日本には、緊急事態法制を束ねる基本的な法制度がない。その結果、新型コロナウイルスの爆発的な流行等々によって今にも国が滅ぼうとしている。現行の法令は継ぎ接ぎ状態でまともな対処ができない。緊急事態法制を整備し、国民の命と暮らしを守るための国家緊急事態法案を以下に掲載する。
国家緊急事態法案
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 国家緊急事態への対処等(第六条―第十条)
第三章 国家緊急事態対処会議(第十二条―第十四条)
第四章 法令の制定(第十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国家緊急事態において、国の存立と日本国民の安全が確保されるよう、対処に関する基本理念、国家緊急事態の布告、緊急措置等について定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「国家緊急事態」とは、武力攻撃事態(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)(以下「対処法」という。)第二条第二号に規定する武力攻撃事態をいう。以下同じ。)又は武力攻撃予測事態(対処法第二条第三号に規定する武力攻撃予測事態をいう。以下同じ。)若しくは存立危機事態(対処法第二条第四号に規定する存立危機事態をいう。以下同じ。)、テロリストによる大規模な攻撃、大規模な感染症の流行、大規模な災害(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第一号に規定する災害のうち、特に大規模なものをいう。以下同じ。)又は騒乱等が発生し、かつ、これにより、我が国の存立が脅かされ、若しくは脅かされるおそれが生じ、又は国民の生命、身体若しくは財産に重大な被害が生じ、若しくは生じるおそれが生じ、又は国民生活との関連性が高い物資若しくは国民経済上重要な物資が欠乏し、その結果、国民生活及び国民経済に極めて重大な影響が及ぶおそれが生じ、通常の危機管理体制によっては適切に対処することが困難な事態をいう。
(基本理念)
第三条 国家緊急事態においては、国が国の安全並びに国民の生命、身体及び財産を保護する固有の使命を有すること並びに地方公共団体がこれを補完して当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することに鑑み、それぞれの役割に応じて相互に協力し、国の安全並びに国民の生命、身体及び財産を保護するために必要なあらゆる措置が講じられなければならない。
2 国家緊急事態への対処に当たり日本国憲法の保障する国民の自由と権利に制限が加えられる場合あっても、その制限は必要な限度に留められなければならない。
(国民の責務)
第四条 国民は、国及び国民の安全を確保することの重要性に鑑み、国家緊急事態において対処措置を実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとする。
(基本方針)
第五条 政府は、組織及び機能のすべてを挙げて国家緊急事態に有効かつ適切に対処することができるようにするため、あらかじめ、国家緊急事態への対処に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 国家緊急事態への対処に関する基本的な方針
二 国家緊急事態の類型及び認定並びに当該類型ごとの国家緊急事態への対処に関する基本的事項
三 前二号に掲げるもののほか、国家緊急事態への対処に関する重要事項
3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を国家緊急事態対処会議の長に通知するとともに、公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
第二章 国家緊急事態
(国家緊急事態の布告)
第六条 内閣総理大臣は、国家緊急事態に至ったと認めるときは、閣議にかけて、国家緊急事態の布告を発することができる。ただし、国家緊急事態に至った場合において特に緊急の必要があり、事前に閣議を経る暇がないときは、閣議にかけることなく、国家緊急事態の布告を発することができる。
2 前項の布告には、その区域、事態の概要及び布告の効力を発する日時を記載しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の布告を発したときは、布告を発した日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、又は当該布告の必要がなくなったときは、直ちに、当該布告を廃止しなければならない。
(内閣総理大臣の権限)
第七条 内閣総理大臣は、前条第一項の規定に基づき国家緊急事態の布告が発せられた場合において、国家緊急事態への対処のための措置を迅速かつ的確に実施するため必要があると認めるときは、その必要な限度において、別に法律で定めるところにより、必要な緊急の措置を講ずることができる。
(緊急政令)
第八条 内閣は、第六条第一項の規定に基づき国家緊急事態の布告が発せられた場合において、国及び国民の安全を確保し、国家緊急事態への対処のための措置を迅速かつ的確に実施するため特に緊急の必要があり、国会が閉会中又は衆議院が解散中又は国会の議決(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下同じ。)を経てその措置を講ずる暇がないときは、法律と同一の効力を有する政令を制定することができる。
2 内閣は、前項の政令を制定したときは、直ちにこれにつき国会の承認を求めなければならない。
3 内閣は、前項の場合において不承認の議決があったときは、直ちに、当該政令を廃止しなければならない。
(緊急閣令)
第九条 内閣総理大臣は、第六条第一項の規定に基づき国家緊急事態の布告が発せられた場合において、前条の規定による政令の制定を待っては国及び国民の安全を確保することができないと認められ、かつ、国会が閉会中又は衆議院が解散中又は国会の議決を経てその措置を講ずる暇がなく、特別の必要があると認められる充分な理由があるときは、法律と同一の効力を有する閣令を制定することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の閣令制定したときは、直ちにこれにつき国会の承認を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったときは、直ちに、当該閣令を廃止しなければならない。
(内閣の権限)
第十条 この章の規定は、第六条第一項の規定に基づき国家緊急事態の布告が発せられた場合において、別に法律の定めるところにより、内閣にその他の権限が付与されることを妨げるものでない。
(財政措置)
第十一条 第八条及び第九条の規定は、財政上の特別措置について準用する。
第三章 国家緊急事態対処会議
(国家緊急事態対処会議の設置)
第十二条 内閣に、国家緊急事態への対処を迅速かつ的確に実施するため、国家緊急事態対処会議を置く。
(国家緊急事態対処会議の所掌事務)
第十三条 国家緊急事態対処会議は、第六条第一項の規定に基づき国家緊急事態の布告が発せられた場合において、基本方針に従い、次に掲げる事務をつかさどる。
一 国家緊急事態への対処のために実施すべき措置に係る方針の決定に関すること。
二 国及び地方公共団体が国家緊急事態への対処のために実施する措置の総合調整に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
(国家緊急事態対処会議の組織等)
第十四条 国家緊急事態対処会議は、議長及び第五項各号に掲げる議員で組織する。
2 議長は、内閣総理大臣をもって充てる。
3 議長は、会務を総理する。
4 議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、次項第一号に掲げる者である議員がその職務を代理する。
5 議員は、次に掲げる者をもって充てる。
一 内閣法(昭和二十二年法律第五号)第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣
二 内閣官房長官
三 防衛大臣
四 外務大臣
五 財務大臣
六 国家公安委員会委員長
6 議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を国家緊急事態対処会議に出席させ、意見を述べさせることができる。
7 国家緊急事態対処会議に係る事項については、内閣法にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
8 この法律に定めるもののほか、国家緊急事態対処会議に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 法令の制定
第十五条 この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正が行われなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(警察法の一部改正)
第二条 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第七十一条第一項中「全国」を「国家緊急事態法(令和四年法律第▼▼▼号)第六条第一項の定めるところにより、全国」に、「緊急事態」を「国家緊急事態」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 内閣総理大臣は、第一項の布告を発したときは、国家緊急事態法第六条第三項の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。
(災害対策基本法の一部改正)
第三条 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)の一部を次のように改正する。
第百五条第一項中「内閣総理大臣」を「国家緊急事態法(令和四年法律第▼▼▼号)第六条第一項の定めるところにより、内閣総理大臣」に、「災害緊急事態」を「国家緊急事態」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 内閣総理大臣は、第一項の布告を発したときは、国家緊急事態法第六条第三項の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。
第百六条を次のように改める。
第百六条 削除
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