徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

2008年07月15日 | ★★★★





おすすめ度
原題:The Birds
製作:1963年 アメリカ
製作・監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ジョセフ・ステファノ
出演:ロッド・テイラー ティッピ・ヘドレン ジェシカ・タンディ スザンヌ・プレシェット ヴェロニカ・カートライト
キャッチコピー:恐怖映画の巨匠ヒッチコックの最高傑作
鳥たちが、人間を食いちぎる このショック! 凄まじい恐怖が、あなたを襲う!

ホラー映画の名作中の名作、アルフレッド・ヒッチコックの「鳥」です。この作品を初めてみたのは忘れもしない今から○○年前の高校生の頃。懐かしいですね〜。何となく観たくなり久しぶりにレンタルしてみました。

ひょんな事から知り合ったメラニー・ダニエルズ(ティッピー・ヘドレン)とブレナー(ロッド・テイラー)。何となく彼の事が気になったメラニーは彼の妹の誕生日プレゼントを届ける為に彼の故郷であるボデガ湾を訪れます。無事自宅へ届けモーターボートで移動する途中、突然舞い降りてきた1羽のかもめが、メラニーの額をつつき飛び去ります。追いかけてきたブレナーは彼女を手当てしながらディナーに招待します。すぐに帰る予定のメラニーでしたが、ブレナーの妹にせがまれ誕生日パーティーにも参加する事に。そしてパーティー当日、事件は起こります。近所の子供達が庭でゲームを楽しんでいると突然鳥の大群が群がり人間を襲い始めたのです。

ある意味この作品の主役である「鳥」。あの数え切れないほどの鳥!そしていつまでも耳に残るあの不気味な羽音。鳥のリアルな描写がとても印象的な作品です。観客を飽きさせないスリリングな展開とそれを支える編集も素晴らしい!

DVDには特典映像でメイキングが収録されていました。「どうやって撮ったんだろう…」と思うシーンが山盛りの作品だったので、とっても面白かったです。大きなスクリーンで観れない事は残念ですが、こういう過去の名作がメイキングと一緒に鑑賞できるのはとっても幸せな事ですねっ。



合成は、ディズニーが実用化した「ナトリウムプロセス」という技術を採用。従来のブルーシートではなく、背景に青白い影を残さない特殊な技術のようです。スタッフにもディズニーのアブ・アイワークスを特撮顧問に迎え数々の名シーンを生み出す事に成功しています。



また、雑音が入ったり、日光の加減が変わることを嫌ったヒッチコックは、ロケは必要最小限度に抑え、スタジオでの撮影を好んだそうです。



このシーンはスタジオ撮影です。
すごい。


この街全部セットです。
大掛かりです。


有名な街を見下ろすシーン。
背景の景色は実写ではなくこの画像のように
手描きの絵を使い合成した場面が何ケ所かあります。
これが違和感ないんですね〜。


黒い部分が実写になるところです。
背景は「絵」です。
凄い技術ですね!


ジャングルジムのカラスのシーン。
実はここのカラスの多くはフェイク!数羽の本物を使う事で、全部が本物に見える、という人間の目の錯覚をうまく利用しているんですね〜。カラスは雛から育てて調教をしたんだそうです(驚)


クライマックスの鳥に襲われるシーン。
このシーンの撮影は丸5日間かかりティッピー・ヘドレンの疲れはピークに達します。その翌日から1週間入院することに…。映画初出演でもある彼女にとって、相当ハードな現場だったという事が伺えますね。


ストーリー、演出、特撮、編集、音楽、役者の華、演技どれをとっても本当に素晴らしい作品だと思います。今のようにCG技術のない時代にこんなに優れた映像を作るなんて、本当に凄いですね!改めてこの作品の偉大さを実感しました。


おまけ

愛犬と一緒にカメオ出演。
タレント性のある監督さんですね。


鳥@映画生活
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悪魔の手毬唄

2008年07月14日 | ★★★★




悪魔の手毬唄
おすすめ度
製作:1977年 日本
製作:市川崑 田中収
監督:市川崑
原案:横溝正史「悪魔の手毬唄」
脚本:久里子亭
出演:石坂浩二 岸恵子 北公次 永島暎子 渡辺美佐子 仁科明子 草笛光子 頭師孝雄 高橋洋子 原ひさ子 川口節子 辰巳柳太郎 大羽五郎 潮哲也 永野裕紀子 富田恵子 若山富三郎 加藤武 中村伸郎 大滝秀治 三木のり平 山岡久乃  林美智子 白石加代子 岡本信人 常田富士男 小林昭二 辻萬長

「犬神家の一族」のヒットを受けて翌年の1977年に公開された、市川監督の金田一シリーズ第二弾「悪魔の手鞠唄」です。昭和ロマネスクサスペンスの真骨頂だと思います。…って私、地味にハマってます(笑)

金田一耕助(石坂浩二)は岡山県警に磯川常次郎警部(若山富三郎)の声かけで鬼首(オニコベ)村 にやってきます。指定された宿は青池リカ(岸恵子)が女将をつとめる亀の湯。一足遅れてやってきた磯川警部は金田一に20年前の迷宮入り事件を再度調査する事を依頼します。そんな中、鬼首村出身の人気のアイドル、大空ゆかり(仁科明子)の帰郷の知らせがあります。幼馴染みの若者、青池歌名雄(北公次)、里子(永島暎子)別所五郎(大和田獏)、由良敏郎(頭師孝雄)、泰子(高橋洋子)、仁礼流次(潮哲也)、文子(永野裕紀子)たちは久しぶりの再会を喜び盛り上がっています。

依頼された調査の為に総社に向かう途中、金田一は多々羅放庵(中村伸郎)の五番目の妻、おりんと名のる老婆とすれ違います。ところが、旅籠「井筒」の女将(山岡久乃)はおりんは昨年既に亡くなっていると言うのです。金田一はその足で元夫である多々羅放庵の家に向かいますが、そこには謎の血痕が残され、放庵の姿はありませんでした。そしてその晩事件が起こります。村の川で泰子が変わり果てた姿で発見されるのです。平和だった村は大騒ぎ。そんな中、由良家の御隠居(原ひさ子)が聴いて欲しい唄があると言います。

今回も無気味です。
何たってジャケがいいではないですか〜。
手毬で遊ぶ日本人形ちっくな少女と血の色のようなぶどう酒に浸かった乙女ですよ。あばばば。
怖いですね〜。

横溝氏自ら「比較的良く書けた作品だった」と発言しているだけあって、とっても完成度が高いです。村で起きた連続殺人事件を解決する為に捜査をすすめていくと、20年前の未解決事件へと繋がっていくというストーリー展開はスリリングでとても面白いです。

とはいえ。相変わらず重要人物が多く、ついていくのに必死な私でした(恥)。
そして今回もまた「諸悪の根源」となる人物がいるわけですね〜。「もーあんたが無茶するから〜〜」と突っ込まずにはいられません。


御隠居(写真/左)は歌います。


うちの裏のせんざいに
雀が三匹とまって
一番目の雀のいうことにゃ
おらが在所の陣屋の殿さん
狩好き酒好き女好き
わけて好きなが女でござる
女たれがよい枡屋の娘
枡屋器量よしじゃがうわばみ娘
枡ではかって漏斗で飲んで
日がないちにち酒浸り
それでも足らぬとて返された返された
                ♪

それはまさに、泰子の死に様そのもの!
手毬唄の歌詞を利用して殺人をしたに違いない!この唄を知っている人物に犯人の手がかりがある!そう直感した金田一さん。鋭い推理はさらに続きます。「唄には続きがあるのではないですか?」と。ところが御隠居さんってばこの先を思い出せない!あらら〜。むしろそこが大事なのに…。仕方なく他にこの唄を知っている人物は?と訪ねたら、多々羅放庵の名が出ます。そんなわけで警察は早速、消息不明の多々羅放庵(写真/右)を容疑者として捜査をはじめます。

今回はある意味由良家の御隠居に弄ばれてしまう金田一さん(笑)。事件が起きた「後」に歌詞を思いだすんですね、このお婆ちゃん。



いろいろあったけどようやく全ての謎が解けた金田一さん。
ここで皆を集めて謎解きです。
加藤武さん、大瀧秀治さん、草苗光子さんは今回も出演されています。
ここでの皆様のオーバーリアクションが素敵です。

それにしてもこのシリーズはハマるな〜。
やっぱり子供の頃に観て面白いと思った作品って今観ても楽しいですねえ。
って言っても内容殆ど覚えてないなあ…。
とりあえず市川作品だけでも再チェックしてみようかな?

悪魔の手毬歌@映画生活
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事件

2008年07月13日 | ★★★★





事件
おすすめ度
製作:1978年 日本
製作:野村芳太郎 織田明
監督:野村芳太郎
脚本:新藤兼人
出演:丹波哲郎 芦田伸介 大竹しのぶ 永島敏行 松坂慶子 山本圭 夏純子 佐野浅夫 北林谷栄 乙羽信子 西村晃 渡瀬恒彦 佐分利信 森繁久彌

大岡昇平の同名小説を映画化した作品「事件」です。「砂の器」の野村芳太郎監督がメガホンをとり、その年数多くの映画賞を受賞しています。

神奈川県の山林で、若い女性の刺殺死体が発見されます。その女性は厚木の駅前でスナックを営んでいた坂井ハツ子(松坂慶子)でした。数日後、警察は十九歳の造船所工員・上田宏(永島敏行)を犯人として逮捕します。当初、単純な事件だと思われましたが事態は思わぬ方向へと展開していきます。



重厚で骨太な人間ドラマです。片田舎で起こった単純な事件のひとつだと思われていましたが、裁判が進むにつれ赤裸々な人間模様が浮き彫りになっていきます。派手な演出は一切なく、緊迫した裁判の模様と人間関係がじっくりと描かれています。今でこそ、こういう作品は数多く見られますが、当時としてはかなり画期的だったのではないでしょうか。

裁判シーンの会話は緊迫感と臨場感を出すために、台本通りの言葉だけでなく、芝居の中で自然に出た表現を大切に撮影されたそうです。重厚な演技に定評のある実力派の俳優陣の演技は素晴らしく、観るものをぐっと引き込みます。
冷製沈着でやり手の検察官に芦田伸介。
この人が喋り出すと、何だか緊張するんですね。「私、あの人嫌だわ」と言う大竹しのぶの台詞に物凄く納得してしまいます。

グローバルな視点で裁判を見つめる裁判長は佐分利信。
佐分利氏の演技はたまりません。こういう「品」を持つ俳優さんは今はなかなかいない気がします。

名うてのエリート弁護師は丹波哲朗。
いいですね。この役とっても似合ってます。鋭い切り口で様々な証言をひっくり返して行きます。華やかで、少し狡猾な匂いのするところもいいですね〜。

証人を演じた俳優も北林谷栄、西村晃、森繁久彌大先生と個性派揃い。裁判シーンを盛り上げます。そして、事件の重要な鍵を握る被害者の妹を演じた若き日の大竹しのぶと、被害者の情夫を演じた渡瀬恒彦。この年の様々な助演賞に輝いたこの二人の演技は本当に凄かったです。人間のエゴ・弱さ・哀しさがむきだしになっていく様は胸に込み上げるものを感じました。

あどけない少女の面影を残しながら、しっかり「女」な大竹しのぶが印象的。渡瀬恒彦とのラストも素晴らしかったです。


事件@映画生活
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春のめざめ

2008年07月12日 | ★★★★




春のめざめ
おすすめ度
原題:Моя любовь 「わが恋」
製作:2006年 ロシア
製作:ドミトリー・ユルコフ コンスタンチン・エルンスト 三浦啓一 吉村隆
原作:イワン・シメリョフ
監督・脚本:アレクサンドル・ペトロフ
キャッチコピー:恋をする。16才の少年アントンが好きになった相手は、同じ年頃の少女パーシャと、そして、もうひとり…25才のセラフィーマ。

ロシアのとある町。貴族学校に通う16歳の少年アントンは、ツルゲーネフの「初恋」を読み、物語の主人公ジナイーダに夢中です。たびたび夢想に浸り、勉強も手に付きません。彼の家に住み込みで働く少女パーシャは、そんなアントンにひそかに恋心を抱いています。それに気づいた彼は、パーシャとの愛の行方を想像し、二人の間に本物の愛があれば何の支障もないと考えるのでした。しかし、同級生のジェーニカは「パーシャは、雑巾の女神。恋愛の対象になるような女ではない」とばっさり。アントンはそんな彼の言葉にいとも簡単に動揺してしまうのでした。そんな時、アントンは、隣の家に引っ越してきた美しい令嬢セラフィーマに出会います。

とことんこだわり抜いた職人気質なこの作品はまさに大人の為のアニメーション!思春期の少年の初恋と成長を描いた本作は、彼の揺れ動く気持ちがアレクサンドル・ペトロフの美しい映像により見事に表現されています。こんな絵画的なアニメーションは今まで観た事がありませんでした。微妙な色調を変化させる光と影はまるでモネの絵のようです。


少年と大人との間で揺れる16歳のアントン。
その表情にはまだあどけなさが残っています。


アントンは、ツルゲーネフの「初恋」を読み、すっかり物語の主人公に夢中に。
暇さえあれば物語の世界の中に自分を投影しています。


住み込みで働く少女パーシャ。
アントンに恋をしてすっかり綺麗になってきました。


アントンはパーシャこっそりガラスの小鳥をプレゼントします。
恋に恋するアントンは彼女の気持ちに気付き
早速彼女との恋愛をシュミレーション。


「生い立ちの違いなんて関係ない!」
そう思ったアントンは、友人ジェーニカに自分の熱い気持ちを訴えます。
ところが、友人からはシニカルな答えが…。


隣に引っ越してきたミステリアスな美女、セラフィーマ。
パーシャにちょっかいを出しながらも
大人の魅力溢れるセラフィーマにも興味津々。


おっと!ご近所の牧夫の嫁に迫られてます!
アントンってばモテモテですねっ。



この後、愛憎渦巻く大人の世界を垣間見る事になるアントン。
若いからか、男だからかは分かりませんが、アントンはイタイ失敗を何度かやらかします。そういうしょっぱい思いをしながら(させながら)少しづつ大人の階段を登っていく訳ですね。

冒頭にも書きましたが、繊細なタッチの絵が織り成す世界観と思春期特有の「ゆらぎ感」が素晴らしく調和しています。30分に満たない短い作品ですが、当時の生活が伺える描写もとても興味深く、印象に残るシーンがとにかく多い!観終わってすぐにもう一度観たくなる、そんな作品でした。



春のめざめ@映画生活
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赤線地帯

2008年07月09日 | ★★★★



赤線地帯
おすすめ度
製作:1956年 日本
製作:永田雅一
監督:溝口健二
脚本:成澤昌茂
出演:若尾文子 三益愛子 町田博子 京マチ子 木暮実千代 川上康子 進藤英太郎 沢村貞子 浦辺粂子 十朱久雄 加東大介 多々良純 田中春男

売春防止法制定前後の社会情勢を描いた溝口健二の「赤線地帯」です。この作品は彼の遺作でもあります。若尾文子、三益愛子、町田博子、京マチ子など豪華な女優たちの競演は華やかでとっても生々しい!少女の悲しい行く末を暗示するラストシーンもしょっぱくて良いです。

社会の情勢も不安定な折、国会では「売春防止法」が可決されようとしています。様々な事情で借金を負った女達は今の生活から抜け出そうと必死です。どんなにもがいても一度体を売る商売を始めるとなかなか堅気には戻れない。そんな女達に焦点を当てた群像劇。


舞台は吉原の「サロン夢の里」。
娼婦たちは、それぞれの事情を負って生きています。


不良娘のミッキー(京マチ子)も加わり「夢の里」は今日も大繁盛。


やすみ(若尾文子)は金の亡者。
父親の保釈金20万円が払えずに吉原へ来た過去があります。
彼女はサロンで客を騙しては金を無心します。
そればかりか仲間の娼婦にも金貸しをし利息で貯金を更に増やしていく財テクぶり。

サロンの最年長のゆめ子(三益愛子)は離ればなれで暮らしている一人息子との同居を夢見ています。


手前で涙しているのがより江(町田博子)。彼女は普通の主婦に憧れを抱いています。赤ちゃんのおしめを変えている眼鏡の女性がハナエ(木暮実千代)。彼女は病気の夫と幼子を抱える一家の大黒柱です。

うむむ…。
人生は甘くない。とは良く言ったもので…。

どうにかしたくてもどうにもできない(ならない)のが観ていてとてももどかしい。それでも女達は強く、逞しく、しなやかに生きていくんですね。
うむむ…。

売春防止法が4度目の流産したときのサロンの主人の言葉。
「おれたちはね、政治の行き届かないところを補っているんだ。政府に変わって社会事業をやってるんだよ。演説やって食いっぱぐれない連中にはお前達の苦労なんて分かっちゃいないんだ。お前たちの味方はおれたち以外あるかい。わかったな。じゃあ、明日からひとつ腰を据えて働いてくれ。」

そんな事ない!と言い切れないのがまたしょっぱい…。


赤線地帯@映画生活
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カンナさん大成功です!

2008年07月07日 | ★★★★





カンナさん大成功です!
おすすめ度
原題:200 POUNDS BEAUTY
製作:2006年 韓国
監督:キム・ヨンファ
原作:鈴木由美子「カンナさん大成功です!」
脚本:キム・ヨンファ ノー・ヘヨン
出演:キム・アジュン チュ・ジンモ イ・ハヌィ キム・ヒョンスク キム・ヨンゴン ソン・ドンイル イム・ヒョンシク
キャッチコピー:整形、OK?過去と脂肪を捨て、愛を手に入れられるのか?

定期的に開催している、友達とのDVD観賞会。なので、久々に日頃観ないシリーズ行かせていただきます。まずは「カンナさん大成功です!」。この作品は韓国のアカデミー賞・大鐘賞を受賞し、その年の最多の12部門にノミネートされたそうです。

身長169cm・体重95kgのダイナマイトボディを持つカンナ(キム・アジュン)。彼女は素晴らしい歌唱力を活かし韓国の人気歌手AMI(ソ・ユン)の“ゴースト・シンガー”をしています。実は彼女には密かに想いを寄せる男性がいます。それはプロデューサー・サンジュン(チュ・ジンモ)。いつもカンナに優しいサンジュンにカンナはメロメロです。そんなある日偶然にサンジュンとAMIの会話を聞いてしまいます。「不細工はカンナに嫉妬をする方がおかしい。せいぜい彼女の才能を利用して、もうしばらく自分にもセレブな生活をさせてくれ。」という屈辱的な会話。それを機に彼女は、一大決心。命がけの“全身整形”をするべく皆の前から姿を消しますが…。

「整形天国」韓国で、全身整形美人というテーマ。リアリティがあって実はちょっぴりブラックな一面もあるんですね。女性の「見た目」を巡りゆれ動く乙女心も切なく描かれています。「見た目」が変わる事で彼女の環境は大きく様変わりしていきます。



95キロの「巨漢」なアンナ。
彼女は歌が好き。
そしてサンジュンが大好き。

その淡い恋心が無惨に砕け散る「事件」が勃発。
そして全身整形&ダイエット!
ただひたすら美しくなるために過ごした1年間。


そして、パーフェクトボディ&モテ顔に大変身!!


恋するサンジュン。
彼は彼女をカンナだとは知りません。



カンナもジェニーとして本格歌手デビュー。
はじめてのテレビ出演にどきどきです。
そして2人の恋の行方にどきどきです。


心優しい主人公のアンナが優しくて、明るくて、とってもキュート!
泣いたり笑ったり彼女のクルクル変わる表情がかわいらしく、観ている内に思わず彼女を応援したくなってしまいます。

とっても楽しい作品でした。
こういう作品は友達と一緒に観るのに本当にぴったりですね!

カンナさん大成功です!@映画生活
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犬神家の一族

2008年07月05日 | ★★★★





犬神家の一族
おすすめ度
製作:1976年 日本
製作:角川春樹 市川喜一
監督:市川崑
原作:横溝正史
脚本:長田紀生 日高真也 市川崑
出演:石坂浩二 高峰三枝子 三条美紀 草笛光子 あおい輝彦 地井武男 川口晶 川口恒 金田龍之介 小林昭二 島田陽子 坂口良子 小沢栄太郎 加藤武 大滝秀治
キャッチコピー:金田一さん事件です!

横溝正史の同名小説を映画化した市川崑監督の「犬神家の一族」です。2006年にリメイクされた作品を観る前に復習の意を込めて、1976年バージョンです。

犬神財閥の創始者、犬神佐兵衛(三國連太郎)は、自分の死後の惨劇を予期したかのような不可解な遺言状を残して他界します。犬神家の顧問弁護士、古館恭三(小沢栄太郎)の助手、若林は、金田一耕肋(石坂浩二)に助力を得るために呼び寄せますが、金田一と顔を合わさない内に、何者かに毒入り煙草で殺害されてしまいます。佐兵衛は生涯妻子を持たず、松子(高峰三枝子)、竹子(三条美紀)、梅子(草笛光子)という腹違いの三人の娘があり、松子には佐清(あおい輝彦)、竹子には佐武(地井武男)と小夜子、梅子には佐智(川口恒 )という息子がいます。そして、犬神家には佐兵衛が事業の成功を手助けした大恩人である野々宮大式の孫娘、珠世(島田陽子)も住んでいます。問題の遺言状は佐清の復員を待って公開されることになっていましたが、戦争で顔を負傷した佐清は、仮面をかぶって一族の前に現われました。遺言状の内容は、犬神家の全財産と全事業の相続権を意味する三種の家宝、斧(よき)、琴、菊を佐清、佐武、佐智のいずれかと結婚することを条件に、珠世に譲渡する、というものでした。

子どもの頃、何度かテレビで観ていた1976年版。ただただおどろおどろしい印象しか残ってない…(呆)。って事でこの度久しぶりに観ました。今回観て改めて思ったんですが、初めて観た時はストーリーを殆ど理解出来てなかったんじゃないかと…。主要登場人物が多いし、その相関も今観てもなかなかややこしい。内容も結構「大人」だし(笑)。

とりあえず感想は

脚本も、キャストも、演出も。どれをとっても無気味で怖い!よく出来た作品だな〜。フラッシュバックやスローモーションを効果的に取り入れたり、回想シーンにモノクロ画像の挿入するなど市川監督らしい実験的でスタイリッシュな映像は素晴らしく、とっても見応えがあります。



犬神佐兵衛。
揉め事を作った諸悪の根源はこの人。
生涯正妻をもたず、女を取っ替え引っ換え。
やりたい放題。
しかも死んでからもまた揉ます揉ます。



改めて一族が集まり「遺言書」の発表です。
みんな自分が幾ら貰えるのか??と固唾を飲んで見守ります。
でも、でも、でも、でも!弁護士が発表したのは驚愕の内容。
「珠世が3ヶ月以内に佐清、佐武、佐智のうちのいずれかと結婚すれば全財産を相続する。珠世が死去などにより、相続しない場合は佐清、佐武、佐智が1/5ずつ、青沼静馬が2/5…。」
そりゃ死人も出るって話です。
こわいこわい。



出ました!佐清!
怖いですね〜。このマスク。
市川監督の佐清マスクは気合いが入っています。



ヒロイン珠子は島田陽子。
あーかわいらしい。



珠子の後ろに猿蔵あり。
土ワイの悦っちゃんみたいです。
こわいこわい。



菊人形に据えられた生首の胴体(佐武)。
湖にぷっかと浮かんでます。




この手形。
戦争に行く前に神社に奉納された佐清の手型。
こういう「小道具」がいちいち不気味です。



若き日の佐兵衛の「過ち」が子や孫の世代の運命まで変えてしまいます。


激しい情念を燃やす一族の姿が愚かで悲しい。人間の心の中に潜むどろどろした感情や闇がとてもよく表現されています。そんな息が詰まるような緊張感と、事件の行方を見守る(?)金田一耕助のどこかとぼけた雰囲気の緩急も絶妙で良いですねえ。湿度の高い邦画らしい邦画だなあ。こういう濃い愛憎劇、大好きです。

犬神家の一族@映画生活
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カプリコン・1

2008年07月04日 | ★★★★


カプリコン・1
おすすめ度
原題:Capricorn One
製作:1977年 アメリカ イギリス
製作:ポール・N・ラザルス三世
監督:ピーター・ハイアムズ
脚本:ピーター・ハイアムズ
出演:エリオット・グールド ジェームス・ブローリン ブレンダ・バッカロ サム・ウォーターストーン O・J・シンプソン ハル・ホルブルック テリー・サバラス
キャッチコピー:300億ドル・・・世界初の有人火星宇宙線が秒読みに入ったとき3人の宇宙飛行士が消えた!

私、都市伝説やらオカルトめいたモノが大好きです。(←小学生かっ!)幾度となくテレビで取り上げられている「アポロ計画陰謀説」もそのひとつ。というわけで今日は、「アポロ計画陰謀説」と並んでよく紹介されるSF映画「カプリコン・1」です。

人類史上初の有人火星宇宙船カプリコン・1の打ち上げが目前に迫り、機内には、ブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、そしてウォーカー(O・J・シンプソン)らが乗り込みました。ところが発射5分前、突然ハッチが開き、1人の男が乗組員3人を船外に連れ出しジェット機で連れ去ります。そして5分後、カプリコン・1は、人々の見守る中、無人のまま火星へ向かって飛び立ちました。一方、3人を乗せたジェット機は砂漠にある閉鎖された軍の基地に到着します。そしてそこには、NASAのケラウェイ所長(ハル・ホルブルック)が。そして3人にカプリコン・1の生命維持装置に故障が発見されたが、我国の議会や世論を宇宙計画へ注目させるには、今さら計画の中止は出来なかった、という衝撃の事実を告げます。家族を人質にされた3人は、基地内に組まれた火星表面のセットで世紀の大芝居を決行することとなりますが…。


ない話では無さそうなのがリアリティがあっていいですねっ。
SFというより、むしろ社会派サスペンスドラマな感じでなかなかどきどきさせられます。


この手の作品は、やっぱり映像がお粗末だとつまんないですが、火星のセットや宇宙船のセットなどもリアルに作られているので見ごたえがあります。この火星の赤〜いセットはすごく印象的です。


水も滴るイイ男。「M★A★S★Hマッシュ」でトラッパー役を演じたエリオット・グールド。本作では、ちょっとチャラい記者役を熱演。車で、飛行機で。体を張ったシーンが目白押し!


3人のクルーはこの3人。左からサム・ウォーターストン、ジェームズ・ブローリン、O・J・シンプソン。
O・J・シンプソンかあ…。うーん、時代を感じますねえ。


ちなみにこれがよく問題になるアポロ11号が月面着陸した画像。
月面で撮影されたはずの写真なのに空に星が写っていない
光源は太陽だけのはずなのに影の向きがバラバラ
っていうのが疑惑のポイントらしいです。


この画像は月面でポーズを取るバズ・オルドリン。
ニール・アームストロングがヘルメットの遮光板に映った自分とオルドリン両方を撮影したものです。


そしてこれはカプリコン・1のジャケット。
うぷぷ。
なかなか遊び心がありますね。

「カプリコン・1」は31年ぶりにリメイクも決定しましたねえ。
監督は「オーメン」(2006年)のジョン・ムーアだそうです。DVDが出たら観てみようかな〜。

カプリコン・1@映画生活
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復讐するは我にあり

2008年07月02日 | ★★★★





復讐するは我にあり
おすすめ度
製作:1979年 日本
製作:井上和男
監督:今村昌平
脚本:馬場当 池端俊策
出演:緒形拳 三國連太郎 ミヤコ蝶々 倍賞美津子 小川真由美


佐木隆三の同名小説を今村昌平監督が映画化した「復讐するは我にあり」です。このタイトルは、新約聖書に出てくる言葉で、「悪に対して悪で報いてはならない。悪を行なった者に対する復讐は神がおこなう」という意味なんだそうです。うーん。タイトルひとつとっても興味深いですね。

昭和39年10月日豊本線築橋駅近くで専売公社のタバコ代の集金に回っていた柴田種次郎(殿山泰司)と馬場大八(垂水悟郎)の惨殺死体が発見され、現金41万円余が奪われる事件が発覚。やがて、タバコ配給に従事していた運転手・榎津厳(えのきづいわお/緒形拳)が容疑者として浮かび、いよいよ警察の捜査がはじまります。

この作品は実在する<西口彰連続殺人事件>がモデルになっているそうで、犯人の生い立ち、犯行の手口、そして事件発覚後の76日に及ぶ逃亡生活を描いています。リアリティを追求するために作中に登場する殺害シーンは実際の事件現場で撮影されたんだそうです。


巌の父親(三國連太郎)と母(ミヤコ蝶々)と妻(倍賞美津子)の関係。
これがなかなか危ういんですね。

息子が可愛くて仕方がない病弱な母親。
父親はストイックで心優しい敬虔なクリスチャン。
妻は義父に対して尊敬を超えた愛情を抱いています。
もともと父親にあまり良い感情がなかった巌。
父子の確執はますます深まって行きます。

何故厳は凶行を繰り返したのか?父親に対する「反抗心」からなのか?それとも「ただそうしたかったから」なのか?作中では、結局これという答えは描かれていません。というか、巌にもその答えは明確に分からなかった、というのが本当のところなのかな?とにかく、彼はなんの躊躇もなく人を殺します。お世話になった旅館の親子ハル(小川真由美)とひさ乃(清川虹子)でさえ例外ではありませんでした。

巌の家族たちの逃げ場のない混沌とした感じ。
明確な動機がないぶん、無気味さが増します。

1979年の映画賞を数多く受賞した本作。
俳優陣の演技が本当に本当に素晴らしいです。巌に関わる女性はこの作品の中でかなり重要な役割を果たしています。小川真由美のチャーミングだけどどこか影のある売春斡旋宿の女主人。義父を愛してしまう巌の妻役を演じた倍賞美津子。決して「若くない」女優たちが繰り広げる扇情的なシーンは切なくて心に残ります。

にしても。
この作品ってば独特なエネルギーがありまして…
観た後どっと疲れます。
泥臭くて、湿度が高くて、観た後疲れますが、(←しつこい?)名作です。


復讐するは我にあり@映画生活
前田有一の超映画批評



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太陽がいっぱい

2008年06月29日 | ★★★★



太陽がいっぱい
おすすめ度
製作:1960年 フランス イタリア
製作:ロベール・アキム
原題:Plein soleil
監督:ルネ・クレマン
脚本:ポール・ジェゴフ ルネ・クレマン
出演:アラン・ドロン マリー・ラフォレ モーリス・ロネ エルヴィーレ・ポペスコ
キャッチコピー:ギラギラと輝く太陽の下  青春の野望をのせてドロンの眼がきらめく 

昨日せっかく「リプリー」を観たので、今日は引き続き「太陽がいっぱい」をば…。

中学時代の友人のフィリップ(モーリス・ロネ)を、彼の父親に雇われ連れ戻しに来たトム(アラン・ドロン)。しかしフィリップは父の元へ戻る気などさらさらなく、親の金で毎日遊び回っています。トムは金目当てにフィリップと行動を共にすしますが、自分ややフィリップの恋人マルジェ(マリー・ラフォレ)に対する傍若無人な態度に怒り、ついにある「計画」を実行する事を決意します。

監督は「禁じられた遊び」のルネ・クレマン。今さら言うまでもない名作中名作ですね。海と空と船と日焼けした色男が大いに堪能できます。

初めてこの作品を観たのは今から約20年前ですが、観終わった後暫く頭から離れなかったのを今でも鮮明に覚えています。栄光と崩壊が一度に押し寄せるエンディングがとても衝撃的でした。叙情的なテーマ曲はとっても有名ですよね。

アラン・ドロンが演じるトムはとっても上昇志向の強い男で、自分の「罪」に対してほとんど罪悪感がないんですね。ハングリー精神旺盛でとってもギラギラしています。



アラン・ドロンのこの表情!
シェクシー&デンジャラスです。


ヒロインのマリー・ラフォレ。
可憐で清純な雰囲気が素敵です。


悪ーい顔です。
女性捜査官を利用し、トムは計画を進めて行きます。



セミヌードと「はだけ率」がとても高い。
お国柄でしょうか?
ちょっとお眠なアラン・ドロンも可愛らしいですね。

すごくどうでもいい事ですが、人を殺めた後にトムってば必ず何かを食べるんですね。そういう時って本当にモノを口にする心境になるのかな??(確か「親切なクムジャさん」にもそんなシーンがあった気が… 汗)

…って。何だか作品の感想とは少し(かなり?)離れちゃいました?


太陽がいっぱい@映画生活
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青春残酷物語

2008年06月20日 | ★★★★




青春残酷物語
おすすめ度
製作:1960年 日本
製作:池田富雄
監督・脚本:大島渚
出演:桑野みゆき 川津祐介 久我美子 渡辺文雄 田中晋二

松竹ヌーヴェルヴァーグの代表作。大島渚監督の「青春残酷物語」です。

真琴(桑野みゆき)は友人の陽子と夜遊びの帰りに車で自宅まで送ってもらおうと見知らぬ男に声をかけます。陽子を降ろした後、中年男は真琴をホテルに連れこもうとし、揉み合いになります。そこへ偶然通り掛かった大学生、清(川津祐介)に救われ、翌日二人は男から貰った「口止料」でデートをします。その日清は貯材場の木の上で、強引に真琴を抱きます。真琴は戸惑いながらもどんどん清に惹かれていき、ふたりは周囲の反対を押し切り間もなくして同棲をはじめる事となります。そしてお金に困ってはふたりの出会いと同じシチュエーションをつくり中年男から金を巻き上げる犯罪に手を染めていくのでした。

大島監督怒ってますね〜。
そして若者も怒ってます。
大人になのか、社会になのか。
自分の中で昇華しきれない何かになのか。



とにかく怒ってます。

清は初デート(?)で真琴に乱暴しちゃいます。
あらあら。
でも、ここから二人の愛は芽生えるんですね〜。



1960年という年は新安保条約を締結した年でもあり、社会は大きく揺れていました。学生運動も盛んで、やはり若者は怒っていました。その一方で経済は大きく上向き、まさに高度経済成長期を迎えようとしています。作中にもそれを反映させるように、本物のデモ行進や工事現場のシーンが数多く見られます。

この作品に出てくる若者2人は、そんな時代に青春を過ごしていました。ふたりは恋に落ち、お互いを傷つけ合うように愛しあいます。そして、真琴を「餌」に中年男を陥れお金を巻き上げますが、ふたりには罪悪感は全くありません。喧嘩、中絶、犯罪…いつしか破滅の道を歩んいきます。

うーん。
なかなかしょっぱいです。

今はこんな「怒れる若者」はほとんどいないかも。
私はまだ生まれていなかったので、この時代に対してあまり現実味がありませんが、政治・経済共に激動の時代だったんですね。
この作品の中には、戦後間もなくして育んだ愛も夢も志半ばで挫折した姉が登場します。彼女の過去の「失敗」と対比させながら妹、真琴の恋を描いてもあるのですが、その姉と、元恋人の間にもなにかやり切れないものを感じます。

観て爽快感のある作品ではありませんが、青春時代の若者特有の捨て身のひた向きさや、モヤモヤ・イライラ感がよく表現された作品だと思います。


青春残酷物語@映画生活
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迷子の警察音楽隊

2008年06月18日 | ★★★★




迷子の警察音楽隊
おすすめ度
製作:2007年イスラエル フランス
監督・脚本:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ ロニ・エルカベッツ サーレフ・バクリ カリファ・ナトゥール
キャッチコピー:エジプトからやってきた 音楽隊が届けたものは、 人が恋しくて、 家族が大切で、 そんな当たり前のことが 大事に思える 素敵な夜でした。

水色の制服を着たおじさんたちが可愛くて何となく手にした「迷子の警察音楽隊」です。タイトルもキュートですね。

イスラエルのアラブ文化センターでの演奏を依頼されたエジプトの警察音楽隊。一行はイスラエルの空港に到着しますが、出迎えがありません。誇り高き団長トゥフィークは自力で目的地を目指すことに。ところがたどり着いた先は、目的地と1文字違いの名前の全く別の場所。そこは、ホテルなんて一軒もない辺境の町でした。途方に暮れた一行は、食堂を営む美しい女性ディナの計らいで、3組に分かれ、食堂、ディナの家、そして常連客イツィクの家に分宿して一夜を過ごすことになります。


エジプトとイスラエル。
隣接する二つの国の異文化交流をコミカルに描いた作品。

1979年、エジプトとイスラエルは平和条約を結びますが、二国間の和平合意は「非戦闘」に合意したというだけに留まり、その関係は「冷たい平和」と称されているそうです。

そんな微妙な関係であるイスラエルの地で、エジプトからやってきた男達は忘れられない夜を過ごします。



自由奔放な女性ディナとストイックな頑固おやじトゥフィークの噛み合わないデート。


パピたちのダブルデートに無理矢理同行し、奥手のパピに女性の扱いを指南をするチャラ男、カーレド。


イツィクの家で妻の誕生日に3人の団員と共に祝う(?)ディナータイム。

団員たちが過ごしたそれぞれの夜。「ちょっと可笑しくてちょっといいエピソード」が詰まった作品。優しい気持ちになれました。


迷子の警察音楽隊@映画生活
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舞台恐怖症

2008年06月17日 | ★★★★




舞台恐怖症
おすすめ度
製作: 1950年 イギリス 日本未公開
製作・監督: アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェーン・ワイマン マレーネ・ディートリッヒ リチャード・トッド アリステア・シレ パトリシア・ヒッチコック

ヒッチコックの「舞台恐怖症」です。この作品は日本未公開で、ヒッチコック的にも物語の仕掛けに問題があったと失敗を認めているらしく、ファンの間でも賛否が別れる作品なんだそうです。

演劇学院生イブ(ジェーン・ワイマン)が運転する車に乗った、友人ジョナサン(リチャード・トッド)の回想から物語が始まります。ジョナサンの愛人である女優シャーロット(マレーネ・ディートリッヒ)が夫を殺害し、その後始末をしに行ったころをメイドに目撃され、警察に追われるハメになったと言うのです。彼に好意を寄せていたイブは何とか力になりたくて、父親(アリステア・シレ)の別荘でジョナサンを匿ってもらうことにします。イブは、ジョナサンがシャーロットにはめられたのではないかと推測。そして、その証拠を見つけるためシャーロットのメイドとして屋敷へ潜り込みこみますが…。

「舞台恐怖症」とは…なんて素敵なタイトルでしょう。
なかなかグッときませんか?

まず心奪われるのはマレーネ・ディートリッヒ!何てったって美しい!!物語が進むにつれその美しさは増すんです。ちょっぴりアンニュイな美人って言うんですかね?典型的な悪女役なんですけど、彼女が出るシーンは本当に画面が輝いて見えるんです。主演のジェーン・ワイマン、完全に食われてました。(ワイマンも充分キュートで魅力的なんですが)

サスペンスの中にも、ロマンスあり、笑いありと娯楽作としてとっても楽しめる作品だと思います。父親役のアリステア・シレのコミカルな演技が楽しくてとってもキュートです。この作品の中でいちばんお気に入りの「和みキャラ」でした。


舞台恐怖症@映画生活
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マーズ・アタック!

2008年06月15日 | ★★★★




マーズ・アタック!
おすすめ度
原題:Mars Attacks!
製作:1996年 アメリカ
製作:ティム・バートン ラリー・フランコ
監督:ティム・バートン
脚本:ジョナサン・ジェムズ
出演:ジャック・ニコルソン グレン・クローズ アネット・ベニング ピアース・ブロスナン ダニー・デヴィート マーティン・ショート サラ・ジェシカ・パーカー マイケル・J・フォックス トム・ジョーンズ ナタリー・ポートマン.
キャッチコピー:地・球・ヲ・イ・タ・ダ・キ

ティム・バートンの「マーズ・アタック!」です。この作品、もう12年も前の作品なんですね。

ある日、空飛ぶ円盤に乗った火星人が地球にやって来ます。突然の来訪者を歓迎すべきか追い返すべきか?大統領のデイル(ジャック・ニコルソン)は決断を迫られています。急遽政府のブレーンである、楽観的な学者のケスラー教授(ピアース・ブロスナン)、女好きでちょっぴり軽い報道官のロス(マーティン・ショート)、タカ派のデッカー将軍(ロッド・スタイガー)、ハト派のケイシー将軍(ポール・ウィンフィールド)らを召集。幾度となく協議を重ね、遂に運命の決断をします。それは、彼らを受け入れる事。大々的なセレモニーで火星人を迎えますが、拍手と共に放たれた鳩を見た瞬間、火星人たちは謎のレーザー銃で誰彼構わず撃ちまくり最悪な自体となります。

これ一時期よく深夜に放映されてましたよね〜。
何故だか無性に観たくなったので借りちゃいました。
久々に観ましたが、あー。おばか。
何度観ても本当におばかな映画です(笑)

火星人と友好を結ぶ事で自分の株を上げたい大統領デイル、見た目ばかりにこだわる見栄っ張りのファーストレディ、マーシャ(グレン・クローズ)、周囲の大人達を冷静に傍観する娘タフィ(ナタリー・ポートマン)。

火星人来訪を機にひと儲けしようと画策するラスベガスの不動産王アート(ジャック・ニコルソン←二役です 爆)。彼の妻バーバラ(アネット・ベニング)は、夫とうまくいかないストレスでアル中。近頃何やら怪しいセミナーに参加しはじめ火星人にも興味津々。

カンザス州のトレーラーハウスに住むグレン一家。兄贔屓の両親と、火星人対策軍に志願する血の気の多い兄ビリー(ウド鈴木ばりのヘアスタイルのジャック・ブラック←若い!)とお婆ちゃん子のリッチー(ルーカス・ハース)。

ファッション番組の司会のナタリー(サラ・ジェシカ・パーカー)と恋人の報道記者ジェイソン(マイケル・J・フォックス)は、火星人来訪のスクープを我が物にしようと一念発起。

この人たち、かなりの確率で死んじゃいます。
(あっ。言っちゃったっ!)
しかも、かなりにべもない感じで。
ストーリーなんてあってないようなもんです。(失礼)
こーんなおばかな作品に(失礼)、超一流のクリエイターがああでもない、こうでもないと言いながら大枚を叩いて製作する事自体がスゴイです。
なのにあのチーーーープな感じ(笑)
豪華なキャスト陣だけでも観る価値はあると思います。(よく引き受けたなあと思います…笑)
色んな意味で素敵すぎます。

それにしても。

もう大概何度も観ているはずなのに、まだこんなに楽しめるとは…。
自分でもちょっとびっくり。
うーん。DVD買おうかなあ…。


マーズ・アタック!@映画生活
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ピノキオ

2008年06月14日 | ★★★★




ピノキオ
おすすめ度
原題:Pinocchio
製作:1940年 アメリカ
製作 ウォルト・ディズニー
監督:ベン・シャープスティーン ハミルトン・ラスク ノーマン・ファーガーソ T・ヒーウィルフレッド・ジャクソン ジャック・キニー ビル・ロバーツ
出演:ディッキー・ジョーンズ クリフ・エドワーズ

1940年にウォルト・ディズニーが製作したアニメ「ピノキオ」です。

何故今ピノキオ??って感じですが(笑)。

「白雪姫」(1937年)に続き、第2作の長編アニメとして公開された作品です。今さら私ごときが言うまでもないディズニーアニメの傑作のひとつですね。原作はイタリアのカルロ・コッローディ作の童話「ピノッキオの冒険」。ディズニー作品に特に思い入れがある訳ではありませんが、この作品は何となく印象深いのです。

初めてディズニーアニメを観た時に驚いたのが、表情豊かなキャラクターと、そのなめらかな動き。半端ない制作費用を投じて製作されたのは有名な話ですが、約70年前にこれほどの技術が確立されていたと言う事に驚きです。

今見ても全く色褪せない珠玉の名作です。


前田有一の超映画批評



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