ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

5.現実は厳しいかもしれませんが

2016-05-13 00:07:18 | 人、本、旅 日記
 転職、再就職を目指している方々向けのセミナー講師の仕事を受けている。就職活動の進め方や心構え、履歴書の書き方や面接時の姿勢など、盛りだくさんな内容の中からポイントを説明する講義形式のセミナーである。行政主催のセミナーのため話す内容は基本的に決まっており、ほぼテキストに沿って進めて行く。時間は1回2時間。
 
 終了後、毎回無記名でアンケートを取っている。なるべくリアリティーを持たせながら、わかりやすく、眠たくならないように講義しているつもりなので概ね好評ではあるが、中には厳しい意見もある。今回もあった。60名の参加者の中に1件、「内容が机上の空論だ。参考にならなかった。」と。60代男性となっていた。それを見て、少し気持ちが凹んだ。
 
 定年退職されたのか、何らかの事情で退職を余儀なくされたのかはわからないが、おそらく再就職に苦労されているのだろう。地方で、60代で再就職しようと思えば、現実の厳しさや苦悩、焦りを感じることがあるのも当然だ。私は中高年の方々の再就職支援の個別面談もしているので、その現実はわかっているつもりである。ヘッドハンティングされるような引く手数多のキャリアを持つ、いかにも裕福そうな中高年なんてごく一部。そのような人には私がやっているセミナーや支援は必要ないだろう。多くの中高年の方々の転職や再就職においては、壁にぶつかり立ちすくんだり、キャリアチェンジを余儀なくされて苦悩したり、現実は厳しいものである。

 それでも、不安や迷いを抱えながらであっても、最後は自らが動くことでしか道は開けない。あるいは、折り合いをつけながら自分の居場所は自分で見つけるしかない。そんなに悲壮感を持たなくてもよいが、自分の生き方を変えてみる努力や覚悟、そして周囲の人や若い人からも教えてもらう、助けてもらうという謙虚さも必要かもしれない。

 私にできることは、これからの働き方や生き方のヒントに気づいてもらうこと、必要な事柄や情報を知ってもらうこと、そして寄り添いながらも時に背中を押すことくらいと考えている。その人の人生の最後までは責任持てないのだから。
 
 できることなら、アンケートを書いた方に尋ねてみたい。「セミナー内容に対する評価も結構ですが、何か気づきはありませんでしたか?できることは全くなさそうですか?」と。わざわざ不満やクレームを書いてくれたということは、何か期待していたこと、すがりたいものがあったのではないかと思うから。そして、そこにその人の壁を乗り越えるヒントがあるかもしれないから。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする