12日目(8/12)
天候:
Vallee Blanche Traverse-Cosmiques Arete(グレード:AD、4b)
昨日のツール・ロンドが予想以上に時間がかかり、自分としては「やりきった感」もあるので、当初予定していたロシュフォール稜は取り止め。
ていうか、他の人の記録でもロシュフォールの方がもっと時間が掛かるし、本来シャモニーで最も美しい雪稜と言われるこのルートも今夏の好天続きで雪がほとんど消えてしまい、黒々とした山肌が見えてしまっている。
これではコンディションも相当悪く、魅力としても乏しい。
ま、それらを言い訳として、実際のところ私の気持ちとヒザは昨日のツール・ロンドで終わってしまっていて、それを察したjuqcho氏が気を使ってくれたのかもしれない。ホント申し訳なし・・・。
でもせっかくの晴天なので、トリノ小屋からミディ山頂駅までバレ・ブランシュ(白い谷)を横断して帰ることにする。
昨日登ったツール・ロンド、グラン・カピュサンやモンブラン・ド・タキュルの東面バリエーションを見ながら氷河歩きを楽しめるコースで、実際多くのパーティーが歩いていた。
正直なところ帰りのテレ・キャビンのチケットもあったので、ヒザが不調の私は楽して帰りたい気持ちもあったが、氷河歩きはクレバスがあるのでロープを結んで複数で行くのが鉄則だし、ロシュフォールを諦めたjuqcho氏がこのままテレ・キャビンで帰るのではあまりにも消化不良だろう。
というわけで、バレ・ブランシュへ。
クレバスはところどころ口を開けているが、気をつければまず落ちることはない。
途中、タキュル東面から降りてくるクライマー、そしてその脇をかすめて落ちてくる落石など緊張する場面もあった。
昔のマイルドセブンの広告のような「白い世界」を満喫し、それでも左ヒザをさすりながら3時間ちょっとかけてミディに近づいてきた。
ここでjuqcho氏からいきなり「コスミック稜へ行きませんか?」と提案。
気持ちとしてはせっかくなので行きたいが、プランもツール・ロンドも思った以上に時間がかかったし、こんな昼近くから取付いて大丈夫かなという不安があった。
それに後半に核心部として4b(アルパインの4級+~5級-)のクラックがあり、せいぜい5mほどだが途中に支点は無く、一気に登らないといけないらしい。
プランの時も復路で4bが2ピッチあったが、コスミックの方がほぼ垂直とあって、ちょっとプレッシャーを感じる。
それでも結局「行きましょう!」とjuqcho氏が決定。
コスミック稜全景
コスミックが近づいたところで左手へ進路をとり、現在は使われていないシモン小屋のある取付きへ。
手軽に短時間で行けるバリエーションということで、この時間からでもけっこう多くのパーティーが取り付いている。
juqcho氏は昨年のガイド山行時、オールアイゼンで登ったそうだが、今年は雪が少なく他パーティーに倣って出だしからビブラムで行く。
まずはところどころ3級が混じる傾斜の緩い岩稜を3~4ピッチ。
我々のすぐ前は老夫婦がクライアントのガイド・パーティー。
ラストの奥様は割としっかりした足取りだが、ミドルの御主人は技術、体力共にかなり怪しく、相当スローペースである。
時間が気がかりだった私は何度か追い抜いた方がいいのではと気が焦ったが、juqcho氏は「大丈夫。このペースで付いていきましょう」と落ち着いている。
最初の岩稜数ピッチを登り詰めると、今度は懸垂下降3ピッチ。ここで本場ガイドの、日本では見たこともないロープ・テクニックに感嘆。
その後、やや不安定なガレっぽいトラバース、短い雪稜(ここでワンポイント、アイゼンを履く)と続く。
そして、いよいよ例の4bクラックだ。
近づいてみると、昨年は無かった(らしい)お助け杭がちょうどクラックの中間地点に差し込まれていて、イザという時はそれを手掛かりにできそう。
先行ガイドがあっという間に登ってしまったので、まるで予習はできなかったが、それでも近くでよく見るとホールド、フット・ホールド共にわかりやすい。
先行する老夫婦もどうなることかと不安だったが、若いガイドに半ば強引にロープで引っ張り上げられ、無事突破!
次はいよいよウチらの番。簡単にオブザベして一気に登る。
クラックは多くの人が登っているせいか、他の岩場のようなザラッとした感覚は無かったが、ボルダーでいえばせいぜい8~7級。
ビブラムでも十分に足は拾え、案ずるより産むが易しだった。
我々のすぐ後、せっかちな地元・老ガイドと若い日本人のニイちゃんパーティーが追い付き、勝手に追い越していったが、何とその老ガイドは日本では見たこともないオモチャのようなアブミを使いだしたので、ちょっとビックリ!
スピード重視であまりスタイルには拘らないのかな。でも後でjuqcho氏が言うにはこのガイド、私のリードする姿を見て「トレビア~ン」と褒めてくれたとか。(恐縮です)
その後、狭い岩の間を潜り抜けるようなピッチなどツルベで登り、4ピッチほどでミディ山頂駅へ。
最後はグイングインとしなる鉄梯子を伝って大勢のギャラリーに出迎えられるが、ここではアルピニストやクライマーなど珍しい存在ではないため、北鎌のように歓声や拍手で迎えられることはない。
お約束のレビュファのポーズ。
コスミック稜は先行老夫婦の後についたため、相当のんびりペースだったが、それでも3時間半ぐらい。
ルーファイに迷わなければ1時間半~2時間でサクッと登れ、それでいてあらゆる要素がコンパクトにまとまった好ルートである。
登らせてくれたjuqcho氏に感謝。
ミディ駅のギャラリーの中には日本から登山ツアーで来た人もいて話をする。
一週間ほどの日程でモンブランを登りに来たのに、この夏のルート閉鎖(グーテ側は融雪による落石事故、ミディ側は新たな新雪でガイドが嫌がっているとのこと)でお手上げになっているようで、何とも気の毒である。
装備を解いてロープウェイに乗り、一気に下山。
やはり下界は暑い。それでも30度前後なので、日本よりはよほどマシか。
この前のプランの時と同様、ロープウェイ乗り場近くの中華レストラン「金龍」でハイネケン、ピザ、サラダなど。
腹を満たしてからホテルへ帰る。
お食事されている写真に写っているサングラスの男性
見た事有る気がします。
岩根山荘のアイスクライミング講習などで
見掛ける方に似ています。
多分、人違いだよな・・・?
相方のサイトを見ればハッキリします。
http://juqcho.jp/climbing/index.html
山の世界は狭いですねー。
狭いですねー
私の記憶を辿ると
この方はアイスクライミング講習の時
上級者コースでした。
そして
2年くらい前の講習では
アックスを顔にくらい
顔から流血されていた。。。。。
そんな話も聞いたような?
怖いですねー。
私は食べるアイスは好きですが・・・でもあちらの山を登るにはやはり岩も氷もオールラウンドにやってないとダメですね。