ユーキャン詩集

創作した詩を不定期投稿していきます!感想などございましたらぜひコメントください!時々、旅日記なども載せます!

ジャングルジムの錆

2018-09-28 15:48:12 | 創作(詩)
落ちかけた夕日が上がった
土曜がまたねを先延ばしてくれた

最近は雨が多い
太陽に向かって反射する光沢が見えなくなったジャングルジム
日曜という名前と正反対の空に地面も顔を歪めた

変色したジャングルジムのカケラがポロポロと地面に落ちた月曜はまたねの警鐘だったのだと今になっては分かる気がする

固めたあなたの気持ちが雨で少しずつ錆びてった火曜
柔らかな雷雲に包まれるとバチバチ音を立てる街灯だけが進む道を照らして僕を見えない先に走らせた

雨が降った。
雨雲の厚さは下からじゃあわからない
僕の長靴は溜まった水をかき分け進むのに精一杯
そろそろ膝まで浸かりそうな。

回転ジャングルジムが回り出す木曜の空
昨日の雨粒を脱水しながら
水滴は外へ勢いよく飛ばされた
洗い流された錆の海
ジャングルジムは綺麗になって
朝日は布団へ潜っていった

学校の門は閉まって運動場に入れなくなった
通学路から見る運動場は薄暗いもので光が少なくなっていた

「金曜正午」

またねを言えなかったから
錐を胸に突き立てた

前戯の煩悶

2018-09-10 14:58:31 | 創作(詩)
『3レーン、福岡陸連、田中さん』

少し前でお辞儀する
濁ったオレンジの上に8人
右前に5人、左後ろに2人
雨降りの午後、蒸れるシャツ
トラックに響く応援歌
一瞬の静寂をよこすアナウンス
華やかなお辞儀を終えたら太ももをたたく
ほかの7人にも聞こえるように
疼く体を慰めるように

『On Your Mark』

爆発しかけた心臓が止まる
レースの構想は今、白紙で僕に返された
脳は今頃フル回転
舌で歯茎を舐めまわす
開けた雲から差し込む光
固まる8人
焦らす審判
だんだんあらわになっていく
ギラついた僕と太陽

『Set』

腰を天に掲げる
右前の引き締まったけつ
止まる世界に思わず吐き出る欲情吐息
弛緩していく筋肉
号砲まであと何秒?
快楽直前のおあずけタイム
濁りオレンジの上、耐える8人
イキそうな全身を支えていたのは
コンドームのようなにおいのタータンだった