3年前の記事ですが、韓国社会の貧困や格差、若者の失業率の高さについてのレポートです。
食事は何か月も食パンとキムチと水だけ。
「大丈夫かなあ」と心配になるとともに、やはりキムチは朝鮮人のいわゆる国民食、民族食なのだなと感心しました。ウィキペディアを見ると、最近は料理の多様化に伴い、韓国でもキムチ離れも進んでいるようにも書かれているのですが。
この記事を思い出すたび、考えてきたことがあるんですよ。
「日本には、このキムチのように、健康で文化的で最低限の栄養を保証する食べ物はあるだろうか?」
みなさんは、どう思われますか?
東日本出身の私は「納豆!」といいたいところです。
私が大阪に来たころは、納豆はスーパーのお豆腐コーナーの片隅に、大手メーカーの製品が2、3種類、ひっそりと置かれている感じでした。その後の健康ブームもあって、今では東日本と変わらない売り場スペースです。しかし、西日本では、嫌いな人は今でも嫌いですよね。
猫まんま?(最近の飼い猫はもっといいものを食べていますけれどね)
行儀が悪いといわれようが、熱々の味噌汁を冷やごはんにかけるの、大好きです。削り節を山盛りにする方は、あまりやらないけれど、大根おろしがあるなら大歓迎です。でも、国民食?
たくあん? 好きだけれど、ちょっとちがうかな。
梅干し? 最近の若い人はあんまり食べないかもしれませんが、私は好きです。
『ゴルゴ13』の『日・米コメ戦争』(1991年1月)に、大手商社で活躍する日本人の二人が、出張先のアメリカで、白米と梅干しだけのいわゆる日の丸弁当を食べるシーンがありました。「やはり米の飯はうまいな!」と、おじさんかうまそうに頬張るのですが、若かった私は、「もっと他におかずほしいなあ」と思ったものでした。
しかし、そのおじさんと同年代(とっくに年上でしょうか)になってみると、その気持ちがわかるようになってきました。白米と梅干しだけあればごちそうです。グリコーゲンを蓄えねばならない山行きの朝は、特にそうです。
そういえば、『ゴルゴ13』のさいとう・たかが劇画化した『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵も、白粥に梅干しが大好きでした。病み上がりに白粥を食したときは、何杯もおかわりして、「梅干しを五、六個使った」なんて書いてありました。昔の梅干しだから、いくらなんでも塩分摂りすぎですね。
鬼平もそうでしたが、白米と梅干しだけでは、栄養のバランスはよくありません。
この点、食パンとキムチの取り合わせは、理にかなっています。食パンにはたんぱく質も含まれ、キムチには良質のアミノ酸やミネラルも摂取できますからね。
うーん。完敗です。
対抗心を燃やしているわけではないのですが、日本にはキムチに匹敵する、健康で文化的で最低限の栄養を保証する国民食はないものなのでしょうか。
冒頭の記事を思い出すたび、考えてきて、今日、ようやく答えにたどり着きました。
完全食の卵を使った卵かけごはん(TKG)です!
『極道めし』の「うまいもん話」で見事優勝を飾ったのが、塀の中では食べられない卵かけごはんだったことを、完全に忘れていましたよ。刑事時代の丈治が、犯人を逮捕したものの、山の中で道に迷って一晩彷徨い、力尽きて二人が倒れた場所は運良く農家の庭。「何のおかずもないけれど」と農家の人に朝食に供されたあの卵かけご飯、本当に美味そうだったなあ。
卵かけごはんは、最近は海外でも人気が広がりつつあるようです。
しかし、生卵を食べるのは、というか生卵を食べても安全なのは、基本、日本だけなんだそうですね。
映画『ロッキー』には、トレーニング前に生卵を5つ割り、コップで飲み干すシーンがありました。われわれ日本人には、「ロッキー、スタミナ付けようとがんばっとるのう」と思うだけのシーンでしたが、アメリカの観客からはブーイングそして悲鳴が上がったのだそうです。
ロッキーのハングリーさを伝える演出でしたが、生卵とゆで玉子の栄養価はそんなに変わらないので、わざわざ生で飲み込む必要はなかったのですね。さらに、サルモネラ菌による食中毒の危険もありました。日本で生卵が食べられるのは、生食を前提とした、衛生面に配慮した鶏卵の生産・管理・輸送システムが成り立っていることが大きいようです。
卵かけごはんといえば、原作者の急逝のため残念ながら未完に終わった『華中華』も思い出します。卵とチャーハンは切っても切れぬ関係ですが、そのチャーハンの上にさらに生卵をかける「卵かけチャーハン」が登場したのです。肩をこわして鍋が振るえなくなった「上海亭」のおじいさんに代わって、華ちゃんが提供する、さまざまな変わり種のチャーハンが、毎週楽しみでした。
あのとき、華ちゃんはお客さまにお出しする生卵を、きちんと洗剤で洗っていました。いくら殺菌しているとはいえ、すり抜けてサルモネラ菌が残留してしまうこともあるのでしょうね。
ちなみに、卵を割ってからお醤油を垂らすのではなく、ご飯と醤油を最初から混ぜ合わせておくと、生卵が醤油とご飯をコーティングして、別物の味わいになるそうです。塩分制限のため、私はTKGも醤油なしで来ましたが、久しぶりに醤油も使ってみようかなと思いました。
しかしTKGだけでは、ミネラルやビタミンには不安があるかも。ぜキムチも組み合わせたいところですね。私がふだん愛食している業務スーパーのキムチは、400グラムで、なんと税込み159円。これが結構おいしくて、ごはん、10食分は行けるのがうれしいのです。
日本では、ヨーグルトは朝食にとる人が多いイメージですが、ヨーグルトやキムチの乳酸菌には、安眠効果もあるんだとか。だからモンゴルの人は、ヨーグルトは夜に飲むのだそうですよ。