高野 亮・著 ☆☆★
「青春~」というタイトルからしてちょっと気恥ずかしいものを感じさせるが、内容としては1970~80年代、あの「山○同○会」の黄金期を描いた作品。
主人公の天馬和義というのはモロ、今野和義氏のことであり、その他にも森田勝利とか長谷部恒彦だとかどこかで聞いたことがあるような名前がたくさん出てくる。
新田次郎の「栄光の岩壁」などの例に倣ったのかもしれないが、実在した人たちとあえて違う名前を使った割には内容はほとんど事実そのまんまで中途半端。
確かにモデルとなった会の点数制は大学の単位制と似ているかもしれないが、何で「青春登山大学」なんて陳腐な設定にするのだろう。最初から実名を使ったノンフィクションものにすればいいのに。
新田次郎の作品は実在の人物や出来事をモデルにしながらもあえてエンターテインメント的な要素を加えたことで小説としての面白さがあるのだが、こちらはその点がどうもイマイチで残念だった。