令和6年1月30日、上川陽子外務大臣は、第213回国会で上川外務大臣の外交演説をおこなった。その全文は外務省ホームページに『
第213回国会における上川外務大臣の外交演説』(クリックで遷移)として掲載されている。尚、断っておくが、下記の演説内容に番号を追加したのは筆者である。
『……
1.情勢認識
……
2.年始の外国訪問、WPSの取組
……
3.中東情勢への対応
……
4.法の支配の推進
……
5.FOIPの推進、同盟国・同志国との連携
……
6. ウクライナ侵略への対応
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。私は今月ウクライナを訪問し、侵略の生々しい傷跡を自分自身の目で見て、力による一方的な現状変更を決して認めてはならないと改めて確信しました。また、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはなりません。
一日も早くロシアによる侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、国際社会と連携し、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していきます。
ウクライナの復旧・復興のため、官民一体の取組を進めます。昨年11月の経済ミッション等の成果を踏まえ、来月の日・ウクライナ経済復興推進会議の開催に向けて調整を加速していきます。
7.日本及び地域を守る取組
……
8.日本自身の取組
……
9.日米同盟の一層の強化
日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎です。日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性・強靱性の維持・強化のための努力、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めます。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。……
10.経済外交の新しいフロンティアの開拓
……経済安全保障も新しい時代の外交の重要な柱です。サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応などに、同盟国・同志国との連携を一層強化しつつ、ODAも活用し、官民で緊密に連携しながら、取組を強化していきます。
これからの日本経済は、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国・新興国の成長を取り込んでいかなければなりません。地域ごとの課題や特性等も十分踏まえた上で、きめ細かで、戦略的な経済外交を推進していきます。……
11.近隣諸国などとの関係
日本及び地域の平和と繁栄を維持すべく、近隣国等との難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。
昨年11月の日中首脳会談に続き、私も王毅外交部長との間で日中外相会談を行いました。
日本と中国の間には、様々な可能性と共に、尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中露の連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。
同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという、「建設的かつ安定的な日中関係」を日中双方の努力で構築していくことが重要です。
その中で、中国による日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めていきます。
重要な隣国である韓国とは、多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ねていきます。
インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえれば、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされる時はありません。日韓関係の改善が軌道に乗る中、グローバルな課題についても連携を一層強化していきます。
竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。
日中韓協力は、大局的な視点から、地域及び世界の平和と繁栄にとって重要です。昨年11月の外相会議の議論を踏まえ、早期で適切な時期のサミットの開催に向け、議長国の取組を後押ししていきます。
ロシアに対しては、日本の国益を守る形で引き続きしっかりと対応していきます。日露関係は、ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。
その上で、漁業などの経済活動や海洋における安全に係る問題のように、日露が隣国として対処する必要のある事項については、我が国の外交全体において何が我が国の国益に資するかという観点から適切に対応していきます。
また、北方四島交流等事業の再開は日露関係における最優先事項の一つです。今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていきます。
北朝鮮は、核・ミサイル活動を一層活発化する意向を明らかにしています。安保理決議違反でもある弾道ミサイルの発射等は断じて許されません。また、露朝間で強化されている軍事協力も深刻に懸念しています。今後とも、日米、日米韓を始めとする国際社会で緊密に連携して対応していきます……
12.地球規模課題のための協力
……
13.日本外交の新たな可能性
……
14.結語
……』
上川外務大臣の演説は、上記方針で日本の外交と安全保障を実行するため国会に予算要求する項目についてその内容を説明したものである。外務省がおこなう予算要求の方針は2022年末に閣議決定した新安全保障政策「防衛三文書」である。
同文書には日本の安全保障を脅かす国として「中国、北朝鮮、ロシア」をあげ、これらの国を仮想敵国として、その脅威を排除する手段を準備することにしている。また同文書が「中国、北朝鮮、ロシア」を仮想敵国とした理由は、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、中国も台湾侵攻を開始する、いわゆる「台湾有事」の可能性があって、その際に、日本国領尖閣諸島にも中国が侵攻してくることが予想されるため通常兵器で反撃能力を向上させることであった。ただし、注意すべきは日本が仮想敵国とした国々は核保有国であることから、核を保有しない日本には究極の対処能力はない。そのためアメリカと「日米安全保障条約」を締結してアメリカが持つ核戦力と強大な通常兵器を装備するアメリカ軍が駐留することで仮想敵国に対処する能力を高めようというものである。それが上川演説のNO.9部分である。
ところが、上川外務大臣が国会に予算要求する根拠とした「防衛三文書」に沿って「外交と安全保障」に関する莫大な関係予算を国会に求めているにも拘らず、その中心的な問題は「中国が台湾に侵攻することは日本の危機である」という最も重要な部分「台湾有事」の説明がないばかりか「台湾有事」という単語すら出てこない。「台湾有事」は、政権与党の重鎮麻生自由民主党副総裁が、台湾とアメリカを訪れて「台湾有事に日本は日本も参戦し戦う」とまで公言している程の日本の安全保障を脅かす重要事項であるはずでる。
おかしいではないか。
日本の安全保障を危機におとしめている「台湾有事」が予算要求から消えているのである。
では、上川外務大臣は「日本の安全保障を脅威に陥れている仮想敵国中国」に如何なる対応をしようとしているのかといえば、それは演説No11である。上川外務大臣は日本と中国の関係を「戦略的互恵関係」であると断言している。
上川外務大臣は、昨年度は中国による台湾進攻を理由に莫大な予算を獲得してきた。それにも拘らず、本年度は中国と日本の関係は「戦略的互恵関係」であるとしたうえで「防衛三文書」に沿った外交と安全保障に必要な予算を国会に要求すると言っているのだ。
『……
1972年9月29日に発表された日中共同声明、1978年8月12日に署名された日中平和友好条約、1998年11月26日に発表された日中共同宣言が、日中関係を安定的に発展させ、未来を切り開く政治的基礎であることを改めて表明し、三つの文書の諸原則を引き続き遵守することを確認した。また、双方は、2006年10月8日及び2007年4月11日の日中共同プレス発表にある共通認識を引き続き堅持し、全面的に実施することを確認した。
……』
つまり「戦略的互恵関係」とは、日本と中国が70年代に国交を樹立するにあたり「中国は一つ」つまり「台湾は中国の領土」であって未だに国共内戦が継続していることを確認しているが、その関係をさらに強化しようというものなのである。そのため日本は台湾との国交を断絶して中国と国交を樹立した。したがって日本は1972(昭和47)年以降、台湾有事があっても介入しないことを中国に約束しているのだ。ところが上川外務大臣は国会で、直接は中国を名指ししないものの演説の基本となっている「防衛三文書」で」中国は「法と秩序に従わない」で「一方的な武力による状況変更つまり台湾有事」を行いそうなので、中国を仮想敵国として兵備を整えると共に日米同盟によりアメリカと連合して中国と戦うため国会に「外交と安全保障」予算を求めているのだ。
そもそも外務省は、中国が「法と秩序に従わない」で「一方的な武力による状況変更つまり台湾有事」を行いそうであるという認識があるならば、外務省は「法と秩序」に従って外交努力で問題を解決することが任務である。そのため外交官は勅任官なのである。それが選りに選って仮想敵国に対して実力で反撃すると言い出す始末である。それならば外務省は、中国が「法と秩序」に従わないで「一方的な武力による状況変更つまり台湾有事」を仕掛ける悪辣な国であって外交努力では無理であることを国民に示すべきなのでる。
ところが上川外務大臣は「防衛三文書」に沿って中国敵視政策を実施する予算を国会に要求をしていながら、中国とは「戦略的互恵関係」つまり対話で問題を解決するという相矛盾する内容を国会で演説している。
日本と中国は「戦略的互恵関係」」であることは、岸田首相と習近平会談と、上川外務大臣と王毅外相会談で確認しあっている。まさか間違いではあるまい。
だとするならば、日本政府は、中国とは「戦略的互恵関係」では話し合いは継続するが、中国は信用ならない国なのでいざという場合に備えて防衛能力は向上させておくという説明ならば、まだ理解はできる。ところが自由民主党の重鎮麻生副総裁は、台湾やアメリカを訪れ「台湾有事」に日本の緊急事態として参戦すると息巻いている。とても自由民主党政権は日中関係が「戦略的互恵関係」にあるとは考えていない。日本政府は、相手政府をだまし反撃能力を向上させる準備を継続させる二枚舌外交を行っているのだ。
このような日本政府の外交姿勢は究極的な破局をもたらす危険性をはらんでいる。特に日本は、国連憲章で国連憲章の旧敵国条項(第53条、、第77条1項b、第107条)が適用されている。これは旧敵国、つまり日本が関係した紛争については平和的に解決する義務すら負わされていない。従って、国連加盟国は、旧敵国が起こす紛争に対して話し合いなどは必要なく、自衛のため安保理事会の承認なしに軍事行動に出ることが容認されているのだ。そして日本政府及びその重鎮麻生副総理が敵視する中国は、核保有国であり、国連の常任理事国なのだ。したがって日本の外交政策は、中国に対して台湾と連携して対峙することは、旧敵国条項そのものの危険極まりない愚策を行っているのだ。
そもそもこのような愚策の根源は新安全保障政策である「防衛三文書」を策定したことにある。同文書は、自由民主党と外務省、防衛省、財務省が組んで莫大な防衛予算とODA予算を獲得するために策定されたものである。そして財源としては国民に大増税をもとめることにした。しかし、既に「五公五民」とまで揶揄されるほどの高い税負担率であることから、なかなか国民の納得を得ることは難しい。そのために財務省は「日本は債務超過」であるということと「国の借入金を子孫に残すな」というデマ話を捏造してマスコミにリークして国民をだまし続けてきたのだ。ところが、日本は「債務超過」ではなく「資産超過」でその額が100兆円に上ることを経済学者高橋洋一氏がYouTube『
960回 着々とZ支配への足固め。財政健全化推進本部』で暴露している。その中心にいるのが麻生太郎副総裁なのである。その派閥が麻生派なのだ。そして、さらに麻生副総裁は「財政健全化推進本部」という新たな政策集団という新派閥を立ち上げて最高顧問の座に収まっている。「財政健全化推進本部」とは「日本は債務超過」であるというデマをまことしやかに国民に流布する政策集団なのだ。これらの事実から見ても麻生副総裁は「防衛外交利権」の財源として財務省に「緊縮財政」を継続させて充当することを目論んだだけではなく、実際に実行してきた張本人だということになる。つまり麻生副総裁は「防衛三文書」により莫大な「外交安全保障」利権を手に入れたもののその財源は未だ消費税を19%にすることを含む大増税が済んでいないことから、台湾やアメリカを訪れ「台湾有事」は「日本の緊急事態」であって介入すると息巻いて、日本の危機を煽って日本の国家予算を「外務防衛」利権に湯水のごとく使う心算なのだ。
その兆候は演説No.6でウクライナの復興費58兆円を日本が負担することを準備していることから明らかである。つまり日本政府はODA(Official Development Assistance)で政府がウクライナに供与し、一度、資金をウクライナに移した後に関係者にその一部を戻すという岸信介が韓国でおこなった資金浄化方法を実施する心算なのだ。だから外務省は日本国民が誠実で情にもろい特質を逆利用して「ウクライナ可哀そう」をしつこく国民に刷り込んで、その本質を知られないように準備しているのだ。それでいて能登沖地震には雀の涙ほどの資金も出し惜しみをしているのだ。これほどの悪行を取り仕切っているのが麻生副総裁なのである。
しかし、麻生副総裁が敵視する中国であるが、核を装備する強大な軍事力と、外交では常任理事国であることから勝負は歴然としていて外交による対話以外に方法はない。それにもかかわらず麻生太郎副総裁は、現実には目を背け中国に対する敵意をむき出しにしている。日本を戦争の危険にさらしただけではなく、日本国民を長年にわたり貧困に落としたうえに、更に、日本のインフラ水道を売飛ばすことに注力するという、最も危険で国民を蔑視する極悪政治家なのである。つまり同氏は戦争利権屋なのである。
ところで麻生副総裁が、ここまで中国敵視政策を継続することに絶対の自信を持つ根拠であるが、それは日米同盟によるアメリカの「核の傘」と、強大な通常兵器をもつアメリカ軍が駐留していることにある。そのため麻生副総裁は「日米同盟」の重要性を力説しているし、上川外務大臣も外交演説で「日米同盟」は日本安全法の礎だとしているのだ。
ところが、である。
日本にとって最も重要なアメリカの「核の傘」と、駐留アメリカ軍が、日本の緊急事態に全く機能しないことになってしまった。それは、アメリカが中国と国交を樹立する際に約束した「一つの中国」政策を再確認したことでアメリカは「台湾有事」に介入しないことが確定した。
このことは、麻生副総裁と同じスタンスの戦争屋バイデン政権ですら「一つの中国」政策を堅持することを口にしているほどなのである。つまりアメリカは中国敵視政策を放棄したのである。
これは一大事である。
日本の安全保障の根幹である日米同盟が、台湾有事に何ら機能しないことが明らかになってしまった。
それは、日本が中国と対峙してもアメリカは軍事介入することはあり得ないことから「核の傘」も駐留アメリカ軍も一切動かない。
具体的には、日本の自衛隊は、島嶼部でアメリカの救援を待ち望んで奮闘したとしてもアメリカ軍が来援することはない。
そして、万が一にも日本に原爆が投下されてもアメリカは報復として中国に対する核攻撃をおこなうことはない。
これらの想定は、絵空事ではなく、事実なのである。
日本は、日米同盟を信じて駐留アメリカ軍の要求を呑んできた。しかし、アメリカは日本と同盟関係があっても、世界の核バランスの崩壊を恐れて日本政府の外交や政策とは無関係に中国敵視政策を破棄してしまった。
日本はアメリカに無碍なく見捨てられたのだ。日本はアメリカの国家主権を売渡しているため、重要な政策変更に参画することも意見することもできない属国だからなのだ。
アメリカが安全保障政策を急遽変更したことで日本は「防衛三文書」で反撃能力の取得と息巻きながら「こぶし」を振り上げてみたものの、すごすごと、降ろす以外に方法はない。
みじめな話である。
日本国内には自主防衛を声高に主張する野党党首がいたが、この現実をなんと説明するのか。馬鹿も休み休みにしてほしいものである。
そのため岸田首相と上川外務大臣が習近平と王毅外相と会談を行い日中関係は「戦略的互恵関係」であることを認めざるを得ないことになった。これは日本外交が中国外交に膝を屈したことに他ならない。
クラウゼヴィッツは、『戦争論』の中で「戦争は外交の一手段である」と述べている。
つまり日本は外交戦争で敗戦となった。
そのため日本政府は中国敵視政策を放棄することにした。
ならば日本政府が決定した新安全保障政策「防衛三文書」にある仮想敵国リストから中国を削除するとともに関連予算は削減するのが筋である。
ところが、日本政府は具体的な敗戦処理に動いていない。
それにも拘らず、日本政府、中でも「外交防衛利権」を握る麻生太郎副総裁率いる麻生派、外務省、防衛省、財務省は「防衛三文書」で決めた通りに、国民に増税をもとめ防衛力増強を強行しようとしているのだ。そのためには「五公五民」の悪税制といわれようと何ら反省することがないだけではなく、自由民主党の分裂も辞さない構えで防衛と外交予算を要求通り実行するように国会に求めているのだ。
その後の政権は「防衛三文書」策定に協力した前原誠司議員、「大阪で政治利権の味を覚えた」馬場伸幸議員、「消費税増税」が自慢の野田佳彦議員、「国民のインフラを売り飛ばして自身の政治理念に流用する」小池百合子東京都知事を中心にして国民民主党、日本維新の会に立憲民主党執行部らを「自衛隊を海外派兵することで莫大な利益を生むこととアメリカの意向に沿う」憲法改正を旗印にして大政翼賛会体制を作れば済むと考えているのだ。
したがって上川外務大臣の外交演説は、国民は外交に無知であるという前提で、あえて外交の実態と内政とに大きな矛盾があることを国民に見透かされないように、様々な形容詞をつけた説明となっているのだ。このような嘘で国民を騙すことができる時間は短いことを自覚していているからに他ならない。
以上(近藤雄三)
P.S
上川演説のNo.10は、「日米合同委員会」が表の組織で、実態はエール大日本校でおこなう講演会を利用してアメリカ政府の指示が日本政府に伝達されたことで、これに答えて上川外務大臣が外交演説の中で出してきたものである。具体的には2023年9月27日水曜日に、アメリカ商務次官がテンプル大学で行った講演がアメリカ商務省のHPに存在する。
此の商務省次官による講演により、上川外務大臣は外交演説にアメリカの要望を取り入れて予算に計上している。日本が主権国家であるというのは幻想で、宗主国と属国という関係を示す具体例なのである。
『……
ディーンさん、親切な紹介をありがとうございました。
みなさん、おはようございます!おはようございます
アメリカの大学の日本初のキャンパスであるテンプル大学ジャパンに来られることを光栄に思います。このキャンパスとここを通過してきた何千人もの学生は、40年前と同じくらい今日でも重要な日米間のパートナーシップの証です。
何よりもまず、ジョアン・エップス大統領代行の悲劇的な死に対し、ここおよび米国のテンプル大学コミュニティに心からの哀悼の意を表したいと思います。ジョアン・エップスは、テンプル大学で 40 年近くにわたり、大学とその学生、社会正義、平等に対して深く永続的な取り組みを行い、学者、教授、管理者として頭角を現しました。
この旅は私個人にとって深い意味を持っています。 1860年、ワシントンD.C.の中小企業家であった私の三度の曽祖父であるジェームス・ワームリーは、米国を訪問した最初の日本の委員会をもてなし、食事を提供しました。今週の私の日本訪問は、それから 163 年が経ち、日米関係がこれまでにないほど強く、両国だけでなく世界にとっても重要になっている時期に行われます。
前例のない世界的な挑戦と一か八かの技術競争
今日、私たちは前例のない世界的な課題に直面しています。新型コロナウイルスのパンデミック、気候変動の存亡にかかわる脅威、ウクライナにおけるロシアの侵略戦争、そしてここインド太平洋地域を含む独裁政権の台頭はすべて、米国が定めたルールに基づく国際経済秩序に重大な脅威をもたらしている。国家、日本、そして志を同じくする民主主義諸国は、何世代にもわたって熱心に築き上げ、犠牲を払ってきました。
これらの課題をさらに悪化させるのは、民主主義国家と権威主義的な敵対者との間で行われる、一か八かの勝利が必要なテクノロジー競争です。
重要なテクノロジーや新興テクノロジー、つまりチップ、サイバー、AI などのコンピューティング テクノロジーをリードするのは誰か。気候とクリーンテクノロジー。そしてバイオテクノロジーは、今後何世代にもわたって国際経済秩序を大きく形作るでしょう。
その世界経済は、民主的な規範と基準、公平で相互利益となる貿易、イノベーション、起業家精神、機会に基づいた経済へと進化し続けるのでしょうか?
あなたたちの世代は、情報の自由な流れ、データのプライバシー、オープンなインターネットを信頼できるでしょうか?
私たちは先進国と発展途上国の両方で協調した気候変動対策とグリーンイノベーションに向けて進むのでしょうか?
これらは私たちが対処し、肯定的に答えなければならない質問です。
米国商務省のアプローチ
バイデン・ハリス政権はこれらの課題を早くから認識しており、ここインド太平洋地域ほど課題が差し迫ったところはありません。
だからこそ、米国は、バイデン大統領の言葉を借りれば「開かれ、つながり、繁栄し、回復力があり、安全である」というインド太平洋のビジョンを実現するために、この地域のパートナーと前例のない二国間、多国間、多国間努力を行っているのだ。 」
この目的を達成するために、行政と商務省は次の 3 つのことを行っています。
- 第一に、我々は戦略的な国内投資を行うと同時に、我が国の経済に多大な影響を与える重要な新興技術において同盟国との商業的関係を深めています。
- 第二に、私たちは、信頼できるテクノロジーエコシステムを育成し、経済的強制と闘い、悪意のある者が国家安全保障やパートナーや同盟国の安全を損なうために機密品やテクノロジーを使用するのを防ぐことによって、国家安全保障を守るための措置を講じています。
- 第三に、私たちは民間部門とともにグローバル・サウスへの関与を拡大し、最も差し迫った経済ニーズを満たすためのより魅力的なインフラ代替手段をパートナーに提供しています。
これらの取り組みについて、そして日米両国のパートナーシップが日米だけでなく世界の成功を確実にするためにいかに不可欠であるかについて、もう少しお話ししたいと思います。
産業能力の構築
それは、重要な技術や新興技術に焦点を当てて、米国での促進を支援している産業ルネサンスであると私が信じていることから始まります。
何十年にもわたって、米国では政党や政権を超えて、政策立案者は経済政策に対して非介入的なアプローチをとってきました。その結果、あまりにも多くのアメリカ人が取り残され、雇用は失われ、産業基盤は空洞化し、実質賃金の伸びは低下し、不平等は拡大し、労働力は機会から切り離されたままになりました。
その間、当社の競合他社や敵対者は技術的優位性を確立しようと積極的に動き、当社の優位性をさらに侵食しました。彼らは、自由な情報の流れを脅かし、知的財産の盗難を悪化させ、偽情報を利用して私たちの開かれた民主的な市場システムを弱体化させる方法でその利点を利用しようとしました。
今、ページをめくっています。ご存知の方も多いと思いますが、米国は、アメリカ救済計画、超党派インフラ法、CHIPSおよび科学法、インフレ抑制法などの画期的な法案を可決しました。これらのプログラムを通じて、米国は製造業、研究開発、全米の重要技術や新興技術、経済クラスターにおける労働力開発に歴史的な投資を行っており、今後何年にもわたって多大な影響を与えることになる。具体的には、チップ、AI、量子などのコンピューティング テクノロジーについて話しています。再生可能エネルギーから原子力、二酸化炭素回収までのクリーン技術と気候技術。バイオテクノロジーも同様です。
強調しておきますが、米国における産業基盤の再構築に対する当社の投資は、当社単独で取り組むことを意味するものではありません。米国がテクノロジー能力を構築すれば、日本や韓国などの先進的なテクノロジー大国を擁する同盟国と、より優れたイノベーションパートナーになれるようになる。そのため、我が国は産業投資と歩調を合わせて、日本や韓国などの同盟国との商業・経済パートナーシップを深め、主要分野における双方向の貿易と投資を促進しています。私たちが行っていることの例をいくつか示します。
- 2021年、当社は日本の経済産業省(METI)と日米商工パートナーシップ(JUCIP)を立ち上げ、半導体サプライチェーンのレジリエンスとデジタル経済を中心とした官民連携を深めました。
- バイデン大統領、岸田首相、尹大統領はつい先月、キャンプデービッドで史上初の三国首脳会談を成功裡に開催した。そこでは、優先製品および材料に関するサプライチェーン早期警報システムの試験運用など、経済および技術協力を深めるための三国間のさまざまな取り組みにコミットしました。それぞれの国立研究所間の協力。そして商工大臣間の定期的な会合。
- 今週、私は、韓国と韓国の両方でパートナーシップを築こうとしている世界クラスの米国サイバーセキュリティ企業15社とのサイバーセキュリティ貿易ミッションを指揮しています。
こうした取り組みは、双方向の貿易と投資の面で成果を上げています。例えば、日本と韓国の企業も、私の故郷であるオハイオ州を含むアメリカの中心地で重要な技術や新興技術への投資を増やしています。オハイオ州経済開発センターの努力の結果、ホンダとLGエネルギーソリューションは、電気自動車(EV)バッテリー工場の建設と、自動車のサプライチェーンと自動車のサプライチェーンをサポートするための既存のホンダ工場の改修に42億ドルを投資することを共同で約束した。 2500以上の雇用を創出します。
国家安全保障の保護と経済的強制への対抗
新しいテクノロジーに投資し革新する一方で、国家安全保障とこれまで以上に結びついている我が国の集団的経済安全保障を損なおうとする悪意のある行為者や敵対者に対抗するために、私たちは用心深くならなければなりません。
具体的には、民主的規範を抑圧しながら、知的財産の盗難、データのプライバシーの侵害、軍事動員と近代化を促進するためにテクノロジーを使用および悪用する人々を、私たちの技術革新のエコシステムが信頼され、安全で保護されるようにする必要があります。
ここでも米国と日本は二国間および多国間努力を行っている。具体的な例として、当社は輸出管理パートナーシップにおいて新たな境地を開拓しました。このことを最もよく表しているのは、ウクライナ侵攻後にロシアに対して課した措置です。
最近の首脳間の三国首脳会談の成果として、米国、日本、韓国はこれらのパートナーシップを深めている。 3者全員は、技術保護対策と執行機関全体での情報共有を強化する破壊的技術保護執行交換に取り組むことに同意した。 3カ国はまた、北朝鮮のサイバー活動や外国の情報操作に対抗するために協力することに尽力している。
国家安全保障を守るには、経済的強制を阻止することも必要であることを覚えておくことが重要です。これは、権威主義的な敵対者、特に中華人民共和国による、貿易と投資を武器にして、自分たちの要求に従わない国にコストを課そうとする取り組みを意味します。意思。米国は、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国とともに、G7における日本のリーダーシップを強く支持し、「貿易関連の経済的強制と非市場政策および慣行に対する共同宣言」を発表する。
これらは、経済と国家の安全を守るために、私たちが同盟国とともに使用している、ますます重要になっている経済手段のほんの一例にすぎません。これらのツールと政権の取り組みの一環として私たちが行っていることを説明するために、私は今年後半に初の商務省国家安全保障戦略を立ち上げる予定です。
グローバル・サウスのパートナーと協力する
最後に、重要なテクノロジーと新興テクノロジーのサプライチェーンは本質的にグローバルであるという基本的な事実に目を向けましょう。
半導体のパッケージングやテストから、チップ、EV、その他のテクノロジーに不可欠なインプットを提供する重要な鉱物に至るまで、当社の成功には、相互だけでなく、世界中の志を同じくするパートナーとの信頼できるテクノロジーパートナーシップを築くことが必要です。
そのため、米国と日本は、他のG7諸国およびその民間部門とともに、グローバル・サウスのパートナーが経済的および持続可能な開発目標を達成できるよう支援するための措置を講じています。
2年前、バイデン大統領は他のG7指導者らとともに、エネルギー転換やサプライチェーンの回復力に不可欠なインフラ整備に2027年までに官民合わせて6000億ドルの投資を動員することを目指すグローバルインフラパートナーシップ(PGI)を立ち上げた。デジタル経済、経済回廊。そして持続可能な医療システム。目標は、信頼できる商業パートナーシップ、インフラ融資、高品質の技術、商品、サービスなど、インフラのニーズを満たすためのより良い代替案をパートナー国に提供することです。
5月に広島で開催されたG7サミットで、我が国の指導者らはPGIへのコミットメントを再確認し、以下のような世界中の多くの革新的なプロジェクトで大きな進展があったことを強調しました。
- ジャスト・エネルギー移行パートナーシップの一環として、ASEANにおける小型モジュール炉導入の先駆者としての米国とインドネシアとのパートナーシップ。
- ベトナムの88MW風力発電所とエジプトの2件の500MW陸上風力発電プロジェクトに対する日本の支援、
- 史上初のC5+1サミットでバイデント大統領が最近発表した米国のコミットメントは、カザフスタン、キルギス共和国、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンに対し、アジア横断鉄道沿いの経済・エネルギー回廊開発のための魅力的なインフラ代替案を提供するというものである。カスピ海貿易ルート、「中間回廊」。日本はこれらの取り組みにおける重要なパートナーです。
インド太平洋に近いところでは、米国、日本、韓国は、この地域の他の11のパートナー国と、インド太平洋の繁栄のための経済枠組み(IPEF)に取り組んでいます。これは、インド太平洋全体のイノベーションと成長を促進する取り組みの基礎です。汚職の惨状から保護されたクリーン、デジタル、その他のテクノロジーで地域を支援します。
日本は、韓国やその他のパートナーとともに、今年5月にパートナー14カ国間で初のサプライチェーン協定を締結するなど、IPEF交渉の確実な進展に貢献してきました。我々は、エネルギー移行を含むクリーン経済や、汚職との戦いや効率的な税制などの公正経済原則に関して同様の協定を締結することを目指している。
これらの新たな経済同盟やテクノロジーパートナーシップは、自由で開かれた繁栄したインド太平洋とルールに基づいた国際秩序を確保するための我々の取り組みの先頭に立っている。これらの取り組みの要となるのは、日米間の強力なパートナーシップです。
私は、何十年にもわたるイノベーションと大幅な生産性の向上に向けたアーキテクチャを導入しており、その結果、皆さんの世代が繁栄、自由、機会の共有の恩恵を享受し続けることができると私は信じています。成功は最終的にはあなた次第です。あなたの創意工夫、創造性、勤勉さ、そして私たちが住む世界を大きく変えている重要なテクノロジーや新興テクノロジーにおいて、可能性や可能性の最前線を押し広げようとする意欲にかかっています。
リーダーシップ
ドン・グレイブス
……』
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