おぐりクリニック

眼科、アレルギー科、漢方外来

特殊コンタクトレンズ

2024-08-30 | 日記

本年7月14~15日に東京で開催された第66回日本コンタクトレンズ学会の報告の続きです。

今回は、4番目のテーマ

特殊コンタクトレンズ
について解説させていただきます。

 

< ④ 特殊コンタクトレンズ >

 

オルソケラトロジー・レンズも特殊コンタクトの一つです。

 

それ以外に、円錐角膜という角膜の病気に対する「強膜レンズ」や「ハイブリッド・レンズ」が日本では未認可です。

円錐角膜のかたではメガネやソフト・コンタクトレンズ(以下、ソフト)では良い視力が得られにくく、ハード・コンタクトレンズ(以下、ハード)で視力矯正をすることが第一選択となります。

良い視力を出すためにハードを使用するのですが、円錐角膜という特殊な角膜の形をしているため、ハードの痛みや不快感を生じやすく、フィッテイングの困難さから角膜に傷がついてハードが使えなくなる方もおられます。

 

そのような方に、「強膜レンズ」や「ハイブリッド・レンズ」はとても役に立つことが多いのですが日本では入荷困難です。

 

厚生労働者がこうしたレンズの承認に向けて動いてはおりますので、欧米のように近い将来の普及が望まれます。

 

当院では両レンズとも取り扱いは行っておりませんが、ご希望の方は対応施設を紹介させていただきますので医師にご相談ください。

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おぐりクリニック https://oguriganka.or.jp/

〒526-0847 
滋賀県長浜市山階町451 

ネットショップ オピュール https://www.rakuten.co.jp/oland/

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子供さんの近視による視力低下、放置ではなく「対策することが当然!」

2024-08-26 | 日記

本年7月14~15日に東京で開催された第66回日本コンタクトレンズ学会の報告の続きです。

今回は、3番目のテーマ

近視に対する考え方
について解説させていただきます。

 

< ③ 近視に対する考え方、「対策することが当然!」 >

 

ご自身が近視で悩んだ親御さんは、自分の子供が近視で困らないように何とかしてあげよう、と思われる方が多いように思います。

オーストラリアでは日本よりも人口当たりの検眼医(オプトメトリスト: コンタクトレンズ処方に携わる医師)の数が圧倒的に多く、オルソケラトロジーによる近視治療がかなり普及しています。

近視治療および進行抑制手段があるのだから、出来るだけ早くから治療をすることが当然であり、放置するという選択肢は考えられない。」との考え方が一般的とのこと。

 

日本では、

「視力が悪くなったら眼鏡をかければよい。さらに視力低下が進行したら、メガネの

度数を強くすればよい。」という考えがまだまだ多いのかもしれません。

 

さらに、

「眼鏡がいやならお手軽な使い捨てソフトコンタクトレンズ(以下、ソフト)で良い。」

と考える方も多いのでしょう。

これは、

「テレビでコマーシャルもされているから、ソフトは安全、快適!」

との誤解からの考えのようです。

実はソフトはドライアイや酸素不足による合併症以外にも、「近視が進行する」ことが医学研究で証明されています。

必要以上に近視が進行することは成長期の子供さんにとって大きなデメリットです。

 

眼鏡、ハードコンタクトレンズ(ハード)、ソフト、オルソケラトロジー の4つの視力矯正方法の長期間検討で、

一番近視が進行するという結果が出ているのがソフトです。

以下のような順番で近視が進行するという医学データが出ています。

ソフト > 眼鏡 >> ハード >> オルソケラトロジー

 

100%近視を抑制する方法は現時点ではありません。

とはいえ、小学1年生からオルソケラトロジーを行っている当院での結果や実感として、

圧倒的にオルソケラトロジーでは近視進行が抑制されています。

 

近視が進行した場合、以下のような問題が生じます。

① 中年期以降での失明疾患の増加(緑内障、黄斑変性、網膜剥離など)

② 眼鏡のレンズが厚くなることによる不快感

③ ソフトもレンズが厚くなることによる不快感、及びドライアイや酸素不足による角膜障害

④ 近視手術の選択肢が減り、治療費用も高額になる

 

また地震をはじめ災害時に裸眼視力の良し悪しが命にもかかわりかねないことを多くの方が体験されています。

 

日本コンタクトレンズ学会では「オルソケラトロジー」のメリットが医学研究を通して認識されています。

もちろん合併症も知っておく必要があります。

しかしながら、コンタクトレンズで起こりうるキズや感染のリスクはあるとはいえ、

ソフトに比較して格段に目に障害を生じるリスクが低く安全性に優れていると考えます。

 

「近視は治すことが当然!」という他国での考え方、特に大事なお子様の視力については参考になさって下さい。

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遠近両用ソフトコンタクトレンズとその問題

2024-08-12 | 日記

本年7月14~15日に東京で開催された第66回日本コンタクトレンズ学会の報告の続きです。

今回は、

遠近両用ソフトコンタクトレンズとその問題
について解説させていただきます。

 

② 日本では遠近両用ソフトコンタクトレンズ(以下、遠近)の使用が少ない 

 

遠近を試供した方の満足度が低いことが日本の特徴だと感じています。

遠近ではなく、「通常(単焦点)のコンタクトレンズ(コンタクト)を装用して、近くを見るときは読書用眼鏡(いわゆる老眼鏡)を使用」という方が多いように感じています。

 

意外と知られていないのですが、ソフトコンタクトレンズ(以下、ソフト)は涙の状態により見え方の質が大きく変わります。

「ドライアイの方は、視力の質が低下しやすい。」と言えます。

一日、ソフトを付けていると目が疲れて、装用時間が長くなるにつれて目がかすんでくる、多くの方がこうした経験をされていると思います。

 

目の潤いが不十分だと、ソフトでの視力が安定しないのです。

 

このような方が遠近を使用すると・・・。

 

<遠近両用ソフトの仕組>

 

遠近両用ソフトコンタクトレンズとは、1枚のレンズに遠くを見る度数と近くを見る度数が同心円状に配置されているコンタクトレンズです。

 

レンズの中心部から周辺部分に向かって徐々に度数が変化する、マルチフォーカル(MF、多焦点)といわれるタイプがほとんどです。

 

(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー ホームページから転載)

 

参考ですが、ハードコンタクトレンズ(ハード)ではバイフォーカル(BF、二重焦点)といわれる1枚のレンズの中で遠用・近用の2種類の度数がはっきり分かれているものもあります。

 

遠近のデメリットは、慣れるまで視界がぼやけることがあるという点が挙げられます。

 慣れるまでは、近くも遠くも見えにくい状態です。

また、遠近は遠くも近くもどちらも見えるようにする構造になっているため、一般的な単焦点のコンタクトに比べると見え方の質が悪くなります。

 

特に注意が必要なのが夜間の運転です。

夜間の暗い場所では瞳孔が開くため、コンタクトの遠用度数部分と近用度数部分が同時に視界に入り、ぼやけたり光がにじんだりすることがあります。

明るい場所ではよく見えていたとしても、暗い場所では見え方が悪化しやすいため、遠近での夜間運転には注意が必要です。

 

上記のような遠近の特徴を理解いただいて上手に活用される場合は良いのですが、長年ソフトを使用していた方では「ドライアイ」は必発とも言えます。

ドライアイで涙の問題を抱えている方が遠近を付けた場合、それまで使用していた遠方専用ソフトに比べて「見えない」感覚が強くなるのです。

 

ソフトを使用される方には点眼保湿を強くお勧めしております。

使い終わって破棄するソフトを机の上などに放置すると、「干からびてレンズが固まっている」という経験をされていませんか?

 

日中、寝る前までソフトを着けていても、外したレンズは「干からびてはいない」ですよね?

相当量の涙を毎日ソフトに吸い取られているのです。

ドライアイにならないはずがない理由を理解いただけると思います。

 

このような場合は、ソフトの使用を少なくするべきです。

40歳以降の働き盛りの方で、どうしてもソフトの使用を減らすことが難しい場合は遠近両用ソフトより、通常のソフトを着けた状態で老眼鏡を使用する方が良い視力を出せると考えます。

繰り返しますが、この場合でもソフトを使用するのであれば保湿点眼はご自身の眼を守るために必須とお考えください。

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