連帯や拍手コメント等、ありがとうございます。
大阪市市教育委員長が任命権者となる市立幼稚園や市立高校の教職員ら約3900人については、当面実施を保留することを決定。この動きが全市職員に拡大しますように。
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0214/san_120214_8625880489.html
以下に大阪弁護士会会長の声明を転載します。
大阪市職員に対する労使関係に関するアンケート調査の中止を求める会長声明
報道等によれば、大阪市は、去る2月9日、大阪市職員に対して、「労使関係に関する職員のアンケート調査」(以下「本件アンケート調査」という。)を、2月16日を回答期限として実施するとの指示を所属長に発したとのことである。
本アンケート調査は、橋下徹市長の職員への回答要請文書に、「市長の業務命令として、全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めます。正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます。」と明記されており、職員は、その氏名を表示し、使用者に対して回答をすることが強制されている。
本アンケート調査は、市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動などについて調査することを目的としているとされる。しかしながら、地方公務員は、公職選挙法により公務員の地位利用による選挙運動が禁止されるほかは、非現業の地方公務員について、地方公務員法により政党その他の政治団体の結成関与や役員就任等、勤務区域における選挙運動などが限定的に禁止されているにすぎない。それ以外の場合には、地方公務員といえども、一般国民と同様に憲法に保障された、思想信条の自由、政治活動の自由及び労働基本権を有している。
本アンケート調査で回答を強制されている内容は、多くの問題を含んでいるが、とりわけ、次の点で看過することができない。
第一に、職員の思想信条の自由や政治活動の自由を侵害する項目がある。
「あなたは、この2年間、特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含む。)に参加したことがありますか」との質問をし、「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」「誘った人は誰か」「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q7)。
これは、勤務時間外に参加した正当な政治活動や選挙活動の内容についても回答を強制するものであり、それは、当該職員の支持する政党や政治家、政治に関する関心などの回答を求めることにつながり、職員の思想信条の自由や政治活動の自由を正面から侵害するものである。
第二に、職員の労働組合活動の自由を侵害する項目がある。
「あなたは、これまで大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動に参加したことがありますか。」として「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」「誘った人は誰か」「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q6)。
ここでも、勤務時間外に行われた正当な組合活動の内容や参加状況についても回答を強制しており、また当該職員の組合活動への参加意欲や組合への帰属意識、人間関係を調査するものである。したがって、その回答如何では、使用者からの処遇に影響を受ける危惧を抱く職員に労働組合活動への参加を抑制し、その組合活動の自由を侵害することとなる。
また、使用者が正当な組合活動への参加状況を業務命令をもって逐一調査することは、使用者から独立して活動する自由が保障された労働組合の運営に使用者として支配介入するものにほかならず、許されない。
以上のとおり、本アンケート調査は、大阪市職員の思想信条の自由、政治活動の自由、労働基本権などを侵害する調査項目について職務命令、処分等の威嚇力を利用して職員に回答を強制するものであり、到底許されるものではない。
したがって、当会は、大阪市に対して、本アンケート調査の実施を直ちに中止することを求める。
2012年(平成24年)2月14日
大阪弁護士会
会 長 中 本 和 洋
http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/kanri/db/info/2012/2012_4f39fa7f540d8_0.pdf
以下は大阪労働者弁護団の声明です。
大阪市による職員アンケート調査の即時中止と廃棄を要求する緊急声明
2012年2月13日
大阪労働者弁護団
代表幹事 大川一夫
大阪市は2012年2月9日付で、総務局長名で各所属長に対し「労使関係に関する職員アンケート調査」(以下「アンケート調査」)についての指示を行い、翌10日から16日までの7日間で全職員が氏名を明らかにしてアンケート調査に回答するよう、職務命令を出した。
このアンケート調査の目的は、「市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動などについて」明らかとするためであるとされている。
しかし、地方公務員法第36条第2項は、地方公務員による政治活動を一部制限しているが、公務員労働組合は何ら政治活動を制約されておらず、特定の政治家を応援することも含めて何ら違法行為でも不適切な行為でもない。公務員個人についても、後援会活動は地公法に抵触しないし、現在取りざたされている「知人友人紹介カード」の提供についても、何ら地方公務員法第36条第2項に抵触するものではない。
それにもかかわらず、この間市側は「労使関係を適正なものにする」としながら、公務員労働組合の弱体化を意図した動きを強めており、今回の「アンケート調査」もその一環であると言わざるをえない。
今回のアンケート調査は、その内容においても、組合活動への参加や組合への加入、加入のメリット、組合の力、組合費の使われ方など、大阪市の唱える調査目的とすら無関係の設問が多数設けられており、憲法第28条で保障される労働者の団結権侵害となり、さらには不当労働行為として違法行為でもあることは明白である。
さらに、上記の設問や投票行動に関する質問は、個人の政治的信条や価値観を問う思想調査ともいえるものであり、事態は労働組合との関係に止まらず、憲法第19条で保障される思想信条の自由、憲法第13条で保障される人格権に対する侵害にまで及んでいる。
このようなアンケート調査を実施すること自体、違憲違法であることは明白であるが、そのうえ職務命令として、正確な回答をしなかった場合には懲戒処分を科すことを明言して強制するに至っては、甚だしい人権侵害である。このような明白な違法行為を地方公共団体の首長が率先して行うこと自体、前代未聞であり信じがたいことであるが、本件は労働者だけの問題ではなく、橋下市政下で全市民の人権保障が危機に瀕していることを端的に示している。
大阪市は、本件アンケート調査を行うにあたっていかなる適法性チェックを行い、いかなる根拠をもって適法であると判断したのか等について、直ちに市民に対して説明すべきであるし、アンケート調査自体を即時中止し、既に回収したアンケート調査結果については、直ちに廃棄されることを強く要請するものである。
以上
(出典)
http://homepage2.nifty.com/lala-osaka/ketugi120213.htm
大阪市市教育委員長が任命権者となる市立幼稚園や市立高校の教職員ら約3900人については、当面実施を保留することを決定。この動きが全市職員に拡大しますように。
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0214/san_120214_8625880489.html
以下に大阪弁護士会会長の声明を転載します。
大阪市職員に対する労使関係に関するアンケート調査の中止を求める会長声明
報道等によれば、大阪市は、去る2月9日、大阪市職員に対して、「労使関係に関する職員のアンケート調査」(以下「本件アンケート調査」という。)を、2月16日を回答期限として実施するとの指示を所属長に発したとのことである。
本アンケート調査は、橋下徹市長の職員への回答要請文書に、「市長の業務命令として、全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めます。正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます。」と明記されており、職員は、その氏名を表示し、使用者に対して回答をすることが強制されている。
本アンケート調査は、市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動などについて調査することを目的としているとされる。しかしながら、地方公務員は、公職選挙法により公務員の地位利用による選挙運動が禁止されるほかは、非現業の地方公務員について、地方公務員法により政党その他の政治団体の結成関与や役員就任等、勤務区域における選挙運動などが限定的に禁止されているにすぎない。それ以外の場合には、地方公務員といえども、一般国民と同様に憲法に保障された、思想信条の自由、政治活動の自由及び労働基本権を有している。
本アンケート調査で回答を強制されている内容は、多くの問題を含んでいるが、とりわけ、次の点で看過することができない。
第一に、職員の思想信条の自由や政治活動の自由を侵害する項目がある。
「あなたは、この2年間、特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含む。)に参加したことがありますか」との質問をし、「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」「誘った人は誰か」「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q7)。
これは、勤務時間外に参加した正当な政治活動や選挙活動の内容についても回答を強制するものであり、それは、当該職員の支持する政党や政治家、政治に関する関心などの回答を求めることにつながり、職員の思想信条の自由や政治活動の自由を正面から侵害するものである。
第二に、職員の労働組合活動の自由を侵害する項目がある。
「あなたは、これまで大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動に参加したことがありますか。」として「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」「誘った人は誰か」「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q6)。
ここでも、勤務時間外に行われた正当な組合活動の内容や参加状況についても回答を強制しており、また当該職員の組合活動への参加意欲や組合への帰属意識、人間関係を調査するものである。したがって、その回答如何では、使用者からの処遇に影響を受ける危惧を抱く職員に労働組合活動への参加を抑制し、その組合活動の自由を侵害することとなる。
また、使用者が正当な組合活動への参加状況を業務命令をもって逐一調査することは、使用者から独立して活動する自由が保障された労働組合の運営に使用者として支配介入するものにほかならず、許されない。
以上のとおり、本アンケート調査は、大阪市職員の思想信条の自由、政治活動の自由、労働基本権などを侵害する調査項目について職務命令、処分等の威嚇力を利用して職員に回答を強制するものであり、到底許されるものではない。
したがって、当会は、大阪市に対して、本アンケート調査の実施を直ちに中止することを求める。
2012年(平成24年)2月14日
大阪弁護士会
会 長 中 本 和 洋
http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/kanri/db/info/2012/2012_4f39fa7f540d8_0.pdf
以下は大阪労働者弁護団の声明です。
大阪市による職員アンケート調査の即時中止と廃棄を要求する緊急声明
2012年2月13日
大阪労働者弁護団
代表幹事 大川一夫
大阪市は2012年2月9日付で、総務局長名で各所属長に対し「労使関係に関する職員アンケート調査」(以下「アンケート調査」)についての指示を行い、翌10日から16日までの7日間で全職員が氏名を明らかにしてアンケート調査に回答するよう、職務命令を出した。
このアンケート調査の目的は、「市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動などについて」明らかとするためであるとされている。
しかし、地方公務員法第36条第2項は、地方公務員による政治活動を一部制限しているが、公務員労働組合は何ら政治活動を制約されておらず、特定の政治家を応援することも含めて何ら違法行為でも不適切な行為でもない。公務員個人についても、後援会活動は地公法に抵触しないし、現在取りざたされている「知人友人紹介カード」の提供についても、何ら地方公務員法第36条第2項に抵触するものではない。
それにもかかわらず、この間市側は「労使関係を適正なものにする」としながら、公務員労働組合の弱体化を意図した動きを強めており、今回の「アンケート調査」もその一環であると言わざるをえない。
今回のアンケート調査は、その内容においても、組合活動への参加や組合への加入、加入のメリット、組合の力、組合費の使われ方など、大阪市の唱える調査目的とすら無関係の設問が多数設けられており、憲法第28条で保障される労働者の団結権侵害となり、さらには不当労働行為として違法行為でもあることは明白である。
さらに、上記の設問や投票行動に関する質問は、個人の政治的信条や価値観を問う思想調査ともいえるものであり、事態は労働組合との関係に止まらず、憲法第19条で保障される思想信条の自由、憲法第13条で保障される人格権に対する侵害にまで及んでいる。
このようなアンケート調査を実施すること自体、違憲違法であることは明白であるが、そのうえ職務命令として、正確な回答をしなかった場合には懲戒処分を科すことを明言して強制するに至っては、甚だしい人権侵害である。このような明白な違法行為を地方公共団体の首長が率先して行うこと自体、前代未聞であり信じがたいことであるが、本件は労働者だけの問題ではなく、橋下市政下で全市民の人権保障が危機に瀕していることを端的に示している。
大阪市は、本件アンケート調査を行うにあたっていかなる適法性チェックを行い、いかなる根拠をもって適法であると判断したのか等について、直ちに市民に対して説明すべきであるし、アンケート調査自体を即時中止し、既に回収したアンケート調査結果については、直ちに廃棄されることを強く要請するものである。
以上
(出典)
http://homepage2.nifty.com/lala-osaka/ketugi120213.htm