ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

39.高校を卒業して働くために

2016-07-25 21:43:07 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 卒業後に働く予定の高校生の就職支援の仕事に、田舎の高校に行ってきた。対象は3年生の就職組で、9月中旬の選考開始に向けて様々な準備の仕方やアドバイスを伝える。講義あり、グループワークあり、面接のロールプレイありの盛りだくさんの内容だ。就職を目指す高校生の不安を和らげ、前向きな気持ちにさせ、就職した後も仕事を続けて行く心構えを伝えることも大きな目的となっている。

 今日の高校は、いわゆる中堅クラスの県立高校。進学組も多く、全国レベルのスポーツ競技もある学校だ。参加した就職組の生徒たちは、まじめで素直だけど、ややおとなしい生徒が多かった。就職先を迷っている生徒もいるし、この授業への参加に消極的な生徒もいた。

 キャリアコンサルタントという仕事柄、時々、このような学生対象の仕事の依頼を受けることもある。学生と言っても、未成年だ。正直なところ、普段の仕事では中高年以上を対象にすることが多いので、接し方に戸惑うこともある。こんな時、自分としては念頭に置いていることがある。「一生懸命働く大人、楽しそうに働く大人、わかろうとする大人として講義やワークを進めよう。」ということだ。

 そのように接し進めていると、最初不安そうな顔や硬い表情だった生徒も、だんだんと前向きに参加するようになる。また、グループワークなどではお互いに助け合う様子も見えてきたりする。授業開始前の挨拶の声も大きくなってくる。

 面接の練習で、「私の長所はいつも笑顔でいることです!」と屈託のない笑顔で言われたり、「僕は3年間部活でがんばってみんなをまとめてきました!」と目を輝かせて言われたりすると、こちらも眩しくなってくる。自己PRや志望動機をしっかり作ることも大切だが、おそらく採用担当者は眩しいくらいに明るい将来を感じさせてくれる、素直な生徒を採用したいと思うだろう。

 
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38.自己PR

2016-07-22 18:47:44 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 その女性の職務経歴書の自己PRには、これから仕事中心の人生を生きて行くという意思が感じられた。仕事のキャリアは、女性には少ない職人的な仕事を約15年。一般的なOLに比べたら、労災リスクも高い現場仕事をしていた。事情があってやむなく転職をせざるをえなくなったのだが、今後も長く経験してきた業界で、働き方を変えて仕事を続けたいとのこと。家族の生活も支えなければいけないとのことだった。

 都会から地方へ帰っての職探しなので、戸惑いや苦労もあったようだ。女性であり、年齢的にも、自己PRは控えめにして無難な内容にした方がよいのか、少し業界を広げて堅実な仕事を探して、今からでも安定的な生活設計をした方が良いのかという迷いもあった。仕事に生かせる資格や技能を身に付けて、自己研鑽にも励み、これまでとは別のアプローチで仕事を続けて行きたいという思いが書かれていたが、「こうなりたい」という将来像が曖昧な印象だった。

 話を聞いていても、目前の「就職」に焦っていて、自らのライフキャリアに対する視点が伝わってこなかった。そこで、「都会で自分のやりたい仕事を続けてきて、今度は地元で家族を支えながら仕事中心の生活を考えているようだけど、5年、10年後に仕事や暮らしも含めてこうなりたいという希望や目標はありますか?」と尋ねてみた。すると、「私は地元に帰ってきて、仕事で生きて行こうと決めたので、本当は(こういう)仕事をして行きたいんです。そして、~~な〇〇を目指したいんです・・・」と話しながら、「こんなこと書いてもいいんですかね?」と私に聞いた。

 仕事に対する思いや覚悟として、簡潔に盛り込んだらどうかとアドバイスして、例文を書いてみた。それを見て彼女は納得したように頷いた。これだけが理由ではないのだろうが、後日「ある会社から内定もらいました。」と彼女からの報告があった。
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37.ちょっと残念な光景

2016-07-21 23:11:10 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 接客のよい居酒屋は心地よい。酒の種類が多く、食べ物がうまく、客の年齢層が比較的高く、料金は高すぎず、接客は元気がよくて、手際もよくてほど良い感じ。そんな店も最近増えてきた。
 
 ちょっと有名な社長が経営する全国的チェーンの居酒屋がある。この店は、店員が声をそろえて大きな声と笑顔で客を迎え挨拶をする。皆、声をかけ合い、楽しそうに働いている。マニュアル対応なのだろうが、ほど良い活気がある。時々行く好きな店の一つだ。

 先日、たまたま開店前のその店の前を通りかかった。その時、店の名前入りTシャツを着た若い男性店員が、材料の買出しから店に戻ってきたところだった。レジ袋を持って勝手口から入ろうとしたその時、くわえていたタバコを火のついたまま道路の側溝へポイ捨てした。悪びれる様子もなく中へ入っていった。

 一方、私の事務所近くのテナントビルの喫煙所に、いつもタバコ休憩をしている中年男性がいる。私は事務所に頻繁に出入りする日もあるからその喫煙所の近くをよく通るが、「あれ、さっきも吸ってたよな」「また吸ってるな」「あ~、一仕事したから一服しますみたいな顔して来たと思ったら、やっぱり吸い始めた。下手な芝居が滑稽だな。」「余計なお世話だけど、一体いつ仕事してるんだ?周囲は何も言わないのか?」そんな風に見ていたのは、私だけではなかった。Yシャツ腕まくりして、指にタバコ挟んで、スマホいじっている。地元ではちょっと名の知れた会社の社員だけに、これまた残念な光景だ。

 タバコは吸うなとか、聖人君子たれなどというつもりは全くないが、仕事中くらいはその店や会社の看板を背負ってるという自覚や、社会の一員として見られているという感覚はないのだろうか。仕事を通じて公共心を育み、少しでも自分を成長させて行けたら、キャリアも自分の望みに近づいて行くと思うのだが。(本文と写真は関係ありません)
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36.自信がないので辞めさせてもらいます!?

2016-07-18 23:36:20 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 「自信がないので辞めさせてもらいます。」と、30代の男性が切り出した。ある大手メーカーの工場内会議室の一角。製品検査課長(50代)は、あっけにとられた。つい1ヶ月ほど前に中途採用されたばかりなのに。正社員採用は人事部の所掌だが、工場の現場で求める経験と資格を持った人材が久しぶりにタイミングよく応募してきたので、工場長と人事が面接して採用を決めた人物だ。

 製品検査課長は、落ち着いてから慰留した。「うちのやり方も大分覚えてきてるし、問題なくやってるのにどうしてなの?」「この先やって行く自信がなくなったんです。」「もう少しで、仕事の流れもうまく行きそうだから、○○君も楽に適確にやって行けると思ってるよ。」「でも、この前ちょっとミスしそうになったことがあって、また同じことがあったらちゃんと対処できるか不安で・・・。」「しかし、○○君はうちに来る前も今と同じ仕事の経験が長いし、※※の資格もあるから、大抵のことには対応できるんじゃないの?確か、この仕事に自信があるようなことも職務経歴書に書いてなかった?」「いや、すみません、あれは転職エージェントの担当者が“こう書け”って言うから書いただけなんですよ・・・」

 製品検査課長は、私に言った。「確かに、職務経歴書に書いてあるPRは、かなり盛ってるなってことは、面接の時から上も感じていたし、配属になって4日くらいで本当のレベルは大体わかったんだけど、まあ経験はあるし、もうちょっとで問題ないレベルを超えられるよとこちらが言ってるのに、どうしてやろうとしないんだろうね?」

 小さな壁にぶつかっただけなのに、それを大きな壁にしてしまって動けなくなる若者。過去にも同様の出来事があったとのこと。製品検査課長は、私の友人。久しぶりに飲みながら、リアルな話を聴いた。結局、彼は退職の方向に。個人の気力や能力だけの問題ではなさそうだ。

 
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35.豊かにはなったが心が満たされない人々

2016-07-17 00:00:19 | 時代 世の中 人生いろいろ
 今朝のNHKの番組で、頻発するテロに関する討論があった。出演していたコメンテーターも、私自身も、犠牲者の方々を悼み、勿論テロは許されない卑劣な行為だという考えだ。海外でその国の復興や発展のためにリスクを負って貢献している人々には敬意を持っている。その前提で、あえて冷静に政情、経済、歴史、文化などの背景から多角的に討論を進める中で、あるコメンテーターとキャスターのやり取りが印象に残った。

 (コ)「テロを起こす過激思想に共鳴する若者の中には、大学卒などの高学歴の若者も多い」(キ)「自分の成功や世の中のためと思って一生懸命勉強したはずなのに、なぜそれを人のために生かして行こうと考えないのでしょう?」(コ)「大学を卒業しても思うような仕事に就けない。仕事に就いた人も豊かにはなったけれど心が満たされない。一方、そんな人々の自由な発言が政府に抑えつけられていて不満が溜まっていた・・・」-最近起きたバングラデシュの事件に関するやり取りのごく一部だが、こんな主旨のやり取りだったと思う。
  
 日本でも、今から20年余前には都心でテロ事件があった。その事件を起こした教団には、いわゆる有名大学の出身者も少なからずいた。その後、幸い治安は回復したが、経済不況は長く続き、今も不透明感はある。

 人間の欲求には5段階あって、段々と上位の欲求を満たそうとするという理論がある。「心が満たされない」とは、その段階の中の「自尊欲求」か「自己実現欲求」が満たされないということだろうか。そんな単純なものではないのだろうが、どんな困難があってもあきらめずに自分の道や居場所を探す努力や、その努力や多様な可能性を無駄にしない、自由で寛容で平和な社会や国をつくり、守り、広げてゆくことが大切だとつくづく思う。最近の日本は、大丈夫だろうか。自分も他人も、命あっての自由や平和、それぞれの人生。



 
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34.晴れ晴れとした顔

2016-07-15 23:38:58 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 初めて再就職関係のセミナーに参加した時の、彼の表情は暗かった。浅黒い顔に鋭い眼光、短髪、やや細身に黒っぽいスーツ、白いシャツにノーネクタイ。ラフな服装で参加する受講者も多い中で、彼は目立っていた。少し近寄りがたい印象だった。

 セミナーが始まると、彼の眼はますます鋭くなった。そして、講師の話を聞き漏らすまいと懸命にテキストにメモや書き込みを始めた。真剣だった。セミナー途中、受講者が履歴書や面接の自己PRを考えるワークの際に、手が止まっていた彼に前職のことを聞いてみた。前職は飲食関係で料理の仕事をしていたとのこと。好きで始めた仕事で、学校を出てから修業を重ね腕を磨いてきたが、意に反して退職せざるを得なくなったようだ。詳しいことは聞かなかったが、人間関係の問題の様だった。

 彼が10年以上、料理人の世界で厳しい親方の下で修業し腕を磨いたこと、その中で身につけた段取りや手際、食材の扱い方や盛り付けを季節によって変える細やかな感性、衛生管理や道具を大事にするという基本など、身に付けていそうなことを引き出してみた。すると、彼自身があたり前にやってきた事が立派な自己PRになり得ると気づいたとき、彼の目の輝きが柔らかくなり、口数も増えた。

 後日、同じセミナーに彼が参加した際、同じ話を晴れ晴れとした表情で聴いていた。そして、帰り際に少し遠慮がちにメモを渡された。実は、自分で小さな食堂を始めることにしたとのこと。メモ用紙には、その場所の丁寧な手書き地図と電話番号があった。

 その彼が、今度は就職面接を受けるためのセミナーにも、また参加するという。今度は、自分が人を雇うときのためにも勉強しておきたいとのこと。10年後、彼が有名店のオーナーになっているかもしれないと考えると嬉しくなる。彼の晴れ晴れとした顔にその可能性と一期一会の大切さを感じた。




 

 
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33.「政治家」というキャリア

2016-07-12 10:57:09 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 参議院選挙が終わった。自分はいわゆる無党派層で後援会や支援組織等にも属していないが、国政や地方の首長・議会選挙までほぼ毎回投票している。
 
 今回は期日前投票をしたが、選挙区で投票した候補者は惜敗した。誰に投票するかは、政策や方向性、政党への期待度等も考慮するが、選挙の時は聞こえの良い政策を全力でやると訴えながら、当選したら公約がほとんど実現できなかったり方向転換したりしても、責任を取る議員はほとんどいないのであまり当てにしない。民間人の感覚では、「いつまでに必ずやります」と約束したことが期限までにできなかった場合に、「状況が変わったから期限を延期してこれからがんばります。」なんてことを一方的に宣言するなどという事は、あまり許されない事だと思っている。

 そうなると、与党も野党も大きな違いはなかったりするので、候補者個人の言動を見て投票することが多い。今回の与党系候補者は県議を経て国政20年のキャリア。実績と厚い支持基盤を持つ。一方、野党系は、民間企業のキャリアを捨てて先の衆院選に当選したものの、改選時に苦杯を舐めた元職の女性。政界を引退しながらも、周囲に推されて再チャレンジした。二人ともほぼ同世代。個人的には判官びいきな方なので野党系候補に投票したが、今後の国政や地方により良い変化をもたらす可能性が、どちらにより多くあると感じられるかということも判断材料にした。

 中高年のキャリア支援の現場では、経験や実績も大事だが、新しいことに果敢にチャレンジする姿勢も大事。そして、チャレンジには家族や周囲の支えが必要。日頃から可能性を探す地道な努力の積み重ねや、支援や理解の輪を広げて行くコミュニケーションを続けること、つまり政治の世界で言う日常活動が大切。今後、議員と一国民として二人がどのようなキャリアを歩んで行かれるのか、時々注目したいと思っている。
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32.H君の今とこれから

2016-07-08 11:40:43 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 このブログ第2号でネタにさせてもらったH君や仕事関係者と、2か月ぶりに飲み会をした。H君には、今も月に3日~6日、講座運営を手伝ってもらっている。同席したH君の先輩や我々は、もっと一緒に仕事をしないかと誘うのだが、今一つ彼の腰は重い。他にインターネットビジネスなどで小遣いを稼いでいるようだが、それを本業としているわけではない。今は親御さんと同居だから生活に不自由ないかもしれないが、彼のこれからのことを考えると気にはなる。世代も違うし、特別愛想が良いわけでもないのに、なぜか気になるのだ。「潜在的なかわいがられ力」があるからなのか飲み会でもかなりいじられるが、彼はあまり動じない。
 
 そんな彼が、本音かと思えることを言った。「仕事するのはいいんですけど、いいように使われたくないんですよね・・・」-いわゆる就職氷河期に就活をした彼は、何とか採用してくれる所に就職したものの、その後何社か転職して現在に至っている。これまでの就職先では、あまりやりたくない仕事やマニュアルもない未経験の仕事もやってきたが、違和感を感じることもあったようだ。一方、年長者や高齢者のお客さんからかわいがられることが多かったらしい。

 彼をいじりながら話を聞いていて、自分なりにやりたい仕事や将来のことを考えているのかと思った。人の手伝いもいいが、その場その場をこなすだけの「作業」ではなく、じっくりと長く続けて行ける自分らしい「仕事」を望んでいるのかと思った。

H君も30代。かわいがる方も、H君の考えや思いをもう少し聴いて、将来を一緒に考える姿勢が大事と思う。そして、一緒に仕事をするなら、その仕事のやりがいや、その仕事にH君が必要だということも伝えられたら、H君の気持ちはぐっと動くかもしれない。周りの人に気にかけてもらいながら、H君の働き方や生き方の模索は続く。
 

 
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31.ブラック?な職場

2016-07-06 18:35:01 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 就職支援の講師をしていると、時々若い受講者から「地元のブラックな会社を知ってますか?」と質問されることがある。答えようがないので、「どんな会社にも一生懸命働いている人もいるから、あまり噂に惑わされずに、自分の目や耳で確かめるようにしてください。」などとかわすことが多いが、相手によってはヒントになるかもしれないことを伝えることがある。

 労働基準法違反等で摘発された会社や、労災事故が頻発し公表されたような会社は、慎重に調べた方が良いとアドバイスするが、それ以外ではイメージばかりで何を作ったり売ったりしているのかよくわからないのに高給の会社、人の入れ替わりが頻繁な会社なども慎重に調べるように勧める。

 最近少なくなったが、芝生の上で若者たちが和気藹藹と語りあっているような写真に「仕事も遊びも全力投球です!」のキャッチコピーのホームページだったり、会社FBに社員旅行の宴会の仮装写真や、不自然にオーバーアクションのミーティング風景が掲載されていたり、何となく胡散臭い所は要注意かもしれない。実際、知人が入社した会社のHPがそんな感じで、定時にタイムカードを押させてから残業をさせたり、早朝に現場直行なのに時間外手当をつけなかったりがあたり前だったそう。それでも、あらかじめそういう仕事と分かっていたなら我慢もするが、きれいなイメージを売りにしておきながら、入ってみたら全然違うのでは人が定着しないのも当然だろう。経営者が人手不足で仕方なくやっているのかもしれないが、人を大事にしない会社は長続きしない。

 自分で確かめるといっても限界はある。ただ、できるだけ情報を集めて実際に面接に行ってみて、腹を据えて対等な気持ちで話をすれば、案外相手の実態や本性が見えることもある。黒か白か割り切れるものではないかもしれないが、嫌な感じがしたら他を探すという判断もあってよい。

 
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30.問題は相談室でおきてるんじゃない

2016-07-02 11:33:02 | 生活 お金 ファイナンシャルプランニング
 相談室では、相談者の方の様々な話を聴く。仕事のこと、お金のこと、家族のこと、人間関係のこと、心の問題、生き方などいろいろな人生の問題や悩み、迷い、不安、不満、ただ聴いてもらいたいことなど、幅広さや深さも多様だ。問題はその人だけのものだから、同じような話でも百人百様である。

 相談を受ける側も人間だから、体調や気分のすぐれない時もあれば、問題や悩みを抱えていることもある。一定の資格やスキルは持っていても、相手の話の受け止め方や対応には、個性や価値観、経験の違いなどが表れることも多い。そう考えると、誰に話を聴いてもらうかということは、ひとつの縁のようなものだと思う。

 相談を受ける側には、原則がある。「問題の解決は、最後は相談者本人が決める」ということ。こちらはあくまで必要な情報やヒントを提供したり、考え方や行動に寄り添ったり、時に背中を押したりするような援助をする立場ということ。時には、アドバイスしたり、褒めたり、叱咤激励することもあるが、基本は本人の自己決定と自立を支援するスタンスだ。相手の長い人生の最後までは責任を持てないのだから、こちらの物差しで善悪や評価、可能性を決めつけることはしない。「カウンセリングがうまくいった」とか「自分が相手の問題を解決してあげた」などと得意になっている時こそ、ひとりよがりではないか、相手がこちらに合わせてないか、次も相談に来るかと振り返ってみる。

 相談者の抱える問題は、確かに相手の話の中に解決のヒントがあることが多いが、相手は相談室を出ると、現実の問題や職場や生活に向き合わねばならない。よって、こちらには一人で解決できない問題があるからこそ相談に来ているという現実への感性や、現場への想像力も必要だと思う。大切なことは相手に誠実に向き合い、傾聴し、自分のできる範囲を謙虚にわきまえて対応することだと思う。

 
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