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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

沖縄靖国訴訟控訴審 不当判決糾弾!

2011-09-07 | 沖縄

 2011年9月6日、福岡高等裁判所において、沖縄靖国訴訟の控訴審判決が出されました。沖縄戦で亡くなった家族が靖国神社に無断で合祀されている遺族が求めた合祀の取り消しと損害賠償の請求はことごとく棄却されました。判決の内容は昨年の10月26日に那覇地裁で示された第一審判決をほとんどそのままなぞったものにすぎません。

 「信教の自由の保障」は、互いに異なった信仰を持つ者の間での「寛容」を要請するものだと、判決は述べています。お互いの立場が対等な者同士なら、確かにこの見地は筋がと取っています。しかしながら、一方は死者と濃密なつながりを持つ遺族であり、一方は死者との個人的なつながりは何もない、戦前は国家神道として国家の一機関であった巨大組織です。こうした具体的な状況を無視して抽象的に「信教の自由」や「寛容」を持ち出すことそのものが、権利侵害であると言わざるをえません。

 また、200万人以上の戦死者の合祀に当たっては、組織的な国家・自治体の関与なしには到底不可能であり、そのことは靖国神社自身が編纂し、公表した資料にも詳しく述べられているのですが、判決では、合祀に「必要」ではあっても、「周辺付随的な事務」であって、国が神社の合祀行為や合祀継続行為の一部を構成しているとまではいうことができないと、あくまで国の責任や国と靖国神社が戦後も一体化していた事実をごまかし続けています。

 靖国神社に対する合祀の取り消し訴訟は全国で係争中ですが、特にこの沖縄訴訟では、沖縄戦で日本軍によって殺された住民、幼児までもが「英霊」として合祀されているという異常さが明らかにされてきました。こうした沖縄戦の実相をできる限り隠し通したいというのが今回の裁判所の姿勢です。

 現在、沖縄の八重山地区に対して「つくる会」系教科書が強引に導入されようとしています。日本国憲法を敵視し、人権を軽視し、沖縄における米軍基地の問題を軽んじる育鵬社版「公民」教科書を八重山の子どもたちに持ち込もうとするのは、靖国訴訟で遺族の訴えを退けた裁判所の態度と通底するものがあります。
 戦争の被害を覆い隠し、そこにおける国の責任を曖昧にすることは、次の戦争を準備することです。多くの米軍基地を抱え、さらに自衛隊の基地までが増強されていく沖縄ではそれはリアルな現実です。福岡高裁の不当判決をあらためて糾弾します。(鈴)


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