容の心には見向きもしないのでしょうか。
一番言わなければならないのは「一つのテーブルにつきなさい。」ということのほかにはないのではないか、そんな風に凡俗の私には思えるのである。
確かに、この教皇の発言について、バチカン報道官は「フランシスコ教皇は各国がウクライナに武器を供与し続けるべきか、あるいはやめるべきかについて、一定の立場を示しているものではない」としている。ならば、「周辺国はウクライナに武器を供与する代わりに講和の道を探るように」と言明されるべきではないでしょうか。さらに不思議なのは「軍需産業がもたらした結果についての考えだ」ということですが、ウクライナ戦争で最も莫大な利益をむさぼっているのは、軍需産業そのものであり、それこそが張本人ではありませんか。
フランシスコ教皇は現在のウクライナの戦況を御存じでありましょうか。
2022年2月にウクライナ正規軍は20万であったところ、ウクライナ軍の累積戦死者数を約30万~35万人、戦傷者等を合わせた損耗は約60万~80万人に達したと見積もられております。もはやウクライナ軍はこの地球上に存在しておりません。従ってウクライナの敗戦は必至であります[1]。また、これから厳寒期となるウクライナで寒厳用装備を持たないウクライナ軍は闘能力を持ちません。早晩壊滅することが予想されております。ならば、双方に対して、即座に、武器を捨てて講和の道を選ぶように申し渡されることこそが神の道ではありませんか。このままではウクライナはなくなってしまいます。
以上(文責:吉田)
[1] 2023.9.26、JB「ウクライナ反転攻勢は弾切れで頓挫、ロシア軍大攻勢で戦争終結へ」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76340。