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新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃん姉妹とお父さんの日々。

大阪物語

2004年10月05日 | 映画/音楽
不登校少年と家出少女の自転車二人乗りのシークエンスの美しさ。
ホームレスのおっちゃんから「500円? 高い!」といいながら買ったオンボロ自転車で、
颯爽と街を駆け抜けていく。
私はその映像をいつまでも見ていたかった。

この映画は戦後日本を代表するコメディアンヌ・ミヤコ蝶々の遺作にもなった。

「おばあちゃんは、なんで大阪に住み続けるの?」
と、無邪気にたずねる少女に、
「はて。どうしてやろな。
きつねうどんが、おいしいからかな?」
と、にっこり微笑みかける、その顔の優しさ。
見つめあい笑い合う老女と少女は、
谷崎の女たちのように、何と仲むつまじく美しいことだろう。

きつねうどん以上に、いったい、どんな幸せを望むというのか。
最後にほほえみだけ残して、《なにわのおかん》はチェシャ猫のように去っていった。

もちろん、この映画には無理もたくさん重ねている。
短時間で、あそこからあそこまで移動できるのか。
「父ちゃん」役の芸人の沢田研二が、夕食時にわが家に帰ってきて、
「鶴橋のキムチ買うてきたで」いうセリフもカンにさわる。
鶴橋には焼肉とキムチしかないのか。

こうしたロケハン不足は残念ではある。
大阪には、もっと池脇千鶴の魅力が引き立つ、
いい絵が撮れるスポットがたくさんある。
たとえば福島の聖天さん。
恋愛成就の神様で、かつてキタのきれいどころが通いつめた神社で、少女は何を祈るだろう?

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