今回は前回からの続きで女性に良く使われる春の処方をご紹介します。
■抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、イライラしたり、
怒りっぽくて神経が高ぶっている方の神経症、不眠症などに向いている漢方薬です。
当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・陳皮(ちんぴ)・釣藤鈎(ちょうとうこう)・白朮(びゃくじゅつ)
茯苓(ぶくりょう)・半夏(はんげ)・柴胡(さいこ)・甘草(かんぞう)が含まれています。
更年期障害など女性の症状にもよく利用されます。
「目は口ほどにものを言う」「目に生気がない」など目にはその人を表す力が宿っています。
中国伝統医学(中医学)では目は五臓の働きや精気の状態が現れる場所と考えます。
五輪学説で目を細かく見ると、
瞳孔は腎、角膜は肝、結膜は肺、目頭・目尻は心、瞼は脾(消化器系)と関連しています。
寝ている時にまぶたが半開きになる人は脾が弱い体質といえます。
五臓の中で目と一番大きな関わりを持つのは「肝」です。
肝と目は経絡(ツボとツボをつなぐ線路で気と血の通り道)でつながっていて、
肝に異常があると目にトラブルが起こります。
肝の働きは
①全身の気を巡らせて精神情緒を安定させる
②血を蓄えて他の臓腑や器官に分配する
ストレスの影響を受けやすく、ストレスを受けると気血の流れが滞り、肝が熱をもち、
イライラしたり、目が充血したり、目が疲れるということがあります。
肝熱を鎮め、気の流れを整える漢方薬を用いると目のトラブルがすっと良くなります。
炎症やかゆみが起こりやすい場合にも良いです。
眼底出血には瘀血(おけつ)という血流障害が関与しますが、
ストレスや老化、近視などがリスクとなります。
予防には瘀血改善と肝腎の強化、網膜強化のための補気薬などの漢方薬が有効です。
飛蚊症は、中医学では肝臓の血液不足(肝血虚)と考え、肝の血を補うことを重視します。
しかし、飛蚊症の見え方が急に変化した場合は網膜剥離や硝子体出血などの可能性があるので
すぐに眼科を受診しましょう。
その他の目のトラブルにも五臓や気血水の流れをみて整えていきます。
肝の働きと女性との関わりとは
肝は全身の気をめぐらせる働きがあります。
肝が正常に働くと、精神・情緒を安定させることができます。
つまり、肝の状態を整えることで、春に起こりやすい症状を抑えることができるのです。
また、血(けつ)を貯蔵する、血の量をコントロールする働きもあります。
血は寝ているときや、休んでいるときは肝に貯蔵されますが、
マラソンなどの激しい運動をするには、たくさんの血が必要となります。
特に女性は、肝と深い関わりがあると考えられており、生理に重要な役割を果たしています。
肝の血が不足してしまうと、生理が順調に来なくなったり、生理痛が起こったりすることがあります。
女性はホルモンバランスの影響により、生理前にイライラしたり、落ち込んだりするなど、
精神的に不安定になる方も多いのではないでしょうか?
肝と関連の深いこの漢方薬、眼科疾患でもお役に立つことと思います。
気になる症状をお持ちの方は、当方へご相談ください。
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