いつからかは覚えていないけれど、なんとなく四つん這いに進み出した時。ママとパパがいつも居た。シンバルを持ったゴリラ人形の真似をするパパはなんだか必死で、砂遊びを見守るママは不思議と視界の中心に居たような気がする。
「あるけあるけ」は魔法の言葉だった。
台所から南に向かって伸びる廊下の先のトイレ。右手側の大広間の仏壇。
かすかに揺らめく蝋燭を頼りに。悪戯なお化けが音を鳴らすと怖くて、「あるけあるけ」した。
我慢を覚えたのもこのせいだと、今でも思う。
お別れの挨拶。
バイバイからさようならと一言変えただけ。
保育園のあの人達とは2度と会うことがないなんて、思いもしなかった。
少しのプリントに、卒園証。
1時間足らずの時間は私の涙腺を壊してあっという間に過ぎ去った。
微かな記憶。
これは私の曖昧な記憶。
だけど今の私の確かな支柱で不思議なモノローグ。
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