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世襲はどうなる? 金正日総書記の死

2011年12月19日 | 政治・経済・労働組合
 朝鮮反民主主義非共和国(北朝鮮)最高指導者の金正日総書記が死去。

 去年の今ごろは、2012年にはビッグクラッシュが来るかもしれないと書いていた。2011年は東日本大震災・原発事故に明け、橋下維新の大阪反革命、さらに北朝鮮の危機。しかし本番は来年からだろう。

 どう考えても世襲は失敗し、北朝鮮は致命的な体制危機に陥ると思う。しかし北朝鮮は、米中にとっての「緩衝地帯」。米国・中国の主導権争いが全面化するにちがいない。難民流入による経済混乱だけは、韓国も中国も避けたい。

 さてどうなるのだろう。大国の思惑通りにいくとは限らない。

 参考までに、最近の金永煥氏の分析をクリップしておきたい。(5)の理由は消えたけれど、列車内での突然死という現時点での発表には、まだ不透明な部分は残る。当ブログの立場は、いつものお約束の言葉。

 "There is great chaos under heaven – the situation is excellent."


■世襲が成功しない「5つの理由」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/538809/

 金永煥氏は1980年代韓国の学生運動で、北朝鮮の主体思想を初めて韓国に伝えた「鋼鉄」のペンネームで知られた伝説のリーダー。当時、北朝鮮・朝鮮労働党の指令で動いた韓国地下組織「民族民主革命党」の代表も務めて4000人を統率し、その実力から北朝鮮に呼ばれ金日成とも面談した。だが次第に明らかになっていった北朝鮮の恐怖政治に愕然(がくぜん)とし、失望して99年、思想転向文を韓国紙に公表した異例の経歴を持つ。

 現在は、韓国で展開する北朝鮮民主化運動の主要メンバーの1人だ。

 韓国の北朝鮮専門インターネット新聞「デイリーNK」主催のセミナーに来日した金永煥氏は、世襲問題を集中的に論じ、世襲成功の可能性が低い5つの理由を列挙した。

 (1)金正日総書記のリーダーシップは衰えが見え始め、幹部の世代交代もタイミングを逸した。息子金正恩氏に強い指導力の力量はみえない。金総書記が再び強力な指導力を取り戻す可能性も低い。

 (2)金総書記の世襲はパルチザン世代が支えた。だが金正恩氏を支える人材は老幹部しかいない。老幹部は経験もカリスマもない正恩氏に真の忠誠心など持ちえない。

 (3)金正恩氏は民心を全く理解しない環境で育った。幼いころは家庭教師、十代はスイスで過ごした。金日成軍事総合大学では軍人エリートとだけ接した。そのような正恩氏に党幹部の人心をつかむ能力は育まれていない。

 (4)社会主義を標榜する北朝鮮で3代世襲への共感を得ることは、もともと根本的に矛盾がある。現在は「当然」といった雰囲気のなかで進んでいる世襲作業だが、中国ではすでにインターネットなどで北朝鮮の世襲批判は始まっている。いずれこうした批判は北朝鮮でも顕在化するだろう。

 (5)父子の間で権力の葛藤が起きる可能性がある。幹部の野心家が父子を引き裂く可能性もあるし、金総書記が死亡後、野心家が一気に正恩氏を攻撃する可能性もある。

 金永煥氏は5つの根拠を示したあと次のように述べた。

 「われわれは金正日がなぜ息子を後継者に選んだかを分析してきた。その結果、世襲の成功という可能性は10%以下、当面維持が20-30%、『致命的な危機に陥る』が60-70%という結論となったのだ」
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 12月21日の追記。

 以上のように世襲をめぐる権力闘争が、朝鮮半島に新たな火種をうむ可能性も懸念される。
 しかし一方で、新たなトラブルもほとんどなく、外交的な進歩もほとんどない「静止状態」になると予測する声もある。
 今のところどうなるのか、まだわからない。しかし、より多面的立体的に考えるためにこちらの楽観シナリオも引用しておきたい。とあるアナリストの見解。

■北朝鮮総書記の死去を受けた為替変動~焦点はこれからの体制と韓国・中国の出方 (発表元)第一生命経済研究所

 <東アジアは、韓国の総選挙と大統領選挙、中国が胡錦濤主席から習近平次期主席に変わるという政治変革の時代を迎える。変化する韓国・中国の政治体制がどのように北朝鮮と向き合っていくのかが焦点である。>
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_1112f.pdf

 確かに、1994年の金日成死去から3年間は大きな波乱はなかった。  外交的孤立、飢きん、さらにインターネットアクセスの制限。アラブ世界のようなソーシャルメディアを駆使した抗議運動が起こる可能性は低い。

 英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツパトリックは「恐らく危機はすぐには訪れないだろう。北朝鮮は、政策が固定されたままの服喪期間に入る」とし、核問題に関する交渉には進展がみられなくなるとの見解を示した。

 <半世紀にわたって、外の世界との関係をほとんど断ってきた北朝鮮。飢きんは深刻化し、巨大な開発ニーズを抱えている。しかし、中国は完全な統一を望んでおらず、韓国の有権者も関係改善は歓迎するものの、自らが費用を支払おうとはしないだろう。
 金総書記の死が、北朝鮮の孤立状態を終わらせる契機になったとしても、孤立状態の解消は一筋縄には実現しそうにない。
 「短期間の安定を経て、核や安全保障問題に対する政策の支持を得た上で、入念に計画された市場経済へのシフト」。前述のデニソン氏は今後北朝鮮が迎える最高のシナリオをこう描く。>
■焦点:金総書記死去で権力闘争も、長期的には孤立解消への契機か
ロイター日本語ニュース 執筆:Peter Apps記者
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE7BJ04F20111220





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