KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

2017韓国の山旅 #2-インスボン・リッジトラバース

2017年09月16日 | 海外
9/16 天候:
行程:インスボン・仁寿リッジ(5.9 A0、8P)~仁寿峰~萬景台~マンギョンデーリッジ(5.6 6P)下降
同行:Jeon Yonghak(ジョン・ヨンハク)
 
 今日も朝6時起床。
 昨日と同じコンビニで食料等を買い足し、7時半に迎えに来たジョンと共にまたまた北漢山登山口へ。
 
 しかし、今日は土曜日。
 一応、上の駐車場まで車を走らせるが、既に車がいっぱい。
 自分は登山口で先に降り、ジョンは一旦下の駐車場まで戻って再びタクシーで上がってくることに。(タクシーといっても100円ぐらいとのこと)
 
 それにしても、今日は賑わっている。
 ソウルの人々は本当に山が好きで、老若男女問わず、土日ともなるとここ北漢山か道峰山にハイキングあるいはクライミングに来るそうだ。
 おばさんもだが、とにかく山ガールが多い。みんなスタイルが良く、少なくともソウルではあまり肥満体の女性を見ない。 
 食文化旺盛な韓国だが、食べる分だけ動くから健康的であり、病んだ体型の日本人など大いに見習うべきだと思う。
 
 登山口ではジョンのガイド仲間とも会う。
 彼らも今日は大人数で仁寿リッジに行くそうだ。みな友好的で、こちらが日本人と知ると「コンニチハ!」と日本語で挨拶してくれる。
 今回時間が無く、ハングルを予習してこなかった自分が恥ずかしい。
 
 アプローチは昨日のレスキューオフィスまでは同じ。
 そこから今日は右側(北方面)へ延々細い踏み跡をトラバースしていく。
 日本のように赤布や目印があるわけではなく、ここは初見で行くのは難しい。
 
 レスキューの場所から30分ほど歩き、途中ちょっとしたスラブもあったりするが、取付きはまだまだ遠い。
 ジョンはソウル在住ながら海外でのガイドが多いらしく、インスボンはせいぜい年に2~3回ほど。
 周りの木々であまり視界が利かない中、何度か辺りを確認しながらようやく取付きの外傾スラブに到着した。
 一緒に登るはずのジョンの友だちパーティーはなかなか上がってこなくて、まだずっと下にいるのでお先にスタート。
 
インス(仁寿)リッジ 
 1P目 10m 5.6
 正面のクラックを登るが、まだ途中少し歩くパートがあるからとアプローチ・シューズのまま登る。
 こちらの人たちはちょっとした岩場ならアプローチ・シューズで登ってしまうが、慣れてないとけっこう厳しい。

 取付きの外傾クラックから見るインスボン頂上。
 
 2P目 5m 5.6
 ジェードルクラック。実はあまりよく覚えていない。ので特に問題無し。

 
 3P目 15m 5.6
 右側の小さな岩を経由して正面のおむすび岩に登るが、右側がスパッと切れた上に途中支点が無いので、リードはちょっと度胸がいる。
 ジョンも「難シクナイケド、チョット怖イネー。」と笑っていた。フリクションはバチ利きなので、それを信じて。

 この岩に上がってから左のスラブに移る。ノーピンなので少し怖い。
 
 4P目 20m 5.6
 おむすび岩の支点から5~6mロワーダウンして、反対側の岩に乗り移る。
 高度感があり、ちょっと怖い。ロープ操作を誤らないよう、慎重に降りる。何とか反対側の岩に移り、ホッ。
 スラブを登り返し、その後、再び懸垂でちょっとした広場に出る。
 
 
おむすび岩からロワーダウンして。正面のスラブ壁へ。ロープワークは慎重に。
 
 5P目 20m 5.9
 綺麗なクラック。ジャミングするのは1ポイントだけで手掛かりは良く、レイバック風に登れる。
 最後、バランスが悪くなってくる所でガバが待っているが、下からはちょっと見つけにくく、リードはちょっとシビれると思う。

 美しいクラック
 
 6P目 40m 5.6 A0
 立ったクラック。ただ、幅が広くてジャミング不要。クラックの中に手を突っ込めば奥に良いホールドがある。何とも快適で気持ち良いピッチ。
 ただ、クラックが消えた後、スラブの1ポイントが悪い。ここはA0。さらに延ばしてテラスに出る。
 ここから先ほどのおむすぶ岩が見え、後続パーティーが続々と登ってきているのが見えた。
 少し離れた右隣のリッジはここより簡単らしいが、バリエーションながら凄い行列で、さながら丹沢の表尾根のようだ。

  高度感あるピッチ
 
 7P目 20m 5.7
 フェース。特に問題無し。

 
 
 8P目 10m Ⅲ
 易しいフェース。問題無し。
 ここでアプローチシューズに履き替え、後は簡単なスラブをペタペタと歩き、昨日と同じ仁寿峰着。二度目の登頂。

 左が萬景台800m、右が白雲台837m。
 
 頂上では、やはり別パーティーでジョンの知合いがいた。
 こちらの山岳雑誌の編集長?らしく、韓国山岳界では有名な人らしい。
 既にセブンサミットのうち6つは登っているが、エベレストだけは運が無く三回失敗。最近はやはり登れなかったが、グランドジョラスへ行ってきたそうだ。
 ちなみにジョンはこちらの山岳雑誌ではクライミングにおける安全策について連載を持っているとか。
 インスリッジは、途中ギャップがあったり、歩きのパートも多いので、昨日のシュイナードに較べると体力勝負だ。

 正確なタイムは計ってないが、ジョンは「ウン、早イヨ。」と言ってくれた。
 しばらく休んだ後、また南面のスラブを懸垂2ピッチで下って、白雲(ペグン)山荘へ。
 ここで昼食。多くのハイカーで賑わっている。

 
 
 以前はここで手作りの料理が食べられ、宿泊もできたが、今は基本的にそれらのサービスはやっていないとのこと。
 90年ほどの歴史ある山小屋らしいが、今、韓国全土の山小屋が国営化され管理が進む中で、ここだけが昔ながらの個人営業であり、ちょっとした問題になっているらしい。
 もちろん多くの登山愛好者は国営化に反対で、従来のままの山小屋を続けてほしいと願っている。
 日本でも、もし廻り目平が国の管理下に置かれ焚火一切禁止となったら、多くのクライマー、ハイカーは反対するだろう。
 
 とりあえず今日は御主人の姿は見えず、奥さん一人が切盛りしている。
 ビーフンのカップ麺、それにキムチと山菜の炒め物、豆腐がさっぱりして美味しかった。馴染みのジョンの連れということでコーヒーもいただいて感謝!

 
 
 後半は、マンギョンデー(萬景台)リッジ
 景色が良く、グレードとしては簡単。こちらの人はクライミングシューズなど履かず、アプローチシューズで登ってしまうそうだ。
 それでもリッジコースは初心者がチャレンジ精神で踏み込み、事故が多いそうで、現在はルートの前後に登山者をチェックする係員がいるようだ。
 
 萬景台からは、白雲台、仁寿峰が綺麗に並んで見え、登山や観光のポスターにもよく使われる風景とのこと。
 この三つの岩峰をメインとして狭義の北漢山(ブカンサン)と呼び、さらに離れた道峰山(ドポンサン)も含めて「北漢山国立公園」となっている。

 左が白雲台(ペグンデ)、右が仁寿峰(インスボン)

 
 
 マンギョンデーリッジは本来は下から登るのだが、今回はインスリッジからの継続なので下降となる。
 最高グレード5.6ということだが、スラブのクライムダウンあり、小ギャップの飛び移りありと、アプローチシューズではけっこう冷や汗かく場面もあった。
 元気なオバアちゃんも登っているとは言え、やはりロープなどの装備や技術は必要。
 多くの人が登っているが、目印があるわけではなく、初見ではルートファインディングも難しいと思う。

 

 

 スケールは剱岳に及ばないものの、例えるなら前半のインスリッジは剱尾根、後半のマンギョンデーリッジは八ツ峰といったところか。
 最高の天気に恵まれ、二日間のインスボンを堪能。
 今回はルートガイドだけでなく、あらゆる所でジョンから「使えるガイドテクニック」も教わった。
 自分も年々ボケてきているので、少しでもそれらを活かしたい。
 
 恵化に戻り、ジョンと別れる。あさってからは約一か月ヨセミテでガイドの仕事があるそうだ。カムサムニダ(ありがとう)!
 宿に戻り、シャワーを浴びてから近くの食堂で夕食。今日は牛鍋(480円)。
 旨そうに見えたが、ちょっと微妙。やはり韓国の肉は豚が良い。
 ビールを飲んで就寝。今日はけっこう歩いた。さすがに足が筋肉痛だ。

 
(左)恵化(ヘファ)の周辺は大学が多く、学生の街でもある。(右)ちょっとビミョーな味だった牛鍋。


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