「探検家の日々本本」 角幡唯介 ☆☆☆★
角幡氏による書評集。といっても本人が語っているように、あまり本の内容には触れず、どちらかというとその本にまつわる自分の話といった感じで面白い。
著者お薦めの本で自分が気になったのはとりあえず、J・クラカワーの「エヴェレストより高い山」と町田康の「告白」。
こちらもいずれ読んでみたい。
それにしても角幡氏は自分の活動だけでも計画→探検→その記録のまとめと忙しいのに、他人の本も数多く読んでいるのだから大変だと思う。(どこかの作家みたいに他人のノンフィクションを切り貼りして、文学賞やら映画化で儲けているのとはエライ違いだ。)
「植村(直己)さんはちょっとイカれているんじゃないか?」という視点は同じ極北の地を冒険している著者ならでの感想で納得できた。
いくつかの雑誌や自分のブログ?に書いたものを再掲しているので、内容的にちょっとダブッた部分があり、装丁のデザイン画が安っぽい漫画でやや残念な気がするが、まぁこれは編集者の責任だろう。
「百年前の山を旅する」 服部文祥 ☆☆★
サバイバル登山、狩猟登山に続いて今回は百年前の質素なスタイルでの登山ということで、興味をそそられた。
ところが、前半の奥多摩の尾根、奥秩父の沢、奥穂南稜までは当時の服装、不便なアプローチなどこなして面白かったが、中盤の白馬主稜になったら状況は一変。
ふつうにスキーや12本爪アイゼンの最新装備を使って登り、先達に向かって心の中で「現代の山登りはこうするんですよ、○○さん。」などと言ったりする。
はぁ?最初の意気込みはどうしちゃったんだ?
どうやらあくまで百年前のスタイルで山に登るというのは読者の勝手な勘違いで、著者としては百年前の山に思いを馳せるだけでそれほどのこだわりは無かったよう。
ここで本のタイトルにまんまと騙されたことに気づき、興味は半減。
ラストの昔のガソリンストーブ(著者が言うところのブラス・ストーブ)についての一篇は、古い道具好きの自分にとっては面白かったが、全体的には「このタイトルに偽りあり」と中途半端な印象を受けてしまった。
「外道クライマー」 宮城公博 ☆☆☆☆
今年読んだ中で一押しの一冊!(ヤマちゃん、貸してくれてありがとう!)
これまで著者については、「那智の滝事件」で一世を風靡・・というか物議を醸した異端的沢屋という印象だったが、読んでみたら意外とまともな人で、とても好感を持てた。(失礼!)
一ケ月半に亘るタイの密林の沢では、何度も相方に殺意(笑)を覚えながらも、空腹のあまり捕まえて食べようとする大蛇に対して「できればこのまま逃げてくれ」と憐みの情を抱くところなど、ああ、この人イイ人だなぁと思わせる。
無理に笑いを作るわけでなく、思ったことを素直に書いてこれだけ笑わせてくれる山の本はそうそう無いだろう。
続編に期待したいが、こういうのは映画と一緒で最初の一作目が一番面白いんだろうな。でも次回作お願いします!
今年読んだ中で一押しの一冊!(ヤマちゃん、貸してくれてありがとう!)
これまで著者については、「那智の滝事件」で一世を風靡・・というか物議を醸した異端的沢屋という印象だったが、読んでみたら意外とまともな人で、とても好感を持てた。(失礼!)
一ケ月半に亘るタイの密林の沢では、何度も相方に殺意(笑)を覚えながらも、空腹のあまり捕まえて食べようとする大蛇に対して「できればこのまま逃げてくれ」と憐みの情を抱くところなど、ああ、この人イイ人だなぁと思わせる。
無理に笑いを作るわけでなく、思ったことを素直に書いてこれだけ笑わせてくれる山の本はそうそう無いだろう。
続編に期待したいが、こういうのは映画と一緒で最初の一作目が一番面白いんだろうな。でも次回作お願いします!