ユーキャン詩集

創作した詩を不定期投稿していきます!感想などございましたらぜひコメントください!時々、旅日記なども載せます!

求めた先の紙一重

2018-12-23 00:33:05 | 創作(詩)
さよならを泣きながら呟いた
寄せてたものが無くなっちゃった金曜の夜
隣にいたいんだって虚言を吐いた
薔薇に縛られていた
肌に刺さって抜けない棘を爪でつまみながら
縛られたいからと抱きしめた

一度抜けられたんだ
棘の隙間をかいくぐって荒野に立った
何もない罅だらけの地に鳥の羽が落ちている幻を前にしてオアシスを探し求めた
腕に刺さったままの棘が気にならなくなって
歩いて歩いて。
見つけたオアシスに手を伸ばした時
視界の端に薔薇を捉えた

真上から見下ろされた薔薇
蒸発を強要された薔薇
力なく猫背になる薔薇
私の知らない薔薇を見つけた

でも薔薇は一人で視界の中から去ってった

赤ん坊切符

2018-12-18 20:58:47 | 創作(詩)
腹から生まれたものは皆、切符を頭に付けている
さあ哺乳瓶の粉ミルクを啜れ
切符を育てて青春18切符にするんだ
神経を研ぎ澄ませろ、落とすなよ。
街灯が消えかけた場所に住んだなら引っ越しをしろ
山の上の休憩所なんて最適な家だ、使え。
海に行きたいと言われたら面倒になるぞ。
人生の根本は変わらないから伝える手段を変えろ、間違えるなよ。
[死ね]
こういうことはダメだ。
脳みそ絞れよ、貴様が消えかけな街灯になるぞ。

生まれた時しか持てない白紙の切符
乳を飲めば文字の浮かぶ切符
泣け、泣け。
その切符で通過できる改札は決まってる
そら
街灯を待ち望む道の手招きが見えるだろ?

友達看病

2018-12-12 22:37:42 | 創作(詩)
痛いって叫ぶトイレが僕の友達
1Kの一人部屋に音響設備はなかった
換気扇の慰めは効かず
ガスの香りは痛みを促進させて
糞尿が頭を弱らせる
(小で飲み込むかい?)
(いやいやだめだよ吐いちゃうよ)
なんでやねん
透明でも汚いんだろう
《出る口違えば意味変わる》
鼻で笑う浄水器
音は小便と変わらないくせに
(大にしとけばいいのにさ)
喉がかっ切れるよ
下水に浸かる便器
照明が綺麗に照らして
汚いねえ
僕もおもわずゲロはいた

重愛

2018-12-11 23:07:09 | 創作(詩)
ならない携帯を手に画面を見続けた
もやが消えない
胃が収縮して吐き気がする
8を指す短針が震えて動かない
同じような人が幾度と無く前を通る
コートのポケットに入れた手が赤く染まった
陽気に笑うスーツの男が羨ましい
隣で電話をしていた男が右手の階段に駆けて行った
短針が9を指す
僕のスマートフォンは鳴らない
耳の中に板を仕込んだ感覚が生まれて
アルコールの匂いが通る人々からする
床のタイルを見つめた
灰色の板に黒い線
きれいに見えるこんな床が僕の涙を誘った
眼下のタイルを蜃気楼が包む
僕の丹田が凍えた
駅前の改札で頬を赤く染めた彼女の笑顔は
知らない男に向いていた
耳に奥歯の軋んだ音が響いた
冷たい足が動いて彼女が遠くなっていく
頭の上で電車の案内が鳴って
そのまま下へ背中を這いまわる
迎えに来るべきではなかった
温もりは偽造のようで肌に馴染まない
隣で携帯の画面を見つめる彼女
幾千の唾を吐く僕の口
それでも。
彼女は画面を見つめ続けた
もやは消えない
頭の血管が収縮する
僕の眉間にシワが寄った

現実逃避

2018-12-10 17:45:51 | 創作(詩)
地面に落ちたパンティーに同情して
泥を被る女がいた時
モザイクのかかる軍勢が
周りで見ていた。

女とパンティーは汚かった
土臭く茶色く艶もなく
女体に惹かれるものすらいなかった
我々のモザイクは取れなかった。

桜はその花弁と仲間とで魅せる
幼子から散りゆく老婆となる一瞬まで
ピンクに染まる風景に向けて
我々のモザイクは解像された
風に揺らぎ舞う
我々は上を向いて歩いていた
「美しい」という中毒
足元に目もくれず
誰かが一人躓いた。

刹那

糞尿にまみれたパンティーの山が積み上がる道にフラッシュの嵐がやってきて

女はそこから消えていた。