東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ヤゴを操る

2024年03月21日 | ヤゴ
このところ職場から帰宅後はヤゴの撮影を楽しんでいるので更新が疎かになってしまった。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
この日も2日と同じ自然池のヤゴ調べ。前回の場所は避けて池の中央付近をガサガサ。
最深部は1m。植生はガマ、ヨシ、マコモ、タヌキモ。前回と同種に加えギンヤンマのヤゴも採れた。

ギンヤンマ(中齡幼虫)

複眼が大きく水中移動にも優れていそうなスリムな体型で、腹先部には身を守る突起を持つ。
また、枯れたガマ、ヨシ等の抽水植物に擬態した体色も素晴らしい。薄緑色の個体は脱皮後。
ギンヤンマの羽化は5月上旬頃から。

チョウトンボとショウジョウトンボ

後脚が長く体型も似ているけどチョウトンボの方が小型で複眼と腹部先端の違いで見分けられる。撮影時は比較的おとなしいので撮りやすい。チョウトンボとショウジョウトンボは管理時に浮遊させておいたマコモの根で、ギンヤンマとアジアイトトンボはヨシで採れた。水生植物が繁茂する池を好む一般的な種類。ただ、ヨシ、ガマのみの池だとチョウトンボは少なくチョウトンボはヒシ等の浮葉植物や、藻等の浮遊植物をより好む。トンボと水生植物の関係を知るのもまた楽しい。
ショウジョウトンボの羽化は4月下旬頃から6月。チョウトンボの羽化は6月上旬頃から7月。

アジアイトトンボ

前回と重複するが同種のヤゴでも体色に個体差が見られるところが面白い。また、イトトンボのヤゴの特徴である尻尾(尾鰓 びさい)をしっかり張らせてかっこよくする方法は無いかと思い水中に棲むイトトンボのヤゴをイメージして、ヨシの茎の切れ端を撮影用トレイの中に入れてみた。すると...

アジアイトトンボ

見事に成功!尾鰓を開いてくれた。また、尾鰓は取れやすく成虫になる時に身体の一部としての役割りがなく、後ろから外敵に襲われた時には尻尾を犠牲にして逃げるトカゲと同じ効果を持つ事も想像できる。そうした観点からイトトンボのヤゴは面白く興味深い。アジアイトトンボ春型の羽化は3月下旬から4月中旬。

別の場所で採集したヤマサナエ(終齢)

1週間後に再び採れた場所にリリースするスタイルで、撮影の為の一時飼育セット。水は水道水。ヤゴはお尻で呼吸しているので尻先を水面上に出せるように水深を設定。ヤゴと一緒に採れた植物を入れている。エサは赤虫(釣具の上州屋で購入)220円。チョウトンボのヤゴだけ食べてくれなかった。
この仕様で今のところ死んでしまった個体は無い。ヤゴの持ち帰り方についても次の機会に書きたい。

ヤゴの白バック撮影はレタッチ時の作業を減らす為、水中に入ったゴミをなるべく取り除く作業等、色々な苦労と課題がありそれを自分なりにクリアしていくのが楽しい。この先は様々な種類のヤゴを観察、撮影したいのでベランダに飼育施設を検討中。

ヤゴは全てD300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:3月12日


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