きゃおきゃおの庭

近代建築から現代建築までPHOTOたてもの探訪の記録。大切にしているものなど写真で綴ります。

「諏訪敦 絵画作品展」複眼リアリスト◇佐藤美術館

2008-01-26 | 美術展
家に、まだ見たことが無い画集があった。
画集の名は「諏訪 敦 絵画作品集」。
その日、作家本人よるトークショーがあるという。
北風の冷たい底冷えのする日で、ためらいながら出かけることに。
風邪が治らないのです。

諏訪敦は、1967年北海道室蘭生まれ。武蔵野美術大学・大学院と進み、文化庁芸術家在外研修員になりスペインへ赴いた。スペイン写実界の代表 アントニオ・ロペス=ガルシアに出会い、影響を受けたという。

表題の「複眼」とういのは、作品作成に当たり、モデルとの対話・生活空間の共有などを通して理解し、背後にある、より深い世界を再現しようとしたことによる。見えるものから、さらなるなにかを絵に織り込んだような細密な描写の作品だ。

「father」という作品は、実父の病室を描いた大作で、息が詰まりそうだった。
詳細に描かれた部屋は、まさしく病院の一室。カテーテルが生々しい。
共有した時間を そこに感じることが出来る。
静かに横たわる最愛の人を前に、どんな思いで作成したのだろう。

「大野一雄・大野慶人」の作品は、肉体の美しさと、肉体に刻まれた老いの残酷さを感じる。あまりにものリアルさに、言葉を失った。
「函館山を望む」は、大野一雄の生まれ育った地を取材し、作成したもの。たしかなデッサン力と細部の描写の緻密さに驚く。ほとんどの作品が人物画なので、風景画も もっと描いて欲しいと思う。

「眠るひとたち」
眠っている人を見るのは、苦手。本当に眠っているのか不確かだし、死んでいるようにもみえてしまう。そっと触って、体温を確かめたくなる。
こころとからだが分離して、肉体が休止したその人の原形質のよう。
画家の前で、ほんとうに眠っているのだろうか。そこはかとない夢の世界にまどろむ姿。とても美しく描かれている。

トークショーは、展示が複数階上に分かれているため、移動しながら行われた。会場に流れている音のサウンドアーティスト・mamoruさんの紹介と、「音」を絵の展示されている会場で視聴した。。多くの人が詰めかけ、盛況のうちに予定時間をはるかに越えて終了した。
諏訪敦さんと、フアンの皆さんと時間を共有できたこと、作品に対する思いを聴けたことで、とても熱い気持ちになった。

ぜひ、でかけてみてください。

◇諏訪敦絵画作品展 複眼リアリスト
2008.1.17~2.24
◇佐藤美術館
所在 東京都新宿区大京町31-10

2008.1.20
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