田植え機に乗った元サラリーマン

車中泊旅や探石などを楽しみながら生活の中で感じたこと思ったことなどを気まぐれに書き込んでいます

八溝石-2

2020-03-17 | 石ころ
3.観賞石としての八溝石
 観賞石としての八溝石はその昔は地元の素封家などが庭石などに使っていただけのようです。水戸藩主徳川斉昭が地方巡村の時の休息所となった当地の八溝林業の祖・旅澤家の書院の庭には立派な八溝石があるそうです。土地の古老の話によると昔は限られた人しか興味を示さなかった石で、八溝川のあちこちの川原に八溝石は山となってあったそうです。ところが昭和30年代後半、東京オリンピックあたりから観賞石、水石ブームが始まると、八溝石も庭石や水石として人気が出てだいぶ高値で取引されたそうです。そして高度経済成長時代が進むとともに石の愛好家が激増、多くの人が八溝山を訪れ川や山を探石、あれだけあった石が欠片もなくなってしまったそうです。その後昭和バブルの頃に再度水石ブームが来たようですが現在は落ち着き、大水が出た後ぐらいに何人かの石マニアが八溝川を訪れる程度だそうです。まさに「兵どもが夢の跡」ですね。..........

八溝川の石
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そんな「八溝石」なんですが、細かく分けると八溝山石と八溝川石に分けられます。
 ⓵ 八溝山石
 先ずは八溝山石なんですが、どこの山で採れるかというと「八溝石」と名前は付いているものの八溝山の山頂、山腹にはなく、八溝山地の南山麓のとある山の土中で採れるとのことです。これも土地の古老の話なんですが、なんでも採れる場所は幅〇〇m程度でそれが帯状に山をよぎりその脈の最後は地中に潜っているそうで、その限られた場所でしか出ないらしいです(真偽のほどは判りません)。想像するにプレートの強烈な力で捻じ曲げられた表層堆積物の地層、この限られた帯状に広がる地層にマグマが入り込み熱変成作用を起こし八溝石を作りだしたものと思われます。そんな限られた地層がある山で採れるのが八溝山石です。
(具体的な場所は教えてもらえませんでしたが、この古老の話とネットに記載されている情報などを繋ぎ合わせて推測するに大子町上野宮蛇穴地区の八溝川沿いの山って感じがしました。まぁ蛇穴地区は広いんですけどね…) 
「八溝山石」
  ・ 砂岩・頁岩などを母岩とする変成岩
  ・ 鋭利、荒れ肌、じゃぐれ、硬質
  ・ 色は黒、蒼黒、赤茶、褐色、灰色
  ・ 形は山形、島形、舟形、岩潟など多種多様、変化に富んでいる
  ・ 色は黒、蒼黒、赤茶、褐色、灰色
  ・ 吸水性、親水性は抜群、枯淡の味わいをもつ趣のある石

八溝川の石

 ⓶ 八溝川石
 続いて八溝川石なんですが、これは八溝山石が山から八溝川にこぼれ落ち転石となったもの、八溝川の急流に揉まれそして擦られて角がとれたいわゆる「かわずれ石」です。八溝川は八溝山南麓の栃木県境に源流を発し、上流は山と山の間を下る急流、中下流域は平地に出て流れもやや穏やかになり、そして下野宮地区で久慈川に注ぐ14~5㎞の小さな川です。ヤマメ、イワナ、ハヤ、ニジマス、アユが釣れる関東有数の渓流釣りのメッカとしてもつとに有名で、釣り人が絶えません(10月~3月禁漁)。八溝山ろくの水を集めて流れていますので比較的水量は豊富かつ水はキレイ、この川を八溝石も転石として下って行きます。
上流の山から落ちたばかりの八溝川石はまだ山石としての特徴を残していて荒々しく鋭角的ですが、急流を下り中下流域に行くにつれほどよく角がとれ、険しさやとげとげしさは姿を消し穏やかな表情に変わり、バランスのよいそして奥深さが増した趣のある石となります。
「八溝川石」
  ・ 砂岩・頁岩などを母岩とする変成岩
  ・ 硬質、穏やかな石肌、溜まり
  ・ 色は黒、蒼黒、赤茶、褐色、灰色
  ・ 形は島形、岩潟など
  ・ 吸水性、親水性に富む

八溝石

4.探 石
 この辺りの山は国有林、県有林が比較的多いものの一部に個人所有の山が点在するようです。以前に入山料を取って石の採掘を許可していた個人の山があったそうですが、土中の石を採掘する際あちこち掘り起こすため杉の根っこを傷めてしまうことなどの理由で、今現在はすべての山が入山禁止、採掘禁止となっているようです。従って八溝山石の探石は不可ということになります。
 残されたのは八溝川石、すなわち八溝川の転石狙いということになります。その1で八溝山で不思議な山と書きましたがこの八溝川も不思議な川なんです。何が不思議かって下流、中流域はもちろん上流の源流付近までその沿岸にほぼ切れ目なく家が点在しているんです。まぁ最近は過疎化に伴い廃屋となっているところも目立ちますが、八溝山神社の登り口鳥居近辺、その先あたりまで人家があります。人が住んでいるってことはこの地区が豊だという証明に他なりません。昔に遡れば八溝山ろくには多数の金山があったようで、それに携わる人もそれなりにいたようです。そして何といっても有名な八溝杉、八溝ヒノキの林業、これに関わる多くの人がここにはいるようです。さらに下流域では豊かな八溝川の水でのコメ作りやお茶、蒟蒻などの農業、近津神社には「お田植祭」なる古くからの祭りが残っています。さらに八溝山にある日輪寺は坂東三十三観音霊場の第21番札所、現在は車でさっといけますが、その昔は三十三観音最大の難所であまりの厳しさに遠くから遥拝して済ませた人も多かったようです。八溝地区はそんな人々の宿泊地でもあったかもしれません。
 話が横道にそれてしまいましたが何が言いたいかというと、八溝川沿岸は一部を除いて生活圏だということです。水石の雑誌などには探石のポイントなどが記載されていますが、この点を十分留意しなければなりません。また八溝川沿いの県道28号線は八溝山登山口までバスが走っていて、八溝川上流の一部においては道幅がかなり狭く、そんな場所での駐車スペースは限られています。
ということでそういったことに十分留意して探石を楽しみましょう。そして是非ともいい石に出会いたいものです。

以下に続く
八溝石-3
八溝石-4
八溝石‐5
八溝石-6

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