13日午後1時~の大阪市会閉会中の財政総務委員会に行ってきました。職員基本条例が議題でした。
---前半は、維新の会、自民党、公明党の質問。これは追及というよりも、「ちゃんとやれ」というような質問。河崎大樹(維新)、福島真治(維新)、明石直樹(公明)、杉田忠裕(公明)、小笹正博(公明)、柳本顕(自民)の各議員。
天下りの禁止や再任用の条件が主要な質問でした。
一点、「2年連続D評価で分限免職」に対しては公明・自民からもかなり強い異論が出され、橋下市長は“二年連続ですぐにクビではない、勤務実績と業務に著しい支障があるかどうかが問題となる”と答弁しました。しかし、橋下氏は相対評価については譲りませんでした。
ここでは下位区分の職員からできる原資で上位区分者を優遇するという露骨なことが言われていました。
34条の(1)だけでなく、(2)(3)がそろって初めて免職。
※大阪市職員基本条例案
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/af4d335ac0609cbbbf03937a8525216c
橋下市長、維新、自民、公明の質問と答弁は、きわめてなれあい的で、時々一緒に笑い合うなど、与党的な雰囲気でした。
これは、大阪市会での教育基本2条例、職員基本条例の成立にとってとても危険なことです。
---後半は、OSAKAみらいの長尾秀樹、同じく奥野正美、そして最後は共産党の山中智子の各議員の質問でした。
こちらは、人事監察委員会の根拠、懲戒規定である「別表」をわざわざ条例化する意味、分限処分の拡大などが質問され、任意権者の権限を侵すこと、地方公務員法を逸脱すること、労働条件の大きな転換になるので労使交渉で検討されるべきことなどが追及されました。
大阪市音楽団の分限処分については、OSAKAみらいからも共産党からも追及され、解雇4要件が満たされていないこと、定数削減や民営化で簡単に分限処分できるという条項の違法性が問題にされました。
ここは職員基本条例に反対する上での最大の論点の一つです。
最後は山中氏による橋下市長の入庁式での発言の追及でした。
橋下市長が入庁式で「公務員たる者、ルールを守ることを示さないと。皆さんは国民に対して命令する立場に立つ」と発言したことについて追及しました。
橋下市長は、「「僕はルールを守れ」といったのであって曲解してもらったら困る。時には公務員は国民に強制しなければならないような場面もあるから自ら律せよといったのだ」と詭弁でいいのがれしようとしました。
ところが実際には橋下氏は入庁式で次のように述べているのです。
“この民主的国家において人が人に命令するということは公権力をもつみなさんしか出来ない。みなさんの命令には大阪市民はみんな従うんです。だから命令する側がしっかりルールをまもらないと誰も命令なんかきいてくれません。”
さらに
“部長、局長、副市長はがんばっている。上司をいうことをよく聞いてください。”
橋下市長は上司に従えとは言っていますが、公務員が「全体の奉仕者」という発想が全くありません。橋下氏は公務員は国民を支配する権力者と理解し、自分自身がさらにその上に立つ絶対君主ととらえているのです。
これ自体が法的にどうかというより、橋下氏が市民について支配し従わせる対象ととらえ、自身を排他的に権力を行使する絶対者ととらえていること自身極めて危険な事です。
この追及で委員会は閉会となり、橋下市長の反論の機会はありませんでした。
橋下市長は、途中の答弁でも「市長のお眼鏡にかなう人ばかりになる」という追及に、「僕の顔色をうかがって何が悪い。僕は民意だ。僕の顔色を見て組織を動かして欲しい」と言い放っていました。
この言葉は新聞でも報じられています。
※橋下市長「顔色見て仕事を」 職員基本条例案 「側近政治」批判に反論(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20120414-OYT8T00050.htm
円卓を挟んで向こう側に議員がおり、橋下氏がこちら側で答弁する。その橋下氏の後ろに大阪市役所の人事課の役人らが30人くらいいて、橋下氏にかわって役人が代わる代わるこの条例の具体的運用の中身を説明する光景は異様でした。
“公務員は仕事をしないから相対評価で給与にも差を付ける、そうして市役所を活性化する、やる気のないヤツ、仕事の出来ないヤツはやめてもらう”という職員懲罰条例とも言える条例の中身を当の公務員が条文を淡々と読み上げその意義を語ったからです。
「君が代」強制も、条例できまったからやる。入学式で立たない教員には、職員室待機の職務命令まで出して、自分の仕事をすすめる。このような官僚機構を相手にするには、悪いことは悪いと素直に言う、借り物ではなく自分の言葉で語るということがとても大事だと思いました。
(ハンマー)