ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

11.パワフルMさん

2016-05-31 18:29:43 | シニア 人生100年
「まだまだやりたいことがあるのよ!今、上を説得して、準備してるんだけど。これだけは、何としてもやりたいのよ。いろんな人が働ける場所を作りたいの。地域貢献だと思うしね。」 Mさん(50代女性)はウーロン茶を飲みながら熱く語った。先日、ある講座の関係者で会食した時のことである。Mさんは小さな事業会社の部長職。営業、庶務、社員教育など何でもこなす。本人もやらずにはいられない質らしい。今の会社にスカウトされて10年余。

 そんなMさんのキャリアは、決して順風満帆ではなかった。家業の手伝いをしたり後始末をしたり、人がやりたがらないけど誰かがやらねばならない大事な仕事に携わったり、筋が通らなければ上司とも喧嘩したり、勤務先が買収されてリストラされたり、働き過ぎて体を壊したり、挫折や苦労も多かったとのこと。Mさんは言った。「こうして今までやってこれたのも、自分を待っててくれるお客さんや、信頼してくれる取引先があったからなのよ。」「だから、自分ががんばって終わりじゃなくて、後に続いてくれる人を育てたいのよ。」「今、仕事を辞めて探してもなかなか見つからない人が多いでしょ。そういう人達の〝自分探し″でもいいから、働ける場所を作りたいのよ。」力説された。

 話に圧倒されながら、Mさんのライフワークは「人づくり」と思った。苦労や挫折を乗り越え、転機を物にできる次世代を育てたいのだろう。そんなMさんにも、最近ちょっと気になることがあるという。「ジェネレーション・ギャップ」の感覚だそう。部下や若手をリードしたり、見守ったり、厳しいアドバイスもしてきたけれど、それだけで良かったのだろうかと思うらしい。
 
 Mさんは今、人の話を傾聴し、寄り添いながらコミュニケーションを深めて行く技法を学び、仕事の現場でもその実践を意識している。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10.「人間関係は大変なんでしょうか?」

2016-05-29 21:51:13 | 人、本、旅 日記
 「あのぉ、人間関係は大変なんでしょうか?」応募者の50代女性が、最後に遠慮がちに尋ねた。
 

 「うちは、人数が多くて女性が中心ですからね、いろんなことはありますよ、グループができるっていうか」
 「でも、チームワークでやってもらわないといけない現場なんでね、リーダーや長くやってる人に教えてもらって、
 しっかりやってもらえれば、問題ないと思いますよ。」若い事業所長が応じた。


ある食品関連の会社の作業系職種の、パート採用面接のやり取りの一部である。確かに、職場の人間関係は、作業効率アップや
モチベーション向上につながることもあれば、逆にストレスや離職の要因にもなる。その女性はどんな答えを望んだのだろう。 「うちは、皆仲良く和気藹々とやってますから大丈夫ですよ!」と言ってもらいたかったのだろうか。


以前に、ある30代の職業訓練生の女性が、こう言って皆の共感を得たことがある。
「和気藹々なんてアピールする会社はうそ臭いですよ。もし和気藹々があったとしても、そんなのいつもじゃないだろうし、和気藹々の中に入れなかったら、どこでも同じじゃないですか。だから、私は役割分担して、協力するところはして、仕事ができて、ちゃんとお給料もらえたらいいんです!」

応募者の女性は、かつて人間関係に苦労したことがあり、気になって尋ねただけかもしれない。しかし、採用する側としては、 安全配慮義務や職場環境づくりの責務はあっても、基本的に人間関係の問題は本人がうまくやるか折り合いをつける問題であるし、チームでしっかりと仕事をしてもらうことが一番大事なことである。

結局、応募女性は「今すぐに働かないといけないわけではないので、少し考えさせてもらいます。」と言って帰って行った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9.お礼状

2016-05-28 00:18:28 | 人、本、旅 日記
 再就職支援のセミナーを受講した人からお礼状をもらった。習ったことを実践して内定をもらえたという報告や、当方が本人の質問に時間を取って答えたことなどへの感謝の言葉が、便箋2枚に綴られていた。自慢するわけではないが素直に嬉しかった。確か30代前半くらいの男性で、営業職を希望していたと思う。セミナー参加者は多いので、はっきりとは覚えていない相手である。
 
 お礼状には、本人も驚くほど早く内定通知があり、地元の会社だったので安心したとも書かれていた。まあ、セミナーの内容や当方の対応の成果というより、1,2度話を聞いただけのセミナー講師にお礼状を書くような気遣いができる人物だからこそ、採用につながったのだと思う。セミナーの中で、先方に面接の時間を割いてくれたことのお礼状をすぐに出すことが、今のビジネスマナーという話もしたので、そのことを当方に対しても素直に実践したのかもしれない。お礼や感謝の言葉は、それが素直な気持ちからのものであればあるほど、相手に伝わるものだと実感した。
 
 異業種交流会などで名刺交換した相手から、時折送られてくる「出会いに感謝」などと筆文字で書かれたはがきがある。全てとは言わないが、商売っ気を感じるものが多い。昔、顔も忘れたはがきの相手に後日会ったら、案の定、商品販売の話をされ、やんわり断ったら何の連絡もなくなったことがある。営業のきっかけ作りだろうが、後味の悪い思いをした。 

 振り返って、自分自身お礼や感謝の気持ちをきちんと伝えられているか、そもそも感謝の気持ちを忘れていることがないかと考えてみると、内心忸怩たるものがある。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

8.面接対策

2016-05-26 01:05:29 | 人、本、旅 日記
 再就職支援のセミナーには、さまざまな仕事や生き方をしてきた人が参加する。公共のセミナーだとなおさら。年齢も幅広い。思いもいろいろ。
 そんな中で講師をする際に心がけていることがある。不器用な人や自信のない人もいるという感覚を持つこと。
 
 先日、面接対策のセミナーがあった。ポイントや一般的な注意事項なども話すのだが、参加型のロールプレイも行う。まずは、緊張している応募者の見本と、少しリラックスした応募者の見本を演じて見せる。前者はわりと地で演じるのだが、参加者の笑いが起きることがある。「あ~、わかる、自分もあんな感じかもしれない。」といった感想か。後者は、少しがんばって演じてみるのだが、参加者の表情も緩む。「なるほど、あんな感じでいいのかぁ」といった感想か。

 私は、元CAやホテルマンではないので、接遇プロのような立ち居振る舞いはできない。それをやったところで、実際に真似できる器用な人は多分いない。何十年も厳しい環境の中で仕事をして来た人に、急に笑顔を作りましょうと言っても、ぎこちない。

 面接は、話がうまい人を選んでいるわけではない。その人らしさが、会社に必要かという観点が大きい。自分の良いところや思いをいかに表現するかという工夫を自分なりにしてみるようにと話すと、多くの方が深く頷く。立ち居振る舞いや第一印象は、大事なことだけれど、それはひとつの手段。もっと大切なのは自分らしさや思いを伝えること。付け焼刃のテクニックやノウハウだけで乗り切れるほど甘くはないかもしれない。面接する側も採用のプロとは限らないし。

 実際にどうするか。答えは自分自身の中にあると気がついてもらえると、自分を少し変えて行けるかもしれない。転機や挫折を乗り越えるには、しんどくても自分と向き合ってみる努力が一番だと思う。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7.60歳、男性、三者三様

2016-05-24 23:48:18 | 人、本、旅 日記
ある再就職を支援するセミナー参加者の中に、60際の男性が三人いた。他の大勢の30代~50代くらいの参加者と一緒に、熱心に、時折うなずきながら受講していた。セミナーの中で、簡単な自己PRを考えて書いてもらうことにした。60歳の3人はどうだったかというと・・・ (内容は少し変えていますが)

Aさん:何を書いたらいいのかよくわからん!この歳で雇ってくれるところがあったらどこでもええんよ。

Bさん:前に勤めてた事業所を辞めたのは何故かと応募先で聞かれていつも困るから、どうしたらいいのか・・・

Cさん:自分は技術屋で金物のことしかわからんから、他に何か考えろといわれても思いつかん!

作業中、会場内を見て回りながら3人に声をかけたら、口々にこのようなことを言った。3人ともに、これまで仕事一筋で生きてこられた様子。急に自己PRを考えましょうといわれても、思いつかないのも無理はない。ほんの短い時間だが、3人それぞれの言い分や話を聴いてから、こう問いかけてみた。

Aさんには→雇ってくれるところならどこでもいいのなら、まず、これからやってみたいことはありますか?

Bさんには→辞めた理由の説明より、なぜこれからも同じ仕事に応募したいのかその気持ちを聞かせてもらえますか?

Cさんには→技術屋一筋40年ですか、おつかれさまでした!その貴重なご経験や技術を伝えたり、深めたりできるといいですねえ。

ちょっと話を聴いて問いかけてみると、皆さんよく話す。話を聴いてもらいたいのだろう。話すことでその人なりの気づきがあったり、頭の中が整理されたりすることもあるので、講師としてもできるだけ話に耳を傾ける。短くても対話を心がける。
AさんBさんは、セミナー終了後も少し残って私と3人で話の続きをした。Cさんは、今度いつあるの?また来るよ!といって帰って行った。どちらに進むか迷ったり立ち止まっている人にも、「案外何とかなるかもしれないな。」という気持ちになってもらうことから、次の一歩が始まる。こちらも、「大丈夫ですよ、何とかなりますよ」というような楽観的な態度や相手の人生を尊重する気持ちがないと、悲観や否定から得るものはないと思う。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6.不安に思うことの9割は起こらない?

2016-05-18 17:44:55 | 人、本、旅 日記
先日、ファイナンシャル・プランニングのセミナーを開催した。テーマは40代からの保険の見直し。セミナーによく来てくれる女性がいる。熱心に受講してくれ、いつもセミナー講師に質問をされる。今回も講師に、どこかすがるような表情で長くお話をされていた。
 私の耳に入ってきた話は、将来の社会保障不安と健康不安に対する保険加入のこと。また、昔、保険外交員に勧められるままに加入した生命保険を、最近、別の外交員に勧められるままに切り替えたものの、どうも内容に疑問や不信感があるという。
 現在、ご家族の介護をしておられる様子で、年金や介護・健康保険は破たんしてしまうのではないかという不安から、どのくらい保険に入っておけばよいかという主旨の質問だった。
 確かに、さまざまなリスクに対して保険で備えることは有効だし、将来が不安な気持ちもよくわかる。保険外交員の中には、「リスクに対するニーズを喚起する」などといえば聞こえがいいが、「不安をあおって」営業する者もいる。自分の生活がかかっているから、販売手数料の高い商品を勧めるし、不要な切り替えを促す者もまだ多い。
 ファイナンシャル・プランナーとしては、相手の話をよく聴いて、中立的な立場と自分の価値観でアドバイスすることが基本。現在は情報過多で、様々な問題や不安に嫌でも気づかされてしまうことがある。でも、自分を取り巻くすべての問題や不安を受け入れることなど、誰にもできない。ちょっと冷静にお客様自身が現状を客観視してみて、今できること、本当に必要なことに気づいてもらうこともFP相談では大切なことである。もしもの時のために保険に入るのだが、もしもの不安の大半は実際には起きないもの。心配してもきりがない。結局、講師はこの女性に今の保険を大事にすることを勧めた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5.現実は厳しいかもしれませんが

2016-05-13 00:07:18 | 人、本、旅 日記
 転職、再就職を目指している方々向けのセミナー講師の仕事を受けている。就職活動の進め方や心構え、履歴書の書き方や面接時の姿勢など、盛りだくさんな内容の中からポイントを説明する講義形式のセミナーである。行政主催のセミナーのため話す内容は基本的に決まっており、ほぼテキストに沿って進めて行く。時間は1回2時間。
 
 終了後、毎回無記名でアンケートを取っている。なるべくリアリティーを持たせながら、わかりやすく、眠たくならないように講義しているつもりなので概ね好評ではあるが、中には厳しい意見もある。今回もあった。60名の参加者の中に1件、「内容が机上の空論だ。参考にならなかった。」と。60代男性となっていた。それを見て、少し気持ちが凹んだ。
 
 定年退職されたのか、何らかの事情で退職を余儀なくされたのかはわからないが、おそらく再就職に苦労されているのだろう。地方で、60代で再就職しようと思えば、現実の厳しさや苦悩、焦りを感じることがあるのも当然だ。私は中高年の方々の再就職支援の個別面談もしているので、その現実はわかっているつもりである。ヘッドハンティングされるような引く手数多のキャリアを持つ、いかにも裕福そうな中高年なんてごく一部。そのような人には私がやっているセミナーや支援は必要ないだろう。多くの中高年の方々の転職や再就職においては、壁にぶつかり立ちすくんだり、キャリアチェンジを余儀なくされて苦悩したり、現実は厳しいものである。

 それでも、不安や迷いを抱えながらであっても、最後は自らが動くことでしか道は開けない。あるいは、折り合いをつけながら自分の居場所は自分で見つけるしかない。そんなに悲壮感を持たなくてもよいが、自分の生き方を変えてみる努力や覚悟、そして周囲の人や若い人からも教えてもらう、助けてもらうという謙虚さも必要かもしれない。

 私にできることは、これからの働き方や生き方のヒントに気づいてもらうこと、必要な事柄や情報を知ってもらうこと、そして寄り添いながらも時に背中を押すことくらいと考えている。その人の人生の最後までは責任持てないのだから。
 
 できることなら、アンケートを書いた方に尋ねてみたい。「セミナー内容に対する評価も結構ですが、何か気づきはありませんでしたか?できることは全くなさそうですか?」と。わざわざ不満やクレームを書いてくれたということは、何か期待していたこと、すがりたいものがあったのではないかと思うから。そして、そこにその人の壁を乗り越えるヒントがあるかもしれないから。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4.10年後のことより1年後

2016-05-09 23:41:50 | 人、本、旅 日記
 GWに弟夫婦が帰省した。彼はいわゆる流通大手の営業職。ある大都市支店に転勤して1年余り。プレイングマネジャー的な役割で日々売り上げ目標を追いかけてる。
 定年年齢まであと約10年。定年まで勤めるつもりというので、定年後はどうするのか尋ねてみた。「まだわからんよ。定年後のことより来年どうなるかの方が心配よ。経営方針が変わったり、異動があるかもしれないし。」そりゃ本音だよなと思った。多くの現役サラリーマンが日々仕事に終われる中で、10年、15年後の定年のことやその後の生活設計を考えて準備するなんてことは、相当難しいことなのだろう。でも、一方で漠然とした不安を感じている人も多いのだろう。
 「ライフプラン」とか「キャリアプラン」とか、それらは必要なことなのだろうけど、画餅に終わらないよう、できるだけ相手の本音に迫り、リアリティーを持たせるようにすることが大切だと感じた。そのためにも、まずは相手の話を聴くことか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3.「人生の午後」とは

2016-05-07 18:34:24 | 人、本、旅 日記
 「人生の午後」とは、心理学者ユングの言葉です。40歳前後を「人生の正午」と考え、その後の中年期を「人生の午後」と考えました。「人生の午後」には、人生の前半でやり残したこと、心の片隅に追いやっていたことに対する洞察を深め、自分らしさを実現してゆくことが大切な課題とも考えられました。
 という難しい話はさておき、自分は今、人生の午後何時頃かと考えてみました。―感覚的には、まあ「2時50分」頃かなと。自分が生まれたのは夏だから、黄昏時にはまだ早い。これからやりたいことやできることもまだあるある。夕立が来るかもしれないが、夏の晴れた日の黄昏は目に優しく人を惹きつける。―と、まあまあいいイメージを勝手に描いてみました。

 このブログ今日で3日目ですが、なるべく毎日、いや3日に1度は・・・くらいのペースで続けて行こうと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2.H君のこれからのこと

2016-05-06 22:06:14 | 人、本、旅 日記
昨日、ブログを開設した後、仕事でお世話になっている会社の人たちとのお気楽な飲み会があった。
30代から還暦まで男女6人。話題の中心は、私たちの仕事を時々手伝ってくれている最年少H君の結婚とこれからの仕事のことになった。
 H君、もう一度定職について安定しないと結婚も難しいと考えていた。人生のちょっと先輩連中は、「どうする、どうなの?」「結婚なんて◎%△※&?◇だよ!」「###な仕事、向いてると思うよ~」などと思いついたことを次から次へと投げかける。H君「いやいや、なに言ってんすか・・」なんてちょっと困惑気味だったけどまんざらでもなさそうだった。
結局、「自分でどうするか決めるしかないし、何とかなるよ」という適当な話で落ち着いたけど、H君のその「かわいがられ力」のようなものがあれば、結婚も仕事も何とかなると思った。結婚も仕事も一人ではできないことだから。
皆が酔って笑った飲み会だったけど、でもH君、飲んだ後にうどん食べてもう1軒はいかがなものかと。体重管理=健康管理も自分で何とかしないと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする