養老先生の本。
かなり冷静に痛烈に現代の世の中を見ていらっしゃるように思う。80を迎えられて様々思うことがあるのだろう。
「現代は身体,感覚が働かなくなっている」という文言。数字や現象ばかりの追われている現代の人々に対する警告なのかもしれない。人とうまく生活するための微妙な距離感も感覚の中に入るのだと言う。確かにそうだよなと思う。
これはやめておこうとかここまではまずいよねといった歯止めが利かないのもそうだ。
生きていると自分ではどうにもできないことやものがある。それを受け入れることが「寛容」の始まりであるとも言う。それを受けいれず排除してしまうことは「不寛容」であるし,それが様々な問題を引き起こしているとも言える。
よく見聞きすることがある。
人はそれぞれ違うのに,それを一緒くたに考えてしまい,「ああだこうだ」と言う。「互いを認める」「違いが分かる」というのは難しいことなのかもしれない。もちろん,他人に迷惑をかけない範囲でのこと。
「不寛容」の社会でなく少しでも「寛容」の社会になるようにまずは自身が意識していかないといけないのだろうな。