LiveInPeace☆9+25

「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

[転載]教育破壊の大阪市教育振興基本計画「素案」

2012-11-20 | 大阪「教育基本条例」
 大阪教育条例NO!よりの転載です。
 
 教育破壊の大阪市教育振興基本計画「素案」
 
 11月6日、大阪市教育振興基本計画有識者会議で、大阪市教育振興基本計画の素案がまとまりました。3回の有識者会議は、橋下市長と彼の推薦した委員(中原 徹氏、西村 和雄氏) 、彼の公募に応じて教育委員となった大森不二雄氏が完全に主導権を握って議論が進められています。さながら橋下市長が「政治決断」を押しつける場となっているかのようでした。その結果、まとまったのが「素案」です。これまでの大阪市の教育を全面的に覆し、競争主義と成果主義、自己責任を子どもにも保護者にも、教職員にも押しつけるきわめて危険な内容です。
 「素案」は、12月に市民からのパブリックコメントを行い、来年2月市議会で決定しようとしています。そして、市議会で予算化され、来年の4月から実行段階に移ります。
 是非、この「素案」を読んでいただき、パブリックコメントが始まれば、さまざまな立場から問題点を指摘していただきたいと思っています。

■大阪市教育振興基本計画「素案」にもりこまれるもの(大阪市HPより)
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000191676.html

 以下、気がつく範囲で問題点を指摘したいと思います。ほかにも問題点はいっぱいあると思いますので、是非、補強していただければと思っています。

(1)「基本となる考え方」に当初の維新「教育基本条例」案にあった「教育理念」が登場

 「素案」に盛り込まれたものは、2011年夏、大阪維新の会が「教育基本条例」に教育理念として掲げた内容と同じものです。いったん教育委員会との協議の中で最終的には削られましたが、当時、維新に近い高尾教育委員は「基本理念は、土台中の土台となる価値観」「(教育振興基本計画の)明文化に激しい抵抗が予想されますが、きちんと位置づける重要性は明白です」と語っていました。そのことがほとんど議論されることもなく「素案」に入ったのです。

「基本となる考え方」
・ 一人一人の子どもを、個人としての尊厳を重んじ、その意見を尊重するとともに、自由と規範意識、権利と義務を重んじ、自己の判断と責任で道を切り拓き、真理と正義を求め、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備え、グローバル化が進む国際社会において力強く生き抜くことができる人間としてはぐくむこと
・ 子どもたちが、我が国と郷土の伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた国と、自らが育ったこの大阪を愛し、大阪にふさわしい新しい文化の創造をめざすようになること


(2)「施策分野ごとの具体的な目標」では、数値目標のオンパレード

 大阪市教委では、全国学力テストの学校別回答率の公表も検討しており、これまで以上に数値を上げるための教育に現場は翻弄されるこことになります。しかも、「不登校」や「いじめ」などについても数値目標化し、子どもたちの実態を離れた指導が強制されることが危惧されます。

(確かな学力の確立)
・全国学力・学習状況調査における学力や学習状況の結果を全国平均の水準以上にします。無解答率、正答率8割以上・正答率3割以下の割合、家で学校の授業の復習をしている児童生徒の割合、「書くこと」「読むこと」の項目の平均正答率
 中学校卒業段階で英検3級程度以上の生徒の割合を30%以上にします。
 児童の意識調査で「理科が好き」と答える児童の割合を増やします。
(豊かな心の育成)
 全国学力・学習状況調査における道徳的内容の結果を全国平均の水準以上にします。
人が困っているときに進んで助ける、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合
 学校園で認知したいじめについて、解消に向けて対応している割合を100%にします。
 中学校における不登校の生徒の割合を全国平均の水準以下にします。
 児童虐待について学校園で把握した全てのケースに対応します。
 防災に関する授業を年間2時間以上実施する学校の割合を100%にします。
(すこやかな体の育成)
 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の各種目の結果を全国平均の水準以上にします。
 全国学力・学習状況調査の、朝食を毎日食べていない児童生徒の割合を全国平均の水準以下にします。
・ 栄養バランスのとれた昼食(家庭弁当や学校給食)を取る中学生の割合を100%にします。
(特別支援教育の充実)
 障がいのある全ての子どもを個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づき指導します。
 26 年度までに知的障がい特別支援学校で特別教室を普通教室に転用している状態を解消します。


(3)「伸ばす子はしっかり伸ばす」教育と「習熟の遅れを取り戻すための特別学校」の設置
 橋下市長は、第2回有識者会議で小学校低学年からの理科の復活、塾代バウチャー、習熟度別学習の徹底、「児童放課後いきいき事業」の公募化などを主張しました。そのほとんどが「素案」には盛り込まれています。それを主張する際、橋下市長は、以下のように発言し、一部のエリート優先の教育を行うことを語っています。他方で、「習熟の遅れを取り戻すための特別学校」の設置構想もあり、子どもたちの格差化と差別化を徹底しようとしています。

「悪しき画一主義、頑張っている子が頑張っていない子に引っ張られているのが現状。今は頑張る子どもを伸ばそうというように推進している。今までは「そこは差別、区別してはいけない」というやり方から、やんちゃな子ども、授業をまじめに受けない子どもにみんな引っ張られて、そっちに合わせないといけなかった。底上げだ、と教育現場はいうが、下位層の底上げの一方で、上位層をさらに伸ばすということが不足していた。」

(4)橋下市長が、政治介入でねじ込んだタブレットPCの導入、土曜授業、小1からの英語

 第2回有識者会議では、タブレットPCの全面的な導入について各委員から賛成意見、慎重意見が出されていました。しかし、橋下市長は議論を遮り、「各委員に政治的にお願いしたい。市会ではICT導入に対しては全面賛成でなく、自民党中心にそれだけの投資効果があるのかと指摘されている。私はそこは議論決着済み、としたいと考えている。次のステージ、要はどう使うかの議論をさせてほしいと言っているのだが、市会の議決を得なければ予算がつけられない。」と発言し、タブレットPCを導入費用の約150億円市議会に承認させるための論理を作るように指示しています。まさに、有識者会議が橋下市長の政治介入の場となっていることを如実に示している事例です。
 また、校長会の会長から土曜授業に慎重な意見が出されると、橋下市長は、「目標の一つとしては学力調査を想定している。学校ごとに点数化して、一定の改善策をしっかりやってくれるのであれば、土曜授業をやろうが夏休みに授業をやろうが、校長のマネジメントの部分だと思っている。」と、結果責任を迫り黙らせました。

(5)学校統廃合の加速

 「素案」には、2015年度末までに「11学級以下の小学校について適正化を図ります。」との文言が入りました。これは、小規模校の統廃合を加速させることを明らかに狙っています。橋下市長は、2014年度からの学校選択制導入によって学校を市場原理に投げ込み統廃合の梃子にしようとしているのです。
 橋下市長は、有識者会議の中で「自分が大阪市の小中学校に通学していた時は、「しない、させない、越境入学」というのが言われていた。他の学校を選ぶなんてありえない、という状況でずっと来てい た。その価値観をやめよう、学校は選ぶものなんだということを今は言っている。」と、これまでの大阪市の教育からの根本的な転換を主張しました。

(6)中学校での到達度テストの導入、職責・業績に基づく教員給与制度を府教委に要求

 橋下市長は、大阪市教育振興基本計画を大阪府内の小中学校にも適用させようと画策しています。そのために「素案」の中には、府教委に要求する項目として大阪府内市町村での「評価方法の共通化」と「到達度テスト」の導入、職責・業績に基づく教員給与制度をあげています。教職員評価育成システムは、年々改悪され、評価結果の給与反映が強化されてきました。また、来年度からは保護者・生徒による「授業評価アンケート」が制度化され、その結果が給与に反映されるところまできています。「素案」は、それ以上にさらに改悪するように働きかけることを明言しているのです。
 
 
 
(ハンマー)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。