沖縄からの報告 9月県民大行動
沖縄では、毎月第1土曜日に「オール沖縄会議」主催の辺野古新基地建設阻止を訴える県民大行動が、米軍キャンプ・シュワブゲート前で行われています。沖縄で活動している方から9月7日の県民大行動の状況を活写した投稿がありましたので、紹介します。
ふつふつと怒りが湧き上がる~わずか2週間の間にこれだけの事態が
9月7日、台風襲来後の小康状態の中、怒りを込めて750人が結集し、県民大行動が行われた。ヘリ窓落下等、相次ぐ基地がもたらす被害に抗しての行動である。
8月末から今日までの間に、県民の安全と安心を揺るがす事態が以下のように相次いでいる。
・8月23日、空洞や軟弱地盤の存在が明らかであるにも関わらず、宮古島での弾薬庫の10月の着工を防衛省が通知してきた。
・8月27日、普天間飛行場で、米軍の外来機が夕刻から3時間にわたって35回のタッチアンドゴー訓練を行った。
・北部訓練場返還跡地で未使用の銃弾などの米軍廃棄物が放置されていたのが発見される。防衛省担当者は「希少動植物があり、手を加えないのが適切」と居直る。
・8月29日には、またしても米軍ヘリCH53Eの脱出口窓が落下。2日後に報告、岩屋防衛相は「海上での落下であり、被害は生じていない」として飛行自粛すら求めなかった。
・9月3日、嘉手納基地で使用されている泡消化剤(有機フッ素化合物PFOS)がその周辺を流れる川に生息する魚類に蓄積され、全国中央値の170倍にのぼっていることが判明した。これは発がん性のリスクが指摘されており、EU等では使用禁止されている。この川を水源とする北谷(ちやたん)浄水場からは7市町村に給水されている。米軍は立ち入り調査すら拒否している。
・9月7日、沖縄防衛局の環境監視委員会が、移植された絶滅危惧種のサンゴ9群体のうち3群体が死滅と報告した。しかし、工事は中止しなかった。等々。
たった2週間でこんなに・・・・諦めざるを得ないのか。否、懲らしめよう。「ワジ、ワジ~」(心の奥底からフツフツと怒りが湧き上がってくる)。
「私たちは金魚ではない!」──厳しくとも諦めない塩川港の搬入阻止の闘い
集会は天候不順により、座り込み行動を取りやめ、テント内で「事前集会」と銘打っての交流会に切り替えた。
厳しい状況でありながら、諦めずに闘う塩川港(本部町)からの報告が印象に残る。
機動隊や警備員の200人を相手に10名にも達しないが、塩川港での土砂搬入の抗議行動に懸命に立ち上がり、行動を維持している。朝7時に搬入の連絡を受け、港に結集する。構内は公有地であり、当然警備の防護柵の設置が批判されると、警備員は、代わりに網のネットを持ってきて阻止・抗議行動を囲ってしまう。「私たちは、金魚ではない!」炎天下の中でまさに"日干し"状態である。トイレにも行けない。それでも引き去らず、夕刻まで闘いを続けている。
このような塩川からの支援の協力の訴えに、本当に充分に支援できないことに心苦しく思う。
「市民権」を得ているテント村の闘い──紛れもない私たちの前衛
テント村の「サポーター」からの報告も行われた。台風のために撤収していた屋根のブルーシートを再設置していると、機動隊も監視に来たがすぐに引き下がった。テント村の維持は「市民権」を得ているのだ。テント村の活動は只の「縁の下の力持ち」に止まっていない。搬入車の台数と種類、積載物の内容と適正安全、警察車両のチェック、そして「村」の防衛、看護師の手配、連絡体制、集会・休息所としての維持等、まさに活動の拠点となっている。日夜の緊張漂う中の行動、感謝しかない。
屈してしまいそうな状況の中でも恐れず継続し奮い立つ行動には、尊敬せざるを得ない。「華々しさ」とは距離があるが、間違いなくその精神は「華々しさ」であふれる、紛れもない私たちの「前衛」である。
反対闘争の展望が見えてきた──米国での闘いの報告
続けて大集会に移行した。屋良(やら)衆院議員と高良(たから)参院議員から8月の訪米報告がなされ、「米軍再編計画」の中、反対闘争の展望が見え始める動きが紹介された。共和・民主の党派を超えた政治家、元軍人、チョムスキーらの識者、平和運動の関係者が結集した「海外基地再編・閉鎖連合(OBRAOC)」の闘いや、ハワイでの世界最大級の超望遠鏡「TMT」建設に対する、「聖地」を守る先住民の闘いなどが紹介された。
軟弱地盤の「改良工事」をあくまで進めようとする防衛局のアリバイ作り
軟弱地盤問題を指摘してきた、沖縄平和市民連絡会のメンバーで土木技術者の北上田毅さんは、山城博治さんから指名され、事前集会でも大行動でも発言した。
その中で、9月6日に開催された大浦湾岸の改良工事を進めるための「地盤改良有識者会議」(大浦湾の地盤改良工事について技術的に可能かどうか助言するという防衛局の「技術検討委員会」)の問題点を詳しく説明した。水深90mでの軟弱地盤の調査もしない。活断層が走るのに耐震性基準設計は震度4。8人の委員のうち4人は国土交通省と防衛大学に関係する「学者」。委員長は埋め立てケーソン製造企業の役員。環境に関わる学者はいない。この会合は、大浦湾の地盤改良工事に「科学的なお墨付きを得る」ためのアリバイ作りに他ならない。
移転先を辺野古にこだわり続けることが、普天間の危険性を20年も放置することに
また、《来年初めにも出される設計概要変更申請の問題点や、サンゴ移植のための特別採捕許可申請問題の経過などを説明した。結局、辺野古新基地建設は、今後、国が司法の場に訴えて強行したとしても、少なくとも今後20年はかかる。政府は、口を開けば、「普天間の危険性を排除するためには、辺野古新基地建設が唯一の手段」と強調するが、実際は、辺野古にこだわり続けることが、普天間の危険性を20年以上も放置することになってしまうのだ。》(チョイさんの沖縄日記9月7日付より)
延々と続く基地由来の被害と圧政にも関わらず県民は屈しない。当然だ。体を張った闘いは、歴史的にも育まれた祖先の「魂(マブイ)」を継承する譲れないものだから。「ヌチドゥ宝」を、今、実感する。「屈するはずがない」のである。かすかにこの先に「夜明け」の光が見える感触をもった集会であった。(N)