おぐりクリニック

眼科、アレルギー科、漢方外来

ICL, IPCL (眼内コンタクトレンズによる近視治療)の医学的合併症 ⑤

2022-12-31 | 日記

 残念ながら、今年、医学的理由でICLの入れ替えが必要となった患者さんがおられました。

以前のICL手術では術後に目の中の
「ICLによって房水の流れに問題を生じて起こる眼圧上昇(急性緑内障発作)」回避目的で、
「虹彩切除術」を必ず行っておりました。

虹彩切除を不要とする目的で「ホール付きICL」が開発され、
現在のレンズでは急性緑内障発作は生じないと言われております。

しかしながら、その患者さんでは手術当日に
「ホール付きICL」を使用したにもかかわらず眼圧上昇が生じました。

通常は眼圧を下げる点滴注射で回復するのですが、
点滴では翌日も眼圧が下がらず再手術対応が必要となりました。

何故、眼圧が上がったのか、現在でも原因がはっきりしません。

おそらく術前の検査で計算された眼内コンタクトレンズのサイズが
この患者さんには大きすぎて眼内で負担がかかったのだろうとの推定で、
サイズを小さくしたレンズに入れ替えを行うことになりました。

手術前より眼圧が正常より高めの方ではありましたが、
レンズの入替後は術前と同じ程度の眼圧で落ち着いております。

視力は裸眼で1.2と回復しておりますが、
眼圧上昇の後遺症と考えられる「白くぼやける」自覚的不快感が残っており、
慎重に術後観察を行っております。

 

これまで眼内コンタクトレンズの合併症を数回にわたりご紹介してきました。

どのような手術でも、今回ご紹介させていただいたような「想定外」の合併症は
たとえ割合は少なくても起こる可能性があります。

仮に合併症が生じても多くの場合は対応可能であることを理解の上、
不要に合併症を心配することなく安心して治療を受けていただければ幸いです。

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 

さて、従来当方のホームページ上で配信していたドクターコラムを、
今年は gooブログ へ移行させていただきました。

まだ慣れない部分が多く、対応に戸惑っております。

それでも多くの方に当ブログを読んでいただき、誠にありがとうございました。

どうぞ皆さま良い新年をお迎えください。

来年もよろしくお願い申し上げます。

 

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ICL, IPCL (眼内コンタクトレンズによる近視治療)の医学的合併症 ④

2022-12-28 | 日記

今回は眼内コンタクトレンズを使用する近視手術での医学的合併症の中で、

再手術が必要な場合についてお話しさせていただきます。

 

□   眼内レンズの再固定 / 入替え / 摘出手術について

手術により眼に挿入された眼内コンタクトレンズは、再固定や入れ替え、摘出の必要がある場合があります。

 

通常、合併症の処置や医学的理由で行いますが、それ以外に例えば夜間の暗いところでの見えにくさなど、

患者様のご希望や医師の判断で行うこともあります。

 

手術は麻酔を行った上で、清潔なカバーを眼の周りに掛け、初回手術と同様の器具を用いて行います。

術後に抗生物質や抗炎症点眼薬を使用します。

 

□  手術の目的と利点

合併症の治療や予防、リスクの軽減、または視力改善を目的としています。

 

□  手術に伴うリスク

稀ですが、感染症、過矯正、低矯正、視力不良、瘢痕形成、炎症、網膜裂孔や網膜剥離、

グレア、ハロー、夜間視力不良、ドライアイ、視力障害のほか、運転や仕事に支障を生じるなど、

視力回復のために追加手術や手術以外の治療が必要になる可能性があります。

 

次回は、実際に当院での治療後に生じた想定外の合併症についてお話しさせていただきます。

 

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ICL, IPCL (眼内コンタクトレンズによる近視治療)の医学的合併症 ③

2022-12-23 | 日記

今回も、ICLを使用する近視手術での医学的合併症について前回からの続きをお話しさせていただきます。


□  グレアやハロー

グレアやハローという光がにじむ現象を感じることがありますが、
手術後数ヶ月で多くの方では気にならなくなるようです。

グレアやハローは、暗いところで瞳が大きく開きやすい方や、
手術前の近視度数や乱視度数が強度の方ほど感じる可能性があります。

術後一年たっても、「意識すると“見える”」と言われる方もおられます。
眼内レンズの構造上、完全には解決しない問題として理解していただく必要がありそうです。

とはいえ、「グレアやハローが少々見えることよりも、
視力が回復し生活が快適になったメリットが大きいのでとても満足しています」と
手術を選択したことをお喜びいただける方が殆どです。

 

□  白内障

レンズが水晶体に接触または接近した場合、
手術直後または数年経過してから稀に白内障を発症することがあります。

白内障が起きた場合は、挿入したレンズを取り出しサイズを変えた新しいレンズを再度挿入することで、
白内障の進行を抑えることが出来る場合があります。

ただし既に白内障が進行している場合には、白濁した水晶体を取り除き、
代わりに白内障治療用の眼内レンズを挿入することがあります。

とはいえ、加齢とともに白内障は必ず起こります。


前回のブログでお伝えした『老眼』の問題は、すなわち白内障の発症なのです。

この白内障の発症は個人差が大きいのです。

例えば、アトピー性白内障は小学生でも発症することがあり、
小栗も小学生の白内障の手術経験があります。

そうでなくても20代、30代でのアトピー性白内障手術は比較的多く経験しており、
アレルギー体質の方は眼内コンタクトレンズに関わらず白内障の進行が速い印象です。

尚、アレルギーとは「免疫の異常」とご理解ください。

身体を守る免疫力の状態によって、様々な病気が生じます。

眼内コンタクトレンズ手術に限らず、手術合併症は「免疫力の低下」と大きく関係します。

白内障、老眼予防を含め、当院で「漢方外来、アレルギー科」を行っている理由は、
目の病気は身体のケアによって予防、治療が可能と考えるからです。

ご興味をお持ちの方は、こちらをご参照下さい。 

https://blog.goo.ne.jp/kouhoukai/e/0e87ed139ba7246f386ec41c81af70ea

 

□  その他の注意事項

手術後に眼鏡やコンタクトレンズが必要になったり、
期待通りの結果にならない可能性があります。

高精度の技術による有水晶体眼内レンズ手術の結果、
多くの患者様が良好な視力となり満足していただいておりますが、
お一人お一人の手術結果を完全に予測することはできません。

手術後の視力にご満足いただけない場合、
必ずしも元の状態に戻るとは限りませんが、
レンズを取り除く手術を行うことで手術前に近い状態に戻すことは可能です。

 

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ICL, IPCL (眼内コンタクトレンズによる近視治療)の医学的合併症 ②

2022-12-05 | 日記

今回は、ICLを使用する近視手術での医学的合併症について前回からの続きをお話しさせていただきます。

 

□  老眼について

眼はオートフォーカスカメラのように、近距離、遠距離を含むすべての距離に対して焦点を合わせる機能があり、これを調節力といいます。

この調節力は40歳くらいから低下し始め、近距離に焦点を合わせにくくなるため、本を読んだり近くのものをはっきり見るのが困難になります。

調節力の低下は60歳くらいまで進行し、焦点を合わせる機能が弱くなります。この一連の過程は「老眼」と呼ばれます。

有水晶体眼内レンズ挿入術(ICL、IPCL)は眼鏡やコンタクトレンズの依存度を減少させる目的で行いますが、

眼の自然な老化現象は抑えられないため、加齢に伴い老眼鏡が必要になります。

 

老眼対応の「遠近両用IPCL」が実用化されています。当院でも一時期導入しました。

使い捨ての遠近両用コンタクトレンズが市販されていますが、人によって満足度が安定しないという実情があります。

試してみたが、見え方に不満足で、結局、通常のコンタクトレンズに戻して手元は老眼鏡をかけるという方が多いのです。

 

「遠近両用IPCL」も様々な医学検証はされており、実用に足るという研究結果が報告されています。

しかしながら、通常のICL、IPCLでは術後の見え方のご不満は殆ど起こらないのにくらべ、

少なくとも当院での遠近両用IPCLを選択された患者さんについては術後の見え方の不満を訴える方が散見されました。

そのため、残念ながらレンズの摘出を強くご希望され再手術対応をさせていただいた方がお一人おられます。

遠近両用の有水晶体眼内レンズは今後発展の可能性はありますが、

現時点では通常のレンズより手術費用が高額になることもあり慎重な対応が必要だと考えます。

現在、当院では遠近両用有水晶体眼内レンズ手術は行っておりません

 

また、老眼の自覚が出現し老眼鏡の使用を始めるのが、一般的に45歳以降と言われています。

ところが「スマホ老眼」( https://oguriganka.or.jp/index.php?mnu=0211&IDX=360 )という言葉が出来たように

「老眼発症の低年齢化」が起こっているようです。20~30代のかたでも「手元が見づらい」自覚をお持ちの方が増えていると言われています。

 

実際、40歳以降の老眼の出現は個人差が大きいと臨床現場で実感しております。

40歳前半であっても近視手術を行って「手元が見づらくなった」、「遠くのメガネは不要となったが、手元用メガネが必要となった」という

患者さんが10年前に比べて増えたように思われます。

そのため、当院では手術による近視治療ICL、IPCLは40歳までとさせて頂いております。

事前に老眼の問題を説明はしてご本人が理解されても、徐々に手元が見づらくなる老眼は思いのほか早い年齢で起こってくると、

「こんな筈ではなかった」と思う方が少なくないのも事実だと感じているためです。

 

参考までに、この老眼の進行を遅らせることは若いころからの日常生活対応で可能だと考えます。

ご興味をお持ちの方は、こちらをご参照下さい。 https://blog.goo.ne.jp/kouhoukai/e/0e87ed139ba7246f386ec41c81af70ea

特にこれからICL,IPCL手術を検討されている方は、目は身体の一部ですので長く良い視力を維持するためにも

知識として知っておいていただきたいと思います。

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