田園 里山 野鳥そしてアルプスの山々

日進市と近隣の里山、春から秋にはアルプスの山々を歩いて感じたこと、考えたことなど・・・

高天原・雲ノ平・鷲羽岳登山 -その5

2013年08月28日 | 山歩き

5日目朝、4時に起きて外に出ると良い天気。星が出ています。下弦の月があって空が明るいので天の川ははっきりしませんでしたが、オリオン座やシリウス、木星、火星などが東の空に明るく輝いています。カメラを持ち出して、槍ヶ岳のシルエットとシリウスを撮影したのが下の写真です。

     大天井岳(左)と槍ヶ岳(右) 中央上方にシリウス -三俣山荘にて

しかし、この日は朝だけで、5時、朝食が始まるころには槍に雲がかかり、三俣のあたりも次第にガスってきました。それでも雨の降る気配はないので、6時に山荘を出てこの日は尾根伝いに三俣蓮華岳、双六岳とたどることにします。三俣蓮華岳への途中、少し遅れて出発した O さんが追い越していきます。「頂上で待っています。一緒に写真撮りましょう」と声をかけてくださいました。

           

                     三俣蓮華岳山頂の道標

三俣蓮華岳山頂は富山、岐阜、長野三県の県境。三俣山荘、、双六小屋、黒部五郎小屋から来た人たちが出会い、賑わっていました。でもガスのため、景色は見えず。「今日中に笠ヶ岳まで行く」という O さんと、ツーショット写真を撮った後別れ、双六岳に向かいました。

       三俣蓮華岳山頂付近から往路歩いた巻道方面を見下ろす

             黒部五郎岳 -三俣蓮華岳だけから双六へ向かう尾根道より

2時間弱で双六岳山頂着。トウヤクリンドウがあちこちに白い小さな花を開いています。

  

          トウヤクリンドウ(右)  -双六岳山頂にて

着いたとき、頂上はガスの中でした。頂上では数人が休んでいましたが、一人の男性は、今日中に新穂高へ下山する予定で、何とか霧が晴れないか、と1時間も待っているとのことでした。そうこうするうちに少し霧が晴れ、大天井岳が姿を見せました。

   大天井岳(右)から燕岳(左端)へと続く稜線 その向こうにかすかに浅間山が見える

大天井岳の左に遠くの山がかすかに見えます。そのときは八ヶ岳かな?と思ってそう言ったのですが、1時間待っていた男性は「浅間山ではないか?」と言います。雲間に見える部分も少なく、お互いに「もう少し全体が見えないと確信が持てないね」と言って別れたのですが、帰って調べてみると彼の意見の方が正しく、浅間山であることがわかりました。

  

                  双六小屋で軽い昼食

山頂を9:50に発ち、1時間で双六小屋着。お腹が減ったの写真上左の誘惑に負けて生ビールとおでんをいただきました。青空は見えないものの霧は晴れてきて、先ほどまでは見えなかった鷲羽岳も再びその姿を見ることができました。

  鷲羽岳と左奥に水晶岳、祖父岳 右奥には野口五郎岳 さらに遠くに唐沢岳と餓鬼岳

                                           - 双六小屋より

 11:20 双六小屋を出て鏡平には13:40着。その日のうちに新穂高に下ることもできると思いましたがもう1日、山上で朝夕を楽しむことにしました。

   

 


高天原・雲ノ平・鷲羽岳登山 -その4

2013年08月27日 | 山歩き

4日目朝4時、目がさめると強い雨が屋根をうつ音。その後朝食後までは白い霧の中でした。しかし間もなく霧が晴れだし、わずかの間に青空が出てきて申し分ない天気に。

朝食後、荷を置き、1時間半ほどかけて祖母岳(アルプス庭園)を往復しました。この頃には雲ひとつない絶好の日和に。

このアルプス庭園は小高い丘になっていて、雲ノ平の高原の彼方にアルプスの山々の展望が素晴らしいところです。昨夜の夕食で意気投合した O さんと写真を撮りあい、ゆっくりと時間を過ごしました。

 

               黒部五郎岳 その右遠方に白山の姿も

                       槍・穂高連峰

               三俣蓮華岳(左)と笠ヶ岳(右遠景)

          立山(右)とその左、尾根越しに頂上部を見せる剣岳

山荘に戻って荷をとり、8時には祖父岳方面に向かって木道を歩き出しました。行く手には水晶岳が大きな姿を見せています。

               雲ノ平 木道の向こうには水晶岳

振り返ると広々とした雲ノ平に山荘がポツンと立っています。

           祖父岳への登り道から振り返る雲ノ平と山荘

祖父岳山頂には9:45着。ここでも素晴らし展望を眺めつつしばし大休憩。これから向かう鷲羽岳の姿が目前に迫ります。

            鷲羽岳(左)と槍ヶ岳(右遠方)  -祖父岳山頂より

10時半、祖父岳山頂を後にし、下って往路通過した岩苔乗越、ワリモ岳北分岐、ワリモ岳山頂と尾根道をたどっていきます。

          ワリモ岳頂上付近から鷲羽岳 左遠方に槍ヶ岳

鷲羽岳への尾根を登りきると、山頂の大展望が待っていました。到着は13:20。鷲羽岳は深田久弥の百名山。私にとっては半分の50番目の山になります。これまで悪天候で2度登頂をあきらめた山頂で、3度目の正直、というところでした。

                               鷲羽岳山頂から北東方向を見る                                                        中央は針ノ木岳(左)と蓮華岳(右) 右手前に野口五郎岳

北東には野口五郎岳をはじめとする”裏銀座”の山々。少し遠方に針ノ木、蓮華岳とそれに連なる山々が見えます。その向こうの爺ヶ岳以北の山は残念ながら雲の中でした。

              鷲羽岳  槍ヶ岳は雲の中 左に大天井岳と常念岳

足もとには鷲羽池が紺色の水を湛えています。祖父岳では見えていた槍ヶ岳は雲に隠れてしまいました。テルモスのお湯を注いでドライカレーを作り、遅い昼食をとって1時間ほど山頂での時間を楽しみました。雲ノ平で一緒だったOさんは、ワリモ岳北分岐から水晶岳を往復して追いついてきました。

  鷲羽岳からの下り道 三俣山荘の向こうに三俣蓮華岳と双六岳を結ぶ稜線が見える

14:20、山頂を発ち、この日の宿、三俣山荘に向かって下り始めました。下り道からは三俣蓮華岳、双六岳と明日たどる尾根道、そして、目指す三俣山荘も見えます。ちょうど1時間で山荘に到着。先に着いていた O さんと展望レストランで合流。私はビールでしたが、O さんはなぜか紅茶とケーキのセットでした。その後食事を挟んで O さんと飲みながら山談義。富士山は登る山ではなく見る山、単独行はグループ山行に比較して必ずしも危険とは言えない、など、考えが一致することの多いことに満足し、意気投合しました。

    


高天原・雲ノ平・鷲羽岳登山 -その3

2013年08月26日 | 山歩き

3日目の朝は予想通りの晴天。朝食後にカメラを持って竜晶池まで散策に出かけました。竜晶池は昨日の温泉からさらに片道15分ほど歩いたところにあります。前日夕食後に温泉入浴にでかけたのですが、その時の様子は9月1日付の”北アルプスの秘湯 -高天原温泉”を見て下さい。

山荘を5:50に出て竜晶池着が6:40。だれもいない山奥に静かな水面が広がり、薬師岳、赤牛岳、水晶岳の姿を映しています。

                   薬師岳を映す竜晶池

                       赤牛岳と竜晶池

 

                         竜晶池

池畔には数種の花が咲いていましたが、見事だったのはチングルマ。花の終わった後の綿毛が朝露に濡れて朝日に光っている様子は宝石のようでした。

               朝露に濡れるチングルマの綿毛

                 朝露に濡れるチングルマの綿毛

山荘に戻り、雲の平に向けて出発したのは8時半。数分歩いて振り返ると湿原の向こうに山荘の赤い屋根がちらりと見えます。

        高天原の湿原 右手奥の林の中に山荘の赤い屋根が見える

                      高天原の湿原

                 高天原の湿原と池塘

湿原の風景を動画に撮り、YouTubeに投稿しました。

      http://youtu.be/ZfPTyCOzRfc

湿原を過ぎてひとしきり登ると高天原峠。9:45着。ここで大東新道方面の道を分け、左に折れて尾根伝いに雲ノ平を目指します。峠の手前で年配の夫婦に出会いました。雲ノ平に幕営し、日帰りで温泉に入りに行くとのこと。10分ほど休んで雲ノ平へ。樹林帯の道は思いのほか急登が続き、ようやく展望が開けると、水晶岳、赤牛岳が青空を背に姿を見せます。

             高天原-雲ノ平の道から望む水晶岳

              高天原-雲ノ平の道から望む赤牛岳

木道も現れますが、もう一つ、ピークを右から巻き終わると雲ノ平の一画、奥スイス庭園の看板が現れます。11:40。ここで軽く昼食。薬師岳の姿が正面にどっしりと控えます。

              奥スイス庭園付近からの薬師岳

ひと登りして今度は浅い谷に下り、もう一度登りかえすと目指す雲ノ平山荘を眼下に見る丘に到達しました。この丘の上ではDocomoの携帯が通じました。

雲の平山荘着は13:00。3日間の山歩きでさすがに疲れがたまり、ラーメンを食べてひと眠りし、夕食前に山荘近くを散策しました。

          雲ノ平の遊歩道から水晶岳を望む 右手は雲ノ平山荘

夕食の頃からは少し雲が多くなり、期待していた星空はこの日見ることができませんでした。

     

 

 


高天原・雲ノ平・鷲羽岳登山 -その2

2013年08月25日 | 山歩き

夜間は雨が降っていなかったのに、2日目朝6時、歩き始めるとまた雨。そこで尾根歩きはやめて、巻道を三俣山荘へ直行しました。うす暗い道端に、チングルマの赤い綿毛が彩りを添えていました。

巻道は雨の中。ほとんどはガスで見通しがききませんでしたが、時おりガスが切れて周囲の山が見えることもあります。この朝も1度だけ槍の穂先が雲間にのぞきました。

三俣山荘には9時に着き、2階の展望レストランで黒部源流の水で入れた美味しいコーヒーを一杯。小雨模様が続く中、10時少し前に山荘を出発。この朝も鷲羽岳をあきらめ、黒部源流の谷へと下ります。

残雪の谷を岩苔乗越に向かうと何やら下の方で声がします。振り返ると、双六から三俣山荘への巻道で知り合った3人の娘さんたちが手を振ってくれていました。

彼女達は祖父岳を巻いて雲ノ平へ直行するようでした。こちらは高天原へ最短の道をとり、岩苔乗越へ。途中双六山荘が作ってくれた弁当を食べ、乗越着は13時少し前となりました。

ここは四差路となっていて、高天原へはまっすぐ反対側の岩苔小谷へと下ります。この頃から雨はやみ、時おり青空も見えるようになりました。

谷の向こうには薬師岳が雄大な姿を見せ始めます。谷の上部は高山植物の花畑になっていて、様々な花が彩り豊かに咲いています。

その中で、ウメバチソウの白い小さな花が目を引きました。すれちがう人もいない、静かな山道を2時間ほどひたすら下ると、水晶池入り口に着きました。荷を置いて、15分ほどで池を往復。

水晶池の静かな湖面に、水晶岳が青空を背景におおらかな姿を横たえていました。ここから1時間ほどで高天原山荘に到着。

小屋の前からは、すっかり広がった青空を背に、水晶岳の姿が立派でした。4時を過ぎていたので温泉は夕食後ということにして一休み。秋田から来た年配の男女3人組や、休暇でやってきた雲ノ平山荘、三俣山荘スタッフの若い人たちとひと時の歓談を楽しみました。

     

 

 


高天原・雲の平・鷲羽岳登山 -その1

2013年08月24日 | 山歩き

8月下旬、2年ぶりの北アルプス行きを計画。今回の目玉は4年前に行きそびれた高天原温泉と、鷲羽岳です。天気図と予報を睨み、24,25日の週末は雨模様を覚悟し、26日からの晴天を狙うことにしました。

当日朝早く出ていきなり登るのは自信が無かったので、前日新穂高の登山口近くまで入ることにしました。妻も山麓の温泉まで合流ということになり、23日午後自宅を出発。中尾高原の温泉に1泊することにしました。

          霧にけむる錫杖岳 -中尾高原の宿の部屋から

この写真は宿の部屋から見た錫杖岳方面。露天風呂からも同じような景色が見えました。翌日に備え早めに就寝。

翌朝は4時半過ぎに私だけ宿を出発。宿は朝食用に握り飯の弁当を用意してくれました。新穂高の駐車場に5時に着き、支度をして出発。左俣の林道を歩くこと1時間半でわさび平小屋に着きました。ここで宿が用意してくれた朝食をとり一息。前夜わさび平小屋に泊まった20人ほどのツアー客が準備体操をしていました。聞くと、大阪から来て笠ヶ岳を目指し、鏡平山荘まで行ったものの昨日は雷雨予報で登頂をあきらめ、ここに泊まって今日は大阪へ帰るとのこと。気の毒ではありますがツアーでは仕方がないことなのです。

7時過ぎ、わさび平を出発して鏡平を目指します。ここ小池新道は5年前、40年ぶりに北アルプスに登った道で、よく整備されて登りやすい道です。しかしこの日は雨の中を滑らないよう注意しながら登りました。鏡平到着は11時半。雨はやみましたが前回は見えた槍ヶ岳は雲の中でした。

ここで昼食をとっていると12,3人のグループがやってきてまわりの空いている席に座りました。そのグループに女性登山家の田部井淳子さんがいて、その日は同じ双六小屋泊まりとのことでした。

11時40分、鏡平山荘を発ち、双六小屋に向かいます。出発の直前、ほんの一瞬ですが槍ヶ岳が雲間から顔を出しました。

              雲間に一瞬槍ヶ岳が姿を見せる

鏡平から弓折岳山腹のゆるやかな山道を登り、1時間ほどで弓折乗越に着き、ひと休み。その後は尾根伝いに上り下りを繰り返し、双六小屋に向かいます。ひとつふたつピークを越すと目指す双六小屋が見えてきます。雨はすっかり上がり、小屋の向こうに鷲羽岳が姿を見せています。

              鷲羽岳 手前は今日の宿 双六小屋

このあたりから見る鷲羽岳は立派です。その左うしろに見えるはずの水晶岳は雲の中でした。

双六小屋到着は午後3時。途中雨に降られ、新穂高から食事、休憩を含め10時間かかりましたが順調な第1日目でした。

    双六小屋 中央のキャタピラー車でヘリから下ろした荷物を運ぶ

休んでいると、ヘリコプターがやってきて荷揚げ作業をしています。昨年の中央アルプス木曾殿山荘や南アルプス聖平小屋と違い、写真中央に見えるキャタピラ付きの運搬車があり、下ろされた荷物を小屋に運ぶ作業は一人でやっています。さすがに北アルプスは進んでいると感じさせられました。

夕食前後は談話室で同宿の皆さんと歓談。田部井さんのグループは遠くてお話を交す機会はありませんでしたが、こちらのグループには黒部五郎小屋、鏡平山荘で働くアルバイトの女性と58歳のベテランの男性がいて話が弾みました。風呂は水がないので4日に一度が原則。しかし水不足のときは1週間入れない時もある、最近はテント泊がファッションになっているが、食事やトイレは小屋に頼られるので小屋の能力で間に合わないことが増えてきた、など、いろいろな苦労話を聞くことができました。

土曜日にもかかわらず天候のせいかすいていて、夜はゆっくり休むことができました。