日本海を眺めながら列車の旅がしたい、という思いを持っていながら実現できずにいた。
昔、まだ20代の頃、知人と車で出かけた日本海。
能登半島も鳥取砂丘も行ったけれども、その時の記憶でより鮮明に残るのが、日本海に沿って走る道路を東から西に向かう車の窓から眺めた夕暮れの日本海だ。
雨が降っているわけではないのに、低く雲が垂れ込んで見える空からは、雲の間からにぶく夕陽が透けて差し込み、その空を写す海は波が高く、その波が寄せる海岸線には、波の花が打ち上げられていた。波の花は、海が荒れて強い波が押し寄せる冬の日本海沿岸の風物詩とある。日本海沿いの町には、ほんの2~3回行っただけだけれど、いつも海は荒れ、波は高く、いつ行っても日本海は暗かった。寂寥感漂う日本海に、もう一度今度は鉄道で行ってみたい。その思いが今回叶った日本帰国。妹と二人で小倉まで日豊本線で特急ソニックに乗り小倉から新幹線で新山口、新山口からスーパーおきで山陰に抜けて、出雲を目指した旅。
山口線を走る2両編成の特急、スーパーおきに乗って山陰を抜ける。途中駅の津和野には、出雲からの帰りに1泊する予定とした。旅行の計画は、私がアメリカで立てて、宿泊先もネットで予約を入れ、乗り継ぐ電車の時間も決めた。
私とは4歳離れた妹は、なんと、新幹線に乗ったことがないと言う。冗談でしょ、と返すと、本当だと真顔で答える。
地元を離れず、車社会で暮らし、近場には飛行場もあったりして、新幹線に乗らずに60近くまで生きてきたわけだ。天然記念物だ、と笑った。妹のような日本人、決して珍しくないのかもしれない。
妹はこの旅で新幹線デビューとなったわけです。
旅行をするなら、出雲に行きたい、と言ったのは妹だ。
日本人にとって出雲大社は、何か特別な存在なのだろう。私も山陰と言えばすぐに出雲を思い浮かべる。城崎温泉もあるし、宍道湖もあるな、だけど、やっぱり行くべきは出雲さんからだろう。
最寄り駅、出雲市駅。お社の形。
お参りは早朝がお勧めと、宿泊先の旅館の案内にあったので、朝ご飯前に出雲大社に参拝。
まだ夜の闇が残る町中は、人通りがほとんどない。
正門から門前通りを振り返る。遠くに大鳥居が見える。
大しめ縄は、思ったよりも相当大きかった。他の場所はまだ販売所が開いてなかったのですが、ここまで来たらやっと一か所開いてました、お守りを買いました。
この奥に見える屋根のお社が国宝の出雲大社の本殿。
玉砂利を敷き詰めた境内、きれいに掃除がいきわたり、厳かで、荘厳で、神妙な気持ちで参拝を続けました。6時からおよそ1時間半かけて境内を回り、旅館に戻る。
出雲の正門前にある竹内まりあさんの実家、竹野屋旅館に泊まりました。
朝ご飯。
旅館をチェックアウトし、荷物はそのまま預かって頂き、お社前の通りを散策。
旧大社駅の建物が歴史のある建物だらしく、是非見学したいと思ったのですが、駅舎は白い囲いの中。何と改修事業の最中でした。残念。
駅舎の横にある鉄道跡地には、SL機関車がありました。
大鳥居の側の道の駅、大社ご縁広場で焼き芋ソフトクリームを頂きました。
午前中で大社前のバス停を使って、出雲市駅まで行き、津和野に向かいます。バス停の向かいには、出雲さんに似つかわしいデザインのスタバ。
私たちが、出雲市駅行きのバスを待つお昼時は、出雲大社には、たくさんの人出。朝の時間とは雰囲気がガラリと変わってしまってます。朝の参拝が良いと勧める旅館の言葉は、間違ってなかったようです。
さて、初めて行った出雲大社ですが、旅行書などにある通り、夕方遅くの大社前には、食事処がほとんど開いていません。食事処が開いていないも何も、人通りがほとんどなく、まだ夕方7時過ぎと言うのに、通りの店は軒並みシャッターを下ろし閉店。街は真っ暗。遅い到着は夕飯ができる場所が近場にないと言う旅館の案内は間違ってませんでした。当初は午後8時頃の到着予定だったため、朝食付きの1泊で予約したのですが、到着が早まり、旅館には7時にチェックイン。その足ですぐに外に不安になりながら夕飯探しに。竹野屋旅館の向かって左隣にある建物の2階に海鮮丼のお店がまだ開いていたので、問答無用でそこに入り、そこで一番豪華な海鮮丼を食べました。
階段をお店の中に入ると、いたのは日本人ではないと思われる女性従業員一人だけ。
大丈夫かな、という思いになりましたが、何と、出てきた海鮮丼は大変美味しかったのです。食事が終わって、すぐそばのコンビニでおやつなどを買って旅館に戻ると、私たちがさっき食事をした2階の海鮮丼のお店はすでに真っ暗、閉店のサインが出てました。8時くらいだったと思います。大社前のお店は軒並み7時~7時半には閉店するようで。このお店も閉店間際に私たちが入ったってことなのかもしれません。
コンビニには、夕飯の代わりになりそうなものも売っていたので、最悪はコンビニで夕食を手配する事もできたと思います。でも、昼は駅弁で済ませたわけで、せっかく出雲まで来たのだから、夕飯は豪華に行きたいね、と話は決まり。海鮮丼で大正解でした。
小倉駅で買った駅弁を特急スーパーおきの中で。お昼ごはんはこれでした。
おこわが好きな私が選んだのは、無法松弁当。