ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.116
( 2024年11月21日報告)
(ベネズエラ: コムーナ国家建設へ 要約)
【「コミューン」「コミューナル・カウンシル」という表記は、今回から原語のカタカナ表記「コムーナ」(comuna)と「コンセホ・コムナール」(consejo comunal)に改訂します。ベネズエラ独自のものだという側面を重視しての変更です。】
・ 11月14~16日、全国から6,000人以上の代表が集まり、「21世紀のためのボリバル歴史的ブロック会議」が行なわれた。コムーナ国家を建設していくことによってブルジョア国家を解体していく「30年計画」の策定を目指している。 / ここ数ヶ月の間に全国で10万回以上の集会が行われ、数多くの提案が討議された。 / 政府が今年はじめに発表して大統領選で前面に掲げられた「7つの変革」計画も議論された。
【「7つの変革」を詳しく説明した記事は(2024.8.22 報告)に収録。最後に再掲。】
・ 人民権力にもとづくコムーナ国家建設の一環として、今年4月に第1回「全国人民協議2024」が行なわれた。全国約4,500のコムーナがそれぞれに社会プロジェクトを提案して、選ばれた提案に政府が資金提供して実施していくという取り組みである。15歳以上の市民に投票権があって、コムーナ発展のために数多く提案されたプロジェクトの中から投票で選択する。その第2回が8月25日に行なわれた。 / 第1回では、水や電気、インフラ、公共サービス、教育、医療など、人民生活関連が大半を占める4,347のプロジェクトが承認され、そのほぼ60%がこの8月段階で完了していたという。 / マドゥロ大統領は、11月末か12月初めに第3回を行い、今後は毎年4回行うと発表。
・ コムーナ国家建設を加速させる取り組みが開始された背景には、制裁・封鎖による苦境を脱し、安定した経済発展が持続するようになってきたことがある。 / 石油依存経済から脱却し、生活必需物資の自給率を高め、食料生産は100%自給できるまでになった。石油生産も、封鎖が継続されている下で少しづつ回復してきており、この10月にはピーク時の約半分ぐらいになってきている。
・ 対外的には、ラ米の強力なパワーとしての地位の確立をめざしている。また、世界中で極右運動が台頭していることを念頭に、ベネズエラを平和と民主主義を守ることに専心する「反ファシストの砦」として位置づけることが提起された。
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(ベネズエラ: コムーナ国家建設へ)
Venezuelanalysis November 17, 2024 Andreína Chávez Alava
Venezuelans Debate 30-Year Plan for Popular Democracy in Historic Bloc Congress
(ベネズエラ国民、「歴史的ブロック会議」で人民民主主義の30年計画を議論)
マドゥロ大統領は、「ベネズエラのブルジョア国家の基盤を揺るがし、人民のコムーナ的民主的国家を建設する」よう呼びかけた。 / 11月14~16日にカラカスで開催された「21世紀のためのボリバル歴史的ブロック会議」に、ベネズエラ全土の民衆運動や政治運動から6,000人以上の代表が集まった。 / この大会は、「ブルジョア国家」を直接民主主義、草の根民主主義へと再構築することを中心とした30年計画の策定を目指している。代表者たちは、これまでの数ヶ月間に全国で行われた10万回以上の集会で集められた数百の提案を討議した。 / 議論には、ベネズエラ政府が今年初めに導入した「7つの変革」計画も含まれていた。これは今後7年間の7つの主要目標を概説したものである。その目標は、経済の近代化、国家主権の強化、安全と治安の向上、社会的権利の確保、政治参加の促進、環境の保護、地政学的課題への取り組みに焦点を当てている。【Orinoco Tribune(JULY 13, 2024)に「7つの変革」計画の詳しい内容あり。】 / 11月14日の開会セレモニーで、デルシー・ロドリゲス副大統領は、今こそボリバル主義の教義に基づく「真のコムーナ国家」を前進させる「決定的な時」であると強調した。 / 「我々は、シモン・ボリバルが構想したボリバル社会主義に根ざした新しいコムーナ国家を緊急に建設するよう求められている」とロドリゲスは述べた。 / 世界中で極右運動が台頭していることを受けて、ロドリゲスは、「歴史的ブロック会議」の参加者に対し、ベネズエラを平和と民主主義を守ることに専心する「反ファシストの砦」として位置付けるよう求めた。 / ニコラス・マドゥロ大統領は、人民の力に根ざした民主主義の新しい概念を議論し、ウゴ・チャベスが確立したボリバル革命の「遺産」を守り、社会主義の未来への道を切り開くことが大会の主な目的であると述べた。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2024.11.18 Monday)に全訳あり】
teleSUR November 14, 2024
Vice President of Venezuela Installs the National Congress of the Bolivarian Historical Bloc
(ベネズエラ副大統領、「ボリバル歴史的ブロック全国会議」を開催)
デルシー・ロドリゲス副大統領は、11月14日に「ボリバル歴史的ブロック全国会議」を開催し、ベネズエラ国民が歴史的逆境を乗り越え、新形態の新植民地主義と金融資本に立ち向かう能力を強調した。 / ロドリゲス副大統領は、演説で、これまでの会議の討論には350万人を超える国民が参加しており、これは国を再建する過程における画期的な出来事であると指摘した。 / 副大統領は、10万回以上の会議から生まれた約50万件の提案は、「7つの変革(7T)」に基づく具体的なアジェンダを通じてベネズエラの将来を定義する上で不可欠であると強調した。
teleSUR November 14, 2024
Venezuela Kicks Off the Congress of the Bolivarian Historical Block
(ベネズエラ、「ボリバル歴史的ブロック会議」を開幕)
このイベントは、今後数年間の同国の発展を導く戦略方針を議論するプラットフォームとなることを目指している。11月16日まで、参加者は、360万人以上のベネズエラ人が参加した協議プロセスを通じて集められた約50万の開発提案を分析する。
【teleSUR(November 12, 2024)では「大国民会議Grand National Congress」となっている。】
teleSUR November 13, 2024
Venezuela Increases Oil Production Despite U.S. Sanctions
(ベネズエラ、米国の制裁にもかかわらず原油生産を増加)
10月、国営企業ベネズエラ石油公社(PDVSA)は、平均生産量を1日あたり98万9,000バレルに増加させ、9月の94万3,000バレルに比べて4.8%の増加となった。 / 10 月の生産量は、2023年10月の786,000 bpd と比較して25.8%の大幅な増加を示している。 / デルシー・ロドリゲス副大統領は、先週の「ベネズエラ・ロシア ビジネス協議会」の会合で、過去5年間で米国とEUの圧力措置がベネズエラのGDPに6,420億ドルの影響を与えたと述べた。
【(「6,420億ドル」がどれぐらいのものかがわかるための参考。 / 様々な資料があるがおおむねこれぐらい。) ベネズエラのGDP: ピーク2012年3,726億ドル、ボトム2020年438億ドル、2023年992億ドル、2024年1,063億ドル(by 世界経済のネタ帳)】
Misión Verdad 12 Nov 2024
Tres datos que narran el despegue económico de Venezuela
(ベネズエラの経済的発展を物語る3つの事実)
世界的なパンデミックの後、ベネズエラの主要経済指標はますます改善を示している。これは持続的な回復であり、主要な国民所得源である石油活動だけでなく、建設、金融・保険サービス、鉱業、商業、製造業、農業などの他の活動も促進している。 / これは、2018年以降「経済回復・成長・繁栄プログラム」が実施され、その成果として、13四半期連続で経済成長を遂げたことによる。ベネズエラ中央銀行(BCV)によれば、ラ米カリブ諸国の中で年末の予測が最も良い国に浮上している。 / 1.経済成長: 2024 年は2023年よりも良好 ベネズエラの国内総生産(GDP)は回復しており、BCVによると、2024年第2四半期のGDPは8.78%の増加。第1四半期のGDPは2023年の同時期と比較して8.40%増加した。【表あり】 / 6月末の累積インフレ率は8.9%で、2023年上半期に記録されたインフレ率(108.4%)よりも低かった。この物価安定の拡大により経済取引が促進され、投資と信用も促進された。 / 為替レート固定政策は、キャッシュ・フローの拡大によって促進され、公式為替レートを安定させ、インフレ水準を低下させた。公式為替レートは、同年の上昇率が1.3%にとどまったが、これは2023年同期の60.3%を大きく下回った。 6月末の累積インフレ率は8.9%で、2023年上半期のインフレ率108.4%を下回った。 / 2.多角化に向けて:石油および非石油輸出の拡大 【石油は制裁の下でも少しづつ拡大。ピーク時の半分ぐらいになってきている。非石油輸出は顕著な伸びで経済成長を牽引している。】 / 3.総供給のための生産増 マドゥロ大統領は、「ベネズエラは国家生産に関して100%の食料生産と供給を達成した」と述べた。これは、スーパーマーケットやその他の商業スペースでの行列の撲滅に反映されている。同様に、医薬品・薬剤の入手可能性も高まっている。【詳細、略】
teleSUR November 12, 2024
The New Venezuelan State To Be Based on Direct Democracy: President Maduro
(ベネズエラの新国家は直接民主主義に基づくものになる: マドゥロ大統領)
「我々はブルジョア国家の根幹を揺るがすつもりだ」とマドゥロは強調した。 / 11月14~16日、ベネズエラ国民は「大国民会議Grand National Congress」に参加する。マドゥロ大統領は、「大国民会議」が3つの主要な成果をもたらすべきだと述べた。 / 最初の成果は、「7つの変革」発展計画に沿ってベネズエラ国民に力を与える真の包括的な民主主義の構築を可能にする新しいヘゲモニーの構築でなければならない。「7つの変革」計画は2025~31年を対象とする。これはウゴ・チャベス司令官の戦略的計画アプローチに基づいており、国のニーズに対応することを目指している。 / 2番目に期待される成果は、ベネズエラ国家の再建である。それは、領土と国民に重点を置き、正義と直接民主主義に基づくものである。「我々はブルジョア国家の基盤を揺るがし、コムーナ的で民主的な人民国家を建設するつもりだ」とマドゥロは宣言した。 / 達成すべき3番目の成果は「ビジョン2054」であり、それを通じてベネズエラがラ米のパワーとしての地位を確立する計画である。
【コムーナを軸とする新しい人民国家を本格的に建設していこうとしている。詳しい内容はまだこれから。】
Peoples Dispatch September 10, 2024 by Florencia Abregú
Ángel Prado on the advance of Venezuela’s participatory democracy
(アンヘル・プラド、ベネズエラの参加型民主主義の進展について語る)
「参加型・主唱者型民主主義」(participatory and protagonist democracy)の深化を目指す政策の実施や、米国の対ベネズエラ制裁と封鎖の結果として力を得た地域組織のモデルである社会主義的コムーナの強化において、コムーナ相アンヘル・プラドのリーダーシップは重要な役割を果たしてきた。 / 第2回「全国人民協議」が8月25日に開催された。これは、ベネズエラのコムーナ・プロジェクトの新たな段階であり、4,550のコムーナ評議会が、プロジェクトを選挙で選ぶことに参加した。 / 「全国人民協議」プロセスのためにコムーナ選挙区が組織された。その役割は、投票の実施を促進し、協議対象となるすべてのプロジェクトと決定がその地域に住む人々のニーズと要求を反映したものであるようにすることである。 / このプロセスは、国家予算の管理とプロジェクトの実行に関する決定を、組織されたコミュニティが直接行えるようにすることで、人民にさらなる権限を委譲するという政府の戦略の一環である。 / コムーナによって選ばれたプロジェクトはどのように実施されるか 大統領選挙の1カ月前、国は力強く再活性化された石油産業から収入を得ており、組織化されたコミュニティに届く最初のリソースはこの再活性化から来ていた。プラドは次のように述べている。「今年4月に最初の〝協議”があり、多数のプロジェクトが実施された。それは効率的かつ非常に効果的に行われ、コミュニティに約束された資源がすべて提供された。それはうまく管理・運営され、人民組織に残り、地域コミュニティに大きな興奮を生み出し、多くの希望と、特にコミュニティの力の再編成を可能にする多くの計画をもたらした」と。 / プロジェクトの実行には、国家とコムーナとの対話という非常に興味深いプロセスがある。まずプロジェクトが議論され、次にコムーナのニーズに応じて優先順位が付けられ、実行のためのリソースが割り当てられる。プロジェクトを担当する作業委員会が責任を引き受けるが、主役は人民である。 / プラドは、「全国人民協議」の翌日8月26日にマドゥロ大統領が行なった評価を分析し、次のように断言している。「これは私たちが試していない民主主義の一形態であり、ベネズエラでは長い間存在していたが、経済戦争の状況により、このような協議プロセスの資金調達は不可能だった」と。 / コミュニティ組織の表現としての人民権力 ベネズエラの右翼とブルジョアジーは、人民が参加型政策を正当なものとするモデルを採用することを恐れている。帝国主義とラテンアメリカのブルジョアジーは、この種のコムーナの経験が他の国々で要求され始めることを非常に恐れている」と、プラドはベネズエラのプロセスが地域諸国と世界に広がる可能性について説明した。 / プラドは、生産手段の集団化が真の参加型民主主義への不可欠なステップであることを強調した。 / 最後に、プラドは、キューバの「革命防衛委員会」やブラジルの「土地なし農村労働者運動」など、ラテンアメリカの他の社会運動と経験を交換したいという希望を表明し、より良い世界のための闘いにおいて互いに学び、育て合うことの重要性を強調した。
(筆者Florencia Abregúはジャーナリストであり「ALBA Movimientos 」のコミュニケーション部門のコーディネーターである。)
Granma august 28, 2024 Laura Mercedes Giráldez
Venezuela on the road to communal and direct democracy
(ベネズエラ、コムーナ直接民主主義への道を歩む)
【大統領選についての前半省略】 第2回「国民協議」の残りが行われ、承認されたプロジェクトのほとんどが水管理、電力サービスの改善、教育・健康・環境スペースの修復、農村部および都市部の道路に向けられていることが示された。 / ニコラス・マドゥロ大統領は、「これは、より活発でより直接的な民主主義の始まりであり、地域から統治し、深化プロセスのためのコミュニティ評議会を備えた政府の構築である」と述べた。
Peoples Dispatch August 27, 2024 by Pablo Meriguet
Direct and popular democracy of communes: the 2nd National Popular Consultation was held in Venezuela
(コムーナの直接人民民主主義: ベネズエラで第2回「全国人民協議」が開催された)
コムーナ選挙が行われ、各コムーナのための地域社会事業が選定される。この取り組みは、国家の構造そのものを変革することを目指している。 / ベネズエラ当局にとっても地域住民にとっても、この選挙は歴史的に重要な意味を持つ。なぜなら、この選挙は、ベネズエラ憲法で定められているように、直接民主主義とコムーナ制度に基づいたベネズエラの政治経済システム構築の新たな段階の始まりとなるからだ。 / ウゴ・チャベス大統領の2期目の間にコムーナ制度が創設された。この構想は、全国の何千もの社会生産単位が、それぞれの地域でどのような種類の社会プロジェクトを協力的に実施すべきかについて民主的に合意することを目指している。このため、チャベスは、国家の構造そのものを変革しようとするこのプロジェクトが現実のものとなることを期待して、「コムーナと社会運動」省を創設した。【2009年3月創設。正式名称は「コムーナと社会運動のための人民権力」省(Ministerio del Poder Popular para las Comunas y los Movimientos Sociales)」】
Venezuelanalysis August 26, 2024 Cira Pascual Marquina
Popular Democracy at Work at El Panal Commune and Across Venezuela
(「エル・パナル・コムーナ」とベネズエラ全土で機能する人民民主主義)
8月25日、何百万人ものベネズエラ国民が投票に参加し、今年第2回「全国人民協議」でどの地域プロジェクトが政府資金援助を受けるか決定した。第1回協議は2024年4月に多数の参加者を得て行われた。【「エル・パナル・コムーナ」はカラカス西部の労働者階級が住むバリオ「23・デ・エネロ」に位置する。】
Orinoco Tribune August 25, 2024
Venezuela’s Minister of Communes: We Want to Protect People’s Power From Bureaucratic Excesses (Interview)
(ベネズエラのコムーナ相: 人民権力を官僚の行き過ぎから守りたい)
コムーナの特徴は何か? コムーナは自治構造を持つ人民の領土組織である。コムーナは、共通の利益、共通の問題、文化、そして共同生活の形態を持つ領土の政治的、社会的、経済的、文化的変革に取り組むために、コミュニティの人々によって創設される。コムーナは人民政府のダイナミックな形態である。つまり、コミュニティ自体がコムーナの機能と構造を決定するのである。ガイドラインがあり、「コムーナ法」があり、司令官ウゴ・チャベスからの非常に正確なガイドラインもある。コムーナには政府構造があり、コムーナ銀行があり、市民集会が最高の意思決定機関として機能する。コムーナにはコンセホ・コムナールがあり、監査役と計画・生産システムがある。 / ベネズエラにはコムーナがいくつありますか? これまでのところ、コムーナは3,000を少し超えている。【ボリバル政府の「コムーナ・社会運動・人民権力」省のサイトに「2023年で登録コムーナ 3,641」と出ている(下↓に詳細)。】 / 【より進んだコムーナ、範囲を再編成しているコムーナ、新しいコムーナなど、さまざまなコムーナがあることが指摘されている。】 / 今週の日曜日に第2回「人民協議」が開催されますが、その主な提案は何ですか? 【特に新たな内容ナシ。省略】 / 「コムーナ・サーキット」とは何ですか? これは、ある地域のコンセホ・コムナールの集合体。コムーナとして認められているわけではないが、共通の問題、共通の生活があり、あとはコムーナになるためのステップを踏むことが必要なだけである。この段階では、「コムーナ・サーキット」から、集まって出席し、提案を行い、問題に取り組み、複数のコンセホ・コムナールのこの地域の内部問題を解決するのに役立つ資金を受け取り、地理的な地域で地域組織を形作るように求められている。 / 4月に最初の「人民協議」が行われましたが、コムーナではこうした選挙プロセスが今後も繰り返されるのでしょうか? 大統領は、すでに11月末か12月初めに3回目の「人民協議」を行うと発表している。来年からは年間4回の協議が行われる。 / 大統領は、また、私たちが持っている4,505の「コムーナ・サーキット」で生産プロジェクトを優先するための「人民協議」を開始すると述べており、2025~26年に6,000のコムーナを確立していることになるだろう。【「コムーナ・サーキット」は、まだ「コムーナ」になりきっていない「コンセホ・コムナールの集合体」で、現在4,505あり、その中から正式にコムーナとなるものがある程度あって、あと1~2年のうちにコムーナが6,000ぐらいになっているだろうということのようだ。】 / 6月6日、マドゥロ大統領は、エル・マイサル・コムーナで、人民権力の基本法の改革にゴーサインを出した 「コムーナ法」など、人民権力のいくつかの法律は国民議会で議論されている。大統領が言ったように、我々は、人民権力・コムーナを官僚主義から守りたい、特に権限や経済プログラムの管理に関して、進歩を妨げ、コムーナの迅速な作業を妨げる大量の形式主義から守りたい。コムーナではプロジェクトを展開するために非常に多くの官僚的手続きを経なければならないため、我々が望んでいるのはメカニズムを容易にすることである。 / 【このあと住宅問題の叙述とコムーナ・メンバーへの呼びかけ、省略】
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2024.08.30 Friday)に全訳あり】
【「コムーナ・社会運動・人民権力」省(Ministerio del Poder Popular para las Comunas y los Movimientos Sociales): (2012 - 2023) 登録コムーナ 3,641 / (2008 - 2023) 登録コンセホ・コムナール 49,183 (コムーナにリンク 61.2% 30.078)】
teleSUR August 25, 2024
Venezuelan Communes Participate in the Second National Popular Consultation
(ベネズエラのコムーナが第2回「全国人民協議」に参加)
この新しい統治形態は、国家の脱官僚化と人民の直接参加に基づいている。 / 8月25日、ベネズエラは人民権力に基づく新国家建設の一環として、第2回「全国人民協議」を開催している。 / 午前8時から午後6時まで、15歳以上の市民は、コムーナの発展のための優先プロジェクトを選択するために投票権を行使することができる。 / 「コムーナと社会運動」相のアンヘル・プラドは、「最も多くの票を獲得したプロジェクトが、短期間で実施するための資金を受け取る」と説明した。 / 投票までの数週間で、市民は4,505のコムーナ・サーキットで27,420のプロジェクトを提案した。これらのプロジェクトは、水、教育、電気、道路インフラなど、さまざまな分野に関連している。 / 同様の直接参加型民主主義の実施が4月21日に行われ、市民は地域開発プロジェクトも選択した。プラドは、最初の協議で承認されたコムーナ・プロジェクトのほぼ60%がすでに完了していると確認した。 / 「人民協議」で承認された地域開発プロジェクトは政府によって資金提供されている。マドゥロ大統領は、毎年4回の「人民協議」を開催すると発表した。 / ボリバル当局は、国家の脱官僚化と市民の直接参加に基づく新しい統治形態を強化するために、市民に投票を呼びかけている。
Venezuelanalysis August 21, 2024 Andreína Chávez Alava
Venezuela Prepares Second ‘National Popular Consultation’ to Choose State-Funded Projects
(ベネズエラ、国費プロジェクトを選ぶ第2回「国民投票」を準備)
ベネズエラ国民は、8月25日に第2回「国民投票」に臨み、政府資金を受け取る地方プロジェクトを決定する。 / 投票はベネズエラ全土に広がる4,505の地方選挙区で行われ、選挙区ごとに1つの当選案が選ばれる。各サーキットは、集会主導の人民権力組織であるコムーナを中心としており、コムーナは複数のコンセホ・コムナール、社会的財産企業(social property enterprises)、社会運動を結集している。 / 8月19日、「コムーナおよび社会運動」相アンヘル・プラドは、全国で4万9,000以上のコンセホ・コムナールがプロジェクトを指名するために集会を開いたと述べた。提案は、その後、コムーナ・サーキット集会で議論され、25日の投票にかけられる最大7つの選択肢について合意に達した。 / 前の週、マドゥロ大統領は、国の資金援助を受ける地域の取り組みを選ぶ協議が年に4回行われると述べた。 / 15歳以上のすべての国民が参加資格がある。 / マドゥロ政府は、4,505のウイニング・イニシアチブのそれぞれに約1万ドルの予算で資金を提供する。その後、草の根団体がプロジェクトの実行と会計処理を担当する。 / プロジェクトは、主にコミュニティ生活の改善に焦点を当てており、ほとんどのオプションは、井戸の建設や新しい電線の設置など、インフラと公共サービスの修理に重点を置いている。生産ユニットの装備と修理も同様にコムーナ全体の最優先事項である。 / ベネズエラは4月21日に初の「全国人民協議(National Popular Consultation)」を開催した。承認された4,347の取り組みの大半は、水と電力の供給、道路、医療、環境問題の5つの主要分野に関連していた。コムーナ省筋によると、4月に承認された2,009のプロジェクトはすでに完了しており、2,184が進行中で、残りのプロジェクトは資金を受け取るためにまだ官僚的なハードルをクリアしているところだという。
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【「7つの変革」の概略】
Orinoco Tribune JULY 13, 2024
Nicolas Maduro Seeks Reelection With His Homeland Plan 2025-2031 as His Political Platform
(ニコラス・マドゥロ大統領、「祖国計画2025-2031」を政治綱領に掲げて再選を目指す)
【「祖国計画2025-2031」のみを取り出して圧縮。 / 「5.」で「人民権力の強化に重点」「コムーナを戦略的プロジェクトとして再確認」とある。】
1 – 経済・金融の封鎖と闘うための新しい経済 おそらくこれが最も困難な変革。石油とガスの輸出だけでなく、より大きな付加価値を生み出すデリバティブ産業の発展、経済の多様化、石油のレント構造の克服も提案されている。起業家や中小企業にとって好ましい環境で新しいビジネスに参入したい人々を支援する目的で、「国家資金調達基金」の創設も提案。 / 通貨ボリバルの防衛の継続、インフレ抑制(すでに実施中)による経済主権の保持と通貨の安定性の維持。経済活動を円滑にするため、手続きの簡素化と官僚主義の削減推進。 / 社会プログラムの強化と最低所得の回復を確固たるものにすることの重要性が強調され、国民の社会的福利を保証するための「全国社会権監視所」が設立される。富の分配の公平性を高めるために高所得層の税負担を増やす累進課税改革も。
2 – すべての分野での完全な独立 米国の一方的な強制措置、政治的脅迫、干渉が続く限り、経済的および政治的独立の維持は、ベネズエラの政治プログラムにおいて必要不可欠な継続的変革。 / 完全な独立は、ナショナル・アイデンティティの強化、テクノロジーへの取り組み、中央集権化されたデジタル政府の発展という3つの柱に基づく。
3 – 平和、主権、安全保障 ボリバル革命の初期から行われてきたが、まだ脆弱だと考えられている。 / この分野の提案には、国境管理強化と国土防衛強化が含まれる。
4 – 社会的変革 既存の社会的プログラムの強化と国内生産の促進に基づき、資金を最も脆弱な国民部門に振り向け、経済的・社会的支援を提供しようとするもの。さらに、政府が過去に実施し成功を収めた社会政策の再開を目的として、米国の一方的な強制措置によって効果が減少したミッションや大規模ミッションの強化を提案。「地域供給生産委員会(CLAP)」は、輸入品の100%国産化を目的として、社会的弱者のために継続。
5 – 政治的変革 政治的変革へのアプローチは、政治システムの基盤としての「人民権力」をうち固めることに重点を置く。 / これは、「2030年 平和のための国民大合意」を推進するイニシアチブの一部。すべての政治主体による暴力の放棄と平和への取り組み、および選挙プロセスの尊重を促進することを目的としている。 / 人民権力の強化に重点が置かれ、コムーナは戦略的プロジェクトとして再確認。 / さらに、汚職と闘うために、あらゆるレベルの政治指導者の倫理規定の作成が提案されている。
6 – エコロジーの変革 気候緊急事態に対処し、持続可能な実践を推進することを目的として、予防政策を策定することが提案されている。緑の地域における見境のない焼却や汚染を減らし、農業生態学的実践や農薬の代替を推進することに加え、自然災害に対処するための補償資金を備える。 / 自然地域の保全と持続可能性を重視し、市民生活の質を向上させる都市計画を通じて、緑の都市への権利を確保することの重要性を強調。
7 – 地政学的変革 ベネズエラの外交政策を概説したもの。この変革は3つの主要点に焦点を当てている。地域統合と南南協力、米国の覇権への挑戦、平和外交と国際的展望である。 / 地域統合と南南協力に関しては、ALBA、UNASUR、CELAC、メルコスール、ペトロカリベなどの統合メカニズムを強化することが目的。 / 既成の世界秩序に反対するBRICSグループなどの国々と連携し、米国とその同盟国が課す国際的な一方的強制措置に対抗するための代替的な物流・商業システムを構築できる新たな金融構造を開発することが提案されている。
以上
( 2024年11月21日報告)
(ベネズエラ: コムーナ国家建設へ 要約)
【「コミューン」「コミューナル・カウンシル」という表記は、今回から原語のカタカナ表記「コムーナ」(comuna)と「コンセホ・コムナール」(consejo comunal)に改訂します。ベネズエラ独自のものだという側面を重視しての変更です。】
・ 11月14~16日、全国から6,000人以上の代表が集まり、「21世紀のためのボリバル歴史的ブロック会議」が行なわれた。コムーナ国家を建設していくことによってブルジョア国家を解体していく「30年計画」の策定を目指している。 / ここ数ヶ月の間に全国で10万回以上の集会が行われ、数多くの提案が討議された。 / 政府が今年はじめに発表して大統領選で前面に掲げられた「7つの変革」計画も議論された。
【「7つの変革」を詳しく説明した記事は(2024.8.22 報告)に収録。最後に再掲。】
・ 人民権力にもとづくコムーナ国家建設の一環として、今年4月に第1回「全国人民協議2024」が行なわれた。全国約4,500のコムーナがそれぞれに社会プロジェクトを提案して、選ばれた提案に政府が資金提供して実施していくという取り組みである。15歳以上の市民に投票権があって、コムーナ発展のために数多く提案されたプロジェクトの中から投票で選択する。その第2回が8月25日に行なわれた。 / 第1回では、水や電気、インフラ、公共サービス、教育、医療など、人民生活関連が大半を占める4,347のプロジェクトが承認され、そのほぼ60%がこの8月段階で完了していたという。 / マドゥロ大統領は、11月末か12月初めに第3回を行い、今後は毎年4回行うと発表。
・ コムーナ国家建設を加速させる取り組みが開始された背景には、制裁・封鎖による苦境を脱し、安定した経済発展が持続するようになってきたことがある。 / 石油依存経済から脱却し、生活必需物資の自給率を高め、食料生産は100%自給できるまでになった。石油生産も、封鎖が継続されている下で少しづつ回復してきており、この10月にはピーク時の約半分ぐらいになってきている。
・ 対外的には、ラ米の強力なパワーとしての地位の確立をめざしている。また、世界中で極右運動が台頭していることを念頭に、ベネズエラを平和と民主主義を守ることに専心する「反ファシストの砦」として位置づけることが提起された。
―― ―― ―― ―― ――
(ベネズエラ: コムーナ国家建設へ)
Venezuelanalysis November 17, 2024 Andreína Chávez Alava
Venezuelans Debate 30-Year Plan for Popular Democracy in Historic Bloc Congress
(ベネズエラ国民、「歴史的ブロック会議」で人民民主主義の30年計画を議論)
マドゥロ大統領は、「ベネズエラのブルジョア国家の基盤を揺るがし、人民のコムーナ的民主的国家を建設する」よう呼びかけた。 / 11月14~16日にカラカスで開催された「21世紀のためのボリバル歴史的ブロック会議」に、ベネズエラ全土の民衆運動や政治運動から6,000人以上の代表が集まった。 / この大会は、「ブルジョア国家」を直接民主主義、草の根民主主義へと再構築することを中心とした30年計画の策定を目指している。代表者たちは、これまでの数ヶ月間に全国で行われた10万回以上の集会で集められた数百の提案を討議した。 / 議論には、ベネズエラ政府が今年初めに導入した「7つの変革」計画も含まれていた。これは今後7年間の7つの主要目標を概説したものである。その目標は、経済の近代化、国家主権の強化、安全と治安の向上、社会的権利の確保、政治参加の促進、環境の保護、地政学的課題への取り組みに焦点を当てている。【Orinoco Tribune(JULY 13, 2024)に「7つの変革」計画の詳しい内容あり。】 / 11月14日の開会セレモニーで、デルシー・ロドリゲス副大統領は、今こそボリバル主義の教義に基づく「真のコムーナ国家」を前進させる「決定的な時」であると強調した。 / 「我々は、シモン・ボリバルが構想したボリバル社会主義に根ざした新しいコムーナ国家を緊急に建設するよう求められている」とロドリゲスは述べた。 / 世界中で極右運動が台頭していることを受けて、ロドリゲスは、「歴史的ブロック会議」の参加者に対し、ベネズエラを平和と民主主義を守ることに専心する「反ファシストの砦」として位置付けるよう求めた。 / ニコラス・マドゥロ大統領は、人民の力に根ざした民主主義の新しい概念を議論し、ウゴ・チャベスが確立したボリバル革命の「遺産」を守り、社会主義の未来への道を切り開くことが大会の主な目的であると述べた。
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2024.11.18 Monday)に全訳あり】
teleSUR November 14, 2024
Vice President of Venezuela Installs the National Congress of the Bolivarian Historical Bloc
(ベネズエラ副大統領、「ボリバル歴史的ブロック全国会議」を開催)
デルシー・ロドリゲス副大統領は、11月14日に「ボリバル歴史的ブロック全国会議」を開催し、ベネズエラ国民が歴史的逆境を乗り越え、新形態の新植民地主義と金融資本に立ち向かう能力を強調した。 / ロドリゲス副大統領は、演説で、これまでの会議の討論には350万人を超える国民が参加しており、これは国を再建する過程における画期的な出来事であると指摘した。 / 副大統領は、10万回以上の会議から生まれた約50万件の提案は、「7つの変革(7T)」に基づく具体的なアジェンダを通じてベネズエラの将来を定義する上で不可欠であると強調した。
teleSUR November 14, 2024
Venezuela Kicks Off the Congress of the Bolivarian Historical Block
(ベネズエラ、「ボリバル歴史的ブロック会議」を開幕)
このイベントは、今後数年間の同国の発展を導く戦略方針を議論するプラットフォームとなることを目指している。11月16日まで、参加者は、360万人以上のベネズエラ人が参加した協議プロセスを通じて集められた約50万の開発提案を分析する。
【teleSUR(November 12, 2024)では「大国民会議Grand National Congress」となっている。】
teleSUR November 13, 2024
Venezuela Increases Oil Production Despite U.S. Sanctions
(ベネズエラ、米国の制裁にもかかわらず原油生産を増加)
10月、国営企業ベネズエラ石油公社(PDVSA)は、平均生産量を1日あたり98万9,000バレルに増加させ、9月の94万3,000バレルに比べて4.8%の増加となった。 / 10 月の生産量は、2023年10月の786,000 bpd と比較して25.8%の大幅な増加を示している。 / デルシー・ロドリゲス副大統領は、先週の「ベネズエラ・ロシア ビジネス協議会」の会合で、過去5年間で米国とEUの圧力措置がベネズエラのGDPに6,420億ドルの影響を与えたと述べた。
【(「6,420億ドル」がどれぐらいのものかがわかるための参考。 / 様々な資料があるがおおむねこれぐらい。) ベネズエラのGDP: ピーク2012年3,726億ドル、ボトム2020年438億ドル、2023年992億ドル、2024年1,063億ドル(by 世界経済のネタ帳)】
Misión Verdad 12 Nov 2024
Tres datos que narran el despegue económico de Venezuela
(ベネズエラの経済的発展を物語る3つの事実)
世界的なパンデミックの後、ベネズエラの主要経済指標はますます改善を示している。これは持続的な回復であり、主要な国民所得源である石油活動だけでなく、建設、金融・保険サービス、鉱業、商業、製造業、農業などの他の活動も促進している。 / これは、2018年以降「経済回復・成長・繁栄プログラム」が実施され、その成果として、13四半期連続で経済成長を遂げたことによる。ベネズエラ中央銀行(BCV)によれば、ラ米カリブ諸国の中で年末の予測が最も良い国に浮上している。 / 1.経済成長: 2024 年は2023年よりも良好 ベネズエラの国内総生産(GDP)は回復しており、BCVによると、2024年第2四半期のGDPは8.78%の増加。第1四半期のGDPは2023年の同時期と比較して8.40%増加した。【表あり】 / 6月末の累積インフレ率は8.9%で、2023年上半期に記録されたインフレ率(108.4%)よりも低かった。この物価安定の拡大により経済取引が促進され、投資と信用も促進された。 / 為替レート固定政策は、キャッシュ・フローの拡大によって促進され、公式為替レートを安定させ、インフレ水準を低下させた。公式為替レートは、同年の上昇率が1.3%にとどまったが、これは2023年同期の60.3%を大きく下回った。 6月末の累積インフレ率は8.9%で、2023年上半期のインフレ率108.4%を下回った。 / 2.多角化に向けて:石油および非石油輸出の拡大 【石油は制裁の下でも少しづつ拡大。ピーク時の半分ぐらいになってきている。非石油輸出は顕著な伸びで経済成長を牽引している。】 / 3.総供給のための生産増 マドゥロ大統領は、「ベネズエラは国家生産に関して100%の食料生産と供給を達成した」と述べた。これは、スーパーマーケットやその他の商業スペースでの行列の撲滅に反映されている。同様に、医薬品・薬剤の入手可能性も高まっている。【詳細、略】
teleSUR November 12, 2024
The New Venezuelan State To Be Based on Direct Democracy: President Maduro
(ベネズエラの新国家は直接民主主義に基づくものになる: マドゥロ大統領)
「我々はブルジョア国家の根幹を揺るがすつもりだ」とマドゥロは強調した。 / 11月14~16日、ベネズエラ国民は「大国民会議Grand National Congress」に参加する。マドゥロ大統領は、「大国民会議」が3つの主要な成果をもたらすべきだと述べた。 / 最初の成果は、「7つの変革」発展計画に沿ってベネズエラ国民に力を与える真の包括的な民主主義の構築を可能にする新しいヘゲモニーの構築でなければならない。「7つの変革」計画は2025~31年を対象とする。これはウゴ・チャベス司令官の戦略的計画アプローチに基づいており、国のニーズに対応することを目指している。 / 2番目に期待される成果は、ベネズエラ国家の再建である。それは、領土と国民に重点を置き、正義と直接民主主義に基づくものである。「我々はブルジョア国家の基盤を揺るがし、コムーナ的で民主的な人民国家を建設するつもりだ」とマドゥロは宣言した。 / 達成すべき3番目の成果は「ビジョン2054」であり、それを通じてベネズエラがラ米のパワーとしての地位を確立する計画である。
【コムーナを軸とする新しい人民国家を本格的に建設していこうとしている。詳しい内容はまだこれから。】
Peoples Dispatch September 10, 2024 by Florencia Abregú
Ángel Prado on the advance of Venezuela’s participatory democracy
(アンヘル・プラド、ベネズエラの参加型民主主義の進展について語る)
「参加型・主唱者型民主主義」(participatory and protagonist democracy)の深化を目指す政策の実施や、米国の対ベネズエラ制裁と封鎖の結果として力を得た地域組織のモデルである社会主義的コムーナの強化において、コムーナ相アンヘル・プラドのリーダーシップは重要な役割を果たしてきた。 / 第2回「全国人民協議」が8月25日に開催された。これは、ベネズエラのコムーナ・プロジェクトの新たな段階であり、4,550のコムーナ評議会が、プロジェクトを選挙で選ぶことに参加した。 / 「全国人民協議」プロセスのためにコムーナ選挙区が組織された。その役割は、投票の実施を促進し、協議対象となるすべてのプロジェクトと決定がその地域に住む人々のニーズと要求を反映したものであるようにすることである。 / このプロセスは、国家予算の管理とプロジェクトの実行に関する決定を、組織されたコミュニティが直接行えるようにすることで、人民にさらなる権限を委譲するという政府の戦略の一環である。 / コムーナによって選ばれたプロジェクトはどのように実施されるか 大統領選挙の1カ月前、国は力強く再活性化された石油産業から収入を得ており、組織化されたコミュニティに届く最初のリソースはこの再活性化から来ていた。プラドは次のように述べている。「今年4月に最初の〝協議”があり、多数のプロジェクトが実施された。それは効率的かつ非常に効果的に行われ、コミュニティに約束された資源がすべて提供された。それはうまく管理・運営され、人民組織に残り、地域コミュニティに大きな興奮を生み出し、多くの希望と、特にコミュニティの力の再編成を可能にする多くの計画をもたらした」と。 / プロジェクトの実行には、国家とコムーナとの対話という非常に興味深いプロセスがある。まずプロジェクトが議論され、次にコムーナのニーズに応じて優先順位が付けられ、実行のためのリソースが割り当てられる。プロジェクトを担当する作業委員会が責任を引き受けるが、主役は人民である。 / プラドは、「全国人民協議」の翌日8月26日にマドゥロ大統領が行なった評価を分析し、次のように断言している。「これは私たちが試していない民主主義の一形態であり、ベネズエラでは長い間存在していたが、経済戦争の状況により、このような協議プロセスの資金調達は不可能だった」と。 / コミュニティ組織の表現としての人民権力 ベネズエラの右翼とブルジョアジーは、人民が参加型政策を正当なものとするモデルを採用することを恐れている。帝国主義とラテンアメリカのブルジョアジーは、この種のコムーナの経験が他の国々で要求され始めることを非常に恐れている」と、プラドはベネズエラのプロセスが地域諸国と世界に広がる可能性について説明した。 / プラドは、生産手段の集団化が真の参加型民主主義への不可欠なステップであることを強調した。 / 最後に、プラドは、キューバの「革命防衛委員会」やブラジルの「土地なし農村労働者運動」など、ラテンアメリカの他の社会運動と経験を交換したいという希望を表明し、より良い世界のための闘いにおいて互いに学び、育て合うことの重要性を強調した。
(筆者Florencia Abregúはジャーナリストであり「ALBA Movimientos 」のコミュニケーション部門のコーディネーターである。)
Granma august 28, 2024 Laura Mercedes Giráldez
Venezuela on the road to communal and direct democracy
(ベネズエラ、コムーナ直接民主主義への道を歩む)
【大統領選についての前半省略】 第2回「国民協議」の残りが行われ、承認されたプロジェクトのほとんどが水管理、電力サービスの改善、教育・健康・環境スペースの修復、農村部および都市部の道路に向けられていることが示された。 / ニコラス・マドゥロ大統領は、「これは、より活発でより直接的な民主主義の始まりであり、地域から統治し、深化プロセスのためのコミュニティ評議会を備えた政府の構築である」と述べた。
Peoples Dispatch August 27, 2024 by Pablo Meriguet
Direct and popular democracy of communes: the 2nd National Popular Consultation was held in Venezuela
(コムーナの直接人民民主主義: ベネズエラで第2回「全国人民協議」が開催された)
コムーナ選挙が行われ、各コムーナのための地域社会事業が選定される。この取り組みは、国家の構造そのものを変革することを目指している。 / ベネズエラ当局にとっても地域住民にとっても、この選挙は歴史的に重要な意味を持つ。なぜなら、この選挙は、ベネズエラ憲法で定められているように、直接民主主義とコムーナ制度に基づいたベネズエラの政治経済システム構築の新たな段階の始まりとなるからだ。 / ウゴ・チャベス大統領の2期目の間にコムーナ制度が創設された。この構想は、全国の何千もの社会生産単位が、それぞれの地域でどのような種類の社会プロジェクトを協力的に実施すべきかについて民主的に合意することを目指している。このため、チャベスは、国家の構造そのものを変革しようとするこのプロジェクトが現実のものとなることを期待して、「コムーナと社会運動」省を創設した。【2009年3月創設。正式名称は「コムーナと社会運動のための人民権力」省(Ministerio del Poder Popular para las Comunas y los Movimientos Sociales)」】
Venezuelanalysis August 26, 2024 Cira Pascual Marquina
Popular Democracy at Work at El Panal Commune and Across Venezuela
(「エル・パナル・コムーナ」とベネズエラ全土で機能する人民民主主義)
8月25日、何百万人ものベネズエラ国民が投票に参加し、今年第2回「全国人民協議」でどの地域プロジェクトが政府資金援助を受けるか決定した。第1回協議は2024年4月に多数の参加者を得て行われた。【「エル・パナル・コムーナ」はカラカス西部の労働者階級が住むバリオ「23・デ・エネロ」に位置する。】
Orinoco Tribune August 25, 2024
Venezuela’s Minister of Communes: We Want to Protect People’s Power From Bureaucratic Excesses (Interview)
(ベネズエラのコムーナ相: 人民権力を官僚の行き過ぎから守りたい)
コムーナの特徴は何か? コムーナは自治構造を持つ人民の領土組織である。コムーナは、共通の利益、共通の問題、文化、そして共同生活の形態を持つ領土の政治的、社会的、経済的、文化的変革に取り組むために、コミュニティの人々によって創設される。コムーナは人民政府のダイナミックな形態である。つまり、コミュニティ自体がコムーナの機能と構造を決定するのである。ガイドラインがあり、「コムーナ法」があり、司令官ウゴ・チャベスからの非常に正確なガイドラインもある。コムーナには政府構造があり、コムーナ銀行があり、市民集会が最高の意思決定機関として機能する。コムーナにはコンセホ・コムナールがあり、監査役と計画・生産システムがある。 / ベネズエラにはコムーナがいくつありますか? これまでのところ、コムーナは3,000を少し超えている。【ボリバル政府の「コムーナ・社会運動・人民権力」省のサイトに「2023年で登録コムーナ 3,641」と出ている(下↓に詳細)。】 / 【より進んだコムーナ、範囲を再編成しているコムーナ、新しいコムーナなど、さまざまなコムーナがあることが指摘されている。】 / 今週の日曜日に第2回「人民協議」が開催されますが、その主な提案は何ですか? 【特に新たな内容ナシ。省略】 / 「コムーナ・サーキット」とは何ですか? これは、ある地域のコンセホ・コムナールの集合体。コムーナとして認められているわけではないが、共通の問題、共通の生活があり、あとはコムーナになるためのステップを踏むことが必要なだけである。この段階では、「コムーナ・サーキット」から、集まって出席し、提案を行い、問題に取り組み、複数のコンセホ・コムナールのこの地域の内部問題を解決するのに役立つ資金を受け取り、地理的な地域で地域組織を形作るように求められている。 / 4月に最初の「人民協議」が行われましたが、コムーナではこうした選挙プロセスが今後も繰り返されるのでしょうか? 大統領は、すでに11月末か12月初めに3回目の「人民協議」を行うと発表している。来年からは年間4回の協議が行われる。 / 大統領は、また、私たちが持っている4,505の「コムーナ・サーキット」で生産プロジェクトを優先するための「人民協議」を開始すると述べており、2025~26年に6,000のコムーナを確立していることになるだろう。【「コムーナ・サーキット」は、まだ「コムーナ」になりきっていない「コンセホ・コムナールの集合体」で、現在4,505あり、その中から正式にコムーナとなるものがある程度あって、あと1~2年のうちにコムーナが6,000ぐらいになっているだろうということのようだ。】 / 6月6日、マドゥロ大統領は、エル・マイサル・コムーナで、人民権力の基本法の改革にゴーサインを出した 「コムーナ法」など、人民権力のいくつかの法律は国民議会で議論されている。大統領が言ったように、我々は、人民権力・コムーナを官僚主義から守りたい、特に権限や経済プログラムの管理に関して、進歩を妨げ、コムーナの迅速な作業を妨げる大量の形式主義から守りたい。コムーナではプロジェクトを展開するために非常に多くの官僚的手続きを経なければならないため、我々が望んでいるのはメカニズムを容易にすることである。 / 【このあと住宅問題の叙述とコムーナ・メンバーへの呼びかけ、省略】
【「ラテンアメリカの革命的大衆闘争」(2024.08.30 Friday)に全訳あり】
【「コムーナ・社会運動・人民権力」省(Ministerio del Poder Popular para las Comunas y los Movimientos Sociales): (2012 - 2023) 登録コムーナ 3,641 / (2008 - 2023) 登録コンセホ・コムナール 49,183 (コムーナにリンク 61.2% 30.078)】
teleSUR August 25, 2024
Venezuelan Communes Participate in the Second National Popular Consultation
(ベネズエラのコムーナが第2回「全国人民協議」に参加)
この新しい統治形態は、国家の脱官僚化と人民の直接参加に基づいている。 / 8月25日、ベネズエラは人民権力に基づく新国家建設の一環として、第2回「全国人民協議」を開催している。 / 午前8時から午後6時まで、15歳以上の市民は、コムーナの発展のための優先プロジェクトを選択するために投票権を行使することができる。 / 「コムーナと社会運動」相のアンヘル・プラドは、「最も多くの票を獲得したプロジェクトが、短期間で実施するための資金を受け取る」と説明した。 / 投票までの数週間で、市民は4,505のコムーナ・サーキットで27,420のプロジェクトを提案した。これらのプロジェクトは、水、教育、電気、道路インフラなど、さまざまな分野に関連している。 / 同様の直接参加型民主主義の実施が4月21日に行われ、市民は地域開発プロジェクトも選択した。プラドは、最初の協議で承認されたコムーナ・プロジェクトのほぼ60%がすでに完了していると確認した。 / 「人民協議」で承認された地域開発プロジェクトは政府によって資金提供されている。マドゥロ大統領は、毎年4回の「人民協議」を開催すると発表した。 / ボリバル当局は、国家の脱官僚化と市民の直接参加に基づく新しい統治形態を強化するために、市民に投票を呼びかけている。
Venezuelanalysis August 21, 2024 Andreína Chávez Alava
Venezuela Prepares Second ‘National Popular Consultation’ to Choose State-Funded Projects
(ベネズエラ、国費プロジェクトを選ぶ第2回「国民投票」を準備)
ベネズエラ国民は、8月25日に第2回「国民投票」に臨み、政府資金を受け取る地方プロジェクトを決定する。 / 投票はベネズエラ全土に広がる4,505の地方選挙区で行われ、選挙区ごとに1つの当選案が選ばれる。各サーキットは、集会主導の人民権力組織であるコムーナを中心としており、コムーナは複数のコンセホ・コムナール、社会的財産企業(social property enterprises)、社会運動を結集している。 / 8月19日、「コムーナおよび社会運動」相アンヘル・プラドは、全国で4万9,000以上のコンセホ・コムナールがプロジェクトを指名するために集会を開いたと述べた。提案は、その後、コムーナ・サーキット集会で議論され、25日の投票にかけられる最大7つの選択肢について合意に達した。 / 前の週、マドゥロ大統領は、国の資金援助を受ける地域の取り組みを選ぶ協議が年に4回行われると述べた。 / 15歳以上のすべての国民が参加資格がある。 / マドゥロ政府は、4,505のウイニング・イニシアチブのそれぞれに約1万ドルの予算で資金を提供する。その後、草の根団体がプロジェクトの実行と会計処理を担当する。 / プロジェクトは、主にコミュニティ生活の改善に焦点を当てており、ほとんどのオプションは、井戸の建設や新しい電線の設置など、インフラと公共サービスの修理に重点を置いている。生産ユニットの装備と修理も同様にコムーナ全体の最優先事項である。 / ベネズエラは4月21日に初の「全国人民協議(National Popular Consultation)」を開催した。承認された4,347の取り組みの大半は、水と電力の供給、道路、医療、環境問題の5つの主要分野に関連していた。コムーナ省筋によると、4月に承認された2,009のプロジェクトはすでに完了しており、2,184が進行中で、残りのプロジェクトは資金を受け取るためにまだ官僚的なハードルをクリアしているところだという。
―― ―― ―― ―― ――
【「7つの変革」の概略】
Orinoco Tribune JULY 13, 2024
Nicolas Maduro Seeks Reelection With His Homeland Plan 2025-2031 as His Political Platform
(ニコラス・マドゥロ大統領、「祖国計画2025-2031」を政治綱領に掲げて再選を目指す)
【「祖国計画2025-2031」のみを取り出して圧縮。 / 「5.」で「人民権力の強化に重点」「コムーナを戦略的プロジェクトとして再確認」とある。】
1 – 経済・金融の封鎖と闘うための新しい経済 おそらくこれが最も困難な変革。石油とガスの輸出だけでなく、より大きな付加価値を生み出すデリバティブ産業の発展、経済の多様化、石油のレント構造の克服も提案されている。起業家や中小企業にとって好ましい環境で新しいビジネスに参入したい人々を支援する目的で、「国家資金調達基金」の創設も提案。 / 通貨ボリバルの防衛の継続、インフレ抑制(すでに実施中)による経済主権の保持と通貨の安定性の維持。経済活動を円滑にするため、手続きの簡素化と官僚主義の削減推進。 / 社会プログラムの強化と最低所得の回復を確固たるものにすることの重要性が強調され、国民の社会的福利を保証するための「全国社会権監視所」が設立される。富の分配の公平性を高めるために高所得層の税負担を増やす累進課税改革も。
2 – すべての分野での完全な独立 米国の一方的な強制措置、政治的脅迫、干渉が続く限り、経済的および政治的独立の維持は、ベネズエラの政治プログラムにおいて必要不可欠な継続的変革。 / 完全な独立は、ナショナル・アイデンティティの強化、テクノロジーへの取り組み、中央集権化されたデジタル政府の発展という3つの柱に基づく。
3 – 平和、主権、安全保障 ボリバル革命の初期から行われてきたが、まだ脆弱だと考えられている。 / この分野の提案には、国境管理強化と国土防衛強化が含まれる。
4 – 社会的変革 既存の社会的プログラムの強化と国内生産の促進に基づき、資金を最も脆弱な国民部門に振り向け、経済的・社会的支援を提供しようとするもの。さらに、政府が過去に実施し成功を収めた社会政策の再開を目的として、米国の一方的な強制措置によって効果が減少したミッションや大規模ミッションの強化を提案。「地域供給生産委員会(CLAP)」は、輸入品の100%国産化を目的として、社会的弱者のために継続。
5 – 政治的変革 政治的変革へのアプローチは、政治システムの基盤としての「人民権力」をうち固めることに重点を置く。 / これは、「2030年 平和のための国民大合意」を推進するイニシアチブの一部。すべての政治主体による暴力の放棄と平和への取り組み、および選挙プロセスの尊重を促進することを目的としている。 / 人民権力の強化に重点が置かれ、コムーナは戦略的プロジェクトとして再確認。 / さらに、汚職と闘うために、あらゆるレベルの政治指導者の倫理規定の作成が提案されている。
6 – エコロジーの変革 気候緊急事態に対処し、持続可能な実践を推進することを目的として、予防政策を策定することが提案されている。緑の地域における見境のない焼却や汚染を減らし、農業生態学的実践や農薬の代替を推進することに加え、自然災害に対処するための補償資金を備える。 / 自然地域の保全と持続可能性を重視し、市民生活の質を向上させる都市計画を通じて、緑の都市への権利を確保することの重要性を強調。
7 – 地政学的変革 ベネズエラの外交政策を概説したもの。この変革は3つの主要点に焦点を当てている。地域統合と南南協力、米国の覇権への挑戦、平和外交と国際的展望である。 / 地域統合と南南協力に関しては、ALBA、UNASUR、CELAC、メルコスール、ペトロカリベなどの統合メカニズムを強化することが目的。 / 既成の世界秩序に反対するBRICSグループなどの国々と連携し、米国とその同盟国が課す国際的な一方的強制措置に対抗するための代替的な物流・商業システムを構築できる新たな金融構造を開発することが提案されている。
以上