
水木しげるといえば、『ゲゲゲの鬼太郎』などの怪奇漫画で有名ですが、その戦争体験に基づいた戦記漫画や歴史漫画も数多く描いています。
この『劇画ヒットラー』(ちくま文庫)は、1971年に発表されたもので、ヒットラーの生涯を、画家を目指していた青年時代から独裁者となって戦争に邁進し、そしてベルリン陥落時の自殺に至るまでを描いています。貧困な若者であったヒットラーがいかにして独裁者になり、そして滅んでいったのかがよくわかる好著です。今日、ファシズムの再来を阻止するためにも、この最悪の歴史から教訓を学び取ることが必要でしょう。(鈴)