ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

137.シニアに敬意

2020-09-04 07:46:49 | コミュニケーション・人間関係
 年に何度か一緒に仕事をするいわゆる「高齢者」世代の先輩は、とてもお元気だ。非常勤で若者を対象にしたキャリア研修の講師をされている。夏でもスーツにネクタイが基本。長時間、背筋を伸ばして立ったまま。時々、教室内を動き回る。大きな声で丁寧に進めながらも、社会人の先輩として厳しいことも言う。若者からすれば、祖父母のような年齢で、元々大企業の部長職まで勤めた方なので、ギャップや威圧的に感じたりすることもあるかもしれないが、非常勤講師という立場や役割をわきまえた物腰を貫いていると思う。

 一方、残念な先輩もいる。同じく「高齢者」世代で、キャリア支援関連の仕事をしているのだが、いまだに元の会社の役職の感覚が抜けていない。一見紳士的な外見ながら、時代錯誤の偏狭な価値観が変わらない。それでいて他人のキャリアについてアドバイスする立場だから厄介だ。自らの立場や役割が変わっているという自覚がないから、相手の拒絶感や周囲の注意も気にならない。ハラスメントや差別的発言と取られかねない一方的な発言も、むしろ「アドバイスしてやってる」という勘違いが甚だしい。早く引退した方がいい。

 最近、元気で物腰を低くして、仕事や社会活動などをライフワークとして続けている人生の先輩には、敬意を感じるようになった。驕らずヘリ下らず。周囲への配慮はあるが、皆に好かれようとも思わない。残された人生、無理せずできるだけ長くやりたいことができればいい。やるからには、人と協力しながら、自分らしく精一杯責任もってやり続ける。できなくなったら、引き継ぐか早く身を引く。そんな生き様へのあこがれからだろう。

 一緒に仕事をした帰り、一回り以上年上の先輩から先に「今日はおつかれさまでした。」と労いの声をかけられた。何気ないやり取りだったが、ふと自分はもっと謙虚にならねばと感じた。まだまだ若輩者だと自覚した。


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133.言葉のあや

2020-06-20 10:13:12 | コミュニケーション・人間関係
 「こういうご時勢ですから、やむを得ません。」「こればっかりは、どうにもなりません。」こんな言葉を、よく耳にした。そう言わざるを得ないのだろうが、こんな取りつく島もない言い方にやるせなさを感じた。大人げないが、心の中で突っ込みを入れたくなる。「こういうご時勢って、どういうご時勢なんだ?」「こればっかりは、と言うけれど、”これ”以外に他に何かしたのか?」と。

 「慎重に判断せざるを得ません。」と固い表情で話す者は、大体何もしないことを”判断”する。普通、判断には責任が伴うから。人の痛みに鈍感に見える者が、「責任を痛感する」と頭を下げても、結局責任転嫁するだけだろうと見透かされる。「全力で、総力を挙げて」と力まれても、「”やってる感”ばかりじゃなくて、メリハリをつけた方が結果につながるんじゃないか。」と逆に心配になる。「大切な人の命を守る」「安心と安全のため」と、守られた場所の中で守られた立場の者が世間や現場に向かって、だから「~しなければならない」とか「~してはいけない」と、声高に正義・正論を振りかざすのは正直鬱陶しい。「新たなステージ」「新しい生活様式」と仰々しくアピールする割にはそれほど目新しい事はなく、以前から心がけている当たり前の事や、逆に現実離れした事もあったりする。
 
 おうち、with、アフターなど。平仮名やカタカナ、英語表記を使うのは、子供や外国人にもわかりやすくとの配慮かもしれないが、物事の本質や深刻さを曖昧にして、「わかったつもり」に勘違いさせられるような違和感がある。

 「言葉のあや」と言ってしまえば、それまでかもしれない。「綾(あや)」とは物の面に表れた様々な線や形の模様のこと。そこから、文章表現の技巧や巧みな言い回しの意味。そう考えると、以上の言葉には、私には雑で軽薄な感が否めず、重みや人の匂いや体温もあまり感じられない。
 
 「考えておきます。」と言ってやんわり断る客の所に、後で「考えてくれましたか」と押し掛ける営業マンの様な強引さに眉をひそめる人は多い。つまり、人は時によって曖昧な言い回しを使う。まさに、「言葉のあや」を好む。それも、人間関係を円滑にする知恵かもしれないが、言葉のあやは言葉の虚しさと紙一重。その言葉を発する人に対する虚しさも映すと感じる。

 「言葉が変われば、心が変わる。心が変われば、行動が変わる。(略)」と言われる。私は、まず自分の言葉を変えるために、挨拶をしっかりとしようと思う。最近、仕事場や出先でも、マスクをしたままこもった声で表情を変えずに挨拶することが多かった。人間は相手の言葉と表情が一致しないと、相手に不信感を持ちやすいらしい。相手の目を見て、明るい声で挨拶する。挨拶は、相手との心の距離を縮めるもの。「新しい生活様式」とやらになっても守りたいあたりまえのことを、忘れかけていたように思う。
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127.エチケット

2020-02-23 15:20:32 | コミュニケーション・人間関係
先日、ある企業セミナーの受付で、マスクをしていない人にマスクが配布された。講師は最初マスクをしていなかったが、講演が始まると「失礼ながらエチケットとしてマスク着用でお話しさせていただきます。なるべく大きな声で話すように心がけますが、お聞き苦しいことご容赦下さい。」と断って話を始めた。会場は、スタッフも含め全員がマスクをしている異様な光景だっただろう。

 平常時に、講師は勿論、行政窓口も含めて、サービスや接客など人と顔を合わせる仕事においてマスクを着用することに、私は原則反対だ。医療等の現場など、職場環境や健康管理のためやむを得ない場合もあるが、過剰な自己防衛の印象があって違和感は拭えない。相手に対する配慮なく、当然のようにマスク着用で人と接するのは失礼という意見に賛成である。しかし、今回の様に、こちらに対しての説明や気づかいがあれば、事情の察しがついていたとしても、納得感があり違和感もない。エチケットとは、礼儀作法、社会のマナー、他人への気づかいだから。

 昨今の報道で、感染した教師を攻め立て、生徒全員の検査を要求する保護者の様子があった。本人が特定できないよう音声を変えているから、余計にヒステリックに聞こえて不快だった。不安や怒りはわかるが、いわば不慮の事故に遭った人を非難して、自らの権利ばかりを正義のように主張する風潮が広がりはしないかと、嫌悪感すら覚えた。

 誰でも自分や家族の健康や安全を第一に考えて用心や対策をすることは必要だが、他人を気づかう余裕も大切だ。行政や医療の適切な対応も大事だが、自己管理も欠かせない。地域社会で生きて行く以上、自分も家族も一人では守れないのだから、冷静に状況を見守り、できれば周囲に手を差し延べる胆力も肝要と思う。

 私は、明日からもいつも通りのくらしや仕事をするだろう。結局、自分の健康に用心して責任持てるのは自分だと思う。
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116.目線

2019-08-31 23:20:49 | コミュニケーション・人間関係
 「目線」という言葉には、「その立場におけるものの考え方やとらえ方」という意味がある。「お客様目線」とか「子供目線」などの使い方をする。もともとは、映画・演劇界で使われていた「視線」を表す言葉が一般化したものらしい。

 最近、時々気になることがある。「やわらかな上から目線」とでも表現したらいいのか、違和感や苛立ちを感じる「目線」である。自分に対してであったり周囲の人に対するものであったりするが、「今の言い方、態度、何かおかしいな」と感じるものだ。その相手との間に上下関係や主従関係があれば仕方ないのだが、本来対等な関係であったり協働する立場であったりするからだろう

 例えば、「(さんざん自論を言った後で)さあ、あなたの意見言ってみて。」と人を指しながら話を聞かない年長者。「(関係構築もできていない段階で)あなたの話を聞いてあげるから何でも話してごらんなさい。」と身を乗り出すカウンセラー。「(職場で当然の作業をしただけなのに)ありがとうございますやっていただいて、大丈夫でしたか?」と過剰な礼を言う同僚。それから、個人の自由とはいえ、SNSでの美食自慢や多忙自慢に見える発信も、スルーするのもうんざりすることもある。

 いわゆる「明らかな上から目線」の場合、反発、無視、忍従あるいは面従腹背などの対応が考えられる。一方、「やわらかな上から目線」の場合、やり過ごしたとしても、何かもやもやした不快感が残る。それは、自分が馬鹿にされたような慇懃無礼な態度に見えるからだろうか。いちいち指摘するのも腹を立てるのも大人げないとは思うが。
 
 自分自身も、たとえ無意識であっても「上から目線」にならないよう心掛けたい。そのためには、やはり相手を尊重する態度としての「聴く」ことを大切にしたい。そして、視線はなるべく上下より左右に動かそうと思う。相手と自分の自尊心を守るためにも。
 

 

 
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