小日向白朗学会 HP準備室BLOG

小日向白朗氏の功績が、未だ歴史上隠されている”真の事実”を広く知ってもらう為の小日向白朗学会公式HP開設準備室 情報など

 池上さん、そろそろ本当のことを言ってくださいな、影響力大なんだから…庶民に真実を知らすな、は通じませんよ

2024-11-17 | 小日向白朗学会 情報
  昨日2024年11月16日朝日新聞デジタルは石破首相、習近平氏と初会談「戦略的互恵関係」の包括的推進を確認、とする記事を配信した。その同じ日の夜、同系列のテレビ朝日では池上さんがいつものように政治解説を演じていた。その中で台湾有事の問題を取り上げたが、あまりにも真実から遠い、どこぞのお伽の国のお話のようなことを堂々と述べていらっしゃった。もちろん、賢明なる池上さんが真実を知らないなんてことはあり得ない。つまり、意図的に戯言を堂々と披歴していたということなのだ。もちろん戦略的互恵関係などという外交筋では擦り切れるほど使われている言葉の真意を知らないわけがない。one china policyなる言葉も知らないないわけがないし、さらには日中共同声明を知らなかったら政治解説などできるわけがないのに、である。
 台湾有事がいかに戯言であるか、戯言をベースにした防衛三文書はとっくの昔に破綻していること…こんなことは池上さんは熟知していらっしゃることだと思う。外務省筋発信の防衛三文書が根っこから破綻しているのにもかかわらず予算獲得を睨んで流し続けるプロパガンダの醜悪な姿を、昨晩はテレビ画面で目撃してしまったということかもしれない。
 ところで、当ブログでは昨年2023年12月4日に「米は「台湾海峡有事」で軍事不介入を決定、それでも「島嶼防衛」戦術を続ける日本政府 ―その理由は利権確保もしくは移転のためー」と題して詳しい内容を公開しているので参照していただければ幸いである。(文責:吉田)
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(一部省略)
 ・・・・日本外交敗北の調印式が、2023年11月16日、サンフランシスコで行われたのが、習近平国家主席は岸田文雄首相と会談なのである。
この時の会談内容について、NHKは『【詳細】日中首脳会談“意思疎通重ね 新時代の関係切り開く』[i]のなかでつぎの様に述べている。
『……
岸田総理大臣は訪問先のアメリカで、中国の習近平国家主席と会談し「戦略的互恵関係」の推進を再確認するとともに、新たな時代の日中関係を切り開いていくため、意思疎通を重ねていくことで一致しました。
……
台湾海峡の平和と安定が日本を含めた国際社会にとっても極めて重要だと強調するとともに、台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はないと伝えました。
……』
岸田首相は、アメリカが「一つの中国」政策に回帰したと同様に、日本政府も「一つの中国」政策に回帰することに同意した。ここで両首脳による会談で出てきた「戦略的互恵関係」は何かといえば、外務省HPに「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明」[ii]にその詳細を知ることができる。
『……
胡錦濤中華人民共和国主席は、日本国政府の招待に応じ、2008年5月6日から10日まで国賓として日本国を公式訪問した。胡錦濤主席は、日本国滞在中、天皇陛下と会見した。また、福田康夫内閣総理大臣と会談を行い、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関し、多くの共通認識に達し、以下のとおり共同声明を発出した。
 1、双方は、日中関係が両国のいずれにとっても最も重要な二国間関係の一  つであり、今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識で一致した。また、双方は、長期にわたる平和及び友好のための協力が日中両国にとって唯一の選択であるとの認識で一致した。双方は、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、また、日中両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していくことを決意した。
2、双方は、1972年9月29日に発表された日中共同声明、1978年8月12日に署名された日中平和友好条約及び1998年11月26日に発表された日中共同宣言が、日中関係を安定的に発展させ、未来を切り開く政治的基礎であることを改めて表明し、三つの文書の諸原則を引き続き遵守することを確認した。また、双方は、2006年10月8日及び2007年4月11日の日中共同プレス発表にある共通認識を引き続き堅持し、全面的に実施することを確認した
3、双方は、歴史を直視し、未来に向かい、日中「戦略的互恵関係」の新たな局面を絶えず切り開くことを決意し、将来にわたり、絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大しつつ、日中関係を世界の潮流に沿って方向付け、アジア太平洋及び世界の良き未来を共に創り上げていくことを宣言した。
4、双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した。双方は、互いの平和的な発展を支持することを改めて表明し、平和的な発展を堅持する日本と中国が、アジアや世界に大きなチャンスと利益をもたらすとの確信を共有した。
……』
 つまり、2023年11月16日、岸田文雄首相と習近平国家主席の会談で「戦略的互恵関係」に回帰すること、つまり、日本は1972年に発表した「一つの中国政策」を堅持することを約束したのだ。さらに、岸田首相は、具体的に「台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はない」と断言した。
 これは、日本政府が防衛三文書で中国を仮想敵国にしたことは間違であるとともに、台湾有事に介入しないことを習近平国家主席に約束したということになる。

 さて、ここで問題なのは、日本が中国との外交戦で白旗をあげたことを、日本国民に如何に知らせるかである。何しろ、最高司令官である岸田首相は島嶼防衛を命じたまま白旗をあげてしまった。しかし、自衛隊には戦闘停止を命じていないのだ。そればかりか「反撃能力」として準備を進めていた巡行ミサイル「トマホーク」を前倒しで購入していて、いまだ、戦力増強を進めているのだ。
 つまり、日本政府は、外交戦で敗北したことを、いまだ、国民に知られたくないのだ。そのため日本政府も「一つの中国」政策に回帰したことを、悟られないように、「戦略的互恵関係」と、その真意がわからないようにしている。
それは、終戦直後、岸信介が椎名悦三郎の命により軍需省にあった様々な利権を商工省に移行したときと同様の作業を現在の日本政府が開始しているからなのだ。
 その顕著な例が、憲法審査会の動きであり、武器輸出の問題であり、政界再編問題なのだ。
 つまり、長年にわたり政権与党であった自由民主党は、腐敗が進み、今後も政権を維持できる可能性が低下していた中で、更に中国との外交戦に敗北したことで解体もしくは衰退してゆくことは必須なのである。その理由は、自由民主党が議会民主制度のもとで政権党であることができたのは統一教会と公明党と云う集票組織を動かすことができたからであった。しかし、現在の両組織は、昔のような選挙活動は困難である。したがって「おニャンコ」や「ヤンキー」のような水増し議員は落選という現実が待ち受け散るだけである。その数は、現有所属議員の半数に及んでも不思議はない。だから、麻生太郎自由民主党副総裁が、野党との連立を言い出しているのだ。現在の政界の動きは、全てが自由民主党の特権、つまり、宗主国アメリカに許された現地政権であること、及び、外交防衛利権を死守するか移転させるためだけなのだ。

尚、「一つの中国」政策に付いては下記のスレッドでまとめてきた。
・(2023年10月27日)『王毅外相とブリンケン国務長官会談
・(2023年06月22日)『上海コミュニケ
(寄稿:近藤雄三)
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日英円滑化協定の闇へ落ち込んでしまうか…焦るボリス・ジョンソン氏

2024-11-13 | 小日向白朗学会 情報
 本日2024年11月13日Sputnik日本は「米国がウクライナ支援を削減すれば英国は派兵する」と題してボリス・ジョンソン氏へのインタビュー記事を配信している。ボリス・ジョンソン氏と言えば、そう覚えておられるであろうか。2022年2月に戦争が始まってからほぼ同時にスタートしていた停戦への模索が実を結びかけ近々に停戦実現が迫っていた、まさにその時にゼレンスキーに会いにわざわざウクライナへ出向き、「戦争を止めるんじゃーねーぞ」(筆者の推測文)と恫喝して、戦争を継続させ、現在に至るまで泥沼の戦争を招いた張本人ともいえる人物である。(BBC NEWSが2022年4月10日に配信、前日の4月9日にボリスジョンソン氏がゼレンスキー氏を電撃訪問したことを伝えている。)その頃に停戦の話し合いに参加していたウクライナ要人がひとり暗殺(「3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBU(=ウクライナ保安庁)の隊員に射殺され、」櫻井ジャーナル2022年5月3日から引用)されたでしょう。また、これでもかとばかりにもう一人アメリカの方から好戦派の女性VIP(ロイター配信)が同じくゼレンスキーに会いに行き恫喝を重ねた、といったことがあったでしょう。…そんなこともあったかなー…というくらい時間が経過はしているけれど…。
 トランプが再び出てきて世界がデタントに傾いてくるのを目の前にして死活問題とばかりに戦争継続を声高に叫ぶ欧州諸国(全部ではないね、まあ取りあえずはイギリスだけかな)の姿を醜いと感じるのは筆者だけだろうか。ゼレンスキーばかりでなく、ネタニアフもほぼ同時並行で手懐けてしまいそうなトランプを徹底攻撃したいのは、ほかには、はて?だれが…おそらく世界の政治舞台を見ていればわかるでしょう。
 ところで、2023年10月3日に当ブログで日英円滑化協定について公開している。その主要部分は次のとおりであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2023年1月11日、朝日新聞デジタルは『「過去1世紀で最も重要」日英首相、円滑化協定に署名 安保協力強化』とする記事を配信した。
『……
岸田文雄首相は11日午後(日本時間同日夜)、ロンドンでスナク英首相と会談した。自衛隊と英軍が共同訓練などで相互に訪問する際の法的地位などを定める「円滑化協定」に署名。両政府は安全保障上の協力を強化し、中国や北朝鮮に対する抑止力を高めたい考えだ。
 日本が円滑化協定を結ぶのは昨年1月の豪州に続いて2カ国目。協定によって、自衛隊と英軍が相手国で共同訓練などを行う際、船舶や航空機、隊員の出入国手続きが簡略化される。協定には事件や事故が起きた際の対応なども定められている。
 日本は日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」と、米英豪の安全保障協力「AUKUS」の連携を重視している。今後、協定によって、大規模な共同訓練がより行いやすくなる。
 日英は近年、安保協力関係を深めている。2017年に燃料などの物資を融通し合う「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結。21年には英海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群が、米海軍横須賀基地(神奈川県)に寄港し、海上自衛隊や米海軍と大規模訓練を実施し、昨年11月には群馬県などで英陸軍と陸上自衛隊が共同訓練を行った。昨年12月にはイタリアとの3カ国で、航空自衛隊の次期戦闘機の共同開発でも合意した。
 岸田政権は昨年12月に改定した安保関連3文書に、「同盟国・同志国との連携」を盛り込んだ。首相は英国訪問の前に訪れたフランスとは、今年前半に外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の開催をめざすことで一致し、イタリアとも外務・防衛当局間の協議を新設することを決めた。英国との円滑化協定は、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国に対抗するため、英国にも関与を強めてもらう狙いがある。
 英首相官邸も11日、円滑化協定を結ぶと発表し、「英軍の日本への配備を可能にする、過去1世紀以上で日英間の最も重要な防衛協定」と意義を強調した。スナク氏は声明で、世界情勢の見通しや脅威や課題の理解などを両国が共有していると指摘した上で、「競争が激化する世界で民主主義社会が協力することが、これまで以上に重要になっている」と述べた。
……』
 日本政府が締結した協定は「日英円滑化協定(Japan-UK Reciprocal Access Agreement)」という名称である。実は同様の協定である「日米地位協定」があまりにもひどいものであることから、その影響を避けるため「円滑化」と表現を緩めた軍事協定なのである。
 名称はともあれ条文を検討してみる。最も注目すべき項目は「日英円滑化協定」第四条である。
『……
第四条
3 この協定は、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊として行動する間の連合王国の軍隊が実施するいかなる活動についても適用しない
……』
とある。この条項に中にある「国際連合の軍隊の地位に関する協定」とは1953(昭和28)年に朝鮮派遣国軍との間に締結した「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定(国連軍地位協定)」である。これまで幾度となく取り挙げてきたあの「朝鮮派遣国連軍」のことなのである。つまり、日本とイギリスが締結した「日英円滑化協定」は「国連軍地位協定」が有効な間は適用しないというものである。では「日英円滑化協定」はいつから効力を発するのであろうか。その答えは「国連軍地位協定」(第二十四条、第二十五条)のなかにある。そのベースとなっているサンフランシスコ平和条約第六条には次のように明記されている。
『……
第六条
連合国のすべての占領軍は,この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国閻の協定に基く、叉はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。
……』
 また、国連軍地位協定には次のように規定されている。
第二十四条
 すべての国際連合の軍隊は,すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。この協定の当事者は,すべての国際連合の軍隊の日本国からの撤退期限として前記の期日前のいずれかの日を合意することができる。
第二十五条
 この協定及びその合意された改正は,すべての国際連合の軍隊が第二十四条の規定に従つて日本国から撤退しなければならない期日に終了する。すべての国際連合の軍隊がその期日前に日本国から撤退した場合には,この規定及びその合意された改正は,撤退が完了した日に終了する。』

 したがって「日英円滑化協定」が実際に動き出すのは、朝鮮戦争が終戦となった時なのである。
日本の安全保障政策は、朝鮮戦争を継続することが前提で組み立てられていた。そのため朝鮮戦争が終戦となると駐留アメリカ軍の根拠が失われるとともに「行政協定」が有名無実のものとなってしまうのだ。それに伴い「有志国」、つまり、「国連軍地位協定」を締結した12か国(日,オーストラリア,カナダ,フランス,イタリア,ニュージーランド,フィリピン,南アフリカ,タイ,トルコ,イギリス,アメリカ)は解体することになる。
自由民主党は、近い将来、朝鮮戦争が終戦となり朝鮮派遣国連軍の撤退が始まることを予想していて「日英円滑化協定」を締結した。そして、朝鮮戦争終了と同時に、イギリス軍の武官文官が日本に進駐してそれまでアメリカが日本統治に利用していた日米合同委員会の機能をそのままイギリスに引き渡すために締結した協定なのである。つまり、日本としては宗主国が変わるだけで、自由民主党はこれまで通り日本の主権を売渡すことで政権を独占し、防衛外交利権を維持することが許されるのだ。
つまり「日英円滑化協定」とは自由民主党が政権を維持するためだけに締結されたもので、日本の主権が回復するわけではない。これまで通り日本の主権(自衛隊指揮権、航空管制権、電波権)をアメリカだけではなく、イギリスにも売渡すことに合意しているのだ。
唯一の救いは「日英円滑化協定」第二十九条の次の条項である。
『……
第二十九条
3(a) 各締約国は、他方の締約国に対して六箇月前の書面による通告を行うことにより、いつでもこの協定を終了させることができる……』
で、六か月前に書面により通告することで協定が終了できることであろう。
自民党政権を下野させて、新たな政権が破棄を通告すればよいということになる。』(寄稿:近藤雄三)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 どこの国の誰とは言わないけれど、狡猾の限りを尽くす好戦派諸氏のことだから、日英円滑化協定を100年以上前の日英同盟よろしく日本を適当にコマのごとく扱えると思っていらっしゃるかもしれないが…果たしてわが国首脳はどう対応するのか、どう対応できるのか…ちょいと見ものではある。(文責:吉田)
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もしトラ⇒確トラ⇒新大統領へ(2024年2月15日、7月19に続き3度目の再録)

2024-11-08 | 小日向白朗学会 情報
 本年2月15日の寄稿文なので現状認識に数か月のずれはあるけれど、改めて公開する。
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 目次
1.「もしトラ」で懸念されること
2.朝鮮戦争と日本政府の安全保障政策
3.消費税と「防衛三文書」との関係
4.まとめ

1.「もしトラ」で懸念されること
 2024年2月現在、アメリカ大統領選挙の行方が、俄然、世界中の注目を集めている。無論、その中心はアメリカ共和党候補としてトランプ大統領の再選が現実味を帯びてきたからである。この現象を「もしもトランプ大統領が再選された場合に起こりうる諸政策の変更」を「もしトラ」という。では「もしトラ」の何が問題なのか。
 2024年01月18日、PICTETが「トランプ氏の再選リスク 「もしトラ」の現実解は?」と題するレポートを公開している。ピクテは、同社沿革によれば「スイス・ジュネーブに1805年に設立されました。ナポレオン戦争時に貴族たちが資産を守るために頼ったのが、ピクテをはじめとするプライベート・バンク。以降、200年の年月を超えて、どんな時も、欧州の王侯貴族をはじめとした顧客の資産を保全し継承することで、信頼を築いてきました。世界の富裕層に向けて絶えず高度化してきた資産運用サービスを、日本では一人でも多くの投資家にお伝えし、豊かな人生の実現に役立てていただくこと。それが、私たちの使命です」という会社である。
『……
1月15日の米アイオワ州共和党党員集会でトランプ前大統領が圧勝した。アイオワ州の党員集会は大統領選の共和党候補者を決める初戦であり、今年11月5日の米大統領選までまだ約10カ月もあるが、米国株式市場では早くもトランプ関連銘柄を物色する動きが強まっている。もしトランプ氏が再選された場合、米国政治はどのように変貌するのか?当レポートでは「もしトラ」の現実解を探る。
米アイオワ州の共和党党員集会でトランプ前大統領が勝利
今年11月の米大統領選挙における共和党候補者を決める初戦となったアイオワ州の党員集会で、トランプ前大統領が圧倒的な勝利を収めた。現地1月15日夜に行われたアイオワ州党員集会の結果は、トランプ氏が51.0%の得票率でトップとなり、2位のデサンティス・フロリダ州知事(21.2%)と3位のヘイリー元国連大使(19.1%)を大きく引き離した(図表1)。事前にある程度予想されていたとは言え、改めてトランプ氏の根強い人気を印象付けた格好だ。
共和党候補者の指名争いの道のりは長い。今年7月に開催される共和党全国大会までに、2,429人のうち少なくとも1,215人の代議員を確保する必要がある。代議員は州ごとに割り当てられており、アイオワ州では40人、1月23日に予備選挙が行われるニューハンプシャー州は22人だ。最も多くの予備選挙/党員集会が同時に実施されるのが3月5日のスーパーチューズデーで、16の州/米自治領で合計874人の代議員がこの日だけで割り当てられる(図表3)。獲得できる代議員数は、1月15日から3月5日までの累積でも過半数には届かないが、この日で指名争いの流れが概ね決まると言われている。
一方、民主党候補者はバイデン現大統領が有力視されている。指名者候補の戦いは最後まで分からないが、大統領選挙は今のところバイデン現大統領とトランプ前大統領の戦いになることがコンセンサスとなっている。政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した各種世論調査によれば、全米支持率は1月17日時点でトランプ氏が45.9%、バイデン氏が44.6%とトランプ氏がややリードしている(図表2)。「もしトラ(もしトランプ氏が再選)」となった場合、米国政治はどう変わるのだろうか?
外交・貿易・気候変動政策の変貌
外交面ではNATO(北大西洋条約機構)離脱やウクライナ支援の打ち切りが一部で警戒されている。だが、米議会が昨年12月に可決した2024年度のNDAA(国防権限法)には、大統領がNATO離脱を決める際の条件として議会との事前協議を義務付ける条項が盛り込まれており、仮にトランプ氏が再選されたとしてもNATO離脱は容易ではない。一方、ウクライナ支援に関してはすでに予算が枯渇した状態だ。トランプ氏の再選可否に関わらず追加支援の目途は立っていないことから、地政学リスクが今後ますます高まりかねない点には注意が必要だろう。
貿易面では保護主義的な措置がいっそう強化される可能性がある。トランプ氏は米国の輸入製品に原則10%の関税をかける構えを示す。現在の平均関税率は3%強とも言われており、実現すれば物価や景気への悪影響は避けられないだろう。また、中国に対しては最恵国待遇に相当する「PNTR(恒久的正常貿易関係)」を剥奪する可能性もあり、その場合も輸入関税率の引き上げにつながる。
気候変動対策にも先行き不透明感が漂う。トランプ氏はパリ協定から再離脱する可能性があるほか、化石燃料への投資を増やし、電気自動車や再生可能エネルギーへの転換を後押しする規制や補助金を撤廃するとも言われている。バイデン大統領が2022年8月に成立させた「IRA(インフレ抑制法)」に関しては、テキサス州やワイオミング州などの共和党支持者が比較的多い州でもその恩恵が享受されているため、完全撤廃は想定しづらい。しかし、部分的な縮小は視野に入れる必要があるだろう。
トランプ関連銘柄には早くも物色の動きが強まる
アイオワ州の共和党党員集会の結果が明らかとなった1月16日のS&P500指数は、市場の大幅な利下げ観測をウォラーFRB理事が牽制(米10年国債利回りは上昇)したこと等から軟調に推移した。市場全体では今回のトランプ氏勝利はさほど材料視されていないように見えるが、トランプ関連銘柄には早くも物色の動きが強まっている。
1月16日は、トランプ・メディアとの合併後に同社上場を目指すSPAC(特別買収目的会社)のデジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)や、20年の大統領選でトランプ陣営のキャンペーンを手掛けたソフトウェア会社のファンウェア(PHUN)、保守系動画プラットフォームのランブル(RUM)などのトランプ関連銘柄が急騰した一方、ファースト・ソーラー(FSLR)やサンノヴァ・エナジー・インターナショナル(NOVA)、サンラン(RUN)といった太陽光発電関連銘柄が急落した(図表4)。
アイオワ州の党員集会で大差をつけて勝利したトランプ氏の躍進は、株式市場において「もしトラ」を意識させるきっかけになったと考えられる。
……』
このレポートでは、トランプ元大統領が2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙で再選された場合に如何なる変化が起きるのかを予想したものである。
第一に、NATOから離脱
第二が、ウクライナ支援の廃止
第三が、保護貿易
第四が、気候変動政策の廃止
である。
上記レポートは、G7各国で一般的に云われていることである。ところで日本では、これらアメリカの政治変化が日本に及ぼす影響に付いて口にすることを憚られる雰囲気があり積極的には行われていない。実に残念なことである。日本のマスコミは「トランプは何をするかわからない危険な人物である」というイメージを植え付けることに成功していることから、トランプ大統領が再選された場合に、日本の変化を正確に分析することはできていない。一般的に言って宗主国アメリカが激変すれば、属国日本に大激震が起きない訳はない。トランプ大統領が前回の政権時に、日本政府が標榜する安全保障政策を根底から揺さぶる事件が起きている。まずは、この件から始める。

2.朝鮮戦争と日本の安全保障政策
これまでトランプ大統領と朝鮮戦争の問題については下記のスレッドでまとめてきたので、その要点のみを纏めてみる。
日本政府は、サン・フランシスコ講和条約を締結したその日に、アメリカと旧日米安全保障条約(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約)を締結した。その中で日本は、自衛隊の指揮権をアメリカに移譲することを日米行政協定(後に日米地位協定に改定)で認めた。それと共にサン・フランシスコ平和条約の効力発生後も朝鮮派遣国連軍が日本国に滞在することを、しぶしぶではなく、嬉々として認めた。これは後に国連軍地位協定(日本国における国際連合の軍隊に関する地位協定)となっている。
したがって日本は二つの地位協定が存在する。この二つの協定を順守し継続させるためアメリカが準備したのが自由民主党であった。アメリカが自由民主党に求めたことは二つの地位協定を順守し継続することと、折角に取得した自衛隊の指揮権ではあったが憲法があって海外派兵ができないため改正して自衛隊を海外派兵できるようにすることであった。したがって憲法改正とは、自衛隊をアメリカ軍の指揮下で海外展開できるようにすることを求めたもので、国民の求めたものではない。
それから60有余年たったある日、突然、朝鮮戦争が終戦となる事態が発生した。
それが、2018年6月12日にシンガポールでアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長及び国務委員会委員長による史上初の首脳会談が行われたことであった。その会談後に出された共同声明は次のとおりである。
『……
共同声明
アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプと朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、史上初の首脳会談を2018年6月12日、シンガポールで開催した。
トランプ大統領と金正恩委員長は新たな米朝関係や朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制を構築するため、包括的かつ誠実な意見交換を行った。トランプ大統領は朝鮮民主主義人民共和国に安全の保証を与えると約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた断固とした揺るぎない決意を確認した。
新たな米朝関係の構築は朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると信じると共に、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進すると認識し、トランプ大統領と金正恩委員長は次のように宣言する。
(1)アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は、平和と繁栄を求める両国国民の希望に基づき、新たな米朝関係の構築に取り組む。
  (2)アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築に向け、協力する。
  (3)2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む。
  (4)アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮戦争の捕虜・行方不明兵の遺骨回収、既に身元が判明している遺体の帰還に取り組む。
トランプ大統領と金正恩委員長は「史上初の米朝首脳会談が、両国の数十年にわたる緊張と敵対を乗り越える新たな未来を築く重要な出来事であった」と認識し、この共同声明の内容を「完全かつ迅速に履行すること」を約束した。
アメリカ合衆国と朝鮮民主主義人民共和国は米朝首脳会談の成果を履行するため、「マイク・ポンペオ国務長官と朝鮮民主主義人民共和国の高官の交渉を続けて可能な限り迅速に履行する」と約束した。
トランプ大統領と金正恩委員長は「新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と世界の平和、繁栄、安全のために協力すること」を約束した。
……』
 この時、アメリカと北朝鮮は共同声明で朝鮮戦争を終結させることで合意したのである。その後も両国による接触が続いて2019年2月27日、ベトナムの首都ハノイでドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による2回の会談が行われ、朝鮮半島の核兵器廃絶に向けた進展について協議したもようであった。さらに、2019年6月30日、ドナルド・トランプ米大統領は、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線を挟み、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と握手した後、現職の米大統領として初めて、境界線を歩いて越え、北朝鮮側に入った。これに続き、金氏がトランプ氏と並んで境界線を越え南側に入った。そして、軍事境界線を挟んでトランプ氏が「また会えて嬉しいです」と声をかけると、金委員長はトランプ氏を招き入れるような仕草を見せ、これに応えてトランプ氏が境界線をまたいで北朝鮮側に入った。両首脳は10歩ほど進み、北朝鮮側で再び握手している。
 米朝が朝鮮戦争終結に向けて動き出した時、それを苦々しく思う自由民主党政権と外務省があった。
 それは朝鮮戦争が終結すると「日米同盟」を日本の安全保障の基盤である位置付けてきた自由民主党と外務省の根拠が失われてしまうとともに「外交と安全保障」利権が消滅するからであった。
  朝鮮戦争が終結すると、どのようなことが起きるのかというと、これまで日本政府は朝鮮戦争を継続するためアメリカおよび参戦各国と「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)を締結しアメリカ軍などが国内に駐留できる根拠を提供してきた。ところが、その協定には協定期限の定めはないものの、その代わりとして朝鮮戦争が終結した場合の対処方法が取り決められていた。それが、第六条である。
『   日本国との平和条約
昭和二六年九月八日サン・フランシスコ市で著名
昭和二六年一一月一八日批 准
昭和二六年一一月二八日批准書寄託
昭和二七年四月二八日効力発生
昭和二七年四月二八日公布(条約第五号)
……
第六条
  1. 連合国のすべての占領軍は,この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国閻の協定に基く、叉はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。
……』
 つまり、朝鮮戦争が終戦となると国連軍は90日以内に、日本国から撤退しなければならないとあってアメリカ軍が日本に駐留する根拠がなくなるのだ。これまで自由民主党は「アメリカの核の傘」と「駐留米軍」が日本の安全保障の礎としてきたが、その駐留米軍は日本を撤退しなければならない。そしてアメリカが、朝鮮戦争継続するため国連軍を日本に駐留させるための要件を定めた「日米地位協定」は駐留アメリカ軍が朝鮮半島と日本から撤収するために、この協定は有名無実となる。
 したがって自由民主党は、これまでアメリカ軍の威信をかりて自国の安全保障政策の一環と主張して、本来は不要な基地を建設するなどして莫大な利益を生んできた防衛利権が消滅することになる。
アメリカ軍が日本から撤収するとなると思い浮かぶのは、アメリカ海兵隊が使用するということで建設中の辺野古基地は使用するアメリカ海兵隊自体が沖縄から撤収するということだ。したがってアメリカ海兵隊が使用するという理由で建設を強行してきた辺野古基地は不要になるのだ。
一事が万事、日本政府と外務省が外交と安全保障という聖域を私物化してきたことが、朝鮮戦争終戦とともに国民の目の前にその嘘をさらけ出すことになる。
 朝鮮戦争が終戦となった後も、長年にわたり国民をだましてきた自由民主党政権が、その後も継続して政権を維持できると考えるのは単なる妄想なのである。
 ただし、国連軍地位協定には、日本政府が懇願すればその限りではないとある。しかし、これは交渉事であってアメリカが拒否する場合もありうる。この点に付いてトランプ大統領は駐留を継続するならば駐留経費を増額するように求めていた。これはアメリカとNATOとの関係と同じでNATO加盟国に駐留経費の増額をもとめていたことから日本の場合も同様となる。通常の国ならば、長年にわたり国民を疲弊させてきた駐留軍が自ら進んで撤退するというのに「ぜひとも駐留継続をお願いします」と懇願する馬鹿な政権はあり得ない。そこには国民の意思とは全く異質の利権があって、その利権を守るため国民を犠牲にしても構わないという腐った政権があるからである。それが自由民主党政権なのである。
 既に、2024年2月現在、トランプ大統領は再選したばあいにNATOとの関係を見直すことを表明している。したがって朝鮮戦争終戦は、トランプ大統領が再選されると同時に再燃する問題なのである。そして、今度こそ朝鮮戦争は終戦となる。
 ただし「もしトラ」の場合ではあるが。
 ところで、自由民主党政権は「日米同盟」を根拠に「日米地位協定」と「国連軍地位協定」を締結して安全保障政策を組み立てきたが、米朝が朝鮮戦争を終結させることに合意したことで終戦とともに二つの協定は有名無実化もしくは破棄されることが明白となった。すなわち、「日米同盟」を具体化する「日米地位協定」と「国連軍地位協定」を遵守するとともに、更に憲法改正をすることで自衛隊海外派兵を可能とするということが使命である自由民主党、その自由民主党は政権党として存続する意味がなくなるとともに、これまで築き上げてきた「外交及び安全保障」にともなう特殊利権が消滅してしまうことにもなる。例を挙げるなら、アメリカ海兵隊が使用するためという理由で辺野古沖合を埋め立てて基地建設を行ってきたが、アメリカ海兵隊が撤退した後も、延々と莫大な費用を掛けて埋め立てを続ける馬鹿はいない。終戦ならば、即刻中止となる。このことに恐怖を覚えた自由民主党と外務省は、直ちに、対応策を講じることにした。
 それが「日英円滑化協定」である。
 日本政府がイギリスと締結した協定は「日英円滑化協定(Japan-UK Reciprocal Access Agreement)」という名称である。この協定で最も注目すべき項目は「日英円滑化協定」第四条である。
『……
第四条
3 この協定は、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊として行動する間の連合王国の軍隊が実施するいかなる活動についても適用しない
……』
とある。この条項に中にある「国際連合の軍隊の地位に関する協定」とは1953(昭和28)年に朝鮮派遣国軍との間に締結した「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定(国連軍地位協定)」なのである。そして、日本とイギリスが締結した「日英円滑化協定」は「国連軍地位協定」が有効な間は適用しないというものである。つまり朝鮮戦争が継続するうちは「日英円滑化協定」は機能しない。
 そうなのである。「日英円滑化協定」は、朝鮮戦争が終戦となると機能するように設計されたもので、アメリカ軍が撤収したら今度はイギリス軍が日本の基地を使用することを認めるというものである。そして、イギリス軍が日本国内に駐留することから「日米地位協定」もそのまま存続させることができる。つまり、自由民主党と外務省は、もしも、朝鮮戦争終戦でアメリカが撤収しても、その代わりにイギリスを駐留させて莫大な権益を守ろうとしているのだ。つまり「日英円滑化協定」は自由民主党と外務省による特殊利権のもち逃げということになる。これれは、トランプ大統領が政権を握っているときの話である。
 ならば「もしトラ」となったらどうなるのか。
 自由民主党及び外務省、経済産業省、経済産業省(アメリカ製兵器の輸入は同省が管理している)など「外交及び安全保障」利権に群がって甘い汁を吸い続けてきた省庁にとって莫大な利権を失う最悪なシナリオということになる。そのため自由民主党及び外務省が最後の大博打に出たのがメッキの剥げた「日米同盟」を基盤とした「防衛三文書」を根拠とした「外交及び安全保障」政策なのである。
 つまり「もしトラ」まえに、もう一度、荒稼ぎをしようと云う魂胆のである。
そもそも、日本政府は、日本の安全保障の礎とまでしてきた「日米同盟」の根幹をなす「アメリカの核の傘」と「駐留米軍」であるが、「アメリカの核の傘」については米中が「一つの中国」最策に回帰したことで台湾有事にアメリカは介入しないとしたことから「核の傘を」使用することはなくなっており、「駐留米軍」は朝鮮終戦で完全撤退する。それにも関わらず「外交及び安全保障」利権の中心に座る麻生太郎自由民主党副総裁が、台湾やアメリカにわざわざ出かけて「日米同盟」の化けの皮がはがれる前に、その重要性を説いて回っているのだ。
 自分たちの利権確保以外の何物でもない動きなのである。
以上が「もしトラ」が日本の安全保障に及ぼす影響である。
【参考】
・トランプ氏と朝鮮戦争終戦問題
・バイデン政権と朝鮮戦争の関係
・朝鮮戦争が終戦となった場合の日本政府の対応

3.消費税と「防衛三文書」との関係
現在、日本の国会で問題となっている消費税についてトランプ大統領は関税障壁であると痛烈に日本政府を非難していた。したがってトランプ大統領が復活した場合には、日米経済問題として「いの一番」に顕在化することである。
2018年12月07日、週プレNEWSに岩本沙弓氏『最大の障壁は国内の反対勢力ではなくトランプ政権? アメリカが日本の「消費税引き上げ」を許さない理由』とする消費税について興味深い記事がある。
『……
■消費増税に反対する「巨大な外圧」の存在
来年10月に8%から10%への引き上げが予定されている消費税。「深刻な財政難のなか、少子高齢化に伴い増え続ける社会保障費の財源を確保するには消費増税しかない」というのが、財務省や政府の一貫した主張だ。一方、立憲民主党など野党の一部は「日本経済がいまだにデフレ脱却を果たせていない状態で消費税を引き上げれば経済に深刻な悪影響を与えかねない」と、増税に反対の姿勢を見せている。ところが消費税の引き上げにおいて、こうした国内での議論とは別に日本が無視することのできない「巨大な外圧」があるという。それは消費税という制度そのものに否定的で、消費税を「非関税障壁」と見なすアメリカの存在だ。
「来年以降、『アメリカ・ファースト』(アメリカ第一主義)を掲げるトランプ政権との貿易交渉が本格的にスタートするこのタイミングで、日本が消費税10%引き上げへ向かえば、アメリカの強い反発を招くことは避けられません」
……
アメリカが消費税導入に否定的だとしても、彼らが他国の税制に「不公正だ」「非関税障壁だ」と不満を訴えているのはなぜなのか?
その最大の理由は、日本も含めた消費税導入国が自国の輸出企業に対して行なっている「輸出還付制度」の存在だ。アメリカはこれを「自由競争の原則を歪(ゆが)める制度」だとして問題視しているという。
……
仕入れから製造までを国内で行なう企業がその製品を海外に輸出する場合、消費税は実際に消費が発生する輸出相手国の税制に沿って課されることになります。
仕入れの段階でも日本の消費税を払っているので、このままでは輸出相手国と国内とで2度消費税が課されることになる。そうした『二重課税』が起きないよう、輸出製品については仕入れなどにかかる消費税が国から還付されることになっています。これが『輸出還付制度』です」
……
ではアメリカにとって日本の消費税引き上げはどんな意味を持つのだろう?
「もちろん、こうしたアメリカ側の主張については、さまざまな異論もあると思います。しかし、あくまでアメリカ側の立場で見れば、日本の消費税の8%から10%への引き上げは、『日本の輸出企業へのリベートの引き上げ』と『日本向けアメリカ輸出企業への実質的な課税強化』ととらえることになる。当然、アメリカが強く反発するのは避けられないでしょう。
アメリカは日本だけ目の敵にしているわけではありません。欧州の付加価値税や日本の消費税のような間接税については還付制度を認め、直接税では認めないWTO(世界貿易機関)のルール自体を変えるべきだと主張しているのです」
■自工会が増税支持から懸念表明に転じた理由
実は、そうしたアメリカ側の空気に最も敏感に反応しているのが、日本の自動車メーカーによる業界団体で、トヨタ社長の豊田章男氏が会長を務める「日本自動車工業会」(自工会)だ。
これまで基本的に政府の「消費税引き上げ」という方針を支持してきた自工会が、今年9月20日に発表した「平成31年度税制改正に関する要望書」では増税反対という明確な表現は避けながらも、消費税10%への引き上げについて国内市場縮小への懸念を強く訴えている。
岩本氏は、こうした自工会の消費税に対する姿勢の変化に、彼らの日米関係に対する「シビアな現状認識」が表れているとみている。
……
そんな状況で日本が消費税の引き上げを強行すれば、日米交渉のテーブルではアメリカ側が態度をさらに硬化させ、場合によっては自動車関税25%発動という、自工会にとって最悪のシナリオを招きかねません」
なるほど。アメリカはどこまで本気なのか?
「今年9月25日、国連総会出席のため訪米した安倍首相に同行した茂木敏充経済再生担当大臣がUSTR(アメリカ通商代表部)のライトハイザー代表と会談しましたが、このライトハイザー氏は消費税の『輸出還付制度』を一貫して不当なリベートだと訴え続けてきた人物として知られています。
安倍首相の訪米直前のタイミングで、自工会があえて『消費増税への懸念』を表明したのも、アメリカ側に配慮した自工会のメッセージではないかとみています。
……』
 日本政府は、輸出企業に徴収した消費税を『輸出還付金』として交付している。これをトランプ政権は、日本政府による輸出企業にたいする『実質的なリベート』だと強い不満を訴えていて自動車関税25%を検討していた。これに対して日本政府は、現在は裏金問題と派閥解消で渦中にある茂木敏充元経済再生担当大臣をUSTR(アメリカ通商代表部)のライトハイザー代表と会談と交渉にあたらせていた。
 したがって「もしトラ」となった場合にアメリカは日本に消費税は関税障壁として『輸出還付制度』を是正して『実質的なリベート』の廃止を求めてくることは確実なのだ。
 この点に関して茂木自由民主党幹事長は、充分に理解している。それにも拘らず茂木幹事長は、使い物にならに安全保障政策である「防衛三文書」を盾に「外交・安全保障」利権の拡大を狙って自民党中枢を掌握して国会を強行突破する覚悟のようである。
 したがって「もしトラ」が実現した場合に日本の税制は大ダメージを被るのは必須である。
 ところで、上記論文で気になる箇所がある。それは、消費税問題で多額の還付金を受け取っているとやり玉にあがっている自動車産業会(自工会)が、消費税を8%から10%に改定することに反対していたことである。つまり自動車産業会(自工会)は「還付金」を受取り続けることはアメリカで事業を継続することが難しくなると考えていた。現在の日本は、大多数の国民にとって賃金が伸びないだけではなく物価上昇に苦しんでいるなかで消費税を廃止もしくは縮小することがマクロ経済学から考えて最も理にかなった経済政策である。
ところが日本政府は、防衛増税と消費税を19%まで引きあげることに注力している。やはり、日本政府が理にかなった経済政策をおこなわない理由は新しい安全保障政策「防衛三文書」にその鍵がある。
 日本政府は、日本製武器輸を海外に積極的に輸出することを「防衛三文書」で決めている。しかし、日本製兵器は、性能は高いがコストも高いとう世界市場では競争力のないものとなっている。加えて、実際に輸出するとなると設定価格よりさらに廉価となることはさけられない。これでは兵器産業は安定した利益を産み出すような経営は難しい。ところが、日本には、輸出した場合の優遇政策「輸出還付制度」があって、兵器を輸出しても安定した利益を出すことが可能な仕組みが出来上がっている。
 この制度を有効に利用しようとしているのが自由民主党中枢を握り「外交・安全保障」特権を維持拡大しようとする「茂木派と麻生派」という戦争屋政策集団と、それに賛同する国民民主党、日本維新の会、立憲民主党執行部、教育無償化を実現する会、経団連、連合なのである。
 つまり「防衛三文書」による「日本の外交と防衛を行おうとする」政治集団と「消費税をさらに上げようとする」政治集団」とは同一なのである。繰り返しになるが自工会は「輸出還付制度」を利用して利益を得ることには消極的ですらあった。つまり自工会傘下の企業が受け取る「輸出還付金」を隠れみのとして、由民主党国防部会(部会長・國場幸之助衆院議員(岸田派))及び安全保障調査会(会長・小野寺五典衆院議員(岸田派))と「日本防衛装備工業会」(Japan Association of Defense Industry 略称JADI))は、連携して日本の兵器輸出ルールを定めた「防衛装備移転3原則」を破棄して兵器輸出を促進しようと積極的な活動を続けているのだ。その結果、多くの「輸出還付金」を受け取るのが「日本防衛装備工業会」の協賛企業なのである。したがって自由民主党の「外交安全保障」政策を進める限り、消費税を値上することはあっても、値下げしたり、廃止することは「兵器輸出」企業に対する「輸出還付金」が減少もしくは廃止となることであり、「兵器製造」企業としては事業継続が難しくなるため決して容認できることではないのだ。
 尚、自由民主党国防部会と安全保障調査会は「アメリカ国家安全保障戦略」を金科玉条とする部会であって「自衛隊の指揮権をアメリカに売り渡す」ことを積極的に容認する不届きな議員らなのである。そして、國場幸之助衆院議員は統一教会の韓鶴子を「マザームーン」と呼ぶほどであるとともに「日韓海底トンネル」にもかかわる典型的な統一教会系国会議員なのである。そのうえ國場幸之助衆院議員は、沖縄の「國場組」を基盤として防衛利権をふんだんに享受する根っからの防衛利権屋なのである。その様な國場議員が座長を務める自由民主党部会が取りまとめた日本の安全保障政策が、日本国民のためであるわけはない。そのうえ國場衆院議員が所属していた岸田派であるが、岸田文雄首相が2022年9月に自由民主党と統一教会は「絶縁」することを宣言しているが自派閥の国会議員は統一教会推薦の国会議員が要職を占めていることから「口先」だけの実に軽い内閣総理大臣であるだけではなく国を亡ぼす極めて危険な人物である。
 ところが、これら自由民主党が進める利権まみれの安全保障政策を賛美し愛国的であるとする同党取り巻きの文化人がいる。彼らの中には、最近、更に扇動的な「国のために死ねるか」などと言い出す者まで出現している。売国奴が自己利益のために愛国心を口にする典型的なプロパガンダであって、あまりにも馬鹿らしく相手にする気もならない。
【参考】

4.まとめ
 「もしトラ」となった場合に、朝鮮戦争は終戦となり、併せて、「日米同盟」を基軸に安全保政策を進めた自由民主党と外務省はその責任を追及されることになる。
 ついで現代日本の税制が「六公四民」という極めて苛烈な税制度となっていて日本の発展の阻害要因となっている。その中でも悪名の高い「消費税」は「実質的なリベート」であるとアメリカ政府から追及を受けることになる。
以上により、現在の日本が国として抱える重大課題である「外交及び安全保障」問題と消費税問題は「もしトラ」で解決する可能性が高い。
したがって「防衛三文書」で規定した仮想敵国は消滅して日本近辺に日本の安全保障を脅かす国はなくなって打撃力は不要となる。さらにアメリカの要請で開始した憲法改定もその目的である海外派兵自体の必要性がなくなることになる。
 日本の論壇では「もしトラ」で憲法改定がやりやすくなるという意見もあるが、馬鹿も休み休みにしたほうが良い。日本周辺に緊張がないならば、何故に海外派兵までする必要があるのか、…もちろん全く無い。あるのは独自の核プラットフォームがある数隻の潜水艦だけであり、その耐用年数が過ぎているのに改修すらできずにオーストラリアに押し付けるだけしかできない落ちぶれたイギリス、そんなイギリスと「日英円滑化協定」を締結しても、日本にとって一円も得なことはないのだ。せいぜいイギリスの番犬に悪用されるだけなのだ。そしてもう一度日露戦争をやらされることになる。このくらいは少し歴史を勉強すれば常識である。その常識が理解できない自由民主党政権は、今後も生き延びてはいけない政党なのである。
 そして日本を疲弊に追い込んだ外交政策(防衛三文書)と特殊利権(ODA及び防衛費)及び税金(防衛費増税および消費税)は、自由民主党と外務省、経済産業省、防衛省、財務省の錬金術であって国家的な犯罪であることを充分に理解しておくべきなのである。
 これこそが日本国民を苦しめる諸悪の根源なのである。
したがって自由民主党を解体すること、外務省を憲法に則り運営できる組織に再際させること、自由民主党が独占してきた「外交及び防衛利権」に群がった官僚及び野党そして経団連と連合は国民により厳しく糾弾されるべきなのである。
(寄稿:近藤雄三)
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トランプ氏がアメリカの大統領に~祝~

2024-11-06 | 小日向白朗学会 情報
 “確トラ”を表明していた当ブログにとっては、当然のことではあるけれども、まず祝福したいと思う。世界のリーダーたちは概ね好感を持って受け止めるか、ほっとしていらっしゃるか…。まずはわが国ニッポンであるけれど、石破さんの力量発揮が期待される。
 石破=トランプ路線で日米同盟の見直しが実施されることは必至であろう。外務省は「51(昭和26)年9月8日、わが国はサンフランシスコにおいて平和条約に調印し、大戦後の宿願となっていた独立を回復した。さらに、同日、吉田総理(当時)は米国との間で「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」(旧安保条約)に署名し、米国との同盟関係を確立した(52(同27)年4月発効)。 」と記している。そう吉田総理の下でスタートした安保条約、それ自体はあまりたいしたことではないが(条約文を検索しお読みいただきたい)、同時にスタートしている行政協定が国民を欺く売国協定であったわけだ。のちに地位協定と名称を変更しているが、要は主権(国防権、電波権、航空管制権)を担保に、つまり売渡して、戦後復興資金を手にしたわが国は急成長してきた、というわけだ。同借財は高金利を付けてとうに返済済みなのだ。つまり、74年(?)を経てようやく売国卒業の時期を迎えることができるのではないだろうか。そうした記念すべき時に総理である石破氏はラッキーというよりほかにない。大いに力量発揮すべきだろう。石破氏とトランプ氏は結構うまが合いそうな気がする。お二方とも残念ながら顔には出ていないが結構頭がいい。
 そうすりゃ―朝鮮戦争も終わり、これで隣の金さんもニッコリだ。ウクライナとパレスチナのデタントにもそう時間はかからないとみるがいかがだろうか。ネタニアフを手懐けられるのはトランプ以外にいない。また、戦争屋バイデン民主党では無理な緊張緩和が実現できるとみる。そう、オバマ=バイデン=ヌーランドといった名うての戦争屋名士たちが世界政治から消えていくことが実現するかもしれない。ソ連崩壊後1992年に驚喜乱舞していた米国ネオコン紳士たちは終焉を迎えるのであろう。
 難しいことはともかく、トランプ頑張れ!!!といったところである。(文責:吉田)
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