ニキフォル知られざる天才画家の肖像
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製作:2004年 ポーランド
製作:ジュリアス・マチュルスキ
監督:クシシュトフ・クラウゼ
脚本:クシシュトフ・クラウゼ ヨアンナ・コス
出演:クリスティーナ・フェルドマン ロマン・ガナルチック イエジ・グデイコ ルチアナ・マレク アルトゥール・ステランコ
キャッチコピー:神さまがくれた色使い。
ポーランドの画家ニキフォルと、彼の晩年を支えた男性を描いた伝記映画「ニキフォル 知られざる天才画家の肖像」です。
1960年のポーランドはクリニツァ。役所で働きながら画家としての活動に励むマリアンは、事務所の一角に小さなアトリエを持っていました。ある冬の日、一人の老人がアトリエに入ってきます。彼の名はニキフォル。マリアンは、アトリエに居座りマイペースに振る舞うニキフォルに大いに困惑します。しかし、肺病に侵された彼を見放す事も出来ず渋々面倒を見始めます。芸術に精通したマリアンには確かな審美眼がありました。アトリエで共に過ごす時間の中で彼は、ニキフォルの絵の素晴らしさに気付きはじめます。そして彼は家族と過ごす時間よりニキフォルの世話を優先するようになり、妻ハンカは不満を募らせ、平和だった家庭に亀裂が生じはじめます。
生涯画家として描き続ける事にこだわるニキフォルとそれを献身的にサポートするマリアンとの微妙な関係がとても切なくて胸が締めつけられます。クリニツァの静寂な雪景色も印象的でした。
私はこの作品を観るまでニキフォルの事を知りませんでした。なので、ここで彼の事を少しお勉強。
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ニキフォルは(1895~1968年)は言語障害のため、周囲とのコミュニケーションがうまくはかれなかったため、観光客相手に絵を売る事で生計をたてていました。作品のほとんどは水彩画で、鉄道の駅や汽車、田園風景、聖堂、工場、役所などをモチチーフに生涯4万点もの作品を残したそうです。ニキフォルの才能は晩年に高く評価され、アール・ブリュット(フランス語で「加工されていない生の芸術」という意味で「アウトサイダー・アート」「障害者アート」を指す意味もある)の先駆者としても知られるようになったといわれています。
小柄な老人、ニキフォルを演じるのはなんと男性ではなくクリスティーナ・フェルドマンという女優さん!ビックリです。自由奔放で頑固で偏屈なアーティストを見事に演じ上げています。
久々の芸術家の伝記ものでしたが、とても良質な作品に大満足です。
・ニキフォル 知られざる天才画家の肖像@映画生活
・前田有一の超映画批評