子どもの近視が急増する傾向は、 日本だけでなく世界でも同様です。
近視を発症したまま放置しておくと年齢が上がるにつれ近視は進行 していきます。
近視は一度発症すると治らないと言われており、 いかに近視にならないようにするか、 また近視の進行をなるべく遅らせるため、 子どもの頃からの対策が重要です。
近視になっても眼鏡やコンタクトレンズがあるから問題ないとの考 えは疑問です。
受験競争や生活空間の都市化に伴い、 学童期に屋外で活動する機会が減っています。
また、 スマホやタブレットが生活や学校の授業に入ってきたことで、 液晶画面を見る時間が増え近視が進みやすくなります。
特に都市部の学童は、 何も知らずに生活しているといつの間にか近視が強くなっている、 という結果に繋がっていると思われます。
近視抑制、台湾の国家対策
台湾で国を挙げて屋外活動を一定以上行うことで、 近視の進行を抑えることができることが証明されました。
台湾で国を挙げて屋外活動を一定以上行うことで、
両親ともに近視の子供は5. 7倍近視になりやすいとされています。
ところが屋外活動を週に14時間以上行うと、その差が縮まり、 近視になりにくくなることが分かりました(*1)。
つまり、日に2時間屋外活動を取り入れれば近視の進行抑制が可能 と言えるのです。
台湾では法律を改正して、
そのほかの授業(理科など) なども屋外での実施を推奨しています。
これは、 明るさ1000ルクス以上の光を週11時間以上浴びた子どもが、 近視になりにくいという研究成果に基づいています。
一般的に屋内では300ルクス前後、 窓際でも800ルクス前後ですが、 屋外では日陰でも数千ルクスに達します。
つまり、十分な光を浴びるには屋外でなければ難しいということで あり、屋外で1日2時間、 自然光を浴びることを目標にしているのです。
では、 なぜ十分な光を浴びることで近視が進みにくくなるのでしょう?
では、
この点についてはオーストラリアの研究が知られています。
十分な光を浴びることにより網膜にドーパミンという神経伝達物質 が大量に産生され、ドーパミンが近視を抑制する遺伝子に働きかけ ると考えられたのです (*1) 。
参考までにオーストラリアでは児童は昼食を外で食べることが義務 付けられているとのことです。
戦前の日本では「野外活動」が多かったおかげか、 近視の児童は少なかったと言われています。
成長期に野外で過ごす時間が短くなるにつれ、 多くの国で近視が増加傾向になることは事実のようです。
今後、スマホやタブレットを無くすことは困難でしょうが、「 自然光を浴びる時間を長くする」 ことは特別な負担や費用をかけずに出来ることです。
学校の視力検査で「視力低下のため要眼科受診」 の指摘を受けた場合は、子供さんの屋外活動時間に注意してはいか がでしょうか?
*1; Lisa A Jones, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2007 Aug;48(8):3524-32. doi: 10.1167/iovs.06-1118.
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