橋下大阪市長は、13日の記者会見で、「慰安婦制度は必要だった」と繰り返した。
午前の記者会見では、「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、そんな猛者集団というか、精神的にも高ぶっている集団は、どこかで休息をさせてあげようと思ったら慰安婦制度は必要なのはこれは誰だってわかる」と語り、夜にも「軍の規律を維持するために当時は必要だった」と語っている。
午前の記者会見
http://www.youtube.com/watch?v=zMjVAaZBb0Y
午後の記者会見
http://www.youtube.com/watch?v=gWc7wYC1NNM
行政のトップにいる人物が、旧日本軍による侵略戦争遂行における「慰安婦」制度の必要性を語ったのははじめてではないか。軍資料でも慰安所が「共同便所」とされていたのは知られているが、まさに食堂や共同便所同様、「休息施設」として設置されていたことを認めた上で、必要であったと語ったのである。“「慰安所」は、住民を殺りくする兵員を休息させ、規律を維持するための不可欠な施設であった。”これは、旧日本軍が「慰安所」をつくった論理そのままである。
橋下市長はこれにとどまらず、戦争には「慰安婦」はつきもの、米軍は風俗の利用を、などと語り、戦時下での拉致・強姦などもあって当たり前のことと語っている。
これは、「慰安婦」被害女性らが、自らの被害への謝罪を求めるだけでなく、現在の戦時性暴力の根絶のために勇気ある発言をしている思いを真正面から踏みにじるものである。
橋下氏は「憲法」改正で、自民党改正案の「国防軍」設置に賛意を示しているが、国防軍が米軍とともに戦地に行くときも、必要である「慰安所」の設置を求めるのか。女性を募集するのか。
橋下氏は、とりわけ大阪の教育への介入を強化しているが、子どもたちに「戦地での強姦は当然。慰安所設置は必要」と教えるのか。
「慰安婦」制度は、旧日本軍の方針の下、植民地下朝鮮や戦地から若い少女らをむりやり連れてきて部屋に監禁し、“慰安所”として兵士に強姦させ続けた、世界にも類のない制度である。
戦争賛美と、女性蔑視、人間の尊厳否定の発言を絶対に許さない。こんなおぞましい制度を正当化する人物が市長の座にとどまるべきではない。
橋下市長は謝罪せよ。抗議の声を集中しよう!
大阪市ホームページの左下「ご意見・ご要望(市民の声)」よりメールを送って下さい。
http://www.city.osaka.lg.jp/
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橋下市長の発言要旨(朝日新聞より)
【午前】
侵略の定義について学術上、きちんと定義がないことは安倍首相が言われているとおりだが、日本は敗戦国。敗戦の結果として侵略だということはしっかりと受け止めないといけない。実際に多大な苦痛と損害を周辺諸国に与えたことも間違いない。反省とおわびはしなければいけない。
ただ、事実と違うことで日本国が不当に侮辱を受けていることにはしっかりと主張しなければいけない。
なぜ日本の慰安婦問題だけが世界的に取り上げられるのか。日本は「レイプ国家」だと、国をあげて強制的に慰安婦を拉致し、職業に就かせたと世界は非難している。その点についてはやっぱり、違うところは違うと言わないといけない。
意に反して慰安婦になってしまった方は、戦争の悲劇の結果でもある。戦争の責任は日本国にもある。心情をしっかりと理解して、優しく配慮していくことが必要だ。
当時は日本だけじゃなくいろんな軍で慰安婦制度を活用していた。あれだけ銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、そんな猛者集団というか、精神的にも高ぶっている集団は、どこかで休息をさせてあげようと思ったら慰安婦制度は必要なのはこれは誰だってわかる。
ただ、日本国が、韓国とかいろんなところの宣伝の効果があって、レイプ国家だと見られてしまっている。ここが一番問題。証拠が出てくれば認めなきゃいけないが、今のところ2007年の(第1次安倍内閣の)閣議決定ではそういう証拠がないとなっている。そこはしっかり言っていかなきゃいけない。
【午後】
慰安婦制度じゃなくても、風俗業っていうものは必要だと思う。だから沖縄の海兵隊・普天間に行ったとき、司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と言った。司令官は凍り付いたように苦笑いになって「米軍ではオフリミッツ(出入り禁止)だ」と。(ぼくは)「そんな建前みたいなことを言うからおかしくなるんですよ。法律の範囲内で認められている中で、いわゆるそういう性的なエネルギーを合法的に解消できる場所は日本にあるわけだから、もっと真正面からそういう所を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをきちんとコントロールできない」と言った。(司令官からは)「行くなと通達を出しているし、これ以上この話はやめよう」と打ち切られた。
兵士なんていうのは、命を落とすかも分からない極限の状況まで追い込まれるような任務のわけで、どっかで発散するとか、そういうことはしっかり考えないといけない。建前論ばかりでは人間社会は回らない。
(慰安婦制度は)朝鮮戦争の時もあった。沖縄占領時代だって、日本人の女性が米軍基地の周辺でそういうところに携わっていた。良いか悪いかは別で、あったのは間違いない。戦争責任の一環としてそういう女性たちに配慮しなければいけないが、そういう仕事があったことまでは否定できない。
歴史をひもといたら、いろんな戦争で、勝った側が負けた側をレイプするだのなんだのっていうのは、山ほどある。そういうのを抑えていくためには、一定の慰安婦みたいな制度が必要だったのも厳然たる事実だ。そんな中で、なぜ日本が世界から非難されているのかを、日本国民は知っておかないといけない。
(ハンマー)