おぐりクリニック

眼科、アレルギー科、漢方外来

目と肝、女性!

2023-05-20 | 日記

今回は前回からの続きで女性に良く使われる春の処方をご紹介します。


■抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) 


体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、イライラしたり、
怒りっぽくて神経が高ぶっている方の神経症、不眠症などに向いている漢方薬です。


当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・陳皮(ちんぴ)・釣藤鈎(ちょうとうこう)・白朮(びゃくじゅつ)
茯苓(ぶくりょう)・半夏(はんげ)・柴胡(さいこ)・甘草(かんぞう)が含まれています。

更年期障害など女性の症状にもよく利用されます。

 

「目は口ほどにものを言う」「目に生気がない」など目にはその人を表す力が宿っています。

中国伝統医学(中医学)では目は五臓の働きや精気の状態が現れる場所と考えます。

五輪学説で目を細かく見ると、
瞳孔は腎、角膜は肝、結膜は肺、目頭・目尻は心、瞼は脾(消化器系)と関連しています。

寝ている時にまぶたが半開きになる人は脾が弱い体質といえます。

五臓の中で目と一番大きな関わりを持つのは「です。

肝と目は経絡(ツボとツボをつなぐ線路で気と血の通り道)でつながっていて、
肝に異常があると目にトラブルが起こります。


肝の働きは

①全身の気を巡らせて精神情緒を安定させる

②血を蓄えて他の臓腑や器官に分配する


ストレスの影響を受けやすく、ストレスを受けると気血の流れが滞り、肝が熱をもち、
イライラしたり、目が充血したり、目が疲れるということがあります。

肝熱を鎮め、気の流れを整える漢方薬を用いると目のトラブルがすっと良くなります。

炎症やかゆみが起こりやすい場合にも良いです。


眼底出血には瘀血(おけつ)という血流障害が関与しますが、
ストレスや老化、近視などがリスクとなります。

予防には瘀血改善と肝腎の強化、網膜強化のための補気薬などの漢方薬が有効です。


飛蚊症は、中医学では肝臓の血液不足(肝血虚)と考え、肝の血を補うことを重視します。

しかし、飛蚊症の見え方が急に変化した場合は網膜剥離や硝子体出血などの可能性があるので
すぐに眼科を受診しましょう。

その他の目のトラブルにも五臓や気血水の流れをみて整えていきます。

 


肝の働きと女性との関わりとは


肝は全身の気をめぐらせる働きがあります。

肝が正常に働くと、精神・情緒を安定させることができます。

つまり、肝の状態を整えることで、春に起こりやすい症状を抑えることができるのです。

また、血(けつ)を貯蔵する、血の量をコントロールする働きもあります。

血は寝ているときや、休んでいるときは肝に貯蔵されますが、
マラソンなどの激しい運動をするには、たくさんの血が必要となります。

特に女性は、肝と深い関わりがあると考えられており、生理に重要な役割を果たしています。

肝の血が不足してしまうと、生理が順調に来なくなったり、生理痛が起こったりすることがあります。

女性はホルモンバランスの影響により、生理前にイライラしたり、落ち込んだりするなど、
精神的に不安定になる方も多いのではないでしょうか?


肝と関連の深いこの漢方薬、眼科疾患でもお役に立つことと思います。

気になる症状をお持ちの方は、当方へご相談ください。

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漢方薬解説

2023-05-15 | 日記
今回は以下の漢方薬の解説をさせていただきます。
 
 ・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

体力中等度以上で精神的な不安により、不眠や動悸などがあり、
思い悩んでしまう方に処方する漢方薬です。
 
柴胡(さいこ)・半夏(はんげ)・茯苓(ぶくりょう)・桂皮(けいひ)・黄芩(おうごん)・
大棗(たいそう)・人参(にんじん)・竜骨(りゅうこつ)・牡蛎(ぼれい)・大黄(だいおう)・
生姜(しょうきょう)が含まれています。

仕事や人付き合いなどでイライラし、思い悩んでしまう方、
テスト前や試合前などに緊張して眠れない方
などにおすすめの医薬品です。
 
「あれっ! 私のことかも・・・!?」
と思われる方が多いのではないでしょうか!
 
ある意味、現代人で上記の症状が無い方の方が珍しいとも思われます。
真面目な日本人気質とも言えるでしょうか。

漢方では、眠りには「気」が関連していると考えます。
たとえば、赤ちゃんがたくさん寝られるのは、「気」が十分に足りていて、
体の中をきちんとめぐっているからです。

ところが、大人になるとさまざまな情報にさらされ、
疲労や精神的ストレス(不安)といったものが増えてきませんか? 
 
疲労やストレスは「気のめぐり」を邪魔してしまうものです。
「気」がめぐらないと体に熱がこもり、こもった熱は頭に昇って脳を疲れさせてしまいます。

「柴胡加竜骨牡蛎湯」は、「気」をめぐらせ、体にこもった熱を冷ますとともに、
心を落ち着かせるのがポイントの処方で、
脳の興奮からくる不眠を改善する作用のある漢方製剤です。

私は以下のような場合にこの漢方薬を処方しています。
 
① 気のめぐりが悪くなっていてカラダの熱がこもっている方
② 便秘・高血圧といった症状をお持ちの方
③ 前回、お伝えしたように緑内障で眼圧を下げる必要がある場合
 
日本人に緑内障が増えている原因として、
上記のような「気のめぐり」の問題と関係しているかもしれませんね。
 

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春の症状を解消し、快適に過ごすための漢方薬

2023-05-01 | 日記

前回、春を快適に過ごすための以下の漢方薬を記載しました。

 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 

 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) 

 

今回はそれぞれの漢方薬の解説をさせていただきます。

 

 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 

 

体力中等度をめやすとして、精神が不安定喉に異物感がある方に向いているとされます。

半夏(はんげ)・茯苓(ぶくりょう)・厚朴(こうぼく)・蘇葉(そよう)・生姜(しょうきょう)が含まれています。

 

<半夏(ハンゲ)>
サトイモ科カラスビシャクの球根の外皮を除いて乾燥したもの

<茯苓(ブクリョウ)>
サルノコシカケ科マツホド菌の菌核(菌糸が集まって作る塊)を乾燥させて外皮を除いたもの

<厚朴(コウボク)>
モクレン科カラホオノキや凹葉ホオノキ、ホオノキの樹皮や根皮を乾燥したもの

<蘇葉(ソヨウ)>
シソ科シソの葉を乾燥したもの

 

<生姜(ショウキョウ)>
ショウガ科ショウガの根茎

喉に異物感があることを漢方では「梅核気(ばいかくき)」といい、おもな原因はストレスだと考えられています。

この異物感、具体的には梅干しの種が引っかかったように飲み込んだり吐き出したりするのが

困難な状態を指すためこのような表現をされたそうです。

半夏厚朴湯は、このようなのどに対する違和感が見られる際によく用いられる漢方薬です。

不安神経症、のどのつかえ感、せき、しわがれ声などの症状にも効果が期待できます。

 

春は、のどの不快感を自覚される方が増えます。

ご参考になれば幸いです。

 

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