小日向白朗学会 HP準備室BLOG

小日向白朗氏の功績が、未だ歴史上隠されている”真の事実”を広く知ってもらう為の小日向白朗学会公式HP開設準備室 情報など

尹大統領による戒厳令布告は韓国憲法で定められた大統領職務規定

2025-01-20 | 小日向白朗学会 情報
 2024年12月3日、韓国の尹錫悦大統領は、緊急談話を出して「非常戒厳を宣布する」と述べた。そして、韓国の高官犯罪捜査庁は2025年1月19日、「非常戒厳」宣言を巡る内乱首謀容疑で尹錫悦大統領を逮捕した。現職大統領が逮捕されるという事態に、大統領の代理弁護士が声明を発表したことを「KOREA WAVE/AFPBB News」が「尹大統領の弁護士、拘束令状発付に猛反発「納得できない反憲法・反法治の極み」とする記事により伝えている。
 『【01月19日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の代理人であるソク・ドンヒョン弁護士は19日、ソウル西部地裁が拘束令状を発付したことについて「納得しがたい反憲法的かつ反法治的な行為の極みだ」と批判した。 ソク・ドンヒョン弁護士は同日、SNSに「ユン大統領に対する拘束令状発付を受けて」と題して投稿し、「昨日(18日)、ソウル西部地裁の拘束令状審査で十分かつ説得力をもってその不当性を訴えたにもかかわらず、現職大統領に対して拘束令状を発付した」と述べた。 ソク・ドンヒョン弁護士は「大統領が憲法に基づいて緊急権を行使し、国民に国家的危機の実態を知らせ、訴えかけた戒厳令の布告が、捜査機関や裁判所の司法的評価の対象になり得ないのは、憲法理論の基本であり通説だ」と指摘。また、「現職の国家元首の行為を内乱犯罪とするのは筋が通らない」と主張した。 さらに「内乱罪の該当性を司法が判断するとしても、その前に憲法裁判所での弾劾審判が必要な現職大統領を、証拠隠滅や逃亡の恐れを理由に拘束するのは、どのような論理でも説明が難しい」と批判した。 ソク・ドンヒョン弁護士は、現状に対する懸念も表明し、「最近、野党と公捜処(高位公職者犯罪捜査処)が手を組み、内乱や弾劾を扇動していることに反対する多くの国民や海外同胞、特に左派勢力の策略を知るに至った20〜30代の若者たちが、過剰な怒りを示すのではないか心配だ」と述べた。さらに「その怒りは理解できるが、暴力的な様相に発展すれば、左派勢力の攻撃や逆工作に巻き込まれる可能性がある」と警告した。 また「それはユン大統領が望むことではなく、内乱罪のフレーム克服や弾劾審判への対応に負担となる可能性がある。冷静さを保ち、より緻密な知恵と意志を結集して危機を乗り越えるべきだ」と強調した。……』
 代理弁護人は、大統領が戒厳令を宣布したのは、憲法の規定に基づく「緊急権を行使し、国民に国家的危機の実態を知らせ、訴えかけた」ものであると主張している。では、代理弁護士が指摘する「戒厳令は合憲である」という根拠について確認してみよう。
 『悠久なる歴史と伝統に輝く我ら大韓国民は、三一運動で建立された大韓民国臨時政府の法的正統性と不義に抗拒した四一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚し、正義・人道と同胞愛をもって民族の団結を強固にし、すべての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和を基に自由民主的基本秩序をより確固たるものとし、政治・経済・社会・文化のすべての領域において各人の機会を均等にし、能力を最高度に発揮させ、自由と権利に伴う責任と義務を完遂させ、内では国民生活の均等な向上を期し、外では恒久的な世界平和と人類共栄に資することで、我らと我らの子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを誓いつつ、千九百四十八年七月十二日に制定され、八次にわたり改正された憲法を、今ここに国会の議決を経て、国民投票により改正する』
 つまり現行憲法は、祖国を平和統一することが根本的な使命だとしている。その平和統一すべき祖国の範囲については、第三条と第四条に規定がある。
『……
第三条
大韓民国の領土は、韓半島及びその付属島嶼とする。
第四条
大韓民国は、統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する。
…』
したがって、憲法で規定する祖国とは北朝鮮を含む「韓半島及びその付属島嶼」なのである。次いで問題となっている大統領に付与されている権限はといえば第66条、第69条、第77条にある。
『……
第66条
  1. 大統領は、国家の元首であり、外国に対して国家を代表する。
  2. 大統領は、国家の独立・領土の保全・国家の継続性及び憲法を守護する責務を負う
  3. 大統領は、祖国の平和的統一のための誠実なる義務を負う。
  4. 行政権は、大統領を首班とする政府に属する。
……
第69条
大統領は、就任に臨み、次の宣誓をする。
私は、憲法を遵守し、国家を保衛し、祖国の平和的統一と国民の自由と福利の増進及び民族文化の暢達に努力し、大統領としての職責を誠実に遂行することを国民の前に厳粛に宣誓します。」
……。
第77条
  1. 大統領は、戦時・事変又はこれに準じる国家非常事態において、兵力をもって軍事上の必要に応じ、又は公共の安寧秩序を維持する必要のあるときは、法律の定めるところにより、戒厳を宣布することができる
  2. 戒厳は、非常戒厳及び警備戒厳とする。
  3. 非常戒厳が宣布されたときは、法律の定めるところにより、令状制度、言論・出版・集会・結社の自由、政府又は法院の権限について、特別の措置をすることができる。
  4. 戒厳を宣布したときは、大統領は、遅滞なく国会に通告しなければならない。
  5. 国会が在籍議員の過半数の賛成により、戒厳の解除を要求したときは、大統領は、これを解除しなければならない。
……』
 したがって、大統領の職務の一つとして「祖国の平和的統一のための誠実なる義務を負う」と定められており、そのために「私は、憲法を遵守し、国家を保衛し、祖国の平和的統一と国民の自由と福利の増進及び民族文化の暢達に努力し、大統領としての職責を誠実に遂行することを国民の前に厳粛に宣誓します。」という宣誓を行うことが義務付けられている。このような背景から、大統領には国家非常事態が発生した場合に戒厳令を布告する権限が認められている。
では、現在の韓国における「国家的な非常事態」とは何を指すのか。それは、「祖国が統一できなくなる状況」を意味する。
折しも2025年1月20日には、韓国の軍事同盟国であるアメリカにおいて、トランプ大統領が再び就任する日となる。このトランプ大統領の就任と、韓国の存在を揺るがす国家的な非常事態との関連は何かといえば、それは2018年6月12日にシンガポールで行われたアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長・国務委員会委員長による史上初の米朝首脳会談後に発表された共同声明に端を発している。
『……
アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプと朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、史上初の首脳会談を2018年6月12日、シンガポールで開催した。
トランプ大統領と金正恩委員長は新たな米朝関係や朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制を構築するため、包括的かつ誠実な意見交換を行った。トランプ大統領は朝鮮民主主義人民共和国に安全の保証を与えると約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた断固とした揺るぎない決意を確認した。
……』
 2025年1月20日以降、アメリカと北朝鮮は米朝会談を再開し、アメリカは北朝鮮の安全保障を提供するとともに、非核化に向けた動きを進めるとされている。これは韓国にとって、軍事同盟国であるアメリカが憲法の理念の一つである祖国統一を阻害する「敵国」北朝鮮を事実上承認し、朝鮮戦争を終結させる動きにほかならない。朝鮮戦争の終結は、韓国憲法に定められた「祖国統一」の実現が永遠に不可能になることを意味する。このような状況下で、祖国統一を職務として課せられている大統領は、最善を尽くすことが求められている。それが2024年12月3日に尹大統領が戒厳令を布告した理由である。
尹大統領の代理弁護士が訴えたいのは、この点にほかならない。さらに、大統領権限の一つとして「行政権は、大統領を首班とする政府に属する」と憲法で明記されている点を踏まえると、尹大統領の逮捕とは、行政の長を行政の一機関である「高官犯罪捜査庁」が逮捕するという、まるで行政機関によるクーデターに等しい行為だと言える。
この事態を韓国野党が解決できるかという点についても、韓国憲法に「祖国統一」が掲げられている以上、結局は「同じ穴の狢」に過ぎないと言わざるを得ない。
 朝鮮戦争の終結という現実が韓国で混乱を引き起こしているが、同様の事態は間もなく日本にも及ぶ可能性がある。なぜなら、朝鮮戦争の継続と日本の安全保障政策は、「国連軍地位協定」と「日米地位協定」をリンクさせる形で自民党政権の基盤となっていたが、朝鮮戦争の終結によりその法的根拠が崩れるからである。
 特に、朝鮮戦争と深く関係する「国連軍地位協定」では、朝鮮戦争の終結後、アメリカ軍を中核とする朝鮮派遣国連軍が90日以内に日本から完全撤退することが定められている。したがって、日本の安全保障の柱であった「日米安保」、すなわちアメリカの核の傘と駐留アメリカ軍も、朝鮮戦争の終結によって日本国内から完全に撤退することになる。(寄稿:近藤雄三)


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2025年は韓国与党にとって朝鮮戦争終結、日韓大陸棚協定終了通告という厄年となる

2025-01-19 | 小日向白朗学会 情報
 日韓大陸棚協定は、1974年(昭和49年)1月30日に署名され、1978年6月22日に発効した。この協定は、「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定」(略称:北部協定)および「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」(略称:南部協定)で構成されている。
 中でも南部工区、特に第7鉱区に関しては、締結当初から多くの問題があることが指摘されてきた。同協定締結当時は、中間線原則が適用されていなかったが、現在の国際法に基づけば第7鉱区の大部分が日本側に帰属する可能性がある。さらに、同協定第29条には次のように記されている。
 「この協定は、署名の日から50年間有効であり、いずれかの締約国が終了の3年前に相手国に書面で通知した場合、50年の満了をもって終了する。」
 そのため、2025年6月22日以降に日本または韓国が協定終了を通知した場合、協定は2028年6月22日に終了することとなる。当然、韓国国内では、領土問題として、また資源問題として激しい反日運動が繰り広げられる可能性がある。
 当時、日韓大陸棚協定を締結したのは、冷戦構造を維持する旗印として「反共」を掲げていた自由民主党である。その中でも中心的な役割を果たしたのは、岸信介、安倍晋太郎、中曽根康弘、安倍晋三、麻生太郎といった韓国に大きな利権を有する議員たちであった。彼らが韓国から利権を回収するために関与したとされるのが、ソウル地下鉄事件や日韓海底トンネル計画である。これらの事件は、自由民主党が結党以来行ってきた利権政治の延長線上にあると指摘されている。
 しかし、現在の自由民主党には、国民世論を抑えつつ日韓大陸棚協定を更新するだけの党勢はない。それだけでなく、トランプ大統領の就任によって米朝会談が再開し、朝鮮戦争が終結する可能性が高まると、韓国と日本の安全保障の基盤が崩壊する危険性がある。その結果、反共で連携する必要性が失われ、反共政策の象徴として日本が韓国に与えた「共同開発工区」という枠組みも無意味なものとなる。
 したがって、2025年の韓国は、安全保障の基盤が崩れ、領土およびエネルギー問題の基盤も失われる可能性がある。このため、尹大統領は戒厳令を敷いて国民が受けるショックを和らげようとしたとも考えられるが、その真意は未だ明らかではない。(寄稿:近藤雄三)
【参考】
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安重根関連資料から写真を紹介~韓国アーカイブにキャプション付き写真発見~

2025-01-13 | 小日向白朗学会 情報
 2024年9月21日大野芳資料から安重根関連の写真を紹介したが、その詳細が判明した。大野資料の写真では4名(安重根他3名)の被告を取をり調べているような内容の写真(最初の写真)であった。

最初の写真にはキャプションがない。下の写真には旅順法廷で安重根他3名の計4名の取り調べをしている、といった内容と思われるキャプションがついている。これは韓国のアーカイブから見出されたものである。この中で注目される(?)のは、傍聴席一番全面、向かって右側に蝶ネクタイにひげというきちんとした紳士がいるが、これは明石元二郎(当時45歳)と思われることである。いかがであろうか。その部分を参考までにアップしてみた。明石元二郎の写真をお持ちの方がいらっしゃったら是非チェックしていただきたいと思う。明石と言えば外国留学実績もあり英国諜報筋との関係も濃厚な我が国の誇る一流の“スパイ”である。のちの台湾総督だ。さて、この人物の視線であるが、他の人々がほぼ前方を見ているのに対して、視線が向かって右前方にずれている。どうもその先には安重根被告の後頭部があるように見えるのだが。安重根の動静を一瞬たりとも見逃さないとでもいうように凝視しているようにも見える。安被告が明石にとってどう特別なのか、一考の余地はあろうかと…。
安重根の取り調べについては「明治42年10月30日哈爾濱日本帝国総領事館において検察官溝渕孝雄書記岸田愛文列席通訳嘱託園木末喜通訳」(安重根と日韓関係史、市川正明著、原書房から211~212頁)列席の下に行われている。この時は、30日に安重根、31日に禹連俊、曹道先、柳江露の4名を取り調べている(安重根と日韓関係史から)。一方、この写真には場所も旅順法廷とあり30日のものではなさそうだ。ちなみに、明治42年12月2日関東都督府地方法院長真鍋十蔵(㊟)あてに検察官溝渕孝雄が公判請求書を提出している。その内容は殺人罪であり、被告4名の名が記されている。安応七事安重根、禹連俊事禹徳淳、曹道先、柳江露事劉東夏となっている。名前の表記方法も統一に至ったものらしい。写真はこのときかその前後のものかもしれない。関東都督府は旅順に1906年設置されている。
ところで、上記の人物が明石であるとすると、なぜ旅順法廷にまで出張っているのか、ということである。そのことについて筆者はほぼ本筋と思われる筋道を了解はしているが、今のところ公開する段階ではない。ただ、伊藤公の命を狙っていたのはいくつかの筋があったと云う事である。一つは安重根と言ってよい。そのほかの二つは、~~~まあ、今はよしておこう。
㊟真鍋十蔵は真鍋斌の養子である。真鍋斌は陸軍大臣とも嘱望 されていた人物だが、馬蹄銀事件で失脚した。要は“泥棒”が発覚したものだが、この流れは実は安重根の死刑執行を示唆するものの一要因でもあるらしい。即ち、馬蹄銀事件ネタを掴んだ幸徳秋水が週刊文春よろしく暴露しようとしていたことを憂えたある力が明治天皇の意志に反して秋水らの死刑(大逆事件)を急いだこととどうも密接な関係が疑われるのである。人のつながりとは不思議なものだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
また、次の写真についても判明したことがある。これは大野資料から掲載したものであり、旅順駅から獄舎への移送の写真と推察されていたけれど、これは間違いであった。キャプション付きの写真が出てきたのである。
つまり、2枚のうち前のものは護衛者も少ないがこれは処刑後安重根の遺体を運んでいるものであり、下の写真は随伴者が多くみられるが、これは獄舎を出て埋葬に向かうものとみられるのである。筆者はハングルには全く疎いが、お分かりの方には是非チェックしていただきたい。
(文責:吉田)
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北はとっくに統一拒否をしているのに、韓国憲法では統一を指向しているって「統一」って「侵略」になっちゃうかもよ……

2024-12-15 | 小日向白朗学会 情報
 ネットで検索したらすぐに出てくる韓国憲法、最初の部分だけちょっと覗くと結構興味深いものがある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
韓国憲法第10号(第六共和国(現行)憲法)     大韓民国憲法[全文改正1987.10.29憲法第10号]
前文
悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は3·1運動により建立された大韓民国臨時政府の法統と不義に抗拒した4.19民主理念を継承し,祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚し, 正義人道と同胞愛により民族の団結を強固にし全ての社会的弊習と不義を打破し自立と調和を基礎とする自由民主的基本秩序を更に確固とし政治,経済,社会,文化の全ての領域において各人の機会を均等にして能力を最高度に発揮させ自由と権利にともなう責任と義務を完遂させ内には国民生活の均等な向上を期して外には恒久的な国際平和と人類共栄に貢献することにより我らと我らの子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを誓い1948年7月12日に制定され8次にわたって改正された憲法をここに国会の議決を経て国民投票により改正する。
 
第1章総綱
第1条 ①大韓民国は民主共和国である.
②大韓民国の主権は国民にあり,全ての権力は国民から生ずる.
第2条 ①大韓民国の国民となる要件は法律で定める.
②国家は法律が定めるところにより在外国民を保護する義務を負う。
第3条 大韓民国の領土は韓半島と付属島嶼とする.
第4条 大韓民国は統一を指向し,自由民主主義的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立しこれを推進する
第5条 ①大韓民国は国際平和の維持に努力し侵略的戦争を否認する.
②国軍は国家の安全保障と国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とし,その政治的中立性は遵守される。(以下略)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 祖国統一の理念が明確に成文化されている。大統領がこの憲法条規に素直に従ってことを進めたら一体どうなるのか。隣国でもあり、朝鮮国連軍の後方司令部を国内に構えている日本の民としては心配してしまうのは仕方がないだろう。というのも、北朝鮮はすでにとっくに統一を拒否しているし、憲法にまで成文化しているということがあるのだ。
   相当に追い込まれていたのか、それとも単なる被害妄想だったのか。弾劾に付されている韓国大統領は憲法に明記されているように「祖国の民主改革と平和的統一の使命」を目指していたがゆえに戒厳令を・・・と云う事か。金龍顕 さんも含めてちょいと理解に苦しむところだ。観念したほうが良いのではないだろうか。つまり、朝鮮民主主義共和国と大韓民国は別個の主権国家として生き残るということを。朝鮮戦争はすでに、終結の手続き待ちの状況にあることを認識すべきだろうということを。どこぞの国も一緒だけれど、防衛利権というぼろ儲け口をそろそろ諦めるべきであろう。
 さて、厄介なことだけれど、50年以上も前に国際認知されているone china policy を意識的に無視しているしつこーく防衛利権に執着する方々、またぞろプロパガンダの季節となるのかもしれない。当学会としては、ここで白朗=キッシンジャー(及び米国家安全保障会議(NSC) )のコラボレーションについて宣伝したいところだけれどそれは何度も言っていることであるし、また別の機会にでも。(文責:吉田)




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速報 NHK「トランプ次期大統領“中国の習近平主席を就任式に招待”米報道」

2024-12-12 | 小日向白朗学会 情報
 2024年12月12日、NHKは 12時00分に次の報道をおこなった。
『……アメリカのCBSテレビは、トランプ次期大統領が来年1月に行われる大統領就任式に、中国の習近平国家主席を招待したと伝えました。
 習主席が招待に応じたかどうかはわからないとしています。
アメリカのCBSテレビは11日、複数の関係者の話として、トランプ次期大統領が、来月20日に首都ワシントンで行われる大統領就任式に中国の習近平国家主席を招待したと報じました。
 打診は、トランプ氏が大統領選挙に勝利した直後の11月上旬に行われたということですが、習主席が招待に応じたかどうかはわからないとしています。
またトランプ氏の政権移行チームは、ほかの国の首脳を招待する可能性についても検討しているということです。
 トランプ氏は、次期政権で外交や安全保障政策を担当する要職に、対中強硬派を相次いで起用する一方、今月8日に放送されたNBCテレビのインタビューでは1期目に習主席と薬物対策について協議したことを振り返りながら「私は習主席と非常によい関係だった。私たちは今週も意思疎通を図った」と述べています。
  政権移行の際の式典には各国の大使や外交官が出席するのが一般的で、CBSテレビによりますと国務省に残る1874年以降の記録では、外国の首脳が出席したことは1度もないということで、関心が集まっています。……』

 これでトランプの対中国政策が「一つの中国」政策であることは明白である。つまり、台湾有事でぼろもうけを企んだバイデン政権に対する明確な拒否でもある。また、昨年亡くなったキッシンジャーが最後の仕事としてバイデン政権が進めていた台湾有事という敵視政策を「一つの中国政策」の戻すように働きかけてバイデン及びブリンケンを説得し同意させたことの延長でもある。
 ところで麻生を先頭とする自民党内の外交防衛利権グループは、台湾有事で利権の拡大のため防衛三文書を策定し日本の敵国を中国、北朝鮮、ロシアとしてきた。その結果、日本は敵国とした中国とロシアの強い反発にあい、遂には、国連憲章の旧敵国条項を適用するとまで示唆されてしまったことで岸田は政権を投げ出した。次いで登場したのが現石破内閣である。石破総理大臣は、2024年11月に訪問先のペルーで中国の習近平国家主席と初めてとなる日中首脳会談を行い、建設的で安定的な「戦略的互恵関係(一つの中国)」関係を構築していく方向性を再確認することで関係改善に歩み始めたところである。
 ところが、日本国内には麻生・高市を中心に外交防衛利権グループは、防衛三文書を根拠とした既得権である防衛増大を来年度予算でも踏襲しようとしている。つまり、麻生・高市が防衛費増大を今後も継続させようとしているわけであるが、これはすでに論理的に破綻している。なぜならば「トランプは大統領就任式に習近平を招待しようとしている」ことに加えて、「トランプ率いる新しいアメリカが、就任式では友好的に、台湾海峡では敵対的な関係をとる」等ということはあり得ないからである。すなわち、アメリカは、日本と中国が台湾海峡で対峙しても日本に味方して参戦するなどはありえないのだ。自民党がこれまで日本の安全保障政策の基盤が日米安保であるとしてきたが、それは間違いであり、台湾有事にアメリカの支援はない。
 既得権益を保証するだけの防衛三文書は早急に改定して、防衛費を三文書以前のレベルに戻すべきである。

最後に筆者の妄想をもう一つ披露したい。
トランプは就任すると、すぐに北朝鮮と朝鮮戦争終結を開始するのだから、いっそのこと北朝鮮の金正恩も呼べば朝鮮半島問題は来年1月の就任式当日に終わってしまうのでは!?
もしこれが実現した場合に、韓国国内で朝鮮戦争を継続させてきた現政権は批判の嵐となる。これが怖くて尹錫悦は戒厳令をしいておきたかったのだ。

 尹錫悦や麻生・高市等、日韓に根強く姑息に国民を騙し続けてきた防衛外交利権グループは、時代の潮目が変わったことを自覚すべきである。これには日本国内の公明、維新、国民、立民等、自民党と変わらない政策を続けてきた国政政党も同じである。(寄稿:近藤雄三)

【参考】
尚、「一つの中国」政策に付いては下記のスレッドでまとめてきた。
・(2023年10月27日)『王毅外相とブリンケン国務長官会談
・(2023年06月22日)『上海コミュニケ



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南北統一理念はとっくに放棄、北はすでに主権国家として朝鮮戦争終結を決断していた!、あとは米政権の承認でOK

2024-12-05 | 小日向白朗学会 情報
 2024年10月17日BBC NEWS Japanは「北朝鮮 憲法改正で韓国を「敵対国」と定義」という記事を配信している。まあバイヤスはかかっているけれどじっくりと読んでいただきたい。参考までに朝鮮国連軍をGoogle AIは次のように説明している。『朝鮮国連軍は、1950年6月25日に勃発した朝鮮戦争において、大韓民国の要請を受けて編成された国連軍です。国連安保理の決議に基づき、武力攻撃を撃退し、国際の平和と安全を回復することを目的としています。朝鮮国連軍の主な特徴は次のとおりです。●米軍を主体として創設された●司令部は当初東京に置かれ、1953年の休戦協定成立後はソウルに移転した●日本には後方司令部が当初キャンプ座間に、2007年以降は横田飛行場に置かれている●国連軍司令官は米陸軍大将が兼任している。・・・・』
 現実論から言えば、北朝鮮はトランプ政権の承認を得れば(もちろん核放棄と引き換えだが)、それで一巻の終わりである。大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国はそれぞれ別個の主権国家として残り続けるのである。⇔はい!!戦争終結だ。極東に余計な軍隊は駐留する必要がなくなり、本格的なデタントが始まる。誰か文句を言うやつはいるのか…? 非核化とデタントの促進、文句言うやつは頭がどうかしているとしか言いようがない。「いゃーーーん!!!、戦争やめちゃーいゃ―――ン!!」といういやらしい卑猥な言葉を発し続けて、醜態を演じているのは誰だ?。むむむむむ、なに、戒厳令などという方法でどうにかしようとしたのか。国家反逆の徒とはいったい誰のことなのかじっくりと考えてみるがいい。(文責:吉田)
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12月大歌舞伎「あらしのよるに」~獅童×菊之助~「ともだちなのに、おいしそう」~オオカミとヤギの絶対的共存を叫ぶ

2024-12-04 | 小日向白朗学会 情報
 12月大歌舞伎が昨日12月3日から始まった。山羊のメイと山羊が大好物の狼がぶの物語だ。「あらしのよるに」お互いが全く見えない漆黒の闇の中で育まれた友情の絆は、真っ青の晴天下においても変わらず、永久に共存していくのである。
 「あらしのよるに」は友情の合言葉に成長する。この言葉が真実である限りオオカミは山羊を食べてしまうことなく、オオカミと山羊の平和な共存が保証されるのだ。
 例えば・・・どうだろう。心が飢えたシオニストたちの目にはパレスチナ人たちの頬の肌つやは食欲をそそるものなのかもしれない。世界の穀倉地帯を誇っていたウクライナの人々からロシア人たちを見るとなかには飢えたオオカミに映る人もいるのかもしれないな…。シリアでは内戦がずっと続いているようだけれど、アサド政権下の人の顔が反体制派にはおいしそうな柑橘類に見えてしまうのかもしれない。でも、実は、みーんな漆黒の闇の中では同じ人間という名の生き物だ。そんなことにも気が付かない頑迷な宗教者や哲学者たちの愚かさには果てがいないというべきか。知を騙った偽知の犯罪だ。ここで、オオカミと山羊の友情をリスペクトしてみようではないか。旧約聖書からイサクとイシュマエルの共存を引き出すまでもなく、その程度の知性を働かせようではないか。・・・・12月大歌舞伎二日目、今日の歌舞伎座は面白かった。(文責:吉田)
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韓国戒厳令って?? 朝鮮戦争終結の危機が迫ったのか??

2024-12-04 | 小日向白朗学会 情報
 NHKは本日12月4日『【詳しく】韓国で一時「非常戒厳」 野党は大統領弾劾議案提出』を配信している。非常戒厳の趣旨ついて、「「布告令」は「韓国の内部に暗躍している反国家勢力による体制転覆の脅威から、自由民主主義や国民の安全を守るため」 ・・・だということだ。体制転覆って?、革命でも起きたのか?と思わせる言い方だ。それほどの危機意識を持っているとしたら、それは朝鮮戦争終結の危機以外にないのでは、とも思わせる。
 トランプ政権が視野に入った現在、その“危機”(極東のデタント)は極めて現実性を帯びてきているからだ。とりあえずはNATO向けの発言程度(「負担をしない国は守らない!」)で口を濁していはいるが、極東も同然であることは当然言を俟たないだろう。
 当ブログでは2023年8月16日に韓国大統領の朝鮮戦争終結に対する危機感についてレポートしている。ここに参考までに再録してみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2023年8月15日、日本経済新聞から「韓国大統領、北朝鮮抑止に「日本の後方基地重要」」とする日本の安全保障を考えるうえで非常に重要な記事が配信された。
「……
【ソウル=甲原潤之介】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日の演説で、北朝鮮の韓国への侵攻を抑止するための日本の役割に言及した。日本に置かれる国連軍の後方基地が「北朝鮮の侵攻を遮断する最大の抑止要因だ」と強調し、日本との安全保障協力の重要性を訴えた。
韓国は15日を日本の植民地からの解放記念日と位置づけ「光復節」と呼ぶ。尹氏は独立運動を「自由民主主義国家をつくるための建国運動」と定義した。
……』
 そうである。この記事にあるように韓国政府は同国の安全保障の根本は「日本に置かれる国連軍の後方基地が北朝鮮の侵攻を遮断する最大の抑止要因」としたのは、昭和29(1954)年2月19日に日本と朝鮮派遣軍のうちオーストラリア,カナダ,フランス,イタリア,ニュージーランド,フィリピン,南アフリカ,タイ,トルコ,イギリス,アメリカと締結した「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)のことである。そして国連軍後方司令部は、平成19(2007)年11月2日にキャンプ座間から日本の国権である航空管制権が及ばない横田飛行場へ移転している。
 韓国政府は、日本がこの協定を朝鮮派遣国と締結しているころからこそ、1951年9月に日本がサンフランシスコ平和条約を締結後においても朝鮮国連軍が日本国に駐留できたことで、北朝鮮軍と対峙することが可能となっていることを公式に認めたのだ。その国連軍地位協定には「第二十四条で「すべての国際連合の軍隊は、すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない」という規定がある。したがって「朝鮮戦争終戦」になると、麻生太郎がいう「有志国」は解体し、朝鮮半島と日本からアメリカを主体とした国連派遣軍は完全に撤退することになる。その時、韓国政府は朝鮮半島に取り残されたうえ後方支援基地も解体することから北朝鮮軍と内戦を続けることは事実上不可能なのだ。したがって現在の韓国政府が存続できるのは、一重に「朝鮮戦争を休戦」のままとし日本が有志国と締結した国連軍地位協定を継続させる以外に方法はないのだ。
 2018(平成30年)年6月12日にシンガポールでアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長及び国務委員会委員長による史上初の首脳会談が行われ「朝鮮戦争終戦に向けた協議を開始すると宣言した」ということが、いかに衝撃的な出来事であったのか察しが付くと云うものである。
 ところで、アメリカ軍撤退が朝鮮半島から撤退することに関して、韓国政府が慌てふためいた事例が他にもある。
 1972(昭和47)年2月27日、リチャード・ニクソン大統領(当時)は訪中の際にアメリカ合衆国と中華人民共和国との間に上海コミュニケを発表し「one china policy」を確認した。ニクソンは、この方針に従いアメリカ軍を削減することを韓国政府に通達した。この通告に、朴正煕大統領は、国家存続にかかわる重大事であったことから強い危機感を抱いた。そこで韓国政府は、朝鮮半島に駐留する残存勢力を維持することと、米軍撤退の代償とされた韓国軍近代化援助を確実なものとするためアメリカ国内で議会工作に乗り出すことにした。この時、アメリカ政界工作の一翼を担ったのが統一教会教祖「文鮮明」であった。 
 1976(昭和51)年に韓国政府によるアメリカ政界工作が発覚して政治スキャンダルとなってしまった。アメリカ合衆国下院は、事件の真相を調査するためにフレーザー委員会を設置し調査をおこない、纏めたものが「フレーザー委員会報告書」なのである。この報告書の中で、統一教会の犯罪性が暴露されることになった。

 この回の終わりに、第二次世界大戦後において「極東のデタント」を俯瞰してみる。すると、実に興味深い共通点があることが見えてくる。
51年前の1972(昭和47)年2月27日、ニクソン大統領は「上海コミュニケ」という形で「極東のデタント」を」実現し、それから48年後の2018(平成30年)年6月12日にトランプ大統領は金正恩と「朝鮮戦争終結」で合意した。
共に、シンボルマークが象のアメリカ共和党である。そして、二人の大統領のその後であるが、ニクソン大統領は「ウォーターゲート事件」で辞任に追い込まれ、トランプ大統領は、民主主義を覆そうとしたとして「2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件」で訴追されている。
 また両事件ともに、CIAと司法が一体となって有無を云わさずに弾劾裁判にかけられているのである。その訴追場所が「コロンビア特別区連邦地方裁判所」(United States District Court for the District of Columbia)である。
どうもアメリカ政治では、デタント政策を実施する共和党大統領は、その政治生命を奪われるという運命にあるようだ。
(尚、朝鮮派遣軍については、
また、航空管制権については、
そしてアメリカ軍の削減に付いては、
で報告済みである。是非、併せて参照願いたい。)(クリックで遷移)。
P.S.
小日向白朗の遺品として残されている写真の雑感を述べておく。
筆者が以前に小日向白朗の写真を眺めていたときのことである。ふと目に留めた小日向白郎が晩年に撮影した写真には、襟に「象」のバッチが付いていたことを思いだしてしまった。やはり小日向白朗がキッシンジャーの要請で渡米したのはアメリカ共和党が推し進める「極東のデタント」に協力することだったのだと感心したものである。
 さらに、他の写真を見ているうちに「アレ」と思う不思議な写真があった。
それは、小日向白朗が若かりし頃「中国阿片」を一手に取り仕切っている時の記念写真であった。小日向は自信満々で写っていた。
 一瞬、小首をかしげてしまった。
 たしか、小日向白朗は、終戦後、着の身着のままで中国から帰国したはずである。
 筆者は、何の疑いもなく念のためと、写真の裏側を確認した。そこには小日向白朗の文字で「F氏からの寄贈」と書き込まれていた。そして思ったことは、小日向白朗に対してもニクソン同様「極東のデタント」に協力する者としてCIAの監視の眼が光っていたのだなと、これも亦得心した次第であった。
以上(寄稿:近藤雄三)
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 池上さん、そろそろ本当のことを言ってくださいな、影響力大なんだから…庶民に真実を知らすな、は通じませんよ

2024-11-17 | 小日向白朗学会 情報
  昨日2024年11月16日朝日新聞デジタルは石破首相、習近平氏と初会談「戦略的互恵関係」の包括的推進を確認、とする記事を配信した。その同じ日の夜、同系列のテレビ朝日では池上さんがいつものように政治解説を演じていた。その中で台湾有事の問題を取り上げたが、あまりにも真実から遠い、どこぞのお伽の国のお話のようなことを堂々と述べていらっしゃった。もちろん、賢明なる池上さんが真実を知らないなんてことはあり得ない。つまり、意図的に戯言を堂々と披歴していたということなのだ。もちろん戦略的互恵関係などという外交筋では擦り切れるほど使われている言葉の真意を知らないわけがない。one china policyなる言葉も知らないないわけがないし、さらには日中共同声明を知らなかったら政治解説などできるわけがないのに、である。
 台湾有事がいかに戯言であるか、戯言をベースにした防衛三文書はとっくの昔に破綻していること…こんなことは池上さんは熟知していらっしゃることだと思う。外務省筋発信の防衛三文書が根っこから破綻しているのにもかかわらず予算獲得を睨んで流し続けるプロパガンダの醜悪な姿を、昨晩はテレビ画面で目撃してしまったということかもしれない。
 ところで、当ブログでは昨年2023年12月4日に「米は「台湾海峡有事」で軍事不介入を決定、それでも「島嶼防衛」戦術を続ける日本政府 ―その理由は利権確保もしくは移転のためー」と題して詳しい内容を公開しているので参照していただければ幸いである。(文責:吉田)
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(一部省略)
 ・・・・日本外交敗北の調印式が、2023年11月16日、サンフランシスコで行われたのが、習近平国家主席は岸田文雄首相と会談なのである。
この時の会談内容について、NHKは『【詳細】日中首脳会談“意思疎通重ね 新時代の関係切り開く』[i]のなかでつぎの様に述べている。
『……
岸田総理大臣は訪問先のアメリカで、中国の習近平国家主席と会談し「戦略的互恵関係」の推進を再確認するとともに、新たな時代の日中関係を切り開いていくため、意思疎通を重ねていくことで一致しました。
……
台湾海峡の平和と安定が日本を含めた国際社会にとっても極めて重要だと強調するとともに、台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はないと伝えました。
……』
岸田首相は、アメリカが「一つの中国」政策に回帰したと同様に、日本政府も「一つの中国」政策に回帰することに同意した。ここで両首脳による会談で出てきた「戦略的互恵関係」は何かといえば、外務省HPに「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明」[ii]にその詳細を知ることができる。
『……
胡錦濤中華人民共和国主席は、日本国政府の招待に応じ、2008年5月6日から10日まで国賓として日本国を公式訪問した。胡錦濤主席は、日本国滞在中、天皇陛下と会見した。また、福田康夫内閣総理大臣と会談を行い、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関し、多くの共通認識に達し、以下のとおり共同声明を発出した。
 1、双方は、日中関係が両国のいずれにとっても最も重要な二国間関係の一  つであり、今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識で一致した。また、双方は、長期にわたる平和及び友好のための協力が日中両国にとって唯一の選択であるとの認識で一致した。双方は、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、また、日中両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していくことを決意した。
2、双方は、1972年9月29日に発表された日中共同声明、1978年8月12日に署名された日中平和友好条約及び1998年11月26日に発表された日中共同宣言が、日中関係を安定的に発展させ、未来を切り開く政治的基礎であることを改めて表明し、三つの文書の諸原則を引き続き遵守することを確認した。また、双方は、2006年10月8日及び2007年4月11日の日中共同プレス発表にある共通認識を引き続き堅持し、全面的に実施することを確認した
3、双方は、歴史を直視し、未来に向かい、日中「戦略的互恵関係」の新たな局面を絶えず切り開くことを決意し、将来にわたり、絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大しつつ、日中関係を世界の潮流に沿って方向付け、アジア太平洋及び世界の良き未来を共に創り上げていくことを宣言した。
4、双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した。双方は、互いの平和的な発展を支持することを改めて表明し、平和的な発展を堅持する日本と中国が、アジアや世界に大きなチャンスと利益をもたらすとの確信を共有した。
……』
 つまり、2023年11月16日、岸田文雄首相と習近平国家主席の会談で「戦略的互恵関係」に回帰すること、つまり、日本は1972年に発表した「一つの中国政策」を堅持することを約束したのだ。さらに、岸田首相は、具体的に「台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はない」と断言した。
 これは、日本政府が防衛三文書で中国を仮想敵国にしたことは間違であるとともに、台湾有事に介入しないことを習近平国家主席に約束したということになる。

 さて、ここで問題なのは、日本が中国との外交戦で白旗をあげたことを、日本国民に如何に知らせるかである。何しろ、最高司令官である岸田首相は島嶼防衛を命じたまま白旗をあげてしまった。しかし、自衛隊には戦闘停止を命じていないのだ。そればかりか「反撃能力」として準備を進めていた巡行ミサイル「トマホーク」を前倒しで購入していて、いまだ、戦力増強を進めているのだ。
 つまり、日本政府は、外交戦で敗北したことを、いまだ、国民に知られたくないのだ。そのため日本政府も「一つの中国」政策に回帰したことを、悟られないように、「戦略的互恵関係」と、その真意がわからないようにしている。
それは、終戦直後、岸信介が椎名悦三郎の命により軍需省にあった様々な利権を商工省に移行したときと同様の作業を現在の日本政府が開始しているからなのだ。
 その顕著な例が、憲法審査会の動きであり、武器輸出の問題であり、政界再編問題なのだ。
 つまり、長年にわたり政権与党であった自由民主党は、腐敗が進み、今後も政権を維持できる可能性が低下していた中で、更に中国との外交戦に敗北したことで解体もしくは衰退してゆくことは必須なのである。その理由は、自由民主党が議会民主制度のもとで政権党であることができたのは統一教会と公明党と云う集票組織を動かすことができたからであった。しかし、現在の両組織は、昔のような選挙活動は困難である。したがって「おニャンコ」や「ヤンキー」のような水増し議員は落選という現実が待ち受け散るだけである。その数は、現有所属議員の半数に及んでも不思議はない。だから、麻生太郎自由民主党副総裁が、野党との連立を言い出しているのだ。現在の政界の動きは、全てが自由民主党の特権、つまり、宗主国アメリカに許された現地政権であること、及び、外交防衛利権を死守するか移転させるためだけなのだ。

尚、「一つの中国」政策に付いては下記のスレッドでまとめてきた。
・(2023年10月27日)『王毅外相とブリンケン国務長官会談
・(2023年06月22日)『上海コミュニケ
(寄稿:近藤雄三)
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日英円滑化協定の闇へ落ち込んでしまうか…焦るボリス・ジョンソン氏

2024-11-13 | 小日向白朗学会 情報
 本日2024年11月13日Sputnik日本は「米国がウクライナ支援を削減すれば英国は派兵する」と題してボリス・ジョンソン氏へのインタビュー記事を配信している。ボリス・ジョンソン氏と言えば、そう覚えておられるであろうか。2022年2月に戦争が始まってからほぼ同時にスタートしていた停戦への模索が実を結びかけ近々に停戦実現が迫っていた、まさにその時にゼレンスキーに会いにわざわざウクライナへ出向き、「戦争を止めるんじゃーねーぞ」(筆者の推測文)と恫喝して、戦争を継続させ、現在に至るまで泥沼の戦争を招いた張本人ともいえる人物である。(BBC NEWSが2022年4月10日に配信、前日の4月9日にボリスジョンソン氏がゼレンスキー氏を電撃訪問したことを伝えている。)その頃に停戦の話し合いに参加していたウクライナ要人がひとり暗殺(「3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBU(=ウクライナ保安庁)の隊員に射殺され、」櫻井ジャーナル2022年5月3日から引用)されたでしょう。また、これでもかとばかりにもう一人アメリカの方から好戦派の女性VIP(ロイター配信)が同じくゼレンスキーに会いに行き恫喝を重ねた、といったことがあったでしょう。…そんなこともあったかなー…というくらい時間が経過はしているけれど…。
 トランプが再び出てきて世界がデタントに傾いてくるのを目の前にして死活問題とばかりに戦争継続を声高に叫ぶ欧州諸国(全部ではないね、まあ取りあえずはイギリスだけかな)の姿を醜いと感じるのは筆者だけだろうか。ゼレンスキーばかりでなく、ネタニアフもほぼ同時並行で手懐けてしまいそうなトランプを徹底攻撃したいのは、ほかには、はて?だれが…おそらく世界の政治舞台を見ていればわかるでしょう。
 ところで、2023年10月3日に当ブログで日英円滑化協定について公開している。その主要部分は次のとおりであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2023年1月11日、朝日新聞デジタルは『「過去1世紀で最も重要」日英首相、円滑化協定に署名 安保協力強化』とする記事を配信した。
『……
岸田文雄首相は11日午後(日本時間同日夜)、ロンドンでスナク英首相と会談した。自衛隊と英軍が共同訓練などで相互に訪問する際の法的地位などを定める「円滑化協定」に署名。両政府は安全保障上の協力を強化し、中国や北朝鮮に対する抑止力を高めたい考えだ。
 日本が円滑化協定を結ぶのは昨年1月の豪州に続いて2カ国目。協定によって、自衛隊と英軍が相手国で共同訓練などを行う際、船舶や航空機、隊員の出入国手続きが簡略化される。協定には事件や事故が起きた際の対応なども定められている。
 日本は日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」と、米英豪の安全保障協力「AUKUS」の連携を重視している。今後、協定によって、大規模な共同訓練がより行いやすくなる。
 日英は近年、安保協力関係を深めている。2017年に燃料などの物資を融通し合う「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結。21年には英海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群が、米海軍横須賀基地(神奈川県)に寄港し、海上自衛隊や米海軍と大規模訓練を実施し、昨年11月には群馬県などで英陸軍と陸上自衛隊が共同訓練を行った。昨年12月にはイタリアとの3カ国で、航空自衛隊の次期戦闘機の共同開発でも合意した。
 岸田政権は昨年12月に改定した安保関連3文書に、「同盟国・同志国との連携」を盛り込んだ。首相は英国訪問の前に訪れたフランスとは、今年前半に外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の開催をめざすことで一致し、イタリアとも外務・防衛当局間の協議を新設することを決めた。英国との円滑化協定は、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国に対抗するため、英国にも関与を強めてもらう狙いがある。
 英首相官邸も11日、円滑化協定を結ぶと発表し、「英軍の日本への配備を可能にする、過去1世紀以上で日英間の最も重要な防衛協定」と意義を強調した。スナク氏は声明で、世界情勢の見通しや脅威や課題の理解などを両国が共有していると指摘した上で、「競争が激化する世界で民主主義社会が協力することが、これまで以上に重要になっている」と述べた。
……』
 日本政府が締結した協定は「日英円滑化協定(Japan-UK Reciprocal Access Agreement)」という名称である。実は同様の協定である「日米地位協定」があまりにもひどいものであることから、その影響を避けるため「円滑化」と表現を緩めた軍事協定なのである。
 名称はともあれ条文を検討してみる。最も注目すべき項目は「日英円滑化協定」第四条である。
『……
第四条
3 この協定は、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊として行動する間の連合王国の軍隊が実施するいかなる活動についても適用しない
……』
とある。この条項に中にある「国際連合の軍隊の地位に関する協定」とは1953(昭和28)年に朝鮮派遣国軍との間に締結した「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定(国連軍地位協定)」である。これまで幾度となく取り挙げてきたあの「朝鮮派遣国連軍」のことなのである。つまり、日本とイギリスが締結した「日英円滑化協定」は「国連軍地位協定」が有効な間は適用しないというものである。では「日英円滑化協定」はいつから効力を発するのであろうか。その答えは「国連軍地位協定」(第二十四条、第二十五条)のなかにある。そのベースとなっているサンフランシスコ平和条約第六条には次のように明記されている。
『……
第六条
連合国のすべての占領軍は,この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国閻の協定に基く、叉はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。
……』
 また、国連軍地位協定には次のように規定されている。
第二十四条
 すべての国際連合の軍隊は,すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。この協定の当事者は,すべての国際連合の軍隊の日本国からの撤退期限として前記の期日前のいずれかの日を合意することができる。
第二十五条
 この協定及びその合意された改正は,すべての国際連合の軍隊が第二十四条の規定に従つて日本国から撤退しなければならない期日に終了する。すべての国際連合の軍隊がその期日前に日本国から撤退した場合には,この規定及びその合意された改正は,撤退が完了した日に終了する。』

 したがって「日英円滑化協定」が実際に動き出すのは、朝鮮戦争が終戦となった時なのである。
日本の安全保障政策は、朝鮮戦争を継続することが前提で組み立てられていた。そのため朝鮮戦争が終戦となると駐留アメリカ軍の根拠が失われるとともに「行政協定」が有名無実のものとなってしまうのだ。それに伴い「有志国」、つまり、「国連軍地位協定」を締結した12か国(日,オーストラリア,カナダ,フランス,イタリア,ニュージーランド,フィリピン,南アフリカ,タイ,トルコ,イギリス,アメリカ)は解体することになる。
自由民主党は、近い将来、朝鮮戦争が終戦となり朝鮮派遣国連軍の撤退が始まることを予想していて「日英円滑化協定」を締結した。そして、朝鮮戦争終了と同時に、イギリス軍の武官文官が日本に進駐してそれまでアメリカが日本統治に利用していた日米合同委員会の機能をそのままイギリスに引き渡すために締結した協定なのである。つまり、日本としては宗主国が変わるだけで、自由民主党はこれまで通り日本の主権を売渡すことで政権を独占し、防衛外交利権を維持することが許されるのだ。
つまり「日英円滑化協定」とは自由民主党が政権を維持するためだけに締結されたもので、日本の主権が回復するわけではない。これまで通り日本の主権(自衛隊指揮権、航空管制権、電波権)をアメリカだけではなく、イギリスにも売渡すことに合意しているのだ。
唯一の救いは「日英円滑化協定」第二十九条の次の条項である。
『……
第二十九条
3(a) 各締約国は、他方の締約国に対して六箇月前の書面による通告を行うことにより、いつでもこの協定を終了させることができる……』
で、六か月前に書面により通告することで協定が終了できることであろう。
自民党政権を下野させて、新たな政権が破棄を通告すればよいということになる。』(寄稿:近藤雄三)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 どこの国の誰とは言わないけれど、狡猾の限りを尽くす好戦派諸氏のことだから、日英円滑化協定を100年以上前の日英同盟よろしく日本を適当にコマのごとく扱えると思っていらっしゃるかもしれないが…果たしてわが国首脳はどう対応するのか、どう対応できるのか…ちょいと見ものではある。(文責:吉田)
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