一年前の記事です。
ピーターラビット展の図録から、上製本のはなしに。
私はこの図録は造本上、欠陥品であると指摘したわけですが、本に興味のない人にはイメージしづらかったと思います。
図録の写真を撮ろうとしたら、どこかに行ってしまっていました。
回り道ですが、岩波文庫・新潮文庫・ハヤカワ文庫が採用する「天アンカット製本」の話を書き加えました。われながら、ほかでは読めない、わかりやすい説明だと思います。他で読むチャンスはないと思うので、本が好きな人はぜひ読んで帰ってください。
左が天安カットの岩波文庫、右が通常の三方断裁の講談社学術文庫。
ピーターラビットとちびくろサンボ
れんちゃんのおみやげの『ピーターラビット展』の図録は、上製本で、なかなかゴージャスだった。しかし天や地や小口が、なんだか波打っている。あまりにもガタガタしているので、とびだす......
「サンボ」が読まれなくなったのは、決して差別反対運動による絶版のせいだけではありません。復刊されていますが、現代の読者には支持される内容ではなくなってきたからだと思います。
「トラバター」という児童文学史に残る名場面がありながら、結局、「サンボ」は東洋人や黒人への差別・偏見が当たり前だった時代の制約や限界を超えることができませんでした。しかし『ピーターラビット』を商業出版するにあたって、当時のベストセラーだった『ちびくろサンボ』を意識していたというのは、面白いエピソードですね。